公開日 2018/11/01 06:00
Bluetoothの「音切れ無し」と「高音質」を両立させる新技術が登場、その仕組みとは?
クアルコム「aptX Adaptive」の詳細を聞く
■aptX Adaptiveの詳細をキーマンに聞く。実際にデモも体験した
今やポータブルリスニングのメインストリームと言えるBluetoothワイヤレス。その品質および体験の鍵を握るのが音声圧縮方式、いわゆる「コーデック」であり、大きな関心事と言える。
コーデックには、全てのBluetoothオーディオ機器が基本方式として利用するSBCほか、iOSデバイスでおなじみのAAC、高音質で評価の高いQualcomm社のaptX、CD音質を超えるハイレゾ時代のaptX HDやソニーのLDACなどがあり、進化が続いている。
こうした状況下で、Qualcomm社がまた新たな規格「aptX Adaptive」を発表し話題となっている(関連ニュース)。
aptX Adaptiveのアドバンテージとは? その仕組みは? また、いつからどのように利用できるのか?今回は、Qualcomm社でaptX関連のプロダクトマーケティングディレクターを務めるJonny McClintock氏にインタビューを実施し、aptX Adaptiveの狙いと詳細を伺った。また、国内初披露されたaptX Adaptiveの評価ボードで実際のサウンドを体験することができたので、その模様もお伝えしたい。
■aptX Adaptiveの狙い −「Just Work」の意味するもの
Bluetoothは「ワイヤレス」という使い勝手の良さをもたらす一方、有線接続では一切心配不要な「音途切れ」や、圧縮による音質劣化という課題を抱えている。音切れについては、日常的に経験している読者も多いことだろう。
過去、有線かワイヤレスかはユーザーの選択に委ねられていたが、近年はイヤホン端子を持たないスマートフォンが増加傾向に。言い換えると、イヤホンはワイヤレスが当たり前になりつつある。こうしたトレンドを受け、“ワイヤレスもワイヤードと同等の感覚で利用できること”を目指して開発されたのが、新規格「aptX Adaptive」であるという。
具体的に「aptX Adaptive」が目指すのは、「robustness」(接続安定性)、高音質、低遅延の3点。しかも、ユーザーがこうした要素を意識することなく利用できる使い勝手まで考慮されているのもポイントだ。
インタビュー中、McClintock氏が「Just Work」という言葉を繰り返したのが印象的だったが、日本語のニュアンスを加えて補足すると、まさに「ユーザーはワイヤードと同等の感覚で、何の心配もする事なく、Bluetoothワイヤレスが利用できる」のが鍵と言える。
■従来のaptX各規格の内容をおさらいする
すでにaptXにはいくつかの規格がある。aptX Adaptiveを理解するには、それらとの関係を整理するのが早道だ。
aptX:
既にAndroidスマートフォン、Windows10およびMac、イヤホン/ヘッドホンを含むオーディオ機器で幅広く採用されている。スペック面では最大48kHz/16bitが扱え、圧縮はMP3やAACのように聴感心理を利用した間引きを行わず、4:1(4分の1に圧縮)の固定レート(CBR)方式を用いる。CD品質(44.1kHz/16bit)の音声を伝送する際のビットレートは352kbps。遅延の目安は70〜80msec。
aptX HD:
最大48kHz/24bitをサポートするaptXのハイレゾ対応版。アルゴリズムはaptXと同等で、48kHz/24bit時のビットレートは576kbps。遅延の目安は130msec(SBCの220msec前後、AAC [VBR]の800msec前後、LDACの1000msec前後に比べると低遅延と言える)。
aptX Low Latency:
aptX音質を実現しつつ、パケットの細分化や特殊なバッファリング手法を用いるなど送受信方法を工夫することにより、40msec以下の低遅延を達成。ビデオ視聴時やゲームプレー時、映像に対して音声が遅れる減少を最小化。ちなみに40msecとは0.04秒、30fps動画なら1.2フレーム、60fpsなら2.4フレーム相当。一般的に40msecの遅延は、遅延が全くない状態と区別が難しいとされるレベル。
今やポータブルリスニングのメインストリームと言えるBluetoothワイヤレス。その品質および体験の鍵を握るのが音声圧縮方式、いわゆる「コーデック」であり、大きな関心事と言える。
コーデックには、全てのBluetoothオーディオ機器が基本方式として利用するSBCほか、iOSデバイスでおなじみのAAC、高音質で評価の高いQualcomm社のaptX、CD音質を超えるハイレゾ時代のaptX HDやソニーのLDACなどがあり、進化が続いている。
こうした状況下で、Qualcomm社がまた新たな規格「aptX Adaptive」を発表し話題となっている(関連ニュース)。
aptX Adaptiveのアドバンテージとは? その仕組みは? また、いつからどのように利用できるのか?今回は、Qualcomm社でaptX関連のプロダクトマーケティングディレクターを務めるJonny McClintock氏にインタビューを実施し、aptX Adaptiveの狙いと詳細を伺った。また、国内初披露されたaptX Adaptiveの評価ボードで実際のサウンドを体験することができたので、その模様もお伝えしたい。
■aptX Adaptiveの狙い −「Just Work」の意味するもの
Bluetoothは「ワイヤレス」という使い勝手の良さをもたらす一方、有線接続では一切心配不要な「音途切れ」や、圧縮による音質劣化という課題を抱えている。音切れについては、日常的に経験している読者も多いことだろう。
過去、有線かワイヤレスかはユーザーの選択に委ねられていたが、近年はイヤホン端子を持たないスマートフォンが増加傾向に。言い換えると、イヤホンはワイヤレスが当たり前になりつつある。こうしたトレンドを受け、“ワイヤレスもワイヤードと同等の感覚で利用できること”を目指して開発されたのが、新規格「aptX Adaptive」であるという。
具体的に「aptX Adaptive」が目指すのは、「robustness」(接続安定性)、高音質、低遅延の3点。しかも、ユーザーがこうした要素を意識することなく利用できる使い勝手まで考慮されているのもポイントだ。
インタビュー中、McClintock氏が「Just Work」という言葉を繰り返したのが印象的だったが、日本語のニュアンスを加えて補足すると、まさに「ユーザーはワイヤードと同等の感覚で、何の心配もする事なく、Bluetoothワイヤレスが利用できる」のが鍵と言える。
■従来のaptX各規格の内容をおさらいする
すでにaptXにはいくつかの規格がある。aptX Adaptiveを理解するには、それらとの関係を整理するのが早道だ。
aptX:
既にAndroidスマートフォン、Windows10およびMac、イヤホン/ヘッドホンを含むオーディオ機器で幅広く採用されている。スペック面では最大48kHz/16bitが扱え、圧縮はMP3やAACのように聴感心理を利用した間引きを行わず、4:1(4分の1に圧縮)の固定レート(CBR)方式を用いる。CD品質(44.1kHz/16bit)の音声を伝送する際のビットレートは352kbps。遅延の目安は70〜80msec。
aptX HD:
最大48kHz/24bitをサポートするaptXのハイレゾ対応版。アルゴリズムはaptXと同等で、48kHz/24bit時のビットレートは576kbps。遅延の目安は130msec(SBCの220msec前後、AAC [VBR]の800msec前後、LDACの1000msec前後に比べると低遅延と言える)。
aptX Low Latency:
aptX音質を実現しつつ、パケットの細分化や特殊なバッファリング手法を用いるなど送受信方法を工夫することにより、40msec以下の低遅延を達成。ビデオ視聴時やゲームプレー時、映像に対して音声が遅れる減少を最小化。ちなみに40msecとは0.04秒、30fps動画なら1.2フレーム、60fpsなら2.4フレーム相当。一般的に40msecの遅延は、遅延が全くない状態と区別が難しいとされるレベル。
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