新サービス「REON WIZ」がスタート
「冬でも汗だく…」ソニーが更年期のほてりに悩む女性を救う?“着るクーラー“の新たな挑戦とは
ソニーグループが展開する、ウェアラブルサーモデバイス「REON POCKET」。首元に装着し、接触した体の表面を冷やしたり温めたりできるもので、その冷却機能の高さから “着るクーラー” と呼ばれている。最新モデル「REON POCKET 3」は、昨年の猛暑時期には、1日1万台強売れた実績もあるほど人気の冷感アイテムだ。
このREON POCKETを手掛けるソニー・REON事業室が、新たな取り組みとして「REON WIZ」を発表した。
REON WIZを “新製品” ではなく、“新たな取り組み” と紹介するのは、理由がある。それは、REON WIZが端末の単体販売ではなく、REON POCKETの性能を活用し、端末と専用アプリによる継続的なサービスを提供するものだからだ。
では、REON WIZがどんなサービスなのかを説明しよう。REON WIZでは、冷却機能によって急な暑さやほてりをサポートすることを目的としている。「急な暑さやほてり」というのは、「ホットフラッシュ」と呼ばれる症状のことで、主に閉経を迎える前後の時期(=更年期)の女性に起きがちな、更年期障害の症状の一つである。
人によって異なるものの、更年期障害の代表的症状と言われるほど、ホットフラッシュが起きるケースは多いようだ。要因としては、女性ホルモンのエストロゲン減少による自律神経の乱れに、ストレスなど様々な生活環境が重なって、血管の収縮・拡張のコントロールができなくなるためと考えられている。
ホットフラッシュが発症すると、上半身や顔周りが急に暑くなったり、汗が止まらなくなったりする。個人差はあるが、あまりの暑さにのぼせて何も手につかないという人もいるそうだ。
また、突然起きるというのも症状の特徴。おおよそ定期性のある月経とは異なり、予測がつきにくいため、外出時や職場などで突然発生し、真冬でも汗だくになってしまうこともあり、人前に出るのが恥ずかしいといった悩みも伴う。
こうした症状に悩む女性に向けて、REON POCKETの冷却機能と、首元を冷やすというスタイルを活用できないかと考え、生まれたのがREON WIZというわけだ。正直「真冬の2月にREON POCKETが新発表?なんで?」と思ったが、目的を知って納得した。
REON WIZの大きな特徴は、クラウドプラットフォームを活用したことにある。専用アプリを通じて、クラウド上に日々の温度感覚を記録することで、その人に合った適切な温度を自動で調整する。また、温度感覚にユーザーの行動や端末周辺の温度など、様々な要素を合わせて分析し、機械学習することで、個人に合わせた使い方のアドバイスの提示なども行えるのだという。
販売価格もこれまでと異なり、端末単体ではなく、サービス利用と合わせた設定になっている。初期費用が4,800円(税込)で、専用端末とサービス登録料、初回契約の最大6ヶ月分のサービス利用料が含まれる。7ヶ月目以降は毎月のサブスクリプション方式で、月々のサービス利用料は770円(税込)となる。
まずは、REON WIZの端末をチェックしよう。今回、冷温機能を備えたモジュール部分と、首元に装着するネックバンドが一体となった形状を採用している。REON POCKET 3と比較してみると、モジュール部分のサイズや質量などはほぼ変わらないが、違いは、その質感とネックバンド部分にあるようだ。
まず一見して分かるのが「色」。これまではクリーンなホワイト一色だったが、REON WIZではナチュラルベージュを採用した。端末の表面もマット仕様となり、さらっとした質感に。光の反射もほぼないので、色も相まって、装着時に服から透けた時にも、目立ちにくくなっていると思う。
さらに「エアフローパーツ」が付属しており、襟の高いデザインでも空気を循環させることができる。冬場はタートルネックなど首元を覆う洋服を着ることも増えるので、内側に空気がこもることなく、快適に使うことができる。
ネックバンドは細めながらも、表面は柔らかいシリコン素材になっている。首回りは29cmから35cmまで対応する。バンドの内部は3層構造で、シリコンの下にはワイヤーを軸に、フレキシブルに形状を固定できるチューブが用いられており、鎖骨部分に沿うようフォーミングされているという。また、自身で調整も可能だ。シリコンは肌あたりも優しい。
上述の通り、サイズや質量はほぼ同じで、形状も同様だ。色とネックバンドがちょっと変わった程度に見えなくもないが、実際装着すると、ネックバンドの安定感がかなり向上したように感じるし、さらりとした触り心地で、指紋がつきにくくなっているのも地味に嬉しい。
一方でアプリの使い勝手は大きく変化している。これまでのソフトウェアとは異なる仕組みを採っており、ユーザー自身で冷感レベルの設定をする必要はない。使い始めると、アプリから温度の感じ方について質問され、「冷たすぎる」「ちょうど良い」「温かい」の3つから回答を選択し、対話するような形でコントロールされる。
これまでのREON POCKETでは、アプリから自身で4段階の冷温設定を好みに調整していた。また、REON POCKET 3以降は、内蔵する4つの温度センサーと加速度センサーで、温度と行動を検知して自動化する「SMART COOL MODE」も提供されている。
REON WIZの自動冷温機能と似て見えるが、SMART COOL MODEは、すでに用意された5段階の温度「ぬるめ」「少しぬるめ」「普通(おすすめ)」「少し冷ため」「冷ため」から選択する仕組みなので、REON WIZの、“のぼせ”レベルに合わせて冷却温度そのものを自動的に調整するのとは、少し勝手が違う。
ホットフラッシュに悩む女性の多くは、突然起きたり毎回異なったりする症状に対して、自分でどうしたらいいかわからないという人が多いという。どのくらいが適正なのか分からなかったり、そもそも選択肢にちょうど良いと感じる冷感レベルがない場合もあるだろう。
そこで、REON WIZのアプリは「簡単」「シンプル」「わかりやすく」をコンセプトに、使いやすいUI設計が心がけられている。ユーザーはアプリからの質問に対して、自身の感覚に近い回答を選択するだけ。詳しく言葉にできなくても、タップ一つで自身の状態や温度感覚をフィードバックできる。
一人一人に合わせて最適化を図るため、使い初めて最初の2週間くらいは、1日1回はアプリから通知が届き、使用感の確認が行われる。
最初にアプリを立ち上げると、まず直近1日の「顔のほてり程度」と「発汗の程度」を聞かれ、「強」「中」「弱」「無」から選択。続いて「冷却面の温度の感覚」を聞かれるので、さきほど紹介した「冷たすぎる」「ちょうど良い」「温かい」の3つから回答する。
温度の感覚については常に質問がでてくるので、回答を繰り返すことで、季節や体調変化のデータが蓄積され、使えば使うほど自分にフィットする仕組みだ。
このアプリからの質問頻度と回答操作は、人によってちょっと面倒に感じるかもしれない。短い期間だが、事前に試用させてもらった筆者は、正直、使い続けるうちに面倒になってしまいそうだなと思った。ただ、これは性格によるところもありそうだ。
たとえば、ゲームやポイ活で毎日ログインなどができるなら余裕だろうし、ダイエットの体重や月経管理で記録に慣れている人も多いはず。何事も「きちんと記録、管理する」ことが、未来の快適に繋がるのだ。
使うのは好きなタイミングで良いが、おすすめは常時装着。というのも、たびたび言うようにホットフラッシュは突然起きる。冬でも汗だくになるほどのこともあるというのに、症状が出てきてから冷やすのではタイミングが遅い。常時装着しておけば、内蔵センサーが体表面温度を検知し、データと組み合わせて適切に冷却できるのだという。
ちなみに、内蔵モジュールはREON POCKET 3と同様とのこと。筆者はREON POCKET 3の冷却性能の高さとスピード感について、猛暑時期に実感済みなのだが、REON WIZももちろん同じで、「冷却を開始」したら、すぐにひやっとした冷たさを感じられる。着け外しを検知してオンオフができるオート機能なども継承している。
筆者は今のところまだ更年期にはなっておらず、ホットフラッシュは体験していない。ただ、PMSと呼ばれる月経前の症状は様々現れる。もともと怒りっぽい性格なのでイライラなどが増強されるし、頭痛も出やすく、過剰な眠気や倦怠感で体を動かすこともしんどい。集中力も下がり、この時期は何をするのも辛いのだ。
たとえば、眠気が強い時は体が熱を帯びていることも多い。そんな時、冷却機能で首元から冷やすことで、少しシャキッとして、眠気も緩和されるかもしれないと思った。なお、PMSは月経と連動しているので、おおよそ定期性がある。なので、この場合はREON POCKETでも活用できるが、REON WIZが「女性特有の症状緩和を支援する」という活用の道を示したことで気づけた面もある。そもそも、こうした症状には「温める」ことがまず頭に浮かび、「冷やす」ことが対策になるとは思っていなかった。
一点、これまでREON POCKETの端末を試してきて、たびたび気に掛かっていた、使用時の「ファンの音」についてだが、ここは変わらずである。まあ、モジュールがREON POCKET 3と同様なのだから当たり前だ。ある程度の音は聞こえるので、リモートワークなど、静かな環境で作業する時に「どうしてもファンの音が気になってしまう……」という場合は、ノイズキャンセリングイヤホン/ヘッドホンを使おう。
REON POCKETが、主に男性のビジネスパーソンをメインターゲットとしたガジェット製品だったのに対し、REON WIZは女性特有の症状や健康に関する課題の解決を目指す、いわゆるフェムテックの一つといえる。
しかも、「REON POCKETの新製品」ではなく、「REON WIZ」という固有のブランドを立ち上げたことは、突然にも思える新展開だが、なぜこの形になったのだろうか? REON事業室に尋ねてみた。
2019年7月にREON POCKETを発表しから、およそ3年。事業展開する上で、ビジネスパーソンを対象に年代や性別など様々な要素からマーケット分析を行なうなか、ホットフラッシュの症状に悩まされている女性が、一定層いることがわかったという。
そこからヒアリング等を進め、さらに深掘りしていくと、通勤や仕事中にホットフラッシュが起きてしまうケースは想定上に多く、働く女性にとって非常に切実な問題になっていたのだ。
しかも、その症状は個人差が大きく、さらには突然起きるため、「平均的にこういうリズムで発生するから、こんなタイミングで、このくらいの冷却性能があればOK」という基準も設定できず、なかなか解決の難しい課題である。
そこで、人それぞれ異なる状態に合わせて適切に支援すること、そして、あらゆるユーザーの悩みに寄り添って、中長期的にサポートしていける環境を提供すべきと考え、クラウドを活用した個人最適化と、継続的なサブスクサービスとしての展開に行き着いたそうだ。
製品としての端末提供だけではなく、悩みに寄り添いながら日々快適に過ごす手助けとなるようなIoTサービスを目指すREON WIZ。具体は明らかにされなかったが、「データを活用することで、冷却だけではなく、他にも貢献できるソリューションがあると思う」とし、今後のサービス拡充も検討中だという。たとえば、アプリで日々の記録と合わせて、女性特有の症状に関連した情報提供を行うことなどは、すぐにでも実現できそうだ。
そもそも日本では、女性特有の体と健康の問題について、以前よりオープンになってきているが、まだ表面化していない部分も多い。フェムテックという言葉も広がりつつあるが、欧米などの状況と比較するとまだ発展途上で、症状が出る女性当人だけの話のように捉えられている面もありそうだ。
ただ、日々の生活は性別問わず誰かと関わっているものだし、お互いを理解しようと努めるのは大事なことだと思う。実際、REON事業室がヒアリングを進める中で、「男性からこういった話がでてきたことが嬉しい」という声もあったという。
もちろん、職場などの関係性において声を大きくする必要はないが、長く働き続ける人が増える中、これまで気づくことのなかった健康課題が見えてきた時、配慮しながら対処できる環境であれば、お互いに気持ちよく過ごせるのではないだろうか。
そのためには、人の体や心の変化を知り、REON WIZのようなアイテムの存在がもっと知られていくことも、重要なことだと思う。これからREON WIZがどのように広がり、展開していくのか、期待して注目したい。
このREON POCKETを手掛けるソニー・REON事業室が、新たな取り組みとして「REON WIZ」を発表した。
REON WIZを “新製品” ではなく、“新たな取り組み” と紹介するのは、理由がある。それは、REON WIZが端末の単体販売ではなく、REON POCKETの性能を活用し、端末と専用アプリによる継続的なサービスを提供するものだからだ。
■ホットフラッシュに悩む女性に向けた新サービス「REON WIZ」
では、REON WIZがどんなサービスなのかを説明しよう。REON WIZでは、冷却機能によって急な暑さやほてりをサポートすることを目的としている。「急な暑さやほてり」というのは、「ホットフラッシュ」と呼ばれる症状のことで、主に閉経を迎える前後の時期(=更年期)の女性に起きがちな、更年期障害の症状の一つである。
人によって異なるものの、更年期障害の代表的症状と言われるほど、ホットフラッシュが起きるケースは多いようだ。要因としては、女性ホルモンのエストロゲン減少による自律神経の乱れに、ストレスなど様々な生活環境が重なって、血管の収縮・拡張のコントロールができなくなるためと考えられている。
ホットフラッシュが発症すると、上半身や顔周りが急に暑くなったり、汗が止まらなくなったりする。個人差はあるが、あまりの暑さにのぼせて何も手につかないという人もいるそうだ。
また、突然起きるというのも症状の特徴。おおよそ定期性のある月経とは異なり、予測がつきにくいため、外出時や職場などで突然発生し、真冬でも汗だくになってしまうこともあり、人前に出るのが恥ずかしいといった悩みも伴う。
こうした症状に悩む女性に向けて、REON POCKETの冷却機能と、首元を冷やすというスタイルを活用できないかと考え、生まれたのがREON WIZというわけだ。正直「真冬の2月にREON POCKETが新発表?なんで?」と思ったが、目的を知って納得した。
REON WIZの大きな特徴は、クラウドプラットフォームを活用したことにある。専用アプリを通じて、クラウド上に日々の温度感覚を記録することで、その人に合った適切な温度を自動で調整する。また、温度感覚にユーザーの行動や端末周辺の温度など、様々な要素を合わせて分析し、機械学習することで、個人に合わせた使い方のアドバイスの提示なども行えるのだという。
販売価格もこれまでと異なり、端末単体ではなく、サービス利用と合わせた設定になっている。初期費用が4,800円(税込)で、専用端末とサービス登録料、初回契約の最大6ヶ月分のサービス利用料が含まれる。7ヶ月目以降は毎月のサブスクリプション方式で、月々のサービス利用料は770円(税込)となる。
■高い冷却機能はそのまま、デザイン・装着性が進化!アプリ刷新で、より簡単で分かりやすい操作も
まずは、REON WIZの端末をチェックしよう。今回、冷温機能を備えたモジュール部分と、首元に装着するネックバンドが一体となった形状を採用している。REON POCKET 3と比較してみると、モジュール部分のサイズや質量などはほぼ変わらないが、違いは、その質感とネックバンド部分にあるようだ。
まず一見して分かるのが「色」。これまではクリーンなホワイト一色だったが、REON WIZではナチュラルベージュを採用した。端末の表面もマット仕様となり、さらっとした質感に。光の反射もほぼないので、色も相まって、装着時に服から透けた時にも、目立ちにくくなっていると思う。
さらに「エアフローパーツ」が付属しており、襟の高いデザインでも空気を循環させることができる。冬場はタートルネックなど首元を覆う洋服を着ることも増えるので、内側に空気がこもることなく、快適に使うことができる。
ネックバンドは細めながらも、表面は柔らかいシリコン素材になっている。首回りは29cmから35cmまで対応する。バンドの内部は3層構造で、シリコンの下にはワイヤーを軸に、フレキシブルに形状を固定できるチューブが用いられており、鎖骨部分に沿うようフォーミングされているという。また、自身で調整も可能だ。シリコンは肌あたりも優しい。
上述の通り、サイズや質量はほぼ同じで、形状も同様だ。色とネックバンドがちょっと変わった程度に見えなくもないが、実際装着すると、ネックバンドの安定感がかなり向上したように感じるし、さらりとした触り心地で、指紋がつきにくくなっているのも地味に嬉しい。
一方でアプリの使い勝手は大きく変化している。これまでのソフトウェアとは異なる仕組みを採っており、ユーザー自身で冷感レベルの設定をする必要はない。使い始めると、アプリから温度の感じ方について質問され、「冷たすぎる」「ちょうど良い」「温かい」の3つから回答を選択し、対話するような形でコントロールされる。
これまでのREON POCKETでは、アプリから自身で4段階の冷温設定を好みに調整していた。また、REON POCKET 3以降は、内蔵する4つの温度センサーと加速度センサーで、温度と行動を検知して自動化する「SMART COOL MODE」も提供されている。
REON WIZの自動冷温機能と似て見えるが、SMART COOL MODEは、すでに用意された5段階の温度「ぬるめ」「少しぬるめ」「普通(おすすめ)」「少し冷ため」「冷ため」から選択する仕組みなので、REON WIZの、“のぼせ”レベルに合わせて冷却温度そのものを自動的に調整するのとは、少し勝手が違う。
ホットフラッシュに悩む女性の多くは、突然起きたり毎回異なったりする症状に対して、自分でどうしたらいいかわからないという人が多いという。どのくらいが適正なのか分からなかったり、そもそも選択肢にちょうど良いと感じる冷感レベルがない場合もあるだろう。
そこで、REON WIZのアプリは「簡単」「シンプル」「わかりやすく」をコンセプトに、使いやすいUI設計が心がけられている。ユーザーはアプリからの質問に対して、自身の感覚に近い回答を選択するだけ。詳しく言葉にできなくても、タップ一つで自身の状態や温度感覚をフィードバックできる。
一人一人に合わせて最適化を図るため、使い初めて最初の2週間くらいは、1日1回はアプリから通知が届き、使用感の確認が行われる。
最初にアプリを立ち上げると、まず直近1日の「顔のほてり程度」と「発汗の程度」を聞かれ、「強」「中」「弱」「無」から選択。続いて「冷却面の温度の感覚」を聞かれるので、さきほど紹介した「冷たすぎる」「ちょうど良い」「温かい」の3つから回答する。
温度の感覚については常に質問がでてくるので、回答を繰り返すことで、季節や体調変化のデータが蓄積され、使えば使うほど自分にフィットする仕組みだ。
このアプリからの質問頻度と回答操作は、人によってちょっと面倒に感じるかもしれない。短い期間だが、事前に試用させてもらった筆者は、正直、使い続けるうちに面倒になってしまいそうだなと思った。ただ、これは性格によるところもありそうだ。
たとえば、ゲームやポイ活で毎日ログインなどができるなら余裕だろうし、ダイエットの体重や月経管理で記録に慣れている人も多いはず。何事も「きちんと記録、管理する」ことが、未来の快適に繋がるのだ。
使うのは好きなタイミングで良いが、おすすめは常時装着。というのも、たびたび言うようにホットフラッシュは突然起きる。冬でも汗だくになるほどのこともあるというのに、症状が出てきてから冷やすのではタイミングが遅い。常時装着しておけば、内蔵センサーが体表面温度を検知し、データと組み合わせて適切に冷却できるのだという。
ちなみに、内蔵モジュールはREON POCKET 3と同様とのこと。筆者はREON POCKET 3の冷却性能の高さとスピード感について、猛暑時期に実感済みなのだが、REON WIZももちろん同じで、「冷却を開始」したら、すぐにひやっとした冷たさを感じられる。着け外しを検知してオンオフができるオート機能なども継承している。
筆者は今のところまだ更年期にはなっておらず、ホットフラッシュは体験していない。ただ、PMSと呼ばれる月経前の症状は様々現れる。もともと怒りっぽい性格なのでイライラなどが増強されるし、頭痛も出やすく、過剰な眠気や倦怠感で体を動かすこともしんどい。集中力も下がり、この時期は何をするのも辛いのだ。
たとえば、眠気が強い時は体が熱を帯びていることも多い。そんな時、冷却機能で首元から冷やすことで、少しシャキッとして、眠気も緩和されるかもしれないと思った。なお、PMSは月経と連動しているので、おおよそ定期性がある。なので、この場合はREON POCKETでも活用できるが、REON WIZが「女性特有の症状緩和を支援する」という活用の道を示したことで気づけた面もある。そもそも、こうした症状には「温める」ことがまず頭に浮かび、「冷やす」ことが対策になるとは思っていなかった。
一点、これまでREON POCKETの端末を試してきて、たびたび気に掛かっていた、使用時の「ファンの音」についてだが、ここは変わらずである。まあ、モジュールがREON POCKET 3と同様なのだから当たり前だ。ある程度の音は聞こえるので、リモートワークなど、静かな環境で作業する時に「どうしてもファンの音が気になってしまう……」という場合は、ノイズキャンセリングイヤホン/ヘッドホンを使おう。
「冷却以外にも、何か貢献できることがあるはず」REON WIZの目指す今後のかたち
REON POCKETが、主に男性のビジネスパーソンをメインターゲットとしたガジェット製品だったのに対し、REON WIZは女性特有の症状や健康に関する課題の解決を目指す、いわゆるフェムテックの一つといえる。
しかも、「REON POCKETの新製品」ではなく、「REON WIZ」という固有のブランドを立ち上げたことは、突然にも思える新展開だが、なぜこの形になったのだろうか? REON事業室に尋ねてみた。
2019年7月にREON POCKETを発表しから、およそ3年。事業展開する上で、ビジネスパーソンを対象に年代や性別など様々な要素からマーケット分析を行なうなか、ホットフラッシュの症状に悩まされている女性が、一定層いることがわかったという。
そこからヒアリング等を進め、さらに深掘りしていくと、通勤や仕事中にホットフラッシュが起きてしまうケースは想定上に多く、働く女性にとって非常に切実な問題になっていたのだ。
しかも、その症状は個人差が大きく、さらには突然起きるため、「平均的にこういうリズムで発生するから、こんなタイミングで、このくらいの冷却性能があればOK」という基準も設定できず、なかなか解決の難しい課題である。
そこで、人それぞれ異なる状態に合わせて適切に支援すること、そして、あらゆるユーザーの悩みに寄り添って、中長期的にサポートしていける環境を提供すべきと考え、クラウドを活用した個人最適化と、継続的なサブスクサービスとしての展開に行き着いたそうだ。
製品としての端末提供だけではなく、悩みに寄り添いながら日々快適に過ごす手助けとなるようなIoTサービスを目指すREON WIZ。具体は明らかにされなかったが、「データを活用することで、冷却だけではなく、他にも貢献できるソリューションがあると思う」とし、今後のサービス拡充も検討中だという。たとえば、アプリで日々の記録と合わせて、女性特有の症状に関連した情報提供を行うことなどは、すぐにでも実現できそうだ。
そもそも日本では、女性特有の体と健康の問題について、以前よりオープンになってきているが、まだ表面化していない部分も多い。フェムテックという言葉も広がりつつあるが、欧米などの状況と比較するとまだ発展途上で、症状が出る女性当人だけの話のように捉えられている面もありそうだ。
ただ、日々の生活は性別問わず誰かと関わっているものだし、お互いを理解しようと努めるのは大事なことだと思う。実際、REON事業室がヒアリングを進める中で、「男性からこういった話がでてきたことが嬉しい」という声もあったという。
もちろん、職場などの関係性において声を大きくする必要はないが、長く働き続ける人が増える中、これまで気づくことのなかった健康課題が見えてきた時、配慮しながら対処できる環境であれば、お互いに気持ちよく過ごせるのではないだろうか。
そのためには、人の体や心の変化を知り、REON WIZのようなアイテムの存在がもっと知られていくことも、重要なことだと思う。これからREON WIZがどのように広がり、展開していくのか、期待して注目したい。