今回の特集企画では、著名オーディオ・ビジュアル評論家たちによるPureAVシリーズの体験レポートをお送りしている。連載第2回目は、PureAVシリーズのラインナップから、RCAオーディオケーブルとスピーカーケーブルの音質と使いこなし方をご紹介していこう。 |
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今回PureAVシリーズのRCAオーディオケーブル、スピーカーケーブルをレポートしていただいたのは、季刊オーディオ・アクセサリー誌にて大好評連載中の「旬の音本舗・福田屋」にて、音質向上アクセサリーの評価と使いこなしを探求し続けている福田雅光氏だ。
「オーディオケーブル、スピーカーケーブルの区別に関係なく、高S/Nでワイドレンジ、かつ解像力が高く信号のロスが極限まで抑えられていることが、私の考える良いケーブルの基準」と福田氏は語る。ハード機器が備えるパフォーマンスを制限することなく、正確にスピーカーまで伝える能力を持ったケーブルが福田氏にとっての理想である。 福田氏が製品評価の際に掲げる、もう一つのこだわりは「高域の再生特性」だ。殊に現代オーディオにおいては一般的に高域の再生時に信号のロスが発生しやすいと言われており、高域の微妙な表情とニュアンスの正確な再現が難しいのだという。ケーブルの特性についても同じことが言え、高域再生の能力をテスト時に違いが明確になることが多く、福田氏はそこにいつも注目している。 |
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PureAVシルバーシリーズの長期テストは、福田氏の自宅試聴室で行われることとなった。はじめに現在、福田氏が普段より愛用しているレファレンス機器の内容を簡単にご紹介しておこう。デノンのSACDプレーヤー「DCD-SA1」、アキュフェーズのプリメインアンプ「C-290V」、同じくアキュフェーズのステレオパワーアンプ「P-1000」が、それぞれ送り出し側のメインシステムとなり、スピーカーはダイヤトーンの「DS-5000」。いずれも福田氏の試聴室において長きに渡って活躍しているモデルだ。今回はPureAVシリーズのRCAオーディオケーブルと、スピーカーケーブルのそれぞれを、個別にリファレンスのシステムにつないで順番に試聴した。
PureAVシリーズのケーブルには、古河電工純正のPCOCC(単結晶高純度無酸素銅)が導体として採用されているが、その効果について福田氏は、音を聴く前から非常に興味深く感じていたという。PureAVのRCAオーディオケーブルについては、高・中・低の各周波数帯域にマッチさせた3つのPCOCCによる導体を束ねた独自のハイブリッド構造が採られている。その他にも2層シールド構造の採用や、外装のメッシュチューブ仕上げなどを取り上げ、福田氏は「価格の割に、高音質再生を狙った手の込んだつくりが活かされている長所である」と語った。コネクタ部についても、スプリットセンターピンや8カット24K金メッキ処理が施されており、優れた装着感が心地よく感じられるはずだ。 PCOCCを導体に採用したことによる効果については、中低域のサウンドが明確になり、音の緩みや濁りがよく抑えられているところに表れていると福田氏は語る。かつてのオーディオファンには、“PCOCCの音は堅い”というイメージがあったという福田氏だが、PureAVのRCAオーディオケーブルについては、サウンドが巧みにコントロールされており、クセやあばれの少ないサウンドが実現されていると評価。その背景には「恐らく適度な熱処理を施したPCOCCが採用されているのではないだろうか」と予測する。 PureAVのRCAオーディオケーブルには1.2m/2.4mのラインナップが揃っている。どちらの長さのモデルも「中低域の再生能力に長けており、ボーカルの声や中低域の楽器の音が明確に伝わる印象」と福田氏は評価を付け加えた。その使いこなし方については「導入することによって、いっそう解像感の高いサウンドが狙えるはず。ユーザー個別の環境によって、使えるケーブルの長さも決まってくるものと思うが、尺度の短かめのものを選ぶことによって、高域の再生特性も高めることができるだろう」と語る。
スピーカーケーブルの音質傾向については、「基本的にRCAオーディオケーブルのサウンドにとてもよく似ているが、スピーカーケーブルの方がより完成度が高い」と福田氏は感じたようだ。今回は市販されている9.1mのケーブルを使って試聴したが、長尺のケーブルでもバランスが良く、優れたコントラスト感や透明感、引き締まった低音と全体にクッキリとしたサウンドが確認された。中低域の力感に溢れ、歯切れ良く決まるところも、福田氏が高く評価したポイントだ。 |
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最後に実践編として、PureAVシリーズの使いこなし方を福田氏に訊ねてみることにした。 今回、PureAVシルバーシリーズをじっくりと試聴した福田氏には確かな手応えがあったようだ。「その魅力はPureAVというブランド名だが、Pureオーディオでも十分に魅力を発揮してくれるはずだ」と福田氏の評価高かった。性能的にはハイエンドマニアも十分に楽しめ、ビギナーにも手軽に使ってみることのできる価格帯を実現していることも、シリーズの大きな魅力の一つだ。「音楽のジャンルを選ばず、ピュアなCD音源の再生にも真価を発揮する所も頼もしい」と福田氏は振り返る。はっきりとした明快な音、澄んだ透明感のある音が欲しい人にとっては、PureAVがベストな選択肢の一つになるはずだ。 |
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ベルキンPureAVシリーズのケーブルは、手頃な価格を見れば入門用のグレードであると想像するのが普通だ。しかし、構造を調べてみると、導体には古河電工製の純正PCOCC(単結晶高純度無酸素銅)の採用、単線ソリッド導体を主体にしたハイブリッド導体、メッシュチューブによるこだわりの仕上げなど、水準以上の内容が注目できるだろう。
PureAVのRCAオーディオケーブルの音質は、僅かばかり固めな性質を見せるが、解像度は高く音の緩みが少なく、引き締まる傾向が特色となり、明瞭な分解力とほぼフラットなバランスで一定した特性が魅力になっている。ジャズサウンドやロックで芯のはっきりとした力強さを狙うのに適しているが、解像度を重視したAVシステムにも向いている。耳あたりの手頃な無難な音質よりも、輪郭を正確に結ぶ分解力を追求するようなタイプとなる。 ラインケーブルには1.2m、2.4mと2種類の長さがある。ケーブルは一般論として、必要最小限であることが、音の鮮度の点で有利だ。長くなるに従い高域特性から劣化する傾向があり、それだけ損失が増えるからだ。PureAVを使いこなす際にも自宅のオーディオシステムに合う範囲で、必要最小限の長さで使いたい。 スピーカーケーブルは、はじめは同じくPureAVシリーズのアクセサリーとして販売されているU字プラグと、スピーカー側にはバナナプラグを装着した状態で試用したが、別途プラグを外した裸の状態でも聴いてみた。すると、フラットバランスで透明度が高く、中低音を引き締めコントラストや分解力の高い音が基調にされていることがさらに良くわかる。 ふくらみや柔らかさ、エレガントな味という芸術性は少なく、正確で切れのいいサウンドというのが持ち味になるだろう。従って弦楽器や声楽を潤い豊かにという狙うよりも、写実調の分離の良さを活かすと真価を発揮するはずだ。このタイプはスピーカーケーブルを5m、8mと長く使うような場合に、解像力の損失が少なく有利であることも覚えておくといい。 アクセサリーのスピーカー端子は、24K金メッキを施したきれいな仕上げだ。音質的にはU字タイプのPAV54006が有利であると感じたが、スピーカーケーブルへのマッチングも高い。接続は無ハンダ方式であるため使いやすく、こちらも勧められるモデルだ。 |
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