【第99回】ミヤザキタケルの気軽にホームシネマ
この週末は『ガンダムSEED』に浸りたい! 連載枠であえて推したい「スペシャルエディション」
サブスクで映画を観ることが当たり前となりつつある昨今、その豊富な作品数故に、一体何を観たら良いのか分からない。そんな風に感じたことが、あなたにもありませんか。本コラムでは、映画アドバイザーとして活躍するミヤザキタケルが水先案内人となり、選りすぐりの一本をあなたにお届け。今回は『機動戦士ガンダムSEED スペシャルエディション HDリマスター』をご紹介します!
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『機動戦士ガンダムSEED スペシャルエディション HDリマスター』(2019年・日本)
(配信:U-NEXT /Amazon Prime Video /Hulu)
遺伝子操作によって生まれながらに優れた身体能力や頭脳を併せ持つ人類「コーディネイター」と、自然のままに生まれた人類「ナチュラル」の不和や終わることのない争いを描き、“21世紀のファーストガンダム”として2000年代初期に大いに人気を博し、社会現象を巻き起こした「機動戦士ガンダムSEED」シリーズ。
2002年の「機動戦士ガンダムSEED」に続き、2004年には続編となる「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」が放送され、2006年には劇場映画化の決定が発表された。が、待てど暮らせど劇場版の続報はなく、別シリーズである『劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-』が2010年に劇場公開された頃には、劇場版SEEDの企画は頓挫したのだとファンの間では認識されるようになっていた……。
しかし、その種は枯れることなく開花の時が訪れるのを待っていた。間に放送10周年を記念した「HDリマスタープロジェクト」を挟みつつ、2021年、撃沈寸前のアークエンジェルの前に颯爽と現れたフリーダムガンダムの如く、劇場版制作の報せが突如舞い降りた。2023年にはタイトルと共に予告編も解禁され、2024年1月26日、企画発表から約18年の時を経て、いよいよ『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』が劇場公開される。
放送当時、リアルタイムで鑑賞し、主人公であるキラとアスランと同い年でもあったガンダムオタクの筆者にとって、一度「頓挫したもの」と認識していたタイトルの再始動の報は、衝撃(インパルス)であり、多くのファンを振り回した自由(フリーダム)さに翻弄されたとはいえ、こうして今この時代にSEEDの新たな世界を目にできることに喜びと運命(デスティニー)を感じずにはいられない。
公開日のアナウンスが行われたのが、昨年7月というのもあり、既に劇場版を観る準備万全の方も多いとは思うが、いかんせん時が経ち過ぎているため、中には作品の記憶が曖昧な方や、「TVシリーズをおさらいした上で目にしたい」「でも、時間がない」という方、今回の劇場版を機にSEEDの世界に入門してみたいという方もいるかと思います。そんな方々にオススメしたいのが、今回ご紹介する『機動戦士ガンダムSEED スペシャルエディション HDリマスター』です。
「機動戦士ガンダムSEED」全48話を3部作にまとめたものと、「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」全50話(編集部注:話数表記はHDリマスター版準拠)を4部作にまとめたものがあるのですが、単なるTVシリーズの総集編ではありません。新規アフレコをはじめ、TV放映時にはなかった新規カットが多数盛り込まれているほか、既存シーンも一部作画が描き直されており、作品のクオリティが飛躍的に向上。
短縮されたエピソードの都合で物語も一部再構成されており、放送当時に賛否両論を巻き起こした「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」に関しては、新たにアスラン視点として描かれており、既存のものとはまた違った味わいを感じさせてくれることだろう。
あらゆるアップデートが施された恩恵か、放送開始から20年以上が経過した今目にしても古臭さは微塵も感じられず、むしろ、「遺伝子操作」などの題材は、人類が歩みを進めていけばいくほどに現実味を帯びていく。また、終わらぬ戦争にどのように立ち向かうのか、どうしたら争いのない平和な世界を築くことができるのかといった問題に対峙する登場人物たちの姿は、内戦や紛争が続くこの現実社会を生きる僕たちにとっても、他人事で済ませられることではない。
本日から公開される劇場版をキッカケに「機動戦士ガンダムSEED」シリーズに触れてみたいと思っている方にこそスペシャルエディションはオススメですし、かつてキラやアスラン、そしてシンの行末を見届けたという方にも、当時の記憶や思い出を呼び覚ましながら、彼らの険しい旅路を振り返ってみていただきたい。無論、時間が許すのであれば、TVシリーズを全話視聴、追加シーンが盛り込まれたスペシャルエディションも視聴の上、劇場版に臨んでみていただきたい。
終わらぬ争いや負の連鎖にどのように立ち向かうべきなのかを模索する「機動戦士ガンダムSEED」。一つの答えを提示し否定した「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」。その果ての世界を描くという『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』。スペシャルエディションをご覧の上、是非劇場でお楽しみください。
(C)創通・サンライズ
※本稿記載の配信サービスは執筆時点のものになります。
『機動戦士ガンダムSEED スペシャルエディション HDリマスター』(2019年・日本)
(配信:U-NEXT /Amazon Prime Video /Hulu)
遺伝子操作によって生まれながらに優れた身体能力や頭脳を併せ持つ人類「コーディネイター」と、自然のままに生まれた人類「ナチュラル」の不和や終わることのない争いを描き、“21世紀のファーストガンダム”として2000年代初期に大いに人気を博し、社会現象を巻き起こした「機動戦士ガンダムSEED」シリーズ。
2002年の「機動戦士ガンダムSEED」に続き、2004年には続編となる「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」が放送され、2006年には劇場映画化の決定が発表された。が、待てど暮らせど劇場版の続報はなく、別シリーズである『劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-』が2010年に劇場公開された頃には、劇場版SEEDの企画は頓挫したのだとファンの間では認識されるようになっていた……。
しかし、その種は枯れることなく開花の時が訪れるのを待っていた。間に放送10周年を記念した「HDリマスタープロジェクト」を挟みつつ、2021年、撃沈寸前のアークエンジェルの前に颯爽と現れたフリーダムガンダムの如く、劇場版制作の報せが突如舞い降りた。2023年にはタイトルと共に予告編も解禁され、2024年1月26日、企画発表から約18年の時を経て、いよいよ『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』が劇場公開される。
放送当時、リアルタイムで鑑賞し、主人公であるキラとアスランと同い年でもあったガンダムオタクの筆者にとって、一度「頓挫したもの」と認識していたタイトルの再始動の報は、衝撃(インパルス)であり、多くのファンを振り回した自由(フリーダム)さに翻弄されたとはいえ、こうして今この時代にSEEDの新たな世界を目にできることに喜びと運命(デスティニー)を感じずにはいられない。
公開日のアナウンスが行われたのが、昨年7月というのもあり、既に劇場版を観る準備万全の方も多いとは思うが、いかんせん時が経ち過ぎているため、中には作品の記憶が曖昧な方や、「TVシリーズをおさらいした上で目にしたい」「でも、時間がない」という方、今回の劇場版を機にSEEDの世界に入門してみたいという方もいるかと思います。そんな方々にオススメしたいのが、今回ご紹介する『機動戦士ガンダムSEED スペシャルエディション HDリマスター』です。
「機動戦士ガンダムSEED」全48話を3部作にまとめたものと、「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」全50話(編集部注:話数表記はHDリマスター版準拠)を4部作にまとめたものがあるのですが、単なるTVシリーズの総集編ではありません。新規アフレコをはじめ、TV放映時にはなかった新規カットが多数盛り込まれているほか、既存シーンも一部作画が描き直されており、作品のクオリティが飛躍的に向上。
短縮されたエピソードの都合で物語も一部再構成されており、放送当時に賛否両論を巻き起こした「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」に関しては、新たにアスラン視点として描かれており、既存のものとはまた違った味わいを感じさせてくれることだろう。
あらゆるアップデートが施された恩恵か、放送開始から20年以上が経過した今目にしても古臭さは微塵も感じられず、むしろ、「遺伝子操作」などの題材は、人類が歩みを進めていけばいくほどに現実味を帯びていく。また、終わらぬ戦争にどのように立ち向かうのか、どうしたら争いのない平和な世界を築くことができるのかといった問題に対峙する登場人物たちの姿は、内戦や紛争が続くこの現実社会を生きる僕たちにとっても、他人事で済ませられることではない。
本日から公開される劇場版をキッカケに「機動戦士ガンダムSEED」シリーズに触れてみたいと思っている方にこそスペシャルエディションはオススメですし、かつてキラやアスラン、そしてシンの行末を見届けたという方にも、当時の記憶や思い出を呼び覚ましながら、彼らの険しい旅路を振り返ってみていただきたい。無論、時間が許すのであれば、TVシリーズを全話視聴、追加シーンが盛り込まれたスペシャルエディションも視聴の上、劇場版に臨んでみていただきたい。
終わらぬ争いや負の連鎖にどのように立ち向かうべきなのかを模索する「機動戦士ガンダムSEED」。一つの答えを提示し否定した「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」。その果ての世界を描くという『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』。スペシャルエディションをご覧の上、是非劇場でお楽しみください。
(C)創通・サンライズ
※本稿記載の配信サービスは執筆時点のものになります。
ミヤザキタケル 1986年生まれ、長野県出身。2015年より「映画アドバイザー」として活動を始める。 WOWOW・宝島社sweet・DOKUSOマガジンでの連載のほか、ラジオ・配信番組・雑誌などで映画を紹介。イベント登壇、MC、映画祭審査員、BRUTUS「30人のシネマコンシェルジュ」など幅広く活動中。 |