公開日 2009/11/26 11:20
高音質&高画質を実現する「FORSシステム」で生まれ変わったブルーレイ「幻魔大戦」「ファイブスター物語」
鈴木桂水氏が観た!聴いた!
11月27日に、「幻魔大戦」と「ファイブスター物語」がブルーレイで発売される。「幻魔大戦」は1983年、「ファイブスター物語」は1989年と、製作されてから20年以上経っている両作だが、(株)キュー・テックが開発した独自の高音質・高画質BDマスタリングシステム「FORS system」でブルーレイ化が行われている。今回、評論家の鈴木桂水氏がキュー・テックの技術者の方々にお話を伺った。
■「FORS System」とは何か
FORSは「Faithful Original Signal」の略で、マスターテープのクオリティを忠実にパッケージングすることを目指している。特徴は「マスタリングの際に発生する、各機器間での伝送時の信号劣化」に注目し、これを解消すべくマスタリング工程のシステムを見直した点だ。
工程では同社が設計した独自のサウンドプロセッサーやマスタークロックジェネレーター、HDDなどを使用している。こちらはいずれも筐体に中国産御影石の「山西黒」を3cm厚で採用し、振動による影響を低減。また各機器間にはアイソレーショントランスを使用し、音や映像の信号以外をブロック。さらに、機器をつなぐケーブルも精査。フルテック製コネクターを採用した電源ケーブルなどを使用している。エンコードに使うPCも御影石を乗せて振動を抑える。
振動対策、電源対策、ケーブルへの配慮など、オーディオ好きの方ならば「分かる分かる」とうなずいてしまうのではないだろうか。電源や振動対策は音質向上対策の基本の基本。効果が発揮されることは、ご自身のシステムで体感されていることだろう。
■マスターを忠実にBDへ収録するために − 技術者に訊く「FORS」
今回鈴木氏がお話を伺ったのは“FORSマイスター”のお三方だ。
*安立幸一氏:第1デジタルメディア制作部 部長
*中林圭一氏:編集部 音響グループ マネージャー。音声の調整を担当
*稲見成彦氏:第1デジタルメディア制作部 第2制作グループ。映像のエンコードを担当
鈴木氏:FORSシステムについて詳しく教えて下さい。
安立氏:まずはじめに。FORSはジッターを除去したりするものではありません。ノイズやジッターを除去したマスターを元に、それを忠実にブルーレイへ収録するためのシステムなんです。
伝送環境が悪いと、0/1のパルス信号のエッジが丸まってしまいますが、これが音色や映像に影響を及ぼすのです。そのため私達は8ch FORS Sound Processorを使い、信号を正確な波形のまま伝送します。
FORS Sound Processorを経由しProToolsで音声処理を行う際は、Rubidium Master Clock Generatorで高精度にクロックを合わせています。ルビジウムを採用したのは、マスタリングスタジオでクリスタル以上の精度を持つクロックを採用しているところが多いためです。
映像は、特注のPCでMPEG-4 AVCにエンコードします。こちらも厚みのある黒御影石で上下を挟み、振動対策をしています。
処理された音声と映像の信号は、一旦FORS Hi-Definition Data Storageに保存され、オーサリングをしたのち、また別のFORS Hi-Definition Data Storageに保存される、という流れになります。
鈴木氏:FORS Sound Processorなどは、キュー・テックで独自に開発したものなのですよね?
稲見氏:はい。我々が設計した独自の機器です。HDDも、こんな風に立派な別電源を搭載したものは中々無いと思います。
鈴木氏:ストレージはHDDではなく、非回転系のSSDの方が音が良いのではと思ってしまうのですが?
安立氏:SSDも検討しましたが、現時点で一番FORSとして音が良いということになり、HDDを採用しました。
鈴木氏:なるほど。こうやってできたデータをブルーレイにカッティングするためにも、独自の施設を持っているのですよね。
安立氏:はい。親会社であるメモリーテックのつくば工場に、FORS専用のカッティングプロセスを導入しています。
工場では、データをネットワークでやりとりせず全てHDD経由による物理的な移動で行っていることが大きな特徴です。クロックを使って同期させ、精度の高いカッティングを実現しているのです。
■ブルーレイ「幻魔大戦」「ファイブスター物語」ができるまで
鈴木氏:今回のブルーレイ2作品はどちらも20年以上前の古い作品ですよね。どのようなマスターを使用しているのですか?
稲見氏:「幻魔大戦」は2003年に発売したDVDの際に作成したりんたろう監督監修のデジタルニューマスターをもとに、180時間以上かけてノイズ除去などの修正を施したものを使っています。「ファイブスター物語」のマスターは、DVD(2003年発売)の際にも使ったローコンポジットフィルムを元に、50時間以上の修正をしたものです。
中林氏:当初は最新のハイスペックな音楽タイトルでないとFORSの効果が分からないかなと思っていたのですが、実際は古い作品でもハッキリと効果が分かりますね。細かいディテールが浮き出てきます。ダイナミックレンジが広がる印象ですね。ブルーレイの持つ大容量という利点をあますところなく発揮できたと思います。
■「FORS System」とは何か
FORSは「Faithful Original Signal」の略で、マスターテープのクオリティを忠実にパッケージングすることを目指している。特徴は「マスタリングの際に発生する、各機器間での伝送時の信号劣化」に注目し、これを解消すべくマスタリング工程のシステムを見直した点だ。
工程では同社が設計した独自のサウンドプロセッサーやマスタークロックジェネレーター、HDDなどを使用している。こちらはいずれも筐体に中国産御影石の「山西黒」を3cm厚で採用し、振動による影響を低減。また各機器間にはアイソレーショントランスを使用し、音や映像の信号以外をブロック。さらに、機器をつなぐケーブルも精査。フルテック製コネクターを採用した電源ケーブルなどを使用している。エンコードに使うPCも御影石を乗せて振動を抑える。
振動対策、電源対策、ケーブルへの配慮など、オーディオ好きの方ならば「分かる分かる」とうなずいてしまうのではないだろうか。電源や振動対策は音質向上対策の基本の基本。効果が発揮されることは、ご自身のシステムで体感されていることだろう。
■マスターを忠実にBDへ収録するために − 技術者に訊く「FORS」
今回鈴木氏がお話を伺ったのは“FORSマイスター”のお三方だ。
*安立幸一氏:第1デジタルメディア制作部 部長
*中林圭一氏:編集部 音響グループ マネージャー。音声の調整を担当
*稲見成彦氏:第1デジタルメディア制作部 第2制作グループ。映像のエンコードを担当
鈴木氏:FORSシステムについて詳しく教えて下さい。
安立氏:まずはじめに。FORSはジッターを除去したりするものではありません。ノイズやジッターを除去したマスターを元に、それを忠実にブルーレイへ収録するためのシステムなんです。
伝送環境が悪いと、0/1のパルス信号のエッジが丸まってしまいますが、これが音色や映像に影響を及ぼすのです。そのため私達は8ch FORS Sound Processorを使い、信号を正確な波形のまま伝送します。
FORS Sound Processorを経由しProToolsで音声処理を行う際は、Rubidium Master Clock Generatorで高精度にクロックを合わせています。ルビジウムを採用したのは、マスタリングスタジオでクリスタル以上の精度を持つクロックを採用しているところが多いためです。
映像は、特注のPCでMPEG-4 AVCにエンコードします。こちらも厚みのある黒御影石で上下を挟み、振動対策をしています。
処理された音声と映像の信号は、一旦FORS Hi-Definition Data Storageに保存され、オーサリングをしたのち、また別のFORS Hi-Definition Data Storageに保存される、という流れになります。
鈴木氏:FORS Sound Processorなどは、キュー・テックで独自に開発したものなのですよね?
稲見氏:はい。我々が設計した独自の機器です。HDDも、こんな風に立派な別電源を搭載したものは中々無いと思います。
鈴木氏:ストレージはHDDではなく、非回転系のSSDの方が音が良いのではと思ってしまうのですが?
安立氏:SSDも検討しましたが、現時点で一番FORSとして音が良いということになり、HDDを採用しました。
鈴木氏:なるほど。こうやってできたデータをブルーレイにカッティングするためにも、独自の施設を持っているのですよね。
安立氏:はい。親会社であるメモリーテックのつくば工場に、FORS専用のカッティングプロセスを導入しています。
工場では、データをネットワークでやりとりせず全てHDD経由による物理的な移動で行っていることが大きな特徴です。クロックを使って同期させ、精度の高いカッティングを実現しているのです。
■ブルーレイ「幻魔大戦」「ファイブスター物語」ができるまで
鈴木氏:今回のブルーレイ2作品はどちらも20年以上前の古い作品ですよね。どのようなマスターを使用しているのですか?
稲見氏:「幻魔大戦」は2003年に発売したDVDの際に作成したりんたろう監督監修のデジタルニューマスターをもとに、180時間以上かけてノイズ除去などの修正を施したものを使っています。「ファイブスター物語」のマスターは、DVD(2003年発売)の際にも使ったローコンポジットフィルムを元に、50時間以上の修正をしたものです。
中林氏:当初は最新のハイスペックな音楽タイトルでないとFORSの効果が分からないかなと思っていたのですが、実際は古い作品でもハッキリと効果が分かりますね。細かいディテールが浮き出てきます。ダイナミックレンジが広がる印象ですね。ブルーレイの持つ大容量という利点をあますところなく発揮できたと思います。
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