コーヒーメーカーの選び方(4)いま人気の高いエスプレッソマシン、その選び方
第1回目はコーヒーメーカーを選ぶときの基本となる「抽出源」について、第2回目ではドリップ式コーヒーメーカーについて、第3回目ではカフェポッド/コーヒーカプセル/レギュラーソリュブルコーヒー用コーヒーメーカーについて紹介した。
最後となる第4回目では、いま人気の高いエスプレッソマシンについて解説しよう。
■エスプレッソができたわけと、世界制覇したわけ
16世紀にヨーロッパに伝わり、広く飲まれるようになったコーヒー。しかし豆は生鮮食料品。不作だと値が張る上に、手に入れにくい。そんな時「加圧することによりコーヒーの成分を残らず出してやろう。そうすると豆が少なくても、美味いコーヒーが飲めるはず」と考えた人がいた。これがエスプレッソの始まりだ。
1901年にイタリアでエスプレッソマシンが開発され、1906年ミラノ万博でお披露目。待たずに飲めると言うことで大流行した。イタリアを中心に、ヨーロッパに普及。ヨーロッパでは美味い・早い・安い=イタリア料理なので、イタリアは今も、ヨーロッパにおけるエスプレッソの中心だ。
そして1980年代。アメリカにイタリア料理ブームが到来。エスプレッソはアメリカで少しだけ市民権を得た。その後、スターバックスがエスプレッソを中心としたメニューで全世界に広める。これがシアトル系と呼ばれる、もう1つのエスプレッソだ。
イタリア系と一番違うのは「量」。「食事は量が必要」とする典型的な「アメリカ文化」。このためかなり濃いエスプレッソ、具体的に言えば、焙煎をギリギリ(イタリアンより深い)まで深くした濃いエスプレッソに、ミルクを大量に入れて出す。これが主力商品の「ラテ」だ。これが世界中で飲まれ、コーヒーの基準となり、世界のコーヒー全体が濃い味になった。嗜好品の世界は、これほどにも曖昧な世界でもあるのだ。そのより戻しがハンド・ドリップである。
■ドリップと抽出方法、味以外で大きく違うところは?
私はイタリア系のエスプレッソ派なので、それを前提にして読んでほしい。
その1:必ず砂糖は入れる
ドリップはブラックで飲む人も多いと思うが、イタリアでブラックを飲む人は、まずいない。30ccのエスプレッソに砂糖を大さじ2杯入れる人もいるくらいだ。
その2:豆はブレンドが基本
エスプレッソの豆は、アラビカ種、ロブスタ種のブレンド比で示されることが多い。もちろんドリップ・コーヒーのようにアラビカ種100%もあるが、いろいろな産地の豆をブレンドするのが基本。内容は企業秘密だが、3種類などではなく10種に近いそうだ。
こうなると、ある国で豆が不作でも、全体の味を壊さずに済む。いろいろなシャトーの味を混ぜ合わせて作り、ワインが不作の時でも、味がキープされているシャンパンと同じ作り方。なお単一種の豆だけでエスプレッソを作ると、味が単純過ぎてコクが感じられない。
アラビカ種の風味を味わうならドリップがお勧めだ。ちなみに「モカ」「キリマンジャロ」などは、そのアラビカ種を作る産地名。農作物なので産地で味も変わるため、アラビカ種と呼ばずに産地名で呼ばれる。
■美味しいエスプレッソにまつわる数値
エスプレッソは専用マシンが必要なだけあって、抽出気圧:9気圧、抽出温度:90℃、抽出時間:20秒、抽出量:30cc、飲用温度:67℃が美味しいと、明確に数値化されている。
更に言えば、これを実現するのは、豆は焙煎度:6. フルシティ〜7. フレンチ・ロースト、極細挽き、6.5〜7g/杯であることが必要となる。
機械が専用である上に、これだけ守らなければならない数字があるので、常に美味く淹れられるかと言えば、そうではない。
なかでも、コーヒー豆の鮮度、温湿度に状態に応じた最適な挽き方、正確な重さ(0.1g単位!)と詰め方の均一さ、これらが甘いだけで味はすぐ変わってしまう。エスプレッソの基本は「極細挽き」なので、ドリップ用のコーヒー粉よりはるかに湿度の影響を受けやすく、繊細な感覚と経験による挽き方の微調整が重要。本場イタリアのバール(カフェ)で、それらのことに注意しながらエスプレッソをいれる人がバリスタ。イタリアでも名誉ある職とされている。
■エスプレッソマシンができること
エスプレッソマシンは手動式と全自動に分かれる。手動式は加圧抽出のみできると考えてもらえばよい。全自動は豆挽きから、タッピング、エスプレッソ抽出まで全て自動で行える。さらに全自動は、エスプレッソにつきもののフォームミルクを手動で作る製品と、それも自動でこなす製品に分かれる。
抽出しかできないエスプレッソマシンでも、ドリップ型のコーヒーメーカーより高額なのは「加圧能力」を持っているからだ。さらに自動型で価格が跳ね上がるのは、それぞれ細かな調整ができるためである。全自動はバリスタ同様の腕を持っていると考えてもらうと分かりやすい。ただし使いこなすには、ユーザーのコーヒーの知識が不可欠になる。
これはオーディオでいうと、音を出すだけなら機材を買いそろえれば良いが、きちんとした音を出すためには、機材同士の相性、設置方法、それをつなぐケーブルなどの知識を持っていないと機材が生きてこないのと同じこと。
今回は言及しないが、ミルクに関しては、バリスタの腕に匹敵する製品は数少ないことを付け加えておく。
■エスプレッソマシンの相棒
豆からエスプレッソを抽出しようと思っている人には、微調整の効く高性能なコーン式のグラインダーを買うことをお勧めする(ただし値が張る全自動エスプレッソ・マシンにはあらかじめグラインダーが付いているので不要)。エスプレッソマシンによる抽出能力の差は少ないので、こちらに金をつぎ込んだ方が良いという人もいる程だ。
自信が無い人は、カフェポッドから入るのがお勧め。実はカフェポッドは、エスプレッソを淹れる手間が面倒臭いことから考え出されたと聞く。カフェポッドを使うと、今までの自分の手間は何だったんだろうと思えるほど楽なのは事実。ヨーロッパでは、どのスーパーでも手に入れられるくらいポピュラー。日本では、ネット通販活用がお勧め。また少量で販売しているところも多く、味を試すのにも向いている。
■高価格だが、全自動はかなりお勧め
通常のエスプレッソマシンに対し、全自動エスプレッソマシンは正直お値段が張る。しかし、エスプレッソを本格的に飲みたい人には、全自動を是非勧めたい。
というのも、ユーザーを育てるマシンでもあるからだ。「全自動」というと機械任せのようだが、設定は自分でいろいろ変えられる。もちろん豆も変えられる。一つ一つを追い込むと自分の味を追求できる。それと共に、コーヒーの知識も増える。
それに、エスプレッソ(イタリア系)の基本は30cc。だいたい3口、5分位が基本だ。こうなると“丁寧”より、エスプレッソの名前通り、“手早く”が重要。全自動なら一度セットしてしまえば、その通りになる。
■使いこなすには?
使いこなすには、購入前にエスプレッソ・メーカーやカフェで行われているコーヒーセミナーを利用することが一番のお勧めだ。
1回あたり3,000〜5,000円の費用(豆の費用と、講師がバリスタなのでほぼ実費)が掛かるが、丁寧にポイントを教えてくれるうえ、実際に操作もできる。時間を考えるとコストパフォーマンスも良く、さらに時々お土産が付くことも多い。
あとは、カフェポッドを上手く使うこと。抽出は極めてイージーだが、味を次から次へと変えられるのがよい。飽きずに楽しめる。
■カプセル用エスプレッソマシン
楽にエスプレッソが飲めるという点では、カプセル用エスプレッソマシンも同じ。カプセルはメーカーごとの独自規格。ネスプレッソをはじめとして、イタリアのイリー、ビアレッティーなどもある。ただしカプセル用の難点は、カプセルラインナップに限定されること、そしてカプセル価格がそれなりにすること。
また、イタリアで知らない人はいないと言われるヒゲのおじさんのマークで有名なビアレッティーは、抽出源がカプセルだけでなく、カフェポッド、そしてコーヒー粉にも対応している。カプセルは6種類と少ないが、それぞれの地名のバールで出されるエスプレッソの味で、凝っている。
「ネスレのドルチェ・グストでもエスプレッソが抽出できるとのことだが、違いは?」という質問もあるかもしれない。
これには「出自が違う」と答えたい。ネスプレッソはエスプレッソから、ドルチェ・グストはドリップから来ている。その差である。特にミルクへのアプローチが違う。
エスプレッソにフォームミルクを入れたのがカプチーノである。エスプレッソ出自のネスプレッソは、フォームミルクへのアプローチを試みるのに対し、ドルチェ・グストはそうではない。エスプレッソが好きな人には、ネスプレッソをお勧めしたい。
■デザインで選択するのも可
もし、味を自分で作り上げることは追求せず、カフェポッドかカプセルで楽しみたい人は、デザインで選択するのも一つの手かも知れない。
エスプレッソマシンは加圧が加わったため、科学的と言うより蒸気機関的な、古き良き時代を感じさせる。それを基調に伝統的、プロ的、近未来的など違いはあっても、洗練されたデザインがエスプレッソ・マシンの魅力の1つ。好みのデザインで存分にエスプレッソを楽しむのもまた一興だ。
■最後に
全4回で、簡単にコーヒーメーカー選択のポイントに関して述べてきた。覚えることが多いのは嗜好品の常。先人たちの智恵と工夫の歴史だ。
オーディオもそうだが、嗜好品は「自分がどう感じるか」が一番重要。このため、この連載では系統だって説明させて頂いたが、どれが標準かは述べていない。当サイトの読者諸氏なら、好みの味はまだ明確でないにせよ、好きな方向はわかっていると信じるからだ。その好みの味を、家庭で味わう時の参考にして頂けたらと思う。
なお、本当はエスプレッソマシンでは、ミルクについても言及しなければならないのだが、今回はコーヒーに重点を置いたまとめにしてある。お許し頂きたい。
最後となる第4回目では、いま人気の高いエスプレッソマシンについて解説しよう。
■エスプレッソができたわけと、世界制覇したわけ
16世紀にヨーロッパに伝わり、広く飲まれるようになったコーヒー。しかし豆は生鮮食料品。不作だと値が張る上に、手に入れにくい。そんな時「加圧することによりコーヒーの成分を残らず出してやろう。そうすると豆が少なくても、美味いコーヒーが飲めるはず」と考えた人がいた。これがエスプレッソの始まりだ。
1901年にイタリアでエスプレッソマシンが開発され、1906年ミラノ万博でお披露目。待たずに飲めると言うことで大流行した。イタリアを中心に、ヨーロッパに普及。ヨーロッパでは美味い・早い・安い=イタリア料理なので、イタリアは今も、ヨーロッパにおけるエスプレッソの中心だ。
そして1980年代。アメリカにイタリア料理ブームが到来。エスプレッソはアメリカで少しだけ市民権を得た。その後、スターバックスがエスプレッソを中心としたメニューで全世界に広める。これがシアトル系と呼ばれる、もう1つのエスプレッソだ。
イタリア系と一番違うのは「量」。「食事は量が必要」とする典型的な「アメリカ文化」。このためかなり濃いエスプレッソ、具体的に言えば、焙煎をギリギリ(イタリアンより深い)まで深くした濃いエスプレッソに、ミルクを大量に入れて出す。これが主力商品の「ラテ」だ。これが世界中で飲まれ、コーヒーの基準となり、世界のコーヒー全体が濃い味になった。嗜好品の世界は、これほどにも曖昧な世界でもあるのだ。そのより戻しがハンド・ドリップである。
■ドリップと抽出方法、味以外で大きく違うところは?
私はイタリア系のエスプレッソ派なので、それを前提にして読んでほしい。
その1:必ず砂糖は入れる
ドリップはブラックで飲む人も多いと思うが、イタリアでブラックを飲む人は、まずいない。30ccのエスプレッソに砂糖を大さじ2杯入れる人もいるくらいだ。
その2:豆はブレンドが基本
エスプレッソの豆は、アラビカ種、ロブスタ種のブレンド比で示されることが多い。もちろんドリップ・コーヒーのようにアラビカ種100%もあるが、いろいろな産地の豆をブレンドするのが基本。内容は企業秘密だが、3種類などではなく10種に近いそうだ。
こうなると、ある国で豆が不作でも、全体の味を壊さずに済む。いろいろなシャトーの味を混ぜ合わせて作り、ワインが不作の時でも、味がキープされているシャンパンと同じ作り方。なお単一種の豆だけでエスプレッソを作ると、味が単純過ぎてコクが感じられない。
アラビカ種の風味を味わうならドリップがお勧めだ。ちなみに「モカ」「キリマンジャロ」などは、そのアラビカ種を作る産地名。農作物なので産地で味も変わるため、アラビカ種と呼ばずに産地名で呼ばれる。
■美味しいエスプレッソにまつわる数値
エスプレッソは専用マシンが必要なだけあって、抽出気圧:9気圧、抽出温度:90℃、抽出時間:20秒、抽出量:30cc、飲用温度:67℃が美味しいと、明確に数値化されている。
更に言えば、これを実現するのは、豆は焙煎度:6. フルシティ〜7. フレンチ・ロースト、極細挽き、6.5〜7g/杯であることが必要となる。
機械が専用である上に、これだけ守らなければならない数字があるので、常に美味く淹れられるかと言えば、そうではない。
なかでも、コーヒー豆の鮮度、温湿度に状態に応じた最適な挽き方、正確な重さ(0.1g単位!)と詰め方の均一さ、これらが甘いだけで味はすぐ変わってしまう。エスプレッソの基本は「極細挽き」なので、ドリップ用のコーヒー粉よりはるかに湿度の影響を受けやすく、繊細な感覚と経験による挽き方の微調整が重要。本場イタリアのバール(カフェ)で、それらのことに注意しながらエスプレッソをいれる人がバリスタ。イタリアでも名誉ある職とされている。
■エスプレッソマシンができること
エスプレッソマシンは手動式と全自動に分かれる。手動式は加圧抽出のみできると考えてもらえばよい。全自動は豆挽きから、タッピング、エスプレッソ抽出まで全て自動で行える。さらに全自動は、エスプレッソにつきもののフォームミルクを手動で作る製品と、それも自動でこなす製品に分かれる。
抽出しかできないエスプレッソマシンでも、ドリップ型のコーヒーメーカーより高額なのは「加圧能力」を持っているからだ。さらに自動型で価格が跳ね上がるのは、それぞれ細かな調整ができるためである。全自動はバリスタ同様の腕を持っていると考えてもらうと分かりやすい。ただし使いこなすには、ユーザーのコーヒーの知識が不可欠になる。
これはオーディオでいうと、音を出すだけなら機材を買いそろえれば良いが、きちんとした音を出すためには、機材同士の相性、設置方法、それをつなぐケーブルなどの知識を持っていないと機材が生きてこないのと同じこと。
今回は言及しないが、ミルクに関しては、バリスタの腕に匹敵する製品は数少ないことを付け加えておく。
■エスプレッソマシンの相棒
豆からエスプレッソを抽出しようと思っている人には、微調整の効く高性能なコーン式のグラインダーを買うことをお勧めする(ただし値が張る全自動エスプレッソ・マシンにはあらかじめグラインダーが付いているので不要)。エスプレッソマシンによる抽出能力の差は少ないので、こちらに金をつぎ込んだ方が良いという人もいる程だ。
自信が無い人は、カフェポッドから入るのがお勧め。実はカフェポッドは、エスプレッソを淹れる手間が面倒臭いことから考え出されたと聞く。カフェポッドを使うと、今までの自分の手間は何だったんだろうと思えるほど楽なのは事実。ヨーロッパでは、どのスーパーでも手に入れられるくらいポピュラー。日本では、ネット通販活用がお勧め。また少量で販売しているところも多く、味を試すのにも向いている。
■高価格だが、全自動はかなりお勧め
通常のエスプレッソマシンに対し、全自動エスプレッソマシンは正直お値段が張る。しかし、エスプレッソを本格的に飲みたい人には、全自動を是非勧めたい。
というのも、ユーザーを育てるマシンでもあるからだ。「全自動」というと機械任せのようだが、設定は自分でいろいろ変えられる。もちろん豆も変えられる。一つ一つを追い込むと自分の味を追求できる。それと共に、コーヒーの知識も増える。
それに、エスプレッソ(イタリア系)の基本は30cc。だいたい3口、5分位が基本だ。こうなると“丁寧”より、エスプレッソの名前通り、“手早く”が重要。全自動なら一度セットしてしまえば、その通りになる。
■使いこなすには?
使いこなすには、購入前にエスプレッソ・メーカーやカフェで行われているコーヒーセミナーを利用することが一番のお勧めだ。
1回あたり3,000〜5,000円の費用(豆の費用と、講師がバリスタなのでほぼ実費)が掛かるが、丁寧にポイントを教えてくれるうえ、実際に操作もできる。時間を考えるとコストパフォーマンスも良く、さらに時々お土産が付くことも多い。
あとは、カフェポッドを上手く使うこと。抽出は極めてイージーだが、味を次から次へと変えられるのがよい。飽きずに楽しめる。
■カプセル用エスプレッソマシン
楽にエスプレッソが飲めるという点では、カプセル用エスプレッソマシンも同じ。カプセルはメーカーごとの独自規格。ネスプレッソをはじめとして、イタリアのイリー、ビアレッティーなどもある。ただしカプセル用の難点は、カプセルラインナップに限定されること、そしてカプセル価格がそれなりにすること。
また、イタリアで知らない人はいないと言われるヒゲのおじさんのマークで有名なビアレッティーは、抽出源がカプセルだけでなく、カフェポッド、そしてコーヒー粉にも対応している。カプセルは6種類と少ないが、それぞれの地名のバールで出されるエスプレッソの味で、凝っている。
「ネスレのドルチェ・グストでもエスプレッソが抽出できるとのことだが、違いは?」という質問もあるかもしれない。
これには「出自が違う」と答えたい。ネスプレッソはエスプレッソから、ドルチェ・グストはドリップから来ている。その差である。特にミルクへのアプローチが違う。
エスプレッソにフォームミルクを入れたのがカプチーノである。エスプレッソ出自のネスプレッソは、フォームミルクへのアプローチを試みるのに対し、ドルチェ・グストはそうではない。エスプレッソが好きな人には、ネスプレッソをお勧めしたい。
■デザインで選択するのも可
もし、味を自分で作り上げることは追求せず、カフェポッドかカプセルで楽しみたい人は、デザインで選択するのも一つの手かも知れない。
エスプレッソマシンは加圧が加わったため、科学的と言うより蒸気機関的な、古き良き時代を感じさせる。それを基調に伝統的、プロ的、近未来的など違いはあっても、洗練されたデザインがエスプレッソ・マシンの魅力の1つ。好みのデザインで存分にエスプレッソを楽しむのもまた一興だ。
■最後に
全4回で、簡単にコーヒーメーカー選択のポイントに関して述べてきた。覚えることが多いのは嗜好品の常。先人たちの智恵と工夫の歴史だ。
オーディオもそうだが、嗜好品は「自分がどう感じるか」が一番重要。このため、この連載では系統だって説明させて頂いたが、どれが標準かは述べていない。当サイトの読者諸氏なら、好みの味はまだ明確でないにせよ、好きな方向はわかっていると信じるからだ。その好みの味を、家庭で味わう時の参考にして頂けたらと思う。
なお、本当はエスプレッソマシンでは、ミルクについても言及しなければならないのだが、今回はコーヒーに重点を置いたまとめにしてある。お許し頂きたい。