タイムドメイン理論とは、時間領域の再現性を高めることで原音により忠実な音を再生しようというオーディオ理論である。原音再生という目標は従来のオーディオ理論と同様だが、従来は周波数特性の向上でそれを得ようとしていたのに対して、タイムドメイン理論では時間特性に着目。その指標としてインパルス応答の向上を採用している。
インパルスというのは、振幅が無限大で時間幅は無限小、つまり、立ち上がりと立ち下がりが究極的に速い信号のことだ。この究極に速い信号に正しく追従できるのなら、それは時間特性が優れているということになる。そしてインパルスには全ての周波数の振幅と位相が含まれているので、それを正しく再生できるなら、周波数特性という面から分析しても究極の忠実性を持つことになる。これがタイムドメイン理論の中心にある考え方だ。
その理論を実際のスピーカーとして具現化するため、ECLIPSE TDシリーズでは、元の入力信号にない残響成分、スピーカー不要振動の徹底的な排除が行われている。ユニットを拡散支柱でマウントすることでエンクロージャーと機械的に分離する「ディフュージョン・ステー」、そのユニットの揺るぎない強固な足場となる重量級の鉄の塊「グランド・アンカー」、通常の箱形エンクロージャで起きるいわゆる箱鳴りが皆無の卵形エンクロージャー「エッグシェル・コンストラクション」といった設計は全て、不要振動排除のためのものだ。
フルレンジ・小口径のシングルユニット構成を採用しているのも大きな特徴。こちらのメリットは良く知られるところだろう。点音源の実現である。
それらの結果、本来再生されるべき音だけが正確に再生され、ブレのない明瞭な音象・音場を生み出せる。それがECLIPSE TDシリーズの設計思想なのだ。