まずはマランツのフラグシップデジタルプレーヤーSA-7S1をつないでSACDとCDを聴く。オーケストラはリファレンスレコーディングスの録音でR.コルサコフ《道化師の踊り》でスケール感やディテール再現を確認する。PM-11S1のサウンドは弦楽器の柔らかい質感と厚みのあるバランスに特徴があり、響きは上質で繊細、パーカッションの音像はフォーカスの良さよりもふくよかなタッチが印象的だが、あと一歩の鮮やかさとスピード感が欲しい気がした。
女性ボーカルはやや大きめの音像で心地よいサウンドにまとめてくる。リズム楽器はあくまでサポートに回り、前に出てくるバランスにはならないが、アップテンポの曲ではその控えめなタッチが若干気になることもある。ピアノは中高域に柔らかさがあり、ボーカルやベースの響きにきれいに溶け込んでいる。
同じソースをPM-11S2で聴いてみると、どの曲もテンポが上がったかのような爽快感があり、音がストレスなくフワッとスピーカーから放たれる感覚を味わうことができた。オーケストラは細部までクリアに解像しつつ、音色が痩せたり硬くなることはなく、それぞれの音像にコアがあり、そのまわりに空気をたっぷり含んだ余韻が漂っているというイメージ。ふくよかな柔らかさをPM-11S1からそのまま受け継ぎつつ、音の実体感と粒立ちを向上させていると感じた。トゥッティの瞬発力とスケール感には前作に比べて明らかにゆとりが生まれ、いい意味で量感が向上している。
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試聴は川崎にあるマランツ試聴室で行った。製品の音決めもこの部屋で行われているという |
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