公開日 2018/09/02 08:24
<IFA>ソニーの有機ELスマホ「Xperia XZ3」は“ブラビア”の画づくり+シリーズ最高音質を搭載。その誕生秘話を開発者に訊いた
<山本敦のAV進化論 第166回>
ソニーモバイルがXperiaシリーズとしては初めてになる、6.0型+QHD(2,880×1,440画素)のHDR有機ELディスプレイを搭載したAndroidスマートフォン「Xperia XZ3」をIFA2018で発表した。
縦長画面の片手持ち操作を容易にする新UI「Side Sence」も注目の新製品だ。IFA2018の会場でソニーモバイルの開発を訪ねて、新製品の誕生秘話をインタビューした。
今回のインタビューに答えていただいたのはXperia XZ3の商品企画を担当した、ソニーモバイルコミュニケーションズ(株)の矢部椋氏、同社のハードウェアの商品設計を担当したソニーモバイルコミュニケーションズ(株)柏木康孝氏、プロダクトデザインを担当したソニー(株)クリエイティブセンターのデザイナー 大谷祐介氏だ。
Xperia XZ3は「Z」から続くシリーズの “ど真ん中” にあたる主力モデル。2018年の春夏モデルとして日本で発売された「Xperia XZ2」の後継機種になる。地域によってはXZ2と併売されるケースもあるようだ。日本では秋以降にどのようなかたちで登場するのだろうか。
現行モデルのXZ2は18対9の縦長FHD+のHDRディスプレイ、4K/HDR動画も可能な高機能カメラ、そしてアナログイヤホンジャックを初めて省略してUSB Type-Cによるデジタル接続に絞ったところなどに注目が集まった。Xperia XZ3になって大きく進化したポイントを中心に深く掘り下げていこうと思う。
なおXperia XZ3の機能・スペックは発表速報や動画レポート、新機能「サイドセンス」「スマートローンチ」の動画レポートも合わせて読んでみてほしい。
■ブラビアのチームと有機ELの画づくりを丁寧に行った
まずは注目の有機ELディスプレイにフォーカスしよう。意外にも本機はXperia初の有機ELディスプレイ搭載スマホだ。ソニーグループ全体としては言うまでもなく、コンシューマー向けのテレビ “ブラビア” や放送・業務用マスターモニター「BVM-X300」をはじめ、有機ELを採用する商品で既に多くの経験を積んできた。Xperia XZ3は単に有機ELディスプレイを乗せたスマホではなく、「画づくり」の面で他社製品にない大きな強みがあるという。
「Xperiaに有機ELを搭載することは以前から検証を進めてきました。当社が求める基準にデバイスの成熟度が到達したこと、画づくりが満足できるレベルまで仕上げられたことが、今回のタイミングでXZ3として発表できた理由です」(矢部氏)
画づくりについてはブラビアのエンジニアも参加して知見を交換しながら、有機ELスマホとして最適な画質に仕上げていった。超解像技術やHDRなど画質処理のコアになる「X-Reality for Mobile」や、高解像度/高輝度/広色域を表現する「トリルミナス ディスプレイ for mobile」の技術は有機ELに最適化されたものを積んでいる。画づくりで難しかった点を矢部氏に聞いた。
「有機ELは液晶と比べてもさらに細かい色味の表現が可能になりますので、チューニングは丁寧に行ってきました。現行モデルのXZ2で世界初の4K/HDR動画撮影機能を搭載しましたが、XZ3とXZ2では撮影した4K/HDR動画の見栄えがまた変わってきます。XZ3では低階調のエリアも色がしっかりと引き立ってくるところに注目してほしいと思います。細かなところまで表現できる分、細かな所にすべて手を入れて画づくりに取り組んできました」(矢部氏)
約6.0型のディスプレイはアスペクト比を縦長な18対9として、パネルの側面をカーブさせた強化ガラスを採用する。ディスプレイの上下のベゼルにスピーカーやインカメラが乗る領域を確保しているが、いま流行の全画面デザインにほぼ近づいた印象だ。本体の横幅サイズはXZ2の72mmに対してXZ3は73mmと、画面は大きくなったのにほぼ変わらない。片手持ちでの操作感はおよそ6.0型のスマホを手にしているとは思えないほどだった。
画面は黒色の沈み込みが深く、明部の色再現もきめ細かい。プリインストールされているデモ映像を見る限り、立体的な奥行き感にも富んでいる。NetflixやAmazonプライム・ビデオのコンテンツをじっくり視聴してみたくなる。ニット数は非公開としているが、ピーク輝度は一般的なHDR対応のテレビに相当するレベルにまで到達できていると矢部氏が説いている。ブラビアのチームとのノウハウの共有はどのようなところに活きているのだろうか。
「ブラビアの画づくりの方向性に合わせて色味やコントラスト感を自然な方向に整えたり、有機ELによるHDR映像の再現については当社のエンジニアと膝を詰めながら、ソニーの画づくりの3要素である『高精細・広色域・高コントラスト』を再現できるように練り上げてきました。ディスプレイ設定のデフォルト値である『Standard』がXZ3が推奨する画質です。X-Reality fo mobileをオフにして、ディスプレイ設定を『Professional』に切り替えるとsRGB/100%で生の映像を出す設定になりますので、見比べていただくとチューニングの成果がわかると思います」(矢部氏)
IFAの会場で視聴したXZ3のディスプレイは画面を左右に傾けた時に、有機ELの場合に起こりがちな色ブレがよく抑えられている印象を受けた。柏木氏は「パネルの品質が上がってきたことも今回初めての有機EL搭載Xperiaの商品化に踏み切れた理由のひとつですが、良質なパネルの選定も行っています」と説いている。
有機ELディスプレイになったことで、画面スタンバイ時にも消費電力を抑えながら待ち受け画面のインフォメーションとして、時計や通知だけでなく、キャラクターのステッカー画像やカメラで撮影した写真などが表示できる「Always on Display」の機能も初めて搭載されている。画面に表示された写真をダブルタップすると端末のロックを解除しなくても写真を全画面表示にして見られるので便利だ。
縦長画面の片手持ち操作を容易にする新UI「Side Sence」も注目の新製品だ。IFA2018の会場でソニーモバイルの開発を訪ねて、新製品の誕生秘話をインタビューした。
今回のインタビューに答えていただいたのはXperia XZ3の商品企画を担当した、ソニーモバイルコミュニケーションズ(株)の矢部椋氏、同社のハードウェアの商品設計を担当したソニーモバイルコミュニケーションズ(株)柏木康孝氏、プロダクトデザインを担当したソニー(株)クリエイティブセンターのデザイナー 大谷祐介氏だ。
Xperia XZ3は「Z」から続くシリーズの “ど真ん中” にあたる主力モデル。2018年の春夏モデルとして日本で発売された「Xperia XZ2」の後継機種になる。地域によってはXZ2と併売されるケースもあるようだ。日本では秋以降にどのようなかたちで登場するのだろうか。
現行モデルのXZ2は18対9の縦長FHD+のHDRディスプレイ、4K/HDR動画も可能な高機能カメラ、そしてアナログイヤホンジャックを初めて省略してUSB Type-Cによるデジタル接続に絞ったところなどに注目が集まった。Xperia XZ3になって大きく進化したポイントを中心に深く掘り下げていこうと思う。
なおXperia XZ3の機能・スペックは発表速報や動画レポート、新機能「サイドセンス」「スマートローンチ」の動画レポートも合わせて読んでみてほしい。
■ブラビアのチームと有機ELの画づくりを丁寧に行った
まずは注目の有機ELディスプレイにフォーカスしよう。意外にも本機はXperia初の有機ELディスプレイ搭載スマホだ。ソニーグループ全体としては言うまでもなく、コンシューマー向けのテレビ “ブラビア” や放送・業務用マスターモニター「BVM-X300」をはじめ、有機ELを採用する商品で既に多くの経験を積んできた。Xperia XZ3は単に有機ELディスプレイを乗せたスマホではなく、「画づくり」の面で他社製品にない大きな強みがあるという。
「Xperiaに有機ELを搭載することは以前から検証を進めてきました。当社が求める基準にデバイスの成熟度が到達したこと、画づくりが満足できるレベルまで仕上げられたことが、今回のタイミングでXZ3として発表できた理由です」(矢部氏)
画づくりについてはブラビアのエンジニアも参加して知見を交換しながら、有機ELスマホとして最適な画質に仕上げていった。超解像技術やHDRなど画質処理のコアになる「X-Reality for Mobile」や、高解像度/高輝度/広色域を表現する「トリルミナス ディスプレイ for mobile」の技術は有機ELに最適化されたものを積んでいる。画づくりで難しかった点を矢部氏に聞いた。
「有機ELは液晶と比べてもさらに細かい色味の表現が可能になりますので、チューニングは丁寧に行ってきました。現行モデルのXZ2で世界初の4K/HDR動画撮影機能を搭載しましたが、XZ3とXZ2では撮影した4K/HDR動画の見栄えがまた変わってきます。XZ3では低階調のエリアも色がしっかりと引き立ってくるところに注目してほしいと思います。細かなところまで表現できる分、細かな所にすべて手を入れて画づくりに取り組んできました」(矢部氏)
約6.0型のディスプレイはアスペクト比を縦長な18対9として、パネルの側面をカーブさせた強化ガラスを採用する。ディスプレイの上下のベゼルにスピーカーやインカメラが乗る領域を確保しているが、いま流行の全画面デザインにほぼ近づいた印象だ。本体の横幅サイズはXZ2の72mmに対してXZ3は73mmと、画面は大きくなったのにほぼ変わらない。片手持ちでの操作感はおよそ6.0型のスマホを手にしているとは思えないほどだった。
画面は黒色の沈み込みが深く、明部の色再現もきめ細かい。プリインストールされているデモ映像を見る限り、立体的な奥行き感にも富んでいる。NetflixやAmazonプライム・ビデオのコンテンツをじっくり視聴してみたくなる。ニット数は非公開としているが、ピーク輝度は一般的なHDR対応のテレビに相当するレベルにまで到達できていると矢部氏が説いている。ブラビアのチームとのノウハウの共有はどのようなところに活きているのだろうか。
「ブラビアの画づくりの方向性に合わせて色味やコントラスト感を自然な方向に整えたり、有機ELによるHDR映像の再現については当社のエンジニアと膝を詰めながら、ソニーの画づくりの3要素である『高精細・広色域・高コントラスト』を再現できるように練り上げてきました。ディスプレイ設定のデフォルト値である『Standard』がXZ3が推奨する画質です。X-Reality fo mobileをオフにして、ディスプレイ設定を『Professional』に切り替えるとsRGB/100%で生の映像を出す設定になりますので、見比べていただくとチューニングの成果がわかると思います」(矢部氏)
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