【第126回】ミヤザキタケルの気軽にホームシネマ
あなたは真実に辿り着けるか?阿部サダヲの怪演光る、戦慄のサイコ・サスペンス
サブスクで映画を観ることが当たり前となりつつある昨今、その豊富な作品数故に、一体何を観たら良いのか分からない。そんな風に感じたことが、あなたにもありませんか。本コラムでは、映画アドバイザーとして活躍するミヤザキタケルが水先案内人となり、選りすぐりの一本をあなたにお届け。今回は2022年公開の『死刑にいたる病』をご紹介します!
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『死刑にいたる病』(2022年・日本)
(配信: Netflix / Hulu / U-NEXT)
櫛木理宇原作の同名小説を、『孤狼の血』『凶悪』の白石和彌監督が映画化。大学生の雅也(水上恒司)のもとに、24件もの殺人容疑で逮捕された連続殺人鬼・榛村大和(阿部サダヲ)から手紙が届く。「罪は認めるが、最後の事件は冤罪だ。犯人が他にいることを証明してほしい」。中学時代に榛村が経営するパン屋に通い信頼を寄せていた雅也は、榛村の願いを聞き入れ、独自に事件を調査し始めるのだが……。
記憶に新しいドラマ「不適切にもほどがある!」などでのコミカルな役柄をはじめ、クールな役柄から影のある役柄まで幅広くこなす俳優・阿部サダヲの最もダークな芝居を堪能できるであろう本作。ネタバレは避けたいので核心には触れないが、冤罪の証拠を探し求める雅也の姿を通して、事件の真相へと迫っていく面白さ、シリアルキラーとしての榛村の恐ろしさが垣間見えてくるのと同時に、気付かされることがある。それは、自分が他者に見せない一面を持ち合わせているように、他者もまた自分には見せない一面を持ち合わせているということ。
自他共に日頃目にしているのは相手の側面であり、隠し持った一面を覗き見ることも曝け出すことも容易ではない。また、自分自身でも把握しきれていない己の一面が、何かのきっかけで顔を出すことだってあるかもしれない。映し出されていくのは榛村をめぐる事件や人間関係についてであるが、作品そのものを通じて向き合わされることになるのは、己や他者、人間そのものについてなのである。観た後も尾を引くような作品をお求めの方にオススメ!
(C)2022映画「死刑にいたる病」製作委員会
※本稿記載の配信サービスは執筆時点のものになります。
『死刑にいたる病』(2022年・日本)
(配信: Netflix / Hulu / U-NEXT)
櫛木理宇原作の同名小説を、『孤狼の血』『凶悪』の白石和彌監督が映画化。大学生の雅也(水上恒司)のもとに、24件もの殺人容疑で逮捕された連続殺人鬼・榛村大和(阿部サダヲ)から手紙が届く。「罪は認めるが、最後の事件は冤罪だ。犯人が他にいることを証明してほしい」。中学時代に榛村が経営するパン屋に通い信頼を寄せていた雅也は、榛村の願いを聞き入れ、独自に事件を調査し始めるのだが……。
記憶に新しいドラマ「不適切にもほどがある!」などでのコミカルな役柄をはじめ、クールな役柄から影のある役柄まで幅広くこなす俳優・阿部サダヲの最もダークな芝居を堪能できるであろう本作。ネタバレは避けたいので核心には触れないが、冤罪の証拠を探し求める雅也の姿を通して、事件の真相へと迫っていく面白さ、シリアルキラーとしての榛村の恐ろしさが垣間見えてくるのと同時に、気付かされることがある。それは、自分が他者に見せない一面を持ち合わせているように、他者もまた自分には見せない一面を持ち合わせているということ。
自他共に日頃目にしているのは相手の側面であり、隠し持った一面を覗き見ることも曝け出すことも容易ではない。また、自分自身でも把握しきれていない己の一面が、何かのきっかけで顔を出すことだってあるかもしれない。映し出されていくのは榛村をめぐる事件や人間関係についてであるが、作品そのものを通じて向き合わされることになるのは、己や他者、人間そのものについてなのである。観た後も尾を引くような作品をお求めの方にオススメ!
(C)2022映画「死刑にいたる病」製作委員会
※本稿記載の配信サービスは執筆時点のものになります。
ミヤザキタケル 1986年生まれ、長野県出身。2015年より「映画アドバイザー」として活動を始める。 WOWOW・宝島社sweet・DOKUSOマガジンでの連載のほか、ラジオ・配信番組・雑誌などで映画を紹介。イベント登壇、MC、映画祭審査員、BRUTUS「30人のシネマコンシェルジュ」など幅広く活動中。 |