連続企画:日本コロムビアのハイレゾ音源レビュー
GIGA MUSIC独占先行配信!ジャッキー吉川とブルー・コメッツのハイレゾで、あの熱狂のステージを再び
「ブルー・シャトウ」など、ブルコメの代表曲が96kHz/24bitで甦る
それではハイレゾダウンロード配信を開始した「ドーナツ盤メモリー ジャッキー吉川とブルー・コメッツ」に収録の彼らの代表曲をCD用音源と比較しながら聴いてみよう。
トラック01「青い瞳」
ストリングスを使わない5人だけの演奏。ブルコメ本来のバンドサウンドが楽しめる曲だ。イントロのジャッキーのドラムソロ、特にスネアの重量感とキレがハイレゾは大躍進、シンバル強打の音場への散乱も効果的。三原綱木のギターのカッティングも重量感があってメタリックな鮮鋭感が迸る。小田啓義のオルガンのいい意味で野卑な色彩感、井上忠夫のサックスのオブリガートが野太くワイルドでロックンロールしている。
トラック02「マリナによせて」
スプートニクスらを連想させるエレキブーム時代らしいインスト&コーラスナンバー。オルガンとコーラスがユニゾンを奏でるが響きが渾然一体のCDに比べ、ハイレゾは音場の奥行きがあり両者が分離する。ハイレゾはベースラインが鮮明で音に芯があり音程による音圧のムラがなく、指使いが見えてくる。中心楽器は井上忠夫のサックスだが、響きがやや拡散気味のCDに比べハイレゾは定位が安定し、吹きまくる若き日の「大ちゃん」がくっきり描き出され涙、涙。
トラック03「青い渚」
高橋健二の下降音階のベースの響きと輪郭がCDはやや濁っているのに対し、ハイレゾは解像度が高く澄んだ響きの奥に芯を感じさせる。CDから帯域の拡大が一聴瞭然。中央定位のジャッキーのドラムがハイレゾはやや奥まって重厚に定位、ベースとのセンターラインが鮮明に。ボーカルのユニゾン→ハーモニーの分離がハイレゾはきれいに解れて心地よく、これぞブルコメだ。演奏はオルガン中心だが、口笛やクリアトーンのギターといったアクセントがハイレゾは音場にくっきり浮き上がって美しい。ブルコメというバンドが5人の限られた演奏者で最大限変化に富んだ音色を出すことにチャレンジしていたことがハイレゾで分かる。
トラック05「ブルー・シャトウ」
CD44.1kHzも低音効果豊かだがハイレゾで帯域が拡張され、ベースやドラムスといった低音楽器の刻むリズムがさらに下方へ拡張、地響きのような凄いバンドサウンドだ。当時AMラジオやテレビ、モジュラーステレオで聴いていた人、そしてカラオケでしかこの曲を知らない人は、このハイレゾファイルを現代のそれなりのスピーカーシステムで聴いてほしい。目から鱗を筆者が保証する。ブルコメが(心ならずも?)歌謡曲を演奏していてもその正体は紛れもないロックバンドだったことが分かる。センターライン重視は現代のロックに通じるスタイル。ドラマーがバンマスだっただけある。
トラック07「マリアの泉」
ブルコメ5人の演奏に加え、ブラスとストリングスを被せている。アナログ多重の歪、ノイズがハイレゾリマスターで改善され奥行きのある音楽空間が生まれた。この曲も帯域が拡張し、やや右に定位するベースの低音効果が躍進。彼らのCIのボーカルのハーモニーに水平方向の広がりが生まれ、分離感が高まりブルコメらしさ炸裂のハイレゾリマスターだ。
トラック08「白い恋人」
フランシス・レイの同名曲とは無関係。トラック06のB面曲で、コード進行と和声感覚、オルガンの単音連打、管楽器の使い方がザ・ビーチ・ボーイズ(「ペット・サウンズ」「スマイル」)を彷彿させる異色のバラード曲。歪み、ノイズがハイレゾリマスターでも取り切れなかったようでやや粗い音質だが、作編曲とも見事でブルコメが本物のプロ音楽家だったことが如実に分かる。ハイレゾ化で音場の奥行きが一気に増し、彫りの深いファンタスティックな音空間が曲のテーマと一致。1967年の発表から40年弱、楽曲と演奏の真価が初めて発揮された。
トラック09「北国の二人」
トラック05に次ぐヒット曲だが、ブルコメ5人だけの演奏でストリングス、ブラス無し。ジャッキーのビッグサウンドドラム、高橋の太い音色のべースをセンターラインに、ブルコメらしい厚みのある演奏。だが、ハイレゾは音場の見通しがよくいい意味でスペース「疎」があり、バンドサウンドが楽しめる。ボーカルコーラスの広がりが増し、三原綱木の量感豊かなエレキギターがハイレゾで響きの分解能を増し実在感、立体感を増した。
◇ ◇
当時のGSバンドは、日劇ウエスタンカーニバルを頂点に京阪のライブハウス(当時はジャズ喫茶といった)を中心に一年中凄い数のライブをこなしていた。だからレコードに聴き劣りしないように、ステージでの楽曲の再現性を第一に考えなくてはいけなかった。音の厚みが出るようにツインギタープラスキーボード(当時はハモンドオルガンかエレクトーン)が編成の基本。ブルコメの場合、井上忠夫のサックスやフルートといった管楽器を加え音色を増やす編曲が他のGSにない特徴だった。
オーバープロデュース気味の曲(トラック05など)でもハイレゾの解像力が物を言い、万人向きに耳当たりよくストリングスやブラスを重ね着した録音の向こうの、ブルコメの意欲漲るダイナミックなバンドサウンドを聴き取ることができた。極端な言い方をすると、ハイレゾのブルコメは本物のロック。日劇ウエスタンカーニバルや新宿ACBで彼らが繰り広げた熱狂のステージがハイレゾリマスターで50年の時の彼方からありありと甦る。
<試聴時の使用装置>
DAコンバーター:ヤマハ「CD-S3000」のUSB入力を使用
プリアンプ:アキュフェーズ「C-2820」
パワーアンプ:ソニー「TA-NR10」2台
スピーカーシステム:B&W「802Diamond」
スピーカーケーブル:SUPRA「Sword」
USBケーブル:クリプトン「UC-HR」
それではハイレゾダウンロード配信を開始した「ドーナツ盤メモリー ジャッキー吉川とブルー・コメッツ」に収録の彼らの代表曲をCD用音源と比較しながら聴いてみよう。
トラック01「青い瞳」
ストリングスを使わない5人だけの演奏。ブルコメ本来のバンドサウンドが楽しめる曲だ。イントロのジャッキーのドラムソロ、特にスネアの重量感とキレがハイレゾは大躍進、シンバル強打の音場への散乱も効果的。三原綱木のギターのカッティングも重量感があってメタリックな鮮鋭感が迸る。小田啓義のオルガンのいい意味で野卑な色彩感、井上忠夫のサックスのオブリガートが野太くワイルドでロックンロールしている。
トラック02「マリナによせて」
スプートニクスらを連想させるエレキブーム時代らしいインスト&コーラスナンバー。オルガンとコーラスがユニゾンを奏でるが響きが渾然一体のCDに比べ、ハイレゾは音場の奥行きがあり両者が分離する。ハイレゾはベースラインが鮮明で音に芯があり音程による音圧のムラがなく、指使いが見えてくる。中心楽器は井上忠夫のサックスだが、響きがやや拡散気味のCDに比べハイレゾは定位が安定し、吹きまくる若き日の「大ちゃん」がくっきり描き出され涙、涙。
トラック03「青い渚」
高橋健二の下降音階のベースの響きと輪郭がCDはやや濁っているのに対し、ハイレゾは解像度が高く澄んだ響きの奥に芯を感じさせる。CDから帯域の拡大が一聴瞭然。中央定位のジャッキーのドラムがハイレゾはやや奥まって重厚に定位、ベースとのセンターラインが鮮明に。ボーカルのユニゾン→ハーモニーの分離がハイレゾはきれいに解れて心地よく、これぞブルコメだ。演奏はオルガン中心だが、口笛やクリアトーンのギターといったアクセントがハイレゾは音場にくっきり浮き上がって美しい。ブルコメというバンドが5人の限られた演奏者で最大限変化に富んだ音色を出すことにチャレンジしていたことがハイレゾで分かる。
トラック05「ブルー・シャトウ」
CD44.1kHzも低音効果豊かだがハイレゾで帯域が拡張され、ベースやドラムスといった低音楽器の刻むリズムがさらに下方へ拡張、地響きのような凄いバンドサウンドだ。当時AMラジオやテレビ、モジュラーステレオで聴いていた人、そしてカラオケでしかこの曲を知らない人は、このハイレゾファイルを現代のそれなりのスピーカーシステムで聴いてほしい。目から鱗を筆者が保証する。ブルコメが(心ならずも?)歌謡曲を演奏していてもその正体は紛れもないロックバンドだったことが分かる。センターライン重視は現代のロックに通じるスタイル。ドラマーがバンマスだっただけある。
トラック07「マリアの泉」
ブルコメ5人の演奏に加え、ブラスとストリングスを被せている。アナログ多重の歪、ノイズがハイレゾリマスターで改善され奥行きのある音楽空間が生まれた。この曲も帯域が拡張し、やや右に定位するベースの低音効果が躍進。彼らのCIのボーカルのハーモニーに水平方向の広がりが生まれ、分離感が高まりブルコメらしさ炸裂のハイレゾリマスターだ。
トラック08「白い恋人」
フランシス・レイの同名曲とは無関係。トラック06のB面曲で、コード進行と和声感覚、オルガンの単音連打、管楽器の使い方がザ・ビーチ・ボーイズ(「ペット・サウンズ」「スマイル」)を彷彿させる異色のバラード曲。歪み、ノイズがハイレゾリマスターでも取り切れなかったようでやや粗い音質だが、作編曲とも見事でブルコメが本物のプロ音楽家だったことが如実に分かる。ハイレゾ化で音場の奥行きが一気に増し、彫りの深いファンタスティックな音空間が曲のテーマと一致。1967年の発表から40年弱、楽曲と演奏の真価が初めて発揮された。
トラック09「北国の二人」
トラック05に次ぐヒット曲だが、ブルコメ5人だけの演奏でストリングス、ブラス無し。ジャッキーのビッグサウンドドラム、高橋の太い音色のべースをセンターラインに、ブルコメらしい厚みのある演奏。だが、ハイレゾは音場の見通しがよくいい意味でスペース「疎」があり、バンドサウンドが楽しめる。ボーカルコーラスの広がりが増し、三原綱木の量感豊かなエレキギターがハイレゾで響きの分解能を増し実在感、立体感を増した。
当時のGSバンドは、日劇ウエスタンカーニバルを頂点に京阪のライブハウス(当時はジャズ喫茶といった)を中心に一年中凄い数のライブをこなしていた。だからレコードに聴き劣りしないように、ステージでの楽曲の再現性を第一に考えなくてはいけなかった。音の厚みが出るようにツインギタープラスキーボード(当時はハモンドオルガンかエレクトーン)が編成の基本。ブルコメの場合、井上忠夫のサックスやフルートといった管楽器を加え音色を増やす編曲が他のGSにない特徴だった。
オーバープロデュース気味の曲(トラック05など)でもハイレゾの解像力が物を言い、万人向きに耳当たりよくストリングスやブラスを重ね着した録音の向こうの、ブルコメの意欲漲るダイナミックなバンドサウンドを聴き取ることができた。極端な言い方をすると、ハイレゾのブルコメは本物のロック。日劇ウエスタンカーニバルや新宿ACBで彼らが繰り広げた熱狂のステージがハイレゾリマスターで50年の時の彼方からありありと甦る。
<試聴時の使用装置>
DAコンバーター:ヤマハ「CD-S3000」のUSB入力を使用
プリアンプ:アキュフェーズ「C-2820」
パワーアンプ:ソニー「TA-NR10」2台
スピーカーシステム:B&W「802Diamond」
スピーカーケーブル:SUPRA「Sword」
USBケーブル:クリプトン「UC-HR」