日本法人社長に聞く
「Google TV」へのメタデータ提供も協議、Roviが目指すEPG革新
ビデオレコーダーの進化のなか、テレビ番組の録画予約や視聴をより便利に、効率的にしてきたのがEPGだ。中でもGガイドはこの数年、より多様性のあるデータを提供し、ユーザーのテレビ視聴環境を変化させようと努力している。
■Roviとは何か
ちなみに、Gガイドを提供しているジェムスターTVガイド・インターナショナルは、実はRovi Corporationの子会社だ。
このRoviという名前に、あまり聞き覚えのない人もいるかも知れないが、Roviは米Macrovisionが社名変更した会社だ。VHSビデオのコピーガード技術を提供していた会社として覚えている人が多いだろう。
Roviは2009年に社名を変更して以来、いくつものデジタルメディア関連、著作権関連企業を買収し、デジタルコンテンツのためのEPG情報やメタデータ情報、DLNAスタック提供機能などを備えたデジタルカンパニーに変身した。ジェムスターTVガイド・インターナショナルも買収された会社の1つだ。
Roviは現在、このジャンルでは北米を中心に最大手と言える会社だ。最近ではGoogleと、話題の「Google TV」へのメタデータ提供について協議しているといえば、Roviがどのような存在なのか理解しやすいだろう。今回はRoviの最新情報について、ロヴィ(株)代表取締役社長の西村明高氏に話を聞いた。
■メディア的に進化するGガイド
放送波のEPGデータが1週間分であるのに対して、テレビ番組雑誌は1ヶ月程度の情報を扱っているものが主流となっている。より長期の番組データを知ることができれば、その使い勝手が向上するのは当然だ。また、注目の番組をより手軽に見つけられるようにしたいというユーザーの欲求にも限りはない。そのような使い勝手の向上を目指して、Gガイドの進化は始まった。
それが具体的に現れた第1段階は、2009年2月の「注目番組情報」の配信だ。これは地上波、BS、CSの最大1ヶ月までの注目番組情報を静止画付きで提供するというものだった。ちなみにEPG情報で静止画を配信するというのは、当時初めての試みだった。ちなみに、このデータは放送波とネットで配信されている。
次なるフェーズとして、2009年の9月にWOWOWの1ヶ月番組表と特集サービス機能を開始した。このデータはネット配信になる。
1ヶ月番組表というのは、文字通り1ヶ月の番組表を表示するというもので、毎月20日に更新される。番組表は来月末までのデータが受信できるので、最長で41日の番組表を見ることができることになる。
次は特集番組機能だ。WOWOWでは多くの映画が配信されるが、特集機能では、現時点では100番組程度を、ふきかえ映画、音楽イベント、スポーツイベント、シリーズ映画など特定のテーマに基づいて紹介している。毎月20日に更新され、最長で3ヶ月先までの特集番組を表示することができる。
この特集機能では、特定の特集に含まれる番組を一括録画することができるのが便利だ。たとえば今年3月、「007」シリーズの全22作品が放映された。これも特集として扱われたが、このような場合、一括録画予約で22作品すべてを録画できるわけだ。
ちなみに、これらの機能はパナソニックのDIGAシリーズに真っ先に搭載されているのだが、その理由はDIGAの開発速度の速さだという。
次なるフェーズとして、2010年4月にはさらにWebベースで注目番組サービスが開始された。この機能には日立“Wooo”のネットポータル「Wooonet」が対応している。
そして、来る9月15日には「NHK特集サービス」が開始される。これは地上波の総合、教育、そして、BSの3つのチャンネルに対応した特集サービスとなり、週1回の頻度でネット配信される。
この機能は1ヶ月間の番組を特集するもので、週1回更新され、約150番組から構成される。当然、画像付きの情報が表示されるが、この画像はポイントをつかんだものであり、適当に入れているものではないのが凄い。
NHKは災害や国会の問題など、報道関係の問題で流動編成が多いのだが、これにも柔軟に対応し、修正されるようになっている。
現時点ではこの「NHK特集サービス」は、9月15日発売の「ブルーレイDIGA」新機種に搭載されているのだが、この機能は拡張性を備えているため、今後、民放各社が特集チャンネルを追加することもできる仕様になっている。
また、既存の“ブルーレイDIGA”DMR-BW970など、070シリーズ以降の特集サービス機能に対応した機種も、アップデートでNHK特集サービスに対応するという。
■テレビの視聴・録画体験を向上させるGガイド
放送波のEPGでは、1週間という比較的短期間の、しかも限られた情報しか得られないのに対し、Gガイドは1ヶ月という長期間の番組について、詳細な情報や静止画像の提供、注目番組のチェックなどを可能にしている。
このEPGの進化は、ユーザーのテレビ視聴・録画体験を大きく変化させるものになるだろう。今後、このようなEPG機能が、レコーダーを選択する場合のポイントとしてますます見逃せないものになるはずだ。
(一条真人)
■Roviとは何か
ちなみに、Gガイドを提供しているジェムスターTVガイド・インターナショナルは、実はRovi Corporationの子会社だ。
このRoviという名前に、あまり聞き覚えのない人もいるかも知れないが、Roviは米Macrovisionが社名変更した会社だ。VHSビデオのコピーガード技術を提供していた会社として覚えている人が多いだろう。
Roviは2009年に社名を変更して以来、いくつものデジタルメディア関連、著作権関連企業を買収し、デジタルコンテンツのためのEPG情報やメタデータ情報、DLNAスタック提供機能などを備えたデジタルカンパニーに変身した。ジェムスターTVガイド・インターナショナルも買収された会社の1つだ。
Roviは現在、このジャンルでは北米を中心に最大手と言える会社だ。最近ではGoogleと、話題の「Google TV」へのメタデータ提供について協議しているといえば、Roviがどのような存在なのか理解しやすいだろう。今回はRoviの最新情報について、ロヴィ(株)代表取締役社長の西村明高氏に話を聞いた。
■メディア的に進化するGガイド
放送波のEPGデータが1週間分であるのに対して、テレビ番組雑誌は1ヶ月程度の情報を扱っているものが主流となっている。より長期の番組データを知ることができれば、その使い勝手が向上するのは当然だ。また、注目の番組をより手軽に見つけられるようにしたいというユーザーの欲求にも限りはない。そのような使い勝手の向上を目指して、Gガイドの進化は始まった。
それが具体的に現れた第1段階は、2009年2月の「注目番組情報」の配信だ。これは地上波、BS、CSの最大1ヶ月までの注目番組情報を静止画付きで提供するというものだった。ちなみにEPG情報で静止画を配信するというのは、当時初めての試みだった。ちなみに、このデータは放送波とネットで配信されている。
次なるフェーズとして、2009年の9月にWOWOWの1ヶ月番組表と特集サービス機能を開始した。このデータはネット配信になる。
1ヶ月番組表というのは、文字通り1ヶ月の番組表を表示するというもので、毎月20日に更新される。番組表は来月末までのデータが受信できるので、最長で41日の番組表を見ることができることになる。
次は特集番組機能だ。WOWOWでは多くの映画が配信されるが、特集機能では、現時点では100番組程度を、ふきかえ映画、音楽イベント、スポーツイベント、シリーズ映画など特定のテーマに基づいて紹介している。毎月20日に更新され、最長で3ヶ月先までの特集番組を表示することができる。
この特集機能では、特定の特集に含まれる番組を一括録画することができるのが便利だ。たとえば今年3月、「007」シリーズの全22作品が放映された。これも特集として扱われたが、このような場合、一括録画予約で22作品すべてを録画できるわけだ。
ちなみに、これらの機能はパナソニックのDIGAシリーズに真っ先に搭載されているのだが、その理由はDIGAの開発速度の速さだという。
次なるフェーズとして、2010年4月にはさらにWebベースで注目番組サービスが開始された。この機能には日立“Wooo”のネットポータル「Wooonet」が対応している。
そして、来る9月15日には「NHK特集サービス」が開始される。これは地上波の総合、教育、そして、BSの3つのチャンネルに対応した特集サービスとなり、週1回の頻度でネット配信される。
この機能は1ヶ月間の番組を特集するもので、週1回更新され、約150番組から構成される。当然、画像付きの情報が表示されるが、この画像はポイントをつかんだものであり、適当に入れているものではないのが凄い。
NHKは災害や国会の問題など、報道関係の問題で流動編成が多いのだが、これにも柔軟に対応し、修正されるようになっている。
現時点ではこの「NHK特集サービス」は、9月15日発売の「ブルーレイDIGA」新機種に搭載されているのだが、この機能は拡張性を備えているため、今後、民放各社が特集チャンネルを追加することもできる仕様になっている。
また、既存の“ブルーレイDIGA”DMR-BW970など、070シリーズ以降の特集サービス機能に対応した機種も、アップデートでNHK特集サービスに対応するという。
■テレビの視聴・録画体験を向上させるGガイド
放送波のEPGでは、1週間という比較的短期間の、しかも限られた情報しか得られないのに対し、Gガイドは1ヶ月という長期間の番組について、詳細な情報や静止画像の提供、注目番組のチェックなどを可能にしている。
このEPGの進化は、ユーザーのテレビ視聴・録画体験を大きく変化させるものになるだろう。今後、このようなEPG機能が、レコーダーを選択する場合のポイントとしてますます見逃せないものになるはずだ。
(一条真人)