公開日 2022/03/14 11:05
イザベル・ファウストの5作品が日本限定のSACDシングルレイヤー盤で発売。マスタリング現場でDSDの音を体験!
こだわりの機材でDSDの音を追い込む
女性ヴァイオリニストとしても世界的に高い評価を獲得し続けているイザベル・ファウストがHARMONIAMUNDI(ハルモニアムンディ)レーベルで収録したアルバム5タイトルが、日本限定のSACDシングルレイヤー盤として発売となる。発売に先立ち、キング関口台スタジオで実施された「DSDマスタリング」に取材に伺い、その音をいち早く体験してきたのでレポートしよう。
この日本限定企画盤は、オーディオ評論家でもある角田郁雄氏が、彼女のヴァイオリンの素晴らしい演奏を、日本のオーディオファンに向けてDSDならではの表現で聴いてもらいたい、という熱意から実現したもの。今回の5作品を加えて全15作品となる。
今回も、ハルモニアムンディからオリジナルのマスターデータ(PCM)を特別に提供してもらい、キング関口台スタジオでDSDマスタリングを実施。マスタリングには必ず角田氏も立ち会い、こだわりの機材を持ち込んで制作されている。
今回のこだわりのひとつはスフォルツァートのマスタークロック。マスタークロックはデジタル/アナログ変換の同期を高精度に取るものとなっているため、今回のようなマスタリングにおいては非常に重要な役割を果たす。
具体的には、SADiEのプレーヤーで再生されたマスターデータは、dCSのDAコンバーター「954」でいったんアナログに変換される。その後、今度はdCSのADコンバーター「904」にてDSDに変換する。これらの機器間の同期をより正確に追い込むためにスフォルツァートのクロックが活用されているのだ。まだ型番も正式決定していないプロトタイプモデルということだが、「PMC-01」の後継にあたる、同社のフラグシップとなるマスタークロックジェネレーターとなる。
もう一つのこだわりはこちらも角田氏の愛用するXLRケーブル、ノードストの「VALHALLA2」。マスタリングを手掛ける辻 裕行さんもこのサウンドには驚いたようで、DSDマスタリングの際には必ずこのケーブルを使ってサウンドを追い込んでいるのだという。
マスターとなる大元のデータはいじらずに、しかしDSDの旨味を引き出すためにはどういった機材構成が良いか、さまざまな検討を重ねた上で今回のシステムに行き着いたのだという。
取材時には、シェーンベルクの「浄夜 op.4(弦楽六重奏曲版)」を中心として聴き比べながら最終的な音決めがなされていた。「浄夜」はダイナミックレンジの広さをうまく器に収める難しさに加えて、おどろおどろしく暗い世界観に、いかに聴き手を引き込むかということが重要な楽曲。実際にPCMとDSDのデータを聴き比べてみると、PCMのデータではすこしあっさりしていた部分が、DSDではより濃密な魔術の世界に引き込まれるよう。
またメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲では、いかにもロマン派らしいメロディアスで美しい旋律はそのままに、ソロの聴かせどころをさらに鮮明に、またオーケストレーションの厚みも増したように感じられる。
角田氏も今回のDSDサウンドに深く納得しているようで、「CDでは少しキツいと感じられたかも知れない部分がDSDではぐっと柔らかくなって、弦のアーティキュレーションもより感じていただけるように思っています。弦のしなやかさ、金管楽器のまばゆさなどにも注目してお聴きいただければと思います」と思いを語ってくれた。
今回発売になるタイトルは以下の5作品。いずれも価格は4,582円(税込)、国内取扱はキングインターナショナル。4月中旬の発売予定となっている。
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲、交響曲第5番「宗教改革」
パブロ・エラス=カサド(指揮)、フライブルク・バロック・オーケストラ
HMSA-0044
シェーンベルク:ヴァイオリン協奏曲、浄夜
ダニエル・ハーディング(指揮)、スウェーデン放送交響楽団 ほか
HMSA-0045
ドビュッシー:最後の3つのソナタ ほか
アレクサンドル・メルニコフ(ピアノ)ほか
HMSA-0046
ウェーバー: 6つのヴァイオリン・ソナタ Op.10、ピアノ四重奏曲 Op.8
アレクサンドル・メルニコフ(ピアノ)ほか
HMSA-0047
シューベルト:八重奏曲
アンネ・カタリーナ・シュライバー、ダヌシャ・ヴァスキエヴィチ ほか
HMSA-0048
この日本限定企画盤は、オーディオ評論家でもある角田郁雄氏が、彼女のヴァイオリンの素晴らしい演奏を、日本のオーディオファンに向けてDSDならではの表現で聴いてもらいたい、という熱意から実現したもの。今回の5作品を加えて全15作品となる。
今回も、ハルモニアムンディからオリジナルのマスターデータ(PCM)を特別に提供してもらい、キング関口台スタジオでDSDマスタリングを実施。マスタリングには必ず角田氏も立ち会い、こだわりの機材を持ち込んで制作されている。
今回のこだわりのひとつはスフォルツァートのマスタークロック。マスタークロックはデジタル/アナログ変換の同期を高精度に取るものとなっているため、今回のようなマスタリングにおいては非常に重要な役割を果たす。
具体的には、SADiEのプレーヤーで再生されたマスターデータは、dCSのDAコンバーター「954」でいったんアナログに変換される。その後、今度はdCSのADコンバーター「904」にてDSDに変換する。これらの機器間の同期をより正確に追い込むためにスフォルツァートのクロックが活用されているのだ。まだ型番も正式決定していないプロトタイプモデルということだが、「PMC-01」の後継にあたる、同社のフラグシップとなるマスタークロックジェネレーターとなる。
もう一つのこだわりはこちらも角田氏の愛用するXLRケーブル、ノードストの「VALHALLA2」。マスタリングを手掛ける辻 裕行さんもこのサウンドには驚いたようで、DSDマスタリングの際には必ずこのケーブルを使ってサウンドを追い込んでいるのだという。
マスターとなる大元のデータはいじらずに、しかしDSDの旨味を引き出すためにはどういった機材構成が良いか、さまざまな検討を重ねた上で今回のシステムに行き着いたのだという。
取材時には、シェーンベルクの「浄夜 op.4(弦楽六重奏曲版)」を中心として聴き比べながら最終的な音決めがなされていた。「浄夜」はダイナミックレンジの広さをうまく器に収める難しさに加えて、おどろおどろしく暗い世界観に、いかに聴き手を引き込むかということが重要な楽曲。実際にPCMとDSDのデータを聴き比べてみると、PCMのデータではすこしあっさりしていた部分が、DSDではより濃密な魔術の世界に引き込まれるよう。
またメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲では、いかにもロマン派らしいメロディアスで美しい旋律はそのままに、ソロの聴かせどころをさらに鮮明に、またオーケストレーションの厚みも増したように感じられる。
角田氏も今回のDSDサウンドに深く納得しているようで、「CDでは少しキツいと感じられたかも知れない部分がDSDではぐっと柔らかくなって、弦のアーティキュレーションもより感じていただけるように思っています。弦のしなやかさ、金管楽器のまばゆさなどにも注目してお聴きいただければと思います」と思いを語ってくれた。
今回発売になるタイトルは以下の5作品。いずれも価格は4,582円(税込)、国内取扱はキングインターナショナル。4月中旬の発売予定となっている。
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲、交響曲第5番「宗教改革」
パブロ・エラス=カサド(指揮)、フライブルク・バロック・オーケストラ
HMSA-0044
シェーンベルク:ヴァイオリン協奏曲、浄夜
ダニエル・ハーディング(指揮)、スウェーデン放送交響楽団 ほか
HMSA-0045
ドビュッシー:最後の3つのソナタ ほか
アレクサンドル・メルニコフ(ピアノ)ほか
HMSA-0046
ウェーバー: 6つのヴァイオリン・ソナタ Op.10、ピアノ四重奏曲 Op.8
アレクサンドル・メルニコフ(ピアノ)ほか
HMSA-0047
シューベルト:八重奏曲
アンネ・カタリーナ・シュライバー、ダヌシャ・ヴァスキエヴィチ ほか
HMSA-0048