30代男性、会社で『コロコロカービィ』ガチプレイ
スケルトンな完全ワイヤレスイヤホンとゲームボーイカラーで“あの頃”に還ってみた
ある日、いつも通り出社すると同僚が完全ワイヤレスイヤホンを並べて撮影していた。なんでも、各社から発売されているスケルトンカラーモデルを集めて横並びにレビューする企画記事を準備しているとのことだ。
00年代当時の未来感をトレンドにしたという「Y2K」や、年号が変わってまだ6年目だというのに、懐かしみの対象として総体化した「平成レトロ」 。どちらも “映え” 要素の強いファッショナブルなムーブメントであるが、その要素としてクリア/スケルトンカラーがフィーチャーされている。最近では各メーカーからのイヤホンのカラバリとして、スケルトンカラーがラインナップすることも然程珍しくなくなった。
しかし、90年代後半から00年代に掛けてキッズをやっていた記者としては、スケルトンといえば「オシャレ」というよりも、ホビー寄りの嗜好心をくすぐられるカラー。せっかくなので、家に眠るスケルトンなゲームボーイカラーを引っ張り出し、スケルトンな完全ワイヤレスイヤホンと組み合わせてみた。
ミニ四駆レースえんぴつの消しゴムや、シューターキャップ、ハイパーヨーヨーにスーパービーダマンの福箱、メダロットのデュアルモデルなどなど、数えられないホビーを通して幼少から小学生高学年に至るまで、 “あの頃” の記者のハートをくすぐったスケルトンカラー。ホビー趣味からちょっと離れても、ゲームボーイカラーでは数あるカラバリから「クリア」を選んだりもした。スケルトンとは、心身の情操を育んだ何事にも代えがたい色なのである。
しかし、物の見方には世代差がどうしても生まれる。スケルトン一つ取っても上記した通り若年層にはファッションアイコン、記者よりハイエイジな編集部員は昨今のスケルトンな完全ワイヤレスイヤホンを見るなり「iMacを思い出す。あ、あとSOTECのヤツとか」と、口を揃える。仕方のないことだと分かっていても少し、悲しい。
そんな想いを胸に秘め、最初に触ったガラケーや、SDガンダムフルカラーやらを収めた“たからばこ” に眠るゲームボーイカラーを携えて出社した。1999年に『ポケットモンスター金/銀』と併せて買ってもらったゲームボーイカラー。あの時は手に持つとしっかりとしたサイズ感を覚えたものだが、久々に触ると小さかった。自らの成長を想い少し感慨に浸りつつ、そのサイズ感を再度確かめたらiPhone 15 Proよりも小さい。スマホが巨大化しているのも大いにあるが、思っていたよりスマートなヤツだったのかもしれない。
企画記事では4モデルものスケルトン完全ワイヤレスが横並びで紹介されていたが、本稿ではJBLの「TUNE BEAM GHOST」(ホワイト)を迷うことなくチョイス。決め手は何といってもケースやステムから内部基板が覗けるほどのスケルトンぶり。「これだよ!これ!」といわんばかりにスケルトン欲が満たされ、一瞬で “あの頃” に還れる。記者が持ち出したゲームボーイカラーと並べれば「組み合わせてください」と聴こえてくるほどのマッチング。ブランドとしては「Y2K」を意識したカラーなのかもしれないが、本モデルの企画担当者はきっと “あの頃” スケルトンに脳を灼かれた側の人間に違いない。
そして、ゲームボーイカラーは今から26年前、1998年のプロダクトになる。今年で25周年を迎えるファイルウェブの1歳上のお兄さんである。もちろんBluetoothには対応していないので、今回はエレコムのBluetoothオーディオトランスミッター/レシーバー「LBT-ATR01BK」を使用。筐体下部の3.5mmジャックを介してワイヤレス接続を行うことにした。
今回リファレンスとしたソフトは、2000年発売の『コロコロカービィ』。24年前の8月、埼玉県狭山市のサティにて祖母に買ってもらったものだ。記者の思い出はさておき、ゲームについて大まかに説明すると、カートリッジ本体にジャイロ・加速度センサーが備えており、手にしたゲームボーイを傾けることで画面内のカービィを操作できる意欲的なタイトルだ。
「24年後に『コロコロカービィ』やることになるよ、会社で」と、当時の9歳の自分と祖母に伝えたらどんな顔をされるだろうか、などと考えながらトランスミッターとTWSをペアリング。ゲームボーイにも新しい電池を入れてスイッチを入れると「ピコーン」という起動音が耳に。ちゃんとワイヤレスでゲームボーイの音が聴こえてくる!
久々に聴くノイズ混じりの生音にちょっと興奮していたら、なかなか進まない画面。そう、カートリッジの接触不良だ。ニンテンドーのロゴがキチンと表示されていない。これも “あの頃” 散々見た画面である。
令和の時代にまさか “カートリッジふーふー” することになるとは思わなかったが、今度はキチンと起動。24年前に聴きまくったオープニングBGMと、人の声で「コロコロカービィ!」と、コールされるタイトルSEに、これまで使っていなかった脳の領域が刺激されるような感慨である。8メガビットのカートリッジに収められた音源なので、お世辞にも良い音とはいえないのだが、今年聴いた音源で一番震えたかもしれない。
『コロコロカービィ』のBGMは、基本的にコースごとに用意されている。楽曲をひとしきり聴くにはゲームプレイが必須だ。スタートメニューにBGMを聴くことができる「サウンドセレクト」画面もあるが、ここは転がしてやらないことにはカービィに無作法というもの。
結果、会社のオフィスで一心不乱にゲームボーイカラーを傾けることになるのだが、幸いにも “取材日” は在宅勤務や打ち合わせで自分の周りは総出払い。安心してプレイに集中することができた。
レベル1の計4ステージをやってみて、1-1で流れる牧歌的なノーマルコースのBGMから、1-4で対峙するボスキャラクター “メガイター” 戦で流れるボス戦BGM、そして今に至るまで様々なシリーズで聴くことのできる “クリアダンス” などを堪能。聴いていて思わず涙ぐみそうになる。というか、少し出ていたかもしれない。やはり、「何十年越しに聴くゲームミュージック」からしか得られないバイブスは存在する。
また、完全ワイヤレスを使用したゲームプレイでどうしても気になるのが遅延だが、今回使用したトランスミッターはSBCにのみ対応。低遅延コーデックのサポート外であるが、『コロコロカービィ』についてはSBC接続であってもストレスフリーだったので、安心してカービィを転がしてもらってOKだ。
◇
遊ぶソフトが『コロコロカービィ』である必要はないが、再度世に出てきたスケルトンカラーにくすぶる “あの頃” の残滓と、スケルトンなゲームボーイや、ワンダースワンが家に眠っているのなら是非スケルトンなTWSと組み合わせて楽しんで頂きたい。実のところゲーム機とTWSのカラーがスケルトンである必要はないのだが、気持ちを作っていくことは重要だし、特にこの暑い時期、そのサウンドを聴けば一瞬で “あの頃の夏休み” に引き戻されることだろう。
余談ではあるが、今回取材の様子を撮影してもらうにあたり、他の島に席を構える編集部員に試聴風景の撮影を頼みこんだのだが、世代的にゲームボーイカラーと同年代であるとのこと。今年の取材で一番堪えたかもしれない。
00年代当時の未来感をトレンドにしたという「Y2K」や、年号が変わってまだ6年目だというのに、懐かしみの対象として総体化した「平成レトロ」 。どちらも “映え” 要素の強いファッショナブルなムーブメントであるが、その要素としてクリア/スケルトンカラーがフィーチャーされている。最近では各メーカーからのイヤホンのカラバリとして、スケルトンカラーがラインナップすることも然程珍しくなくなった。
しかし、90年代後半から00年代に掛けてキッズをやっていた記者としては、スケルトンといえば「オシャレ」というよりも、ホビー寄りの嗜好心をくすぐられるカラー。せっかくなので、家に眠るスケルトンなゲームボーイカラーを引っ張り出し、スケルトンな完全ワイヤレスイヤホンと組み合わせてみた。
■スケルトンカラーに焦がれ、ゲームボーイのサウンドをTWSで聴く
ミニ四駆レースえんぴつの消しゴムや、シューターキャップ、ハイパーヨーヨーにスーパービーダマンの福箱、メダロットのデュアルモデルなどなど、数えられないホビーを通して幼少から小学生高学年に至るまで、 “あの頃” の記者のハートをくすぐったスケルトンカラー。ホビー趣味からちょっと離れても、ゲームボーイカラーでは数あるカラバリから「クリア」を選んだりもした。スケルトンとは、心身の情操を育んだ何事にも代えがたい色なのである。
しかし、物の見方には世代差がどうしても生まれる。スケルトン一つ取っても上記した通り若年層にはファッションアイコン、記者よりハイエイジな編集部員は昨今のスケルトンな完全ワイヤレスイヤホンを見るなり「iMacを思い出す。あ、あとSOTECのヤツとか」と、口を揃える。仕方のないことだと分かっていても少し、悲しい。
そんな想いを胸に秘め、最初に触ったガラケーや、SDガンダムフルカラーやらを収めた“たからばこ” に眠るゲームボーイカラーを携えて出社した。1999年に『ポケットモンスター金/銀』と併せて買ってもらったゲームボーイカラー。あの時は手に持つとしっかりとしたサイズ感を覚えたものだが、久々に触ると小さかった。自らの成長を想い少し感慨に浸りつつ、そのサイズ感を再度確かめたらiPhone 15 Proよりも小さい。スマホが巨大化しているのも大いにあるが、思っていたよりスマートなヤツだったのかもしれない。
企画記事では4モデルものスケルトン完全ワイヤレスが横並びで紹介されていたが、本稿ではJBLの「TUNE BEAM GHOST」(ホワイト)を迷うことなくチョイス。決め手は何といってもケースやステムから内部基板が覗けるほどのスケルトンぶり。「これだよ!これ!」といわんばかりにスケルトン欲が満たされ、一瞬で “あの頃” に還れる。記者が持ち出したゲームボーイカラーと並べれば「組み合わせてください」と聴こえてくるほどのマッチング。ブランドとしては「Y2K」を意識したカラーなのかもしれないが、本モデルの企画担当者はきっと “あの頃” スケルトンに脳を灼かれた側の人間に違いない。
そして、ゲームボーイカラーは今から26年前、1998年のプロダクトになる。今年で25周年を迎えるファイルウェブの1歳上のお兄さんである。もちろんBluetoothには対応していないので、今回はエレコムのBluetoothオーディオトランスミッター/レシーバー「LBT-ATR01BK」を使用。筐体下部の3.5mmジャックを介してワイヤレス接続を行うことにした。
■会社でガチプレイ。『コロコロカービィ』のサウンドに思わず涙……
今回リファレンスとしたソフトは、2000年発売の『コロコロカービィ』。24年前の8月、埼玉県狭山市のサティにて祖母に買ってもらったものだ。記者の思い出はさておき、ゲームについて大まかに説明すると、カートリッジ本体にジャイロ・加速度センサーが備えており、手にしたゲームボーイを傾けることで画面内のカービィを操作できる意欲的なタイトルだ。
「24年後に『コロコロカービィ』やることになるよ、会社で」と、当時の9歳の自分と祖母に伝えたらどんな顔をされるだろうか、などと考えながらトランスミッターとTWSをペアリング。ゲームボーイにも新しい電池を入れてスイッチを入れると「ピコーン」という起動音が耳に。ちゃんとワイヤレスでゲームボーイの音が聴こえてくる!
久々に聴くノイズ混じりの生音にちょっと興奮していたら、なかなか進まない画面。そう、カートリッジの接触不良だ。ニンテンドーのロゴがキチンと表示されていない。これも “あの頃” 散々見た画面である。
令和の時代にまさか “カートリッジふーふー” することになるとは思わなかったが、今度はキチンと起動。24年前に聴きまくったオープニングBGMと、人の声で「コロコロカービィ!」と、コールされるタイトルSEに、これまで使っていなかった脳の領域が刺激されるような感慨である。8メガビットのカートリッジに収められた音源なので、お世辞にも良い音とはいえないのだが、今年聴いた音源で一番震えたかもしれない。
『コロコロカービィ』のBGMは、基本的にコースごとに用意されている。楽曲をひとしきり聴くにはゲームプレイが必須だ。スタートメニューにBGMを聴くことができる「サウンドセレクト」画面もあるが、ここは転がしてやらないことにはカービィに無作法というもの。
結果、会社のオフィスで一心不乱にゲームボーイカラーを傾けることになるのだが、幸いにも “取材日” は在宅勤務や打ち合わせで自分の周りは総出払い。安心してプレイに集中することができた。
レベル1の計4ステージをやってみて、1-1で流れる牧歌的なノーマルコースのBGMから、1-4で対峙するボスキャラクター “メガイター” 戦で流れるボス戦BGM、そして今に至るまで様々なシリーズで聴くことのできる “クリアダンス” などを堪能。聴いていて思わず涙ぐみそうになる。というか、少し出ていたかもしれない。やはり、「何十年越しに聴くゲームミュージック」からしか得られないバイブスは存在する。
また、完全ワイヤレスを使用したゲームプレイでどうしても気になるのが遅延だが、今回使用したトランスミッターはSBCにのみ対応。低遅延コーデックのサポート外であるが、『コロコロカービィ』についてはSBC接続であってもストレスフリーだったので、安心してカービィを転がしてもらってOKだ。
遊ぶソフトが『コロコロカービィ』である必要はないが、再度世に出てきたスケルトンカラーにくすぶる “あの頃” の残滓と、スケルトンなゲームボーイや、ワンダースワンが家に眠っているのなら是非スケルトンなTWSと組み合わせて楽しんで頂きたい。実のところゲーム機とTWSのカラーがスケルトンである必要はないのだが、気持ちを作っていくことは重要だし、特にこの暑い時期、そのサウンドを聴けば一瞬で “あの頃の夏休み” に引き戻されることだろう。
余談ではあるが、今回取材の様子を撮影してもらうにあたり、他の島に席を構える編集部員に試聴風景の撮影を頼みこんだのだが、世代的にゲームボーイカラーと同年代であるとのこと。今年の取材で一番堪えたかもしれない。