【第157回】ミヤザキタケルの気軽にホームシネマ
星野源、佐久間宣行も推薦!ひねくれ教師と問題児の心の交流を描くアカデミー賞受賞の感動作
サブスクで映画を観ることが当たり前となりつつある昨今、その豊富な作品数故に、一体何を観たら良いのか分からない。そんな風に感じたことが、あなたにもありませんか。本コラムでは、映画アドバイザーとして活躍するミヤザキタケルが水先案内人となり、選りすぐりの一本をあなたにお届け。今回は2023年製作の『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』をご紹介します!
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『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』(2023年・アメリカ)
(配信:Amazon Prime Video)
第96回アカデミー賞にて作品賞、脚本賞、主演男優賞、助演女優賞、編集賞の5部門にノミネートされ、ダヴァイン・ジョイ・ランドルフが助演女優賞を受賞したアレクサンダー・ペイン監督作。1970年冬、ボストン近郊にある全寮制のバートン校。クリスマス休暇のため親元へ帰る生徒が大半を占める中、それぞれの事情で学校に残る生徒たちの監督役を務めることになった偏屈で嫌われ者の考古学教師・ハナム(ポール・ジアマッティ)。母親の再婚に伴い急遽学校に残ることになった、秀才ながらも問題を抱えるアンガス(ドミニク・セッサ)。愛する息子をベトナム戦争で亡くしたばかりの料理長メアリー(ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ)。それぞれに抱える問題も立場も異なる3人は、雪に閉ざされた学校で生活を共にしていくのだが……。
誰だって心に何かしらの痛みや悲しみを背負って生きている。が、誰彼構わずその思いを開示することはできないし、開示されたとて、誰もが受け止め切れるとも限らない。また、異なる立場として接している内は、決して立ち入ることのできない領域が互いにある。そんな中、休暇を共に過ごすことになり、初めの内は“教師”と“生徒”として接していたものの、さまざまな出来事を経て、互いの痛みや悲しみに触れていき、次第に“人”と“人”として対等に接し始めていくハナムとアンガス。また、そんな2人を見守るメアリーも交えて、徐々に擬似家族のようなつながりが3人の間で芽生えていく。その描き方がとにかく魅力的!
それぞれに痛みや悲しみを背負っていることを徐々に知っていき、どのように相手と接するべきかを考え、時に歩み寄り、時に衝突し、考え抜いた果てに行動し、心を通い合わせていく。その繊細な人間模様に、きっと胸打たれてしまうはず。人間関係に疲れた時、心の浄化が必要な時、やさしい気持ちに包まれたい時、この作品はきっとあなたの心に寄り添ってくれると思います。
(C)2023 MIRAMAX DISTRIBUTION SERVICES, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
※本稿記載の配信サービスは執筆時点のものになります。
『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』(2023年・アメリカ)
(配信:Amazon Prime Video)
第96回アカデミー賞にて作品賞、脚本賞、主演男優賞、助演女優賞、編集賞の5部門にノミネートされ、ダヴァイン・ジョイ・ランドルフが助演女優賞を受賞したアレクサンダー・ペイン監督作。1970年冬、ボストン近郊にある全寮制のバートン校。クリスマス休暇のため親元へ帰る生徒が大半を占める中、それぞれの事情で学校に残る生徒たちの監督役を務めることになった偏屈で嫌われ者の考古学教師・ハナム(ポール・ジアマッティ)。母親の再婚に伴い急遽学校に残ることになった、秀才ながらも問題を抱えるアンガス(ドミニク・セッサ)。愛する息子をベトナム戦争で亡くしたばかりの料理長メアリー(ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ)。それぞれに抱える問題も立場も異なる3人は、雪に閉ざされた学校で生活を共にしていくのだが……。
誰だって心に何かしらの痛みや悲しみを背負って生きている。が、誰彼構わずその思いを開示することはできないし、開示されたとて、誰もが受け止め切れるとも限らない。また、異なる立場として接している内は、決して立ち入ることのできない領域が互いにある。そんな中、休暇を共に過ごすことになり、初めの内は“教師”と“生徒”として接していたものの、さまざまな出来事を経て、互いの痛みや悲しみに触れていき、次第に“人”と“人”として対等に接し始めていくハナムとアンガス。また、そんな2人を見守るメアリーも交えて、徐々に擬似家族のようなつながりが3人の間で芽生えていく。その描き方がとにかく魅力的!
それぞれに痛みや悲しみを背負っていることを徐々に知っていき、どのように相手と接するべきかを考え、時に歩み寄り、時に衝突し、考え抜いた果てに行動し、心を通い合わせていく。その繊細な人間模様に、きっと胸打たれてしまうはず。人間関係に疲れた時、心の浄化が必要な時、やさしい気持ちに包まれたい時、この作品はきっとあなたの心に寄り添ってくれると思います。
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ミヤザキタケル 1986年生まれ、長野県出身。2015年より「映画アドバイザー」として活動を始める。 宝島社sweetでの連載をはじめ、WEB、雑誌、ラジオなどで、心から推すことのできる映画を 紹介。そのほか、イベント登壇、MC、映画祭審査員、BRUTUS「30 人のシネマコンシェル ジュ」など、幅広く活動中。 |