今年の夏に、パイオニアマーケティング(株)から発表された米ベルキン社の「PureAV」シリーズは、発売以来そのクオリティの高さが評価され、急速に日本国内のユーザーを増やしている。今回の特集企画では、PureAVの魅力を体験したオーディオ・ビジュアル評論家たちによる、PureAVシリーズの一歩進んだ使いこなしのテクニックをお届けして行く。PureAVシリーズのラインナップ、および画質・音質の評価レポートについては、Phile-webの「PureAV特集ページ」もぜひご覧いただきたい。 |
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第一回目のレポートでは、PureAVシリーズのHDMIケーブル各モデルと、HDMIケーブル用アダプター“RazorVision”を、長期に渡って使用した成果について、評論家の山之内正氏に訊ねてみた。
米ベルキン社では、ハイエンド・ケーブルシリーズの「PureAV」を日本国内に導入する以前より、PC用アクセサリーやiPod専用アクセサリーを各種商品化し、数々のヒットモデルを生み出してきた。山之内氏が初めて手にしたベルキン社の製品は、iPodの音楽を車中でも気軽に楽しむために購入したFMトランスミッターであったという。「ベルキンというブランドの名前はそれ以前から幾度と耳にしてきたが、実際に製品を使ってみて、その音の良さに驚いた。その後、ベルキンの詳細をインターネットで調べ、多彩なアクセサリー商品を展開するトップ・レベルのブランドであるという認識を持っている」と山之内氏は語る。PureAVの製品は、今夏の国内発売を前に、弊誌「AVレビュー」や「ケーブル大全2007」でレポートする際に何度か視聴する機会を持ったが、長期で使用するのは今回が初めてという山之内氏。自宅の視聴室で愛用するオーディオ・ビジュアル機器と、組み合わせ使ってみた感触は、またひと味違うものがあったようだ。 |
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今回は山之内氏の自宅視聴室にうかがい、PureAVのHDMI関連製品をテストした。視聴室の向かって正面には、山之内氏が映像視聴時のレファレンス用モニターとしてこの頃導入されたばかりの、パイオニアのフルHDパネル搭載プラズマモニター「PDP-5000EX」がセットされている。テストに使ったPureAVシリーズ製品は、1.2m/2.4m/9.1m/15mのHDMIケーブルと、HDMIケーブル用アダプター「RazorVision」だ。 プラズマモニター「PDP-5000EX」の映像表示モードは、本機が搭載するフルHDパネルの持つ素質を最大に活かせる「dot by dot」モードで視聴。1,920×1,080ドットの、パネル1画素に対して1ドットを表示し、1080pの映像を最も美しく再現できるモードだ。放送ソースのチェックには、デジタルWOWOWで放送されたフルHDクオリティの映画番組を使用。デジタルチューナー搭載HDD+DVDレコーダー「DV-DH1000W」のハードディスクに録画して、HDMIで出力した映像を確認した。なお、本機がHDMIから出力できる映像は1080iまでなので、別途高性能ビデオスケーラーを搭載し映像のアップコンバージョンが行える、デノンのユニバーサルプレーヤー「DVD-A1XVA」を用い、1080pの映像を観ることにした。
HDMIケーブルの画質の印象について、山之内氏は「デジタルビデオケーブルの基本と言うべき、ソースの持つ魅力を“忠実に”再現する能力を備えている」としながら、現在視聴室でテストを行っている、他の幾つかのブランドのHDMIケーブルと比べて「PureAVは良質な映像をストレートに表現する能力に秀でている。映像に余計な情報やノイズをのせることがなく、信頼感の高いケーブルだ」と表現する。また、15mクラスの長尺ケーブルでも、画質の劣化が少ないこともホームシアターのセッティングに大きなアドバンテージとなるだろうと、山之内氏は付け加えた。 |
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Blu-rayディスクの映像はパナソニックのレコーダー「DMR-BW200」でもチェックを行い、良質な映像再現を確認できたという山之内氏だが、今回は取材当日に山之内氏宅に到着したばかりの「Playstation 3」を使ってBD-ROMソフトの再生チェックも行ってみることにした。
今回は『アンダーワールド2 エボリューション』、『ラヴァーズ』、『フィフス・エレメント』の3作品を視聴したが、「いずれのタイトルもこれまで何度も視聴してきたソフトだが、PureAVで観た印象は色の再現がとてもナチュラルであると感じる」と語る山之内氏。「HDMIケーブルは一般的に長尺になるほど信号伝送に不安があると言われるが、PureAVは15mのケーブルでも安定感の高い映像を楽しむことができる。S/N感も大変良い」と評価する。なお、今回のテストで使ったPlaystation 3は話題のHDMI ver.1.3の出力端子を初めて搭載したBD-ROM再生機としても注目されている。テストしたHDMIケーブルは、レギュラーの1.2m、2.4m、長尺の9.1m、15mと、いずれのモデルでもPlaystation 3からBD-ROMの1080p映像が問題なくモニターに出画されることが確認できた。 |
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RazorVisionを上手に使いこなすことによって、HDMIケーブルの高画質を保ったまま、多彩なホームシアター機器のレイアウトを楽しむことができる。一方で、ユーザーのシアター環境により幅広く対応できるよう、「今後、HDMIケーブルのラインナップに現在の長さの合間を埋めてくれる製品が登場すればより一層心強いだろう。高品位なPureAVの魅力をよりたくさんのユーザーが享受できるようになるのでは」と期待を語る山之内氏だ。本レポートの最後に、山之内氏によるPureAVシリーズの画質報告をご紹介しよう 。 |
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HDMI端子搭載機器が増えるにつれて、良質なケーブルの重要性が高まっている。筆者の視聴室ではソース機器とディスプレイを合わせると6台のHDMI機器を常用しているため、ケーブルの選択と使いこなしの難しさは他人事ではない。
ベルキンというブランドはiPod周辺機器ですでによく知っていたし、いまも愛用しているが、同社のハイエンドモデルであるPure AVシリースのHDMIケーブルを自宅で使うのは今回が初めてである。適度なしなやかさのあるケーブルと信頼性の高いコネクターを組み合わせ、使いやすいケーブルというのが第一印象。1080pを含む高解像度信号の伝送にも不安はなく、ディスプレイの比較視聴などで頻繁に抜き差しを繰り返しても、コネクター部にゆるみが出る様子もない。 プロジェクターとDVDプレーヤーを9.1mの長尺ケーブルでつないだときの画質は、ソース機器の素性とソフトの映像の特徴をストレートに引き出し、余計な演出や信号の劣化による画質の変化はきわめて少ない。これはケーブルとして当たり前のことと思われるかもしれないが、広帯域デジタル信号の伝送ではその当たり前のことを実現するのが意外に難しいのである。HDMIでは特に5mを超えると画質の差が大きくなることが経験上わかっているので、ケーブル選びは慎重にならざるを得ない。ベルキンのHDMIケーブルは、15mのロングバージョンも含めて忠実度が高く、信頼性に不安がない。長めの引き回しが不可欠な環境にも安心してお薦めできる。 |
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