「0円運用」を実践
スマホは「ほぼ0円」でどれだけ使える?楽天モバイル/povo 2.0を2ヶ月試した結果
筆者はここ2か月、スマホを通話し放題かつデータ通信し放題でありながら、タダで使っている。もちろん、かなりの制約はあるが、誰でも実行することは可能だ。
まずネタばらしをしてしまうと、auのネット専用ブランド「povo 2.0」と「楽天モバイル」を組み合わせることで、キャンペーンや割引などと関係なく、ほぼ無料で運用ができてしまう。
念を押しておくと、「ただほど高いものはない」という言葉があるが、この無料運用はそれに近い。とにかくインターネットの速度が遅いのだ。電話についてはストレスがないが、ネットの速度がもっさりとしている。快適なインターネットを求める方には、全くおすすめできない。
一方で、使い方さえ気をつければ、無料の使い方であっても、それなりに利用できる。そこで本記事では、無料運用の仕組みを説明しつつ、「どこまで使えるの?」ということをお伝えしたい。
■auのネット専用プラン「povo 2.0」
まず、povo2.0について軽く触れておく。こちらは先述の通り、auが提供するインターネット専用の通信プラン。競合としては、docomoの「ahamo」やソフトバンクの「LINEMO」がそれにあたる。
povo2.0が他社と大きく異なるのが、データ容量が毎月固定ではなく、 “トッピング” として柔軟に選べるということ。具体的には、1GB(7日間)、3GB(30日間)、60GB(90日間)など、6種類のパターンが用意されていて、ユーザー個人の使い方によって選べる。また、通話のかけ放題もトッピングとして追加できる。
基本料金が存在しないため、「何もトッピングしなければ料金がかからない」という裏技がある。つまり、無料で利用可能だ。速度は通信制限時と同じ、最大128kbpsに制限されるものの、この場合のデータ容量は無制限となる。
なお、「180日間有料トッピングの購入がなければ解約になる」という条件があるため、全くの無料ではない点だけは付け加えておく。データ通信への課金であれば何でも良いので、330円(以下、税込表記)の一日データ使い放題でも問題ない。1ヶ月あたりにすると約53円だ(本稿では、ユニバーサルサービス料については考慮しないこととする)。
■1GBまで無料&通話し放題の楽天モバイル
楽天モバイルの料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VI」は、使うごとに料金が上がっていく仕組みとなっている。1GBまでは0円、3GBまでは1,078円、20GBまでは2,178円、それ以上はどれだけ使っても3,278円だ。
また、「Rakuten Link」というアプリから電話をかけることで、どれだけ電話をしても料金がかからないというメリットもある。つまり1GB以内に通信量をおさえることができれば、無料で電話かけ放題で利用できる。
とはいえ、毎月1GB以内に抑えるべく、冷や汗をかきながら使うのも精神衛生上よろしくない。そこで記者が導入したのが、上述の「povo 2.0」というわけだ。つまり1台のスマホに2つの回線を契約して、データ通信はpovo2.0、通話は楽天モバイルという分担にしている。
スマートフォンで通信をするためには「SIM」というICカードが必要なわけだが、これを2枚させるモデルや、SIMを電子化したeSIMを搭載している「デュアルSIM/デュアルスタンバイ(DSDS)」対応モデルの場合、端末の対応周波数帯(バンド)さえ問題なければ、1つの端末で2つの回線を同時に利用できる。
特にeSIMは対応モデルが近年増えていて、たとえばXR以降のiPhoneシリーズや、Pixel 4以降のPixelシリーズなども搭載している。対応しているかは事前に調べる必要があるが、もし対応していれば、楽天モバイル/povo 2.0の片方を物理SIM、もう片方をeSIMで契約すれば問題ない。
■“0円運用”でどれだけ使える?
さて、実際に使用している感想だが、「ページを開いたら席を離れて、少し経って戻ったら表示されている」というような、インターネット黎明期のような感覚というべきだろうか。
それもそのはず。かつてのダイヤルアップ接続は下り最大約56kbpsだったことを考えると、128kbpsは今の時代に物足りない。なお、実測での速度をfast.comで計測すると、下りが40kbps前後だったので、ほぼダイヤルアップ接続と同じといっていいかもしれない。
かといって、全く使えないかというと、そうでもない。むしろ、一部では思ったよりも快適に使えるというのが印象だ。たとえばGoogle検索では数秒待つものの、普通に調べられるし、iOSのメールアプリではあまりストレスなくメールを受信できる。
困るのはその後で、検索サイトからウェブサイトに行こうとすると、数十秒待たされることが多いし、メールに画像が添付されていると、いっこうに表示されない。テキストのような軽いデータであれば、それほど不自由は感じないが、画像のような重いデータだと、かなりストレスを感じる。正直、実用的かというとノーだ。
この使い方をしていてあまりストレスがなかったのは、LINEによる知人とのコミュニケーションだ。テキストはもちろん、スタンプも軽いのか、スムーズに送受信できる。
送られてきた画像についても、トーク画面のサムネイル表示は圧縮されていて、こちらもすぐに表示される。とはいえ、画像をクリックすると30秒から1分くらいは待たされるし、画像を送るにも30秒くらいは待つ必要はある。だが、それさえ我慢すればあまり困らない。
また、意外と使えたのがSpotifyでの音楽再生。データ節約モードをオンにしたところ、再生開始まで数十秒から数分待たされるものの、その後は途切れることなく、会社から最寄り駅まで帰ってこられた。通勤ラッシュでは頻繁に途切れる日もあるが、思ったよりも快適だ。なおデータ使用量は、60分間聴いても30MBくらいで済んでいた。
◇
0円でスマートフォンを使うことは可能だが、やはりスマートフォンの快適さは、インターネットの速度が大きいということが試してわかった。アプリやサービスによっては快適に使えるものの、全てがそうであるわけではなく、やはり困るアプリも少なくない。
たとえば、PayPayでバーコード決済するにも、バーコードが表示されるまでに時間がかかるし、チャージにはもっと時間がかかる。また、地図もなかなか表示されない。これでは、様々なアプリが使えるという、スマートフォンのメリットが活かせなくなってしまう。
記者としては面白いのでしばらく試してみようと思うが、やはり万人には勧めづらいというのが結論だ。逆に「インターネットに繋がっていれさえすればいい」という方には、LINEでメッセージを送るくらいの最低限は使えるので、この方法が活用できるかもしれない。
せっかく便利なスマートフォンを使うのであれば、povo 2.0でトッピングを購入するなど、料金を払って快適に使いたいところ。また、楽天モバイルも3GBしか使わなければ、通話し放題でも1,078円なので、これでも十分に安く使える。今は多くの料金プランが各社から展開されているので、それぞれにあったプランを選びたい。
まずネタばらしをしてしまうと、auのネット専用ブランド「povo 2.0」と「楽天モバイル」を組み合わせることで、キャンペーンや割引などと関係なく、ほぼ無料で運用ができてしまう。
念を押しておくと、「ただほど高いものはない」という言葉があるが、この無料運用はそれに近い。とにかくインターネットの速度が遅いのだ。電話についてはストレスがないが、ネットの速度がもっさりとしている。快適なインターネットを求める方には、全くおすすめできない。
一方で、使い方さえ気をつければ、無料の使い方であっても、それなりに利用できる。そこで本記事では、無料運用の仕組みを説明しつつ、「どこまで使えるの?」ということをお伝えしたい。
■auのネット専用プラン「povo 2.0」
まず、povo2.0について軽く触れておく。こちらは先述の通り、auが提供するインターネット専用の通信プラン。競合としては、docomoの「ahamo」やソフトバンクの「LINEMO」がそれにあたる。
povo2.0が他社と大きく異なるのが、データ容量が毎月固定ではなく、 “トッピング” として柔軟に選べるということ。具体的には、1GB(7日間)、3GB(30日間)、60GB(90日間)など、6種類のパターンが用意されていて、ユーザー個人の使い方によって選べる。また、通話のかけ放題もトッピングとして追加できる。
基本料金が存在しないため、「何もトッピングしなければ料金がかからない」という裏技がある。つまり、無料で利用可能だ。速度は通信制限時と同じ、最大128kbpsに制限されるものの、この場合のデータ容量は無制限となる。
なお、「180日間有料トッピングの購入がなければ解約になる」という条件があるため、全くの無料ではない点だけは付け加えておく。データ通信への課金であれば何でも良いので、330円(以下、税込表記)の一日データ使い放題でも問題ない。1ヶ月あたりにすると約53円だ(本稿では、ユニバーサルサービス料については考慮しないこととする)。
■1GBまで無料&通話し放題の楽天モバイル
楽天モバイルの料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VI」は、使うごとに料金が上がっていく仕組みとなっている。1GBまでは0円、3GBまでは1,078円、20GBまでは2,178円、それ以上はどれだけ使っても3,278円だ。
また、「Rakuten Link」というアプリから電話をかけることで、どれだけ電話をしても料金がかからないというメリットもある。つまり1GB以内に通信量をおさえることができれば、無料で電話かけ放題で利用できる。
とはいえ、毎月1GB以内に抑えるべく、冷や汗をかきながら使うのも精神衛生上よろしくない。そこで記者が導入したのが、上述の「povo 2.0」というわけだ。つまり1台のスマホに2つの回線を契約して、データ通信はpovo2.0、通話は楽天モバイルという分担にしている。
スマートフォンで通信をするためには「SIM」というICカードが必要なわけだが、これを2枚させるモデルや、SIMを電子化したeSIMを搭載している「デュアルSIM/デュアルスタンバイ(DSDS)」対応モデルの場合、端末の対応周波数帯(バンド)さえ問題なければ、1つの端末で2つの回線を同時に利用できる。
特にeSIMは対応モデルが近年増えていて、たとえばXR以降のiPhoneシリーズや、Pixel 4以降のPixelシリーズなども搭載している。対応しているかは事前に調べる必要があるが、もし対応していれば、楽天モバイル/povo 2.0の片方を物理SIM、もう片方をeSIMで契約すれば問題ない。
■“0円運用”でどれだけ使える?
さて、実際に使用している感想だが、「ページを開いたら席を離れて、少し経って戻ったら表示されている」というような、インターネット黎明期のような感覚というべきだろうか。
それもそのはず。かつてのダイヤルアップ接続は下り最大約56kbpsだったことを考えると、128kbpsは今の時代に物足りない。なお、実測での速度をfast.comで計測すると、下りが40kbps前後だったので、ほぼダイヤルアップ接続と同じといっていいかもしれない。
かといって、全く使えないかというと、そうでもない。むしろ、一部では思ったよりも快適に使えるというのが印象だ。たとえばGoogle検索では数秒待つものの、普通に調べられるし、iOSのメールアプリではあまりストレスなくメールを受信できる。
困るのはその後で、検索サイトからウェブサイトに行こうとすると、数十秒待たされることが多いし、メールに画像が添付されていると、いっこうに表示されない。テキストのような軽いデータであれば、それほど不自由は感じないが、画像のような重いデータだと、かなりストレスを感じる。正直、実用的かというとノーだ。
この使い方をしていてあまりストレスがなかったのは、LINEによる知人とのコミュニケーションだ。テキストはもちろん、スタンプも軽いのか、スムーズに送受信できる。
送られてきた画像についても、トーク画面のサムネイル表示は圧縮されていて、こちらもすぐに表示される。とはいえ、画像をクリックすると30秒から1分くらいは待たされるし、画像を送るにも30秒くらいは待つ必要はある。だが、それさえ我慢すればあまり困らない。
また、意外と使えたのがSpotifyでの音楽再生。データ節約モードをオンにしたところ、再生開始まで数十秒から数分待たされるものの、その後は途切れることなく、会社から最寄り駅まで帰ってこられた。通勤ラッシュでは頻繁に途切れる日もあるが、思ったよりも快適だ。なおデータ使用量は、60分間聴いても30MBくらいで済んでいた。
0円でスマートフォンを使うことは可能だが、やはりスマートフォンの快適さは、インターネットの速度が大きいということが試してわかった。アプリやサービスによっては快適に使えるものの、全てがそうであるわけではなく、やはり困るアプリも少なくない。
たとえば、PayPayでバーコード決済するにも、バーコードが表示されるまでに時間がかかるし、チャージにはもっと時間がかかる。また、地図もなかなか表示されない。これでは、様々なアプリが使えるという、スマートフォンのメリットが活かせなくなってしまう。
記者としては面白いのでしばらく試してみようと思うが、やはり万人には勧めづらいというのが結論だ。逆に「インターネットに繋がっていれさえすればいい」という方には、LINEでメッセージを送るくらいの最低限は使えるので、この方法が活用できるかもしれない。
せっかく便利なスマートフォンを使うのであれば、povo 2.0でトッピングを購入するなど、料金を払って快適に使いたいところ。また、楽天モバイルも3GBしか使わなければ、通話し放題でも1,078円なので、これでも十分に安く使える。今は多くの料金プランが各社から展開されているので、それぞれにあったプランを選びたい。