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「極めてリーズナブルで高い技術を持つ」

実は30年以上の名門、独ケーブルブランド「インアクースティック」を知る

公開日 2014/08/29 10:00 井上千岳
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極めてリーズナブルながらニューストラルな再現性を獲得

以下、各シリーズの概要を見てみる。

最上位はREFERENZというシリーズである。構造は先に触れたようにマルチコア。導体はOFCで、DUO−PE IIで絶縁している。ハイスピード・ウェーブガイドという芯線構造を持ち、最上位モデルは完全受注生産としている。

REFERENZシリーズ「LS-1102」のケーブル部外観

ライン・ケーブルは多少構造が異なるが、やはりポリエチレン・チューブを使用して磁界の均一化を図る。また下位モデルでは芯線にコアを持たせず、多層構造とする。なお従来Black&Whiteと呼ばれていたのが、このシリーズである。

いずれもエネルギーが均一で立ち上がりのスピードと厚みに優れ、音色には色がない。同時にディテールを濃密に描き出して、起伏に富んだ再現を展開する。

これに次ぐのがEXZELLENZシリーズである。いくつかのシリーズを統合した形跡があって構造も単一ではないが、同社の中核となる。

こちらはEXZELLENZシリーズのEX-4S

上位のLSはREFERENZの直系で、2芯ないし4芯構造。ポリエチレンのコアを緩衝材として入れている。またAtomos AirはモニターPC時代からおなじみのはずで、空気絶縁を加味したハイC/Pモデルだ。その他にも2つのタイプがあり、クリアでハイスピードな音調を持つ。どれもカラレーションを感じさせないのが特質である。

PREMIUMはユーティリティも考慮したシリーズで、平行構造を基本としている。フラットタイプや同じ構造で銀コート線と銅線の2種類を用意するなど、ケーブルによる変化が簡単に楽しめる内容となっている。

さらにSTARは、最もベーシックなエントリー・モデル。銅線の平行タイプで、S巻きとZ巻きを組み合わせて取り回しを容易にしている。



これら最上位からエントリーまでラインアップは豊富だが、価格を極めてリーズナブルなものにしながら、ニュートラルで誇張のない再現性を維持しているところに技術力の深さを感じないわけにはいかない。コストをかけるばかりが技術ではない、ということをあらためて実感させるケーブルである。

(井上千岳)

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