触って初めて分かった強み
Apple Watch SEでスマートウォッチデビュー、1ヶ月使っての感想は「もう手放せない」
Appleのスマートウォッチエントリーモデル「Apple Watch SE (第2世代)GPSモデル」を、発売から少し経った11月に購入した。記者にとってはこれが “スマートウォッチデビュー” になる。
現時点で着用をはじめてから1ヶ月が過ぎたが、あるシチュエーションにおいては、「もう、手放せない…」と、惚れ込むに至った。ということで、どういった点を魅力に感じたのか、スマートウォッチビギナーによるApple Watch SE (第2世代)の使用レポートをお届けしたい。
スマートフォン、いや携帯電話が普及して以来、腕時計を巻かずに「携帯(スマホ)で時間を確認する」というスタイルが一般的になった。記者も社会人1年生の頃は腕時計を巻いていたが、そのうち時間表示の正確さや、アナログな文字盤の視認性などから、気付けば携帯で時間を確認するようになっていた。
そんな記者が、Apple Watch SEを着用してまずメリットに感じたのは、「手首を上げると時間がわかる」ということ。スマートウォッチの基本機能にも満たない、腕時計としてのシンプルな利便性だ。ガジェットレビュー的な切り口でApple Watchを紹介する際には、書かれることもないインプレッションだろう。
しかし、本稿はあくまで “スマートウォッチデビュー” 記。腕時計の起源は19世紀に遡るそうだが、「ポケットからスマホを取り出さずに、腕を見ると正確な時間を確認できる!」という、コペルニクス的転回めいた感動もしっかりと記録しておきたい。
さて、冒頭のとおり「もう、手放せない…」と思うほどに、Apple Watch SEを気に入った最大の理由は、7月から週1 - 2回ペースで行っているランニング時の使用感だ。
これまでは、GPS計測用のiPhone SE(第2世代)に、楽曲再生用のポータブルオーディオプレーヤー(再生は骨伝導イヤホン)、帰り際にドリンクを買うための小銭をウエストポーチに入れてランニングに繰り出していたが、これら全てがApple Watch SEに集約される。
帰り道の水分補給は、小銭を持たずともApple Watch SEのモバイルSuica決済で購入できる。オーディオプレーヤーに関してはそもそもiPhoneでも代用できるのだが、iPhone上のプレイリストを飛ばすことで、Apple Watch SE単体でオフライン楽曲再生が可能となる。 Apple Watch SEと骨伝導イヤホンだけで走りに行けるという利便性を覚えてしまったからには、もう手放すことはできない。ありがとうApple Watch SE。
また、ランニングのサポート機能も充実している。Apple Watch SE(第2世代)や、Series 8、Ultraなどと同時期にリリースされた「WatchOS 9」でワークアウトアプリが強化され、身体の負荷をリアルタイムでモニタリングできる「心拍ゾーン」の表示に対応。具体な数値をランニング中にチェックすることで、ペース配分を考えながら走ることができる。
記者はこれまで、iPhoneでランニングアプリ「Nike Run Club」(以下NRC)を使っていたが、NRCはApple Watch SEに対応しているので、これまで積み重ねてきたレコードを捨てることなくランニングデータ同期も行えた。機種を乗り換えても継続的に記録をつけることができるのは、モチベーション維持にも繋がる嬉しいポイントだった。
Apple Watch SEを装着してランニングを始めると、「GPS精度」が気にかかった。これまでランニングの際に使用していたiPhone SE(第2世代)で計測していた時よりも、気持ち手前で設定距離のゴールを迎えたのだ。4ヶ月間同じコースを走り続けていたのもあって、やや違和感を覚えた。
両モデルでGPSの仕様は異なるだろうから、多少の差は出るのかもしれないが、実際にどの程度のものなのか。試しに、iPhone SE(第2世代)をBluetooth通信を切った状態でウエストポーチにいれ、Apple Watchとは別にランニング距離を計測してみたところ、iPhone SE(第2世代)で起動したNRCアプリでは「10km」、Apple Watchでは「10.03km」をカウントした。約30mと本当に気持ち程度の差だ。とはいえ記録に挑戦するシリアスランナーであれば、より高精度な位置測定機能を備えたApple Watch Ultraを検討するのも良いかもしれない。
そもそもApple Watch SEを購入する前に、記者がスマートウォッチを強く意識していたシチュエーションの一つが、上映中の映画館だ。上映中の画面点灯には「そういう仕様なら上映中はカバンにしまったらいいのに」と思ったし、劇場での鑑賞体験に水を差されることが幾度もあった。検証を交えたイオンシネマによる鑑賞マナー動画の存在も記憶に新しい。
しかし、スマートウォッチのユーザーとなったからには、今度はこちらが周りの鑑賞客に気を使う側になるということ。暗い劇場空間で液晶画面をチラチラさせないためにはどうしたら良いのか?
ちょっとネットで調べたところ、2017年から提供された「watchOS 3.2」以降に実装される “シアターモード” で回避できることがすぐにわかった。本機能をオンにすると、手首を上げる動作をしても画面が点灯せず、ディスプレイのタッチ、デジタルクラウンの操作といった、スマートウォッチに直接触れる動作を行わない限り、消灯したままになるというものだ。
実際に試してみようと、Apple Watch SEを着用してすぐの11月2日、2012年の劇場公開から10周年を迎え、10日間のリバイバル上映を実施していたアニメ映画『花の詩女 ゴティックメード』をTOHOシネマズ上野にて鑑賞。漫画『ファイブスター物語』などで知られるメカニックデザイナー・永野護自らが監督し、こだわりの作画表現や、劇場で鳴らすことで真価を発揮する音響設計などから、未だにディスク化・配信が行われていないアニメ作品だ。
記者自身同作の鑑賞はこれで3回目となるのだが、先述の理由から、劇場に座っている方々は言わば “全員本気” だ。そんな状況でApple Watchの画面をチラつかせてしまったらもう最期である。
何事も初めては不安であるが、この難局も無事 “シアターモード” が機能することでどうにか乗り切ることができた。今後慣れてくると「設定し忘れる」ということも有りそうなので、しっかりと意識しておきたい。
ちなみに、スマートウォッチ以外にも言えることだが、昨今のガジェットは紙でユーザーマニュアルが用意されないことが多い。使いながら操作や機能を学んでいくこともできなくはないが、ネットで検索すればさまざまな機能や使いこなしについてある程度把握できるのは、ユーザーシェアの多いApple Watchの強みともいえる。これもApple Watch SEをスマートウォッチデビュー機とするのには、大きなアドバンテージかもしれない。
ここまで、記者視点でのApple Watch SE導入によるメリットをレポートしてきたが、Apple Watchに求められるニーズの大部分は「手元のiPhone」との連携だろう。
iPhoneを鞄などから取り出さずに、SMSやLINEのメッセージを確認できる「通知」機能や、iPhoneで再生している動画や音楽をApple Watchでもコントロールできるという機能なども、一般的な利用シーンでは非常に便利だ。
あくまで記者の場合だが、もともとiPhoneの通知範囲を狭めていたりしたこともあり、このあたりの機能にはそこまで大きなメリットは感じられなかった。iPhoneとの連携をそこまで重視しないのであればApple Watchでなくてもいいかもしれないが、エントリーとしてApple Watchというシリーズに安心感があったのも事実。iPhoneユーザーだからか、UIもスッと受け入れられた。
それに、まだまだ機能の全容を把握しきれていないのは確か。これから気付くApple Watchならではのアドバンテージが、もっとあるかもしれない。そしてそんな状態でも、使ってみると便利極まりない。
記者が導入したApple Watch SEは、Apple Watchシリーズの中でもお手頃なモデルだ。Amazonのビッグセールや、各家電メーカーのセールでも割引対象になることも多いので、そんなタイミングに合わせて、ぜひとも気軽にスマートウォッチデビューをしてみてはいかがだろうか?
現時点で着用をはじめてから1ヶ月が過ぎたが、あるシチュエーションにおいては、「もう、手放せない…」と、惚れ込むに至った。ということで、どういった点を魅力に感じたのか、スマートウォッチビギナーによるApple Watch SE (第2世代)の使用レポートをお届けしたい。
■ランニングのスマート化は絶大!Apple Watchなしにはもう戻れない
スマートフォン、いや携帯電話が普及して以来、腕時計を巻かずに「携帯(スマホ)で時間を確認する」というスタイルが一般的になった。記者も社会人1年生の頃は腕時計を巻いていたが、そのうち時間表示の正確さや、アナログな文字盤の視認性などから、気付けば携帯で時間を確認するようになっていた。
そんな記者が、Apple Watch SEを着用してまずメリットに感じたのは、「手首を上げると時間がわかる」ということ。スマートウォッチの基本機能にも満たない、腕時計としてのシンプルな利便性だ。ガジェットレビュー的な切り口でApple Watchを紹介する際には、書かれることもないインプレッションだろう。
しかし、本稿はあくまで “スマートウォッチデビュー” 記。腕時計の起源は19世紀に遡るそうだが、「ポケットからスマホを取り出さずに、腕を見ると正確な時間を確認できる!」という、コペルニクス的転回めいた感動もしっかりと記録しておきたい。
さて、冒頭のとおり「もう、手放せない…」と思うほどに、Apple Watch SEを気に入った最大の理由は、7月から週1 - 2回ペースで行っているランニング時の使用感だ。
これまでは、GPS計測用のiPhone SE(第2世代)に、楽曲再生用のポータブルオーディオプレーヤー(再生は骨伝導イヤホン)、帰り際にドリンクを買うための小銭をウエストポーチに入れてランニングに繰り出していたが、これら全てがApple Watch SEに集約される。
帰り道の水分補給は、小銭を持たずともApple Watch SEのモバイルSuica決済で購入できる。オーディオプレーヤーに関してはそもそもiPhoneでも代用できるのだが、iPhone上のプレイリストを飛ばすことで、Apple Watch SE単体でオフライン楽曲再生が可能となる。 Apple Watch SEと骨伝導イヤホンだけで走りに行けるという利便性を覚えてしまったからには、もう手放すことはできない。ありがとうApple Watch SE。
また、ランニングのサポート機能も充実している。Apple Watch SE(第2世代)や、Series 8、Ultraなどと同時期にリリースされた「WatchOS 9」でワークアウトアプリが強化され、身体の負荷をリアルタイムでモニタリングできる「心拍ゾーン」の表示に対応。具体な数値をランニング中にチェックすることで、ペース配分を考えながら走ることができる。
記者はこれまで、iPhoneでランニングアプリ「Nike Run Club」(以下NRC)を使っていたが、NRCはApple Watch SEに対応しているので、これまで積み重ねてきたレコードを捨てることなくランニングデータ同期も行えた。機種を乗り換えても継続的に記録をつけることができるのは、モチベーション維持にも繋がる嬉しいポイントだった。
Apple Watch SEを装着してランニングを始めると、「GPS精度」が気にかかった。これまでランニングの際に使用していたiPhone SE(第2世代)で計測していた時よりも、気持ち手前で設定距離のゴールを迎えたのだ。4ヶ月間同じコースを走り続けていたのもあって、やや違和感を覚えた。
両モデルでGPSの仕様は異なるだろうから、多少の差は出るのかもしれないが、実際にどの程度のものなのか。試しに、iPhone SE(第2世代)をBluetooth通信を切った状態でウエストポーチにいれ、Apple Watchとは別にランニング距離を計測してみたところ、iPhone SE(第2世代)で起動したNRCアプリでは「10km」、Apple Watchでは「10.03km」をカウントした。約30mと本当に気持ち程度の差だ。とはいえ記録に挑戦するシリアスランナーであれば、より高精度な位置測定機能を備えたApple Watch Ultraを検討するのも良いかもしれない。
■映画ファンとして気になる「上映中の画面のチラつき」は大丈夫?
そもそもApple Watch SEを購入する前に、記者がスマートウォッチを強く意識していたシチュエーションの一つが、上映中の映画館だ。上映中の画面点灯には「そういう仕様なら上映中はカバンにしまったらいいのに」と思ったし、劇場での鑑賞体験に水を差されることが幾度もあった。検証を交えたイオンシネマによる鑑賞マナー動画の存在も記憶に新しい。
しかし、スマートウォッチのユーザーとなったからには、今度はこちらが周りの鑑賞客に気を使う側になるということ。暗い劇場空間で液晶画面をチラチラさせないためにはどうしたら良いのか?
ちょっとネットで調べたところ、2017年から提供された「watchOS 3.2」以降に実装される “シアターモード” で回避できることがすぐにわかった。本機能をオンにすると、手首を上げる動作をしても画面が点灯せず、ディスプレイのタッチ、デジタルクラウンの操作といった、スマートウォッチに直接触れる動作を行わない限り、消灯したままになるというものだ。
実際に試してみようと、Apple Watch SEを着用してすぐの11月2日、2012年の劇場公開から10周年を迎え、10日間のリバイバル上映を実施していたアニメ映画『花の詩女 ゴティックメード』をTOHOシネマズ上野にて鑑賞。漫画『ファイブスター物語』などで知られるメカニックデザイナー・永野護自らが監督し、こだわりの作画表現や、劇場で鳴らすことで真価を発揮する音響設計などから、未だにディスク化・配信が行われていないアニメ作品だ。
記者自身同作の鑑賞はこれで3回目となるのだが、先述の理由から、劇場に座っている方々は言わば “全員本気” だ。そんな状況でApple Watchの画面をチラつかせてしまったらもう最期である。
何事も初めては不安であるが、この難局も無事 “シアターモード” が機能することでどうにか乗り切ることができた。今後慣れてくると「設定し忘れる」ということも有りそうなので、しっかりと意識しておきたい。
ちなみに、スマートウォッチ以外にも言えることだが、昨今のガジェットは紙でユーザーマニュアルが用意されないことが多い。使いながら操作や機能を学んでいくこともできなくはないが、ネットで検索すればさまざまな機能や使いこなしについてある程度把握できるのは、ユーザーシェアの多いApple Watchの強みともいえる。これもApple Watch SEをスマートウォッチデビュー機とするのには、大きなアドバンテージかもしれない。
■一つハマればもう手放せない。触って初めて分かるApple Watchの強み
ここまで、記者視点でのApple Watch SE導入によるメリットをレポートしてきたが、Apple Watchに求められるニーズの大部分は「手元のiPhone」との連携だろう。
iPhoneを鞄などから取り出さずに、SMSやLINEのメッセージを確認できる「通知」機能や、iPhoneで再生している動画や音楽をApple Watchでもコントロールできるという機能なども、一般的な利用シーンでは非常に便利だ。
あくまで記者の場合だが、もともとiPhoneの通知範囲を狭めていたりしたこともあり、このあたりの機能にはそこまで大きなメリットは感じられなかった。iPhoneとの連携をそこまで重視しないのであればApple Watchでなくてもいいかもしれないが、エントリーとしてApple Watchというシリーズに安心感があったのも事実。iPhoneユーザーだからか、UIもスッと受け入れられた。
それに、まだまだ機能の全容を把握しきれていないのは確か。これから気付くApple Watchならではのアドバンテージが、もっとあるかもしれない。そしてそんな状態でも、使ってみると便利極まりない。
記者が導入したApple Watch SEは、Apple Watchシリーズの中でもお手頃なモデルだ。Amazonのビッグセールや、各家電メーカーのセールでも割引対象になることも多いので、そんなタイミングに合わせて、ぜひとも気軽にスマートウォッチデビューをしてみてはいかがだろうか?