テレビの楽しみ方は、リアルタイムの放送を楽しむことから、HDDによるタイムシフト、ストレージメディアを使ったアーカイブ、さらにはブルーレイやDVDなどパッケージソフトの鑑賞など様々だが、ネットワーク技術の進歩により、テレビの新たな楽しみ方が加わった。

2008年、薄型テレビは画質の進化のほかにも、さらなる薄型化、ワイヤレス伝送、レイアウト自由型と、様々な新トレンドが誕生した年であった。なかでも注目したいのは、テレビ内蔵の機能でHD映像配信を可能とするサービスとして、最新薄型テレビがこぞって採用する「アクトビラ ビデオ」の本格始動だ。

「アクトビラ」は、ネットとテレビの融合時代における本命サービスとして2007年9月に映像配信サービスの「アクトビラ ビデオ・フル」を開始して以来、映画・ドラマ・音楽・スポーツなど幅広いジャンルでHD映像配信サービスを提供している。

アクトビラ 公式サイトで配信している動画の情報を調べることができる

2008年6月にレンタル最大手のTSUTAYAグループが「TSUTAYA TV」をはじめたことで、ハリウッドメジャーによる映画・海外ドラマのラインナップが拡充してきた。

さらに、2008年12月にはNHKが「NHKオンデマンド」を始めたことで、過去に放送したNHKのライブラリーや、一週間以内に放送された有力番組の視聴が行えるようになり、映像配信がさらに身近になった。

現在「アクトビラ」を通じて提供されている作品は5,000タイトル以上にも及ぶ。ラインナップの量・質ともに、掛け値無しに本格的と言える映像配信サービスへと急成長を遂げている。

そして、2008年12月19日。「アクトビラ」による映像配信の新しい形として「アクトビラ ビデオ・ダウンロード」がついに開始された。

「アクトビラ ビデオ・ダウンロード」は、現時点では「アクトビラ」を通じてTSUTAYAグループが展開する「TSUTAYA TV」が唯一のサービスとなるため、「TSUTAYA TV」のサービス内容に即して解説していこう。

2008年12月に開始された「アクトビラ ビデオ・ダウンロード」とは、従来HD画質の映像をリアルタイムで配信する「アクトビラ ビデオ・フル」に対して、いったん内蔵HDDに番組をダウンロードして再生する、新しいタイプの映像配信方式だ。

「アクトビラ ビデオ・ダウンロード」を利用するメリットは、大幅なクオリティの向上にある。映像はBDなどと同じ最新のMPEG-4 AVC/H.264形式のHD画質で提供。これは従来の「アクトビラ ビデオ・フル」と共通ながら、ビットレートを最大約8Mbps/CBRから最大約20Mbps/VBR(平均約10Mbps)に引き上げたことで、大幅に映像のクオリティを向上させている。音声コーデックにはAACが使われ、ビットレートは最大384kbps。5.1chサラウンドの作品も提供されるようになる。

アクトビラ 映像配信サービスのスペック表
  アクトビラ ビデオ・ダウンロード アクトビラ ビデオ・フル アクトビラ ビデオ
配信形式 ダウンロード ストリーミング ストリーミング
画質 HD(1920×1080i) HD(解像度非公表) SD(解像度非公表)
映像コーデック MPEG-4 AVC/H.264 MPEG-4 AVC/H.264 MPEG-2
映像ビットレート 最大約20Mbps(VBR) 最大約8Mbps(CBR) 最大約4Mbps(CBR)
音声 MPEG-2 AAC 384kbps(2ch/5.1ch) MPEG-2 AAC 384kbps(2ch/5.1ch) 非公表

実際に提供されるサービスは、期限付きで視聴が可能な「アクトビラ ビデオ・ダウンロードレンタル」と、作品そのものを購入できる「アクトビラ ビデオ・セルスルー」の2方式に分かれる。

「アクトビラ ビデオ・ダウンロードレンタル」は、従来の「アクトビラ ビデオ」のダウンロード版に相当するもので、48〜72時間の期限付きの視聴ながら、映像・音質を高品位にしたことでクオリティ志向のユーザーに訴えるサービスとなる。

これに対して「アクトビラ ビデオ・セルスルー」は、映像配信される作品そのものを購入する、新しいサービスという位置づけだ。「アクトビラ ビデオ・ダウンロード」で購入した作品は、ダウンロードした後にHDD上で無期限に再生でき、さらにHDD容量がいっぱいになった場合などに備えて、最大2回まで外部メディアに書き出す(ダビングする)権利が含まれている。例えばWoooのUT770シリーズが対応するリムーバブルHDD「iVDR-S」やBD、DVDなどのメディアに書き出しができ、バックアップも可能となっている。

「アクトビラ ビデオ・ダウンロード」で提供される作品は、米ハリウッドメジャーのパラマウント、ユニバーサル、ワーナー、ディズニーの協力を受けたメジャータイトルで計400本以上。タイトル数は順次拡充され、3月には約1,000タイトル以上に増える予定だ。従来の「アクトビラ ビデオ」にない作品も提供されるだけに、今後追加される豪華ラインナップにも注目だ。

TSUTAYA TVが2009年1月以降に追加予定のタイトルの一部。3月にはダウンロード対応コンテンツが1,000タイトルを超える予定だ

 

2009年1月16日現在、薄型テレビとして唯一「アクトビラ ビデオ・ダウンロード」に対応している薄型テレビが日立 Wooo UT770シリーズだ

薄型テレビの新トレンドとして定着を始めた「アクトビラ」による映像配信と、新サービスの「アクトビラ ビデオ・ダウンロード」の活躍するシチュエーションは幅広い。

例えば「アクトビラ ビデオ」のサービスだけをとって見ても、今までレンタルDVDを利用していた人にとっては、自宅にいながらリモコン操作ひとつで好みの作品をすぐ鑑賞できるので、店舗まで貸出・返却に出かける手間を省ける。また、せっかくレンタル店まで出かけたのに目当ての作品が貸出中だった、などということもなくなる。

「アクトビラ ビデオ・ダウンロード」なら、単にHD解像度というだけでなく、より映像にこだわりのある人も満足できる、BDに迫る高画質が楽しめる。「アクトビラ ビデオ・セルスルー」なら購入した作品のアーカイブ化まで行えるため、DVDやBDが発売されていない作品も入手できるようになるだろう。

さて、注目のフィーチャーが目白押しの「アクトビラ ビデオ・ダウンロード」は、テレビで実際にどのように利用できるのだろうか。日立の薄型テレビ“Wooo"UT770シリーズを実際に操作して、操作性と機能をレポートしよう。