【特別企画】オヤイデの新導体も登場したオーディオ試聴会に編集部記者が潜入
屋内配線による音質の違いをブラインドテスト ‐ 「第16回 Acoustic Audio Forum」で分かった“部屋”の重要性
当日はまず、鈴木氏がオーディオルーム構築の際のノウハウを解説。同社が手がけた試聴室と一般的な部屋との音響特性の違いを、測定データも交えて紹介するなど、音響設計の基礎知識や“音のいい部屋”をつくるためのポイントを説明した。
そして実際の試聴デモでは、4種類の屋内配線材を用意。一般的に多く用いられる「VVF」、VVFよりも太い「CV」、VVFの絶縁体とシースをポリエチレンに変更することで環境に配慮し“エコケーブル”とも呼ばれる「EEF」、そしてオヤイデ電気が開発した新導体「102SSC」の4種類を同一楽曲で聴き比べた。
なお、試聴はまずブラインドで実施。試聴後に参加者それぞれの好みを集計し、その結果とともに正解を明かすという趣向が凝らされた。実は、線材が異なるのは屋内配線の一部である4m程度しかなかったのだが、参加者のほぼ全員がその違いをはっきり認識できた様子だった。
また、「講師が一方的に話すようなものではなく、皆がざっくばらんに話せるようなものにしたかったため『フォーラム』と名付けた」と鈴木氏が言うように、1曲ごとに感想を言い合うなどといった一幕もあり、真剣ながらも和やかな雰囲気でイベントは進行していた。
そして休憩をはさんだ第2部では、トランスの有無による音質の違いもデモ。屋内配線、トランスの有無での違いといった、通常ではなかなか体験できない貴重なデモを行える点も同社のショールームならではと言えるだろう。
■アコースティックデザインシステムの作る部屋は『正解が見つけやすい部屋』
屋内配線のブラインドテストでは、“正解”と照らし合わせるとオヤイデ「102SSC」の人気が高く、一般的なVVFは不人気という結果に。前述のように、線材による音質の違いを、参加者も敏感に感じ取っている様子だった。
なお、イベントにはオーディオ評論家の村井裕弥氏も出席しており、「アコースティックデザインシステムが手がけたオーディオルームに何件か取材に行ったことがあるが、小音量であってもセッティングや機器の違いが分かりやすかった。『正解が見つけやすい部屋』と言えるかもしれない」とコメント。「部屋への投資はムダにならない」と言葉を続けた。
これを受けて同社の鈴木氏は「音楽スタジオのエンジニアの方からも『マイクセッティングが楽だ』と言ってもらうことがある」とコメント。「基本を守った部屋はオーディオも楽器も同じこと」と語る。
そして、オーディオと部屋の響きとの関係性について、「部屋の環境が悪くて出なくなっている音を補うためにハードを色々といじっている人もいるのではないか」と言及。「防音だけを意識した専用室を作ると、定在波が以前よりも気になるようになってしまうケースもある」と、オーディオにおける部屋づくりの重要性を改めて説明した。
そして「言葉だけでは説明しづらい分野だが、こうして体験することで、良い音に部屋が寄与していることを分かっていただけたのではないか」と締めくくった。
新製品などの試聴会は色々あるが、このような部屋作りに絡めた比較試聴会は珍しい。30年以上も前から録音スタジオ、そして音楽家やオーディオファン向けの音響室を手がけてきた同社ならではのイベントだと言えるだろう。今後も、オーディオファンが興味深く参加できるような様々なテーマでイベントを企画しているとのことなので、ファイル・ウェブでも随時告知・レポートしていく予定だ。
【Acoustic Audio Forum 問い合わせ先】
アコースティックデザインシステム
http://www.acoustic-eng.co.jp/