製品はハイエンドとスタンダードの2グレードがある。最大の違いは対応サンプリング周波数だ。ハイグレードのVC-48が96kHz、スタンダードのVC-24は44.1/48kHzだが、そのまま型名の数字を補間周波数に読み替えればわかりやすいだろう。コントローラの機能も異なる。ハイグレードの方はヘッドホン出力のほかにライン出力があり、手持ちのアンプにつないで本格的なオーディオ再生が可能だ。また、コントローラのボタンでビットレボリューションのON/OFFやボリューム、その他の機能も操作できるので便利。一方、スタンダード機は画面上での操作となる。ではパソコンとUSB接続して、VC-OH48をハンドリングしよう。耳をすっぽりと覆うオーバーヘッド(OH)タイプで、なかなか高級感がある。

ハイエンドとスタンダードの違い
項目 ハイエンド スタンダード
補間周波数 48kHzまで 24kHzまで
同梱コントローラー VC-48 VC-24
コントローラーのライン出力 ×
ビットレボリューションON/OFF PC/コントローラーで操作 PCで操作
サラウンドモード切り替え PC/コントローラーで操作 PCで操作
イコライザーON/OFF PC/コントローラーで操作 PCで操作

VRAISON PC用ヘッドホンのラインナップ
ハイエンドタイプ

ハイエンドタイプのコントローラー「VC-48」。各種切り替えボタンやライン出力を装備する

オーバーヘッドタイプのセット型番は「HP-U48.OH」 インサイドイヤータイプのセット型番は「HP-U48.IE」
スタンダードタイプ
スタンダードモデルのコントローラーは「VC-24」 オーバーヘッドタイプのヘッドホンはブラック/シルバー/ホワイトの3色を用意。セット型番は「HP-U24.OH」 カナル型のセット型番は「HP-U24.CN」

実際にビットレボリューションの高音質化処理を体験し、その効果に驚く林氏

これはのけ反る変化だ。CDからMP3録音した圧縮音源は、もやついた冴えないサウンドで妙なきつさも残る。情報量不足そのものといった音の表情だが、それが補間後は様変わり。ボーカルがすっきりと高音域までヌけ、声に表情がついてくる。「惑星」のような編成の大きな管弦楽もダンゴにならない。かたまりだった各パートがきれいに分解され、楽器の定位やステレオイメージがぐんと正確になった。かさついていた弦にみずみずしさが宿り、強奏音がピークまできれいに伸びる。失われたはずの音域が復活し、天井が高くなったようにダイナミック感がついたのだ。

特筆すべきは、いかにも補間しましたというのではない、自然な心地よさが感じられることだ。これはヘッドホンでもハッキリとわかる。ポップスもジャズもとても聞きやすい。ニュアンスがキメ細やかで、長い時間でも聴き疲れすることもない。ああ、本来はこうあるべき音なのだ、と感じた。この手の補間された音はこれまで数多く聞いたが、ビットレボリューションはまさに別格といえる。オリジナルのCDを聴いているというより、たっぷりと醸成された情報量感はCD以上だ。

どこを補間しているのかは、画面上のスペアナで見ることができる。たとえばMP3なら16kHzがそのポイントだ。そこで16k/48kのうち16kHzを選ぼう。圧縮時はスペクトルが16kHzまでだったが、その上48kHzまで生成されている様子が確認できた。耳と目でわかるのは楽しい。

VRAISONのメイン画面。スペアナが表示され、実際に再生されている
効果を自ら設定できる「ユーザーサラウンド設定」機能も内蔵

次はライン出力で、筆者のスピーカーを鳴らしてみよう。これはヘッドホン以上だ。出た瞬間に補間力のすごさを思い知る。システムの再生レンジが広いぶん、圧縮系には厳しい。高域不足もそうだが、密度が薄くスカスカした感じなのだ。音楽が単調で楽しめない。それが補間ONだと高域、低域ともグンとワイドに感じるのも不思議だ。空間にびっしりと音の気配や空気感が充満して立体感も豊かになり、音楽そのものが生きている。

VRAISONの通常の使い方。PCとコントローラーをUSBで接続し、PHONE端子から同梱のヘッドホンへつなぐ
ハイエンドモデルのコントローラーにはラインアウトが装備されている。ここから手持ちのアンプやコンポに、高音質化した音声を出力することができる

そのほか手持ちのCDやDVDでもトライしたが、ビットレボリューションのマジックにかかると、これまでの常識がくつがえるほどのとびきりハイパーサウンドが再生できた。 また補間を強くかけたり弱くかけたりで、リッチとナチュラル、そしてOFFのポジションがある。圧縮、非圧縮いろいろなソースで試したが、ナチュラルモードが自然な気品を感じた。またジャンルによってロック、クラシック、ジャズなど好みの音調をセレクトするイコライジングや、ホール・ライブをはじめとしたバーチャルサラウンド機能など、あわせて使いこなして欲しい。

なお、パソコンの使用環境としては、CPUが2.4GHz以上。メモリーが512MB 以上が推奨されている。また今回はWinndows OS対応だが、来春にはMac対応モデルも追加される見込みだ。