「TD508II」は、「II」からもわかるように、位置付けとしては初代シリーズ「508」の後継に当たる。しかしそれは「位置付けとしては」の話であり、設計面から見れば、これは単純なブラッシュアップ機ではない。初代シリーズのあとに開発された最上位機「TD712z」で得たノウハウを投入した「新たな」エントリー機と理解したほうがよいだろう。
タイムドメイン理論に基づく「ディフュージョン・ステー」「グランド・アンカー」「エッグシェル・コンストラクション」といった設計は当然、初代508から引き続がれている。TD508IIではそれに加えて、本体と専用スタンドの接合を点接触に、ディフュージョン・ステーの素材に高比重の亜鉛を採用といったところで、不要振動排除がさらに徹底された。シングル構成であるが故に高い能力が要求されるユニットに関しても、能率を高めた新ユニットが採用されている。
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正面。フルレンジユニットを搭載し点音源を実現 |
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背面には金メッキを施したスピーカー端子を装備 |
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側面。筐体は砲弾を思わせる滑らかな曲線を描く |
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専用スタンド「D3II」は別売り |
専用スタンドの完成度にも注目したい。ECLIPSE TDシリーズはその特殊な形状故に専用スタンドは必須であり、専用スタンドの出来は製品自体の評価と切り離せない。TD508IIにはテーブルスタンドが付属するが、別売で高さ740mmのスタンド「D3II」も用意されている。前者を利用した場合は上方向30°〜下方向10°、後者の場合では上方向20°〜下方向10°の角度調整が可能だ。そういった可動部を持ちながらも、可動部の精度の高さ、前述の点接触構造、一見華奢に見えるが実際は頑強なポール部により、不要振動排除というところを害することがない。不満を感じることのない出来栄えである。また、天井吊りも可能だが、それについては別項で詳しく触れる。