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公開日 2008/01/16 14:07
話題のH.264録画はどっちが便利? DMR-BW900とBDZ-X90で頂上対決(後編)
この冬のBDレコーダーの中で大本命と目されるソニーの「BDZ-X90」とパナソニックの「DMR-BW900」。両機種ともにハイビジョン画質で長時間録画が出来るH.264方式の録画に対応している。しかし、この両者が採用するH.264はまったく同じではなく、若干の差異がある。
ソニー、パナソニックともにMPEG-4 H.264/AVCという方式を採用している。しかしパナソニックのみDVDへのH.264記録が可能なAVCRECという方式に対応している。では、ソニーのBDZ、パナソニックデイーガを使い、それぞれのH.264モードで録画した場合は互換性は保たれるのだろうか? 検証したのが下記の結果だ。
■検証1
ソニーBDZ-X90、パナソニックDMR-BW900を使い初期設定のままH.264形式で録画した番組をTDK製のBD-Rメディアにムーブして保存して互換性をチェック。
・結果
<BDZ-X90で記録したBD-R>
DMR-BW900 [○]
PLAYSTATION3 [○]
<DMR-BW900で記録したBD-R(高速ダビング・ムーブ)>
BDZ-X90 [×]
PLAYSTATION3 [×]
<DMR-BW900で記録したBD-R(互換性優先/実時間ダビング・ムーブ)>
BDZ-X90 [○]
PLAYSTATION3 [○]
記録したディスクをテストしたところBDZ-X90で記録したBD-Rは、DMR-BW900で再生できるが、DMR-BW900を使い高速ダビングモードで記録したBD-RはBDZ-X90では再生できなかった。そのほかにPLAYSTATION3でも再生してみた。筆者の所有するPLAYSTATION3では、BDZ-X90、DMR-BW900のどちらで作成したBD-Rも再生できなかった。しかし、記事掲載後、多くの読者の方から「PLAYSTATION3のファームが最新版ではないのが原因ではないか」とのご指摘をいただき、あらためて確認したところ、筆者の所有するPLAYSTATION3のファームが古くH.264の再生に対応していなかった。そこでファームを更新したところ、BDZ-X90とDMR-BW900の互換優先モードで作成したディスクはどちらもPLAYSTATION3での再生が確認できた。※読者の皆様には筆者の確認不足の為に誤解を招いたことをお詫びします。またご指摘をいただいた方には感謝しております。
結果を見るとパナソニックのDMR-BW900を使い高速記録したBD-Rは他の製品では再生できない。もしDMR-BW900を使って互換性を優先したH.264記録をするには、記録する際の音声フォーマットの変更が必要だ。
DMR-BW900で、互換性を優先する設定の変更は設定メニューの「記録設定」から「HG〜HEのディスク記録音声」を選び「オート」から「固定」へ変更すれば完了。工場出荷時は「オート」になっており、録画番組と同じく「ステレオ/サラウンド/二重放送音声」を放送のまま記録できる。これはパナソニックが採用するAVCRECの特徴的な機能になっている。しかし、この方式で音声を記録するとH.264記録に対応した製品といえども、AVCRECに対応していない機種では再生できない。そこで音声記録を「HG〜HEのディスク記録音声」を「オート」から「固定」にすることで、ソニーのBDZ-X90やPLAYSTATION3のようなH.264記録に対応した製品での再生が可能になる。ただし音声を「固定」に変更すると、HDDからディスクへのムーブは実時間が必要になるので使い勝手は悪くなる。
ちなみにソニーのH.264記録は「XR」、「XSR」、「SR」、「LSR」に関してはサラウンド放送で記録するが、「LR」、「ER」はステレオでの記録になる。二重放送音声は主または副音声のどちらかを設定により選択して記録する。画質を変更しない限り、HDDからディスクメディアへは高速ムーブ(ダビング)が行える。
テストをしてみると、同じH.264方式の記録でもソニーとパナソニックでは使い勝手に違いが出ていることがわかった。これは製品選びでは重要なポイントになるだろう。高速ダビングを利用しつつ、他社の製品との互換性も視野に入れるなら、ソニーのBDZシリーズが使いやすい。DVDへのハイビジョン録画に魅力を感じるならパナソニック方式が選択肢となるが、互換性には制限ができてしまう。
今後HD画質での録画はH.264記録が主流になることは確実だ。ただ、同じBDといえども、H.264記録の登場で、いわば「ソニー方式」と「パナソニック方式」が出来てしまったように感じる。
どちらの方式が便利かはユーザーの使用状況によるので一概に判断は出来ない。ソニー方式とパナソニック方式を比較した場合、多くのユーザーが気にするのは、「DVDへのHD画質記録機能」だろう。ここが選択の別れ目になっており、もしDVDへの記録に魅力を感じるなら、間違いなくパナソニックのBDデイーガが選択肢になる。しかし、DVDに記録した場合、現時点での再生環境はとても限られる。これは高速ダビングが可能なAVCRECを選んでBDに記録した場合も同じことだ。
今回テストした2機種に限って比較するなら、互換性で迷わないのはソニーのBDZ-X90の方だ。それは記録メディアをBD-Rに1本化しており、メディアの選択に迷わないからだ。さらにBDZ-X90で記録したBDディスクをパナソニックの製品でも再生出来たのは安心感がある。
筆者のテスト環境には12cmの光ディスクだけで、各種CDメディア、DVDメディア、BDメディア、HD DVDメディアがある。12cmの光ディスクだけでも10種類近いメディアが家に散らかっているのだ。その中で最近とくに厄介なのがDVDメディアだ。DVDにはパソコン用のデータ(DVD-ROM)、ビデオデータ(DVDビデオ)に加え、東芝のRD-A301を使ったHD Recを記録したDVD-Rに、DMR-BW900のAVCRECで記録したDVD-Rも加わることになる。それだけでは済まない。ハイビジョンムービーを保存するAVCHD方式で記録したDVD-Rもあるのだ。HD Rec、AVCREC、AVCHDという3種類はどれも再生環境が異なる。うっかりプリンタブル用のホワイトラベルに記録して、タイトルの記入を怠ったりすれば、目当てのディスクを見つけるのに一苦労することになる。価格の安いDVD-Rが使えるのは便利だが、再生することを考えると、使い勝手には疑問が残るというのが筆者の印象だ。
現時点でのメディア単価はDVD-Rの方が安く1GBあたりのコストも約8.5円前後になっており、底値という印象だ。一方でBD-Rの価格も急降下中。激安ショップを利用して10枚単位で買えば1枚600円を切っている。1枚600円のBD-Rなら1GBあたり単価は約24円になる。今後も値下がりするなら、HD画質での記録にBDが主力になる日は近いだろう。そう見越してDVDへの記録はあきらめるというのも一つの選択肢だ。
まだ1GBあたりのコストはDVDにかなわないが、収納性を考えれば大容量のBDに記録する方が魅力的だ。ソニー方式、パナソニック方式のどちらを選ぶにしろ、これから録画に使うなら、より容量の多いBDを主軸に考えた方がいいと筆者は感じている。
■検証2
もう一つ実験をしたのでご紹介しよう。筆者は2007年7月ごろに、某サイトでソニーのBDZ-V9(今回テストしたBDZ-X90の前モデル)とパナソニックのDMR-BW200(DMR-BW900の前モデル)を使って、台湾のMr.DATA製メディアへの書き込みテストを行った。テストではDMR-BW200が書き込みが可能だったものの、ソニーのBDZ-V9はMr.DATA製メディアに対応していないことがわかった。これについて両社に問い合せたところ、ソニーは「新しいメディアが発売される場合は、自社で検証し、基準を満たすメディアのみに対応している」という回答だった。
パナソニックからこの記事の掲載後に、コメントをいただいたのだが、諸般の都合により発表するチャンスを逸していた。今回のBDZ-X90とDMR-BW900のテストにあわせて、再度Mr.DATA製のBD-R、BD-REを用意して記録テストを行うとともに、他サイトでの問題ではあるが、Phile-web編集部のご厚意によりパナソニックから寄せられたコメントを紹介することにした。
◇パナソニックからのコメント
弊社は、レコーダー機器において広いユーザ層の皆様にお使い頂くために、メディアとの相性などを気にせずにお使い頂ける機器を開発する事をカンパニーポリシーと致しております。
このポリシーを実現するために次のふたつに取り組んでいます。
ひとつ目は、「最適ライトストラテジ」を各種メディアに対して自動生成する先進機能を搭載して、より安定かつ高品質な書き込みを実現することです。
BD記録ドライブはメディアの微妙な違いに合わせて、書き込み方法を変えることで、より品質の高い書き込みを実現します。
この書き込み方法は「ライトストラテジ」と呼ばれ、通常は機器のファームウェア内に収録されています。膨大な「ライトストラテジ」パターンを持つ製品から、限られたパターンしか持たない製品まであり、当然書き込み品質の差違に繋がってきます。
パナソニックのレコーダーは、ファームウェアに収録された「ライトストラテジ」情報のみに頼らず、最適ライトストラテジを自動生成する先進機能を搭載していることにより、高品位の書き込みが可能です。
ふたつ目は、機器メーカーとして常々世界中のメディアメーカーと密なコンタクトを取っていることです。Mr.DATAにディスクを供給している台湾メーカーともこの関係を築いています。そのため当該ディスク(の発売時にはメディア)の特性は、いち早く評価し確認済みでした。
というのがパナソニックのコメントだ。
BDやDVDメディアにはあらかじめMID(マニュファクチャーID)という情報が記録されている。これにはメーカー名など、メディアの素性がわかる情報が記録されている。レコーダーはメディアが使用する色素などの特性に合わせて最適な記録が出来るように、このMIDデータを読取り、レーザー出力を調整するなどして記録する。これを「ライトストラテジー」と呼んでいる。もしレコーダーのファームウェア該当するディスクのMIDデータの情報がなければライトストラテジーは特定できないために書き込みは行わないというのが一般的だ。
ソニーは、新しいメディアが発売される場合は、一度検証してからMIDデータを「ライトストラテジー」情報と関連づけてレコーダーのファームウェアに登録している。筆者がテストを行った2007年7月時点では、BDZ-V9にはMr.DATA製メディアのMIDデータが登録されていなかったので、BDZ-V9は対応しなかった。
しかしパナソニックはこの時点でいち早く検証を終えており、さらにMIDの登録が無いメディアでも「最適ライトストラテジを各種メディアに対して自動生成する」先進機能を搭載している事により、Mr.DATA製メディアへの書き込みが可能だった、ということだ。
さて今回テストをしたところ、BDZ-V9、BDZ-X90、DMR-BW900ともにMr.DATA製メディアへの書き込みが確認できた。
実際のところ国産メーカーのメディアなら、発売時にMIDが登録されているので、ソニー、パナソニックともに書き込みに対応しないということは無いだろう。筆者はメーカーが確認した上で、記録を可能にすればいいと考える。一方、MIDの登録が無くても記録できるパナソニックの方式は、今回のように出始めの台湾製メディアへの書き込みにいち早く挑戦したい人に重宝がられる機能だと感じた。
さて、肝心のテストだがソニーのBDZ-V9、BDZ-X90、パナソニックのDMR-BW900のすべてでMr.DATA製のBD-R、BD-REへの書き込みが可能だった。
(鈴木桂水)
執筆者プロフィール
元産業用ロボットメーカーの開発、設計担当を経て、現在はAV機器とパソコン周辺機器を主に扱うフリーライター。テレビ番組表を日夜分析している自称「テレビ番組表アナリスト」でもある。ユーザーの視点と元エンジニアの直感を頼りに、使いこなし系のコラムを得意とする。そのほかAV機器の情報雑誌などで執筆中。
>>鈴木桂水氏のブログはこちら
ソニー、パナソニックともにMPEG-4 H.264/AVCという方式を採用している。しかしパナソニックのみDVDへのH.264記録が可能なAVCRECという方式に対応している。では、ソニーのBDZ、パナソニックデイーガを使い、それぞれのH.264モードで録画した場合は互換性は保たれるのだろうか? 検証したのが下記の結果だ。
■検証1
ソニーBDZ-X90、パナソニックDMR-BW900を使い初期設定のままH.264形式で録画した番組をTDK製のBD-Rメディアにムーブして保存して互換性をチェック。
・結果
<BDZ-X90で記録したBD-R>
DMR-BW900 [○]
PLAYSTATION3 [○]
<DMR-BW900で記録したBD-R(高速ダビング・ムーブ)>
BDZ-X90 [×]
PLAYSTATION3 [×]
<DMR-BW900で記録したBD-R(互換性優先/実時間ダビング・ムーブ)>
BDZ-X90 [○]
PLAYSTATION3 [○]
記録したディスクをテストしたところBDZ-X90で記録したBD-Rは、DMR-BW900で再生できるが、DMR-BW900を使い高速ダビングモードで記録したBD-RはBDZ-X90では再生できなかった。そのほかにPLAYSTATION3でも再生してみた。筆者の所有するPLAYSTATION3では、BDZ-X90、DMR-BW900のどちらで作成したBD-Rも再生できなかった。しかし、記事掲載後、多くの読者の方から「PLAYSTATION3のファームが最新版ではないのが原因ではないか」とのご指摘をいただき、あらためて確認したところ、筆者の所有するPLAYSTATION3のファームが古くH.264の再生に対応していなかった。そこでファームを更新したところ、BDZ-X90とDMR-BW900の互換優先モードで作成したディスクはどちらもPLAYSTATION3での再生が確認できた。※読者の皆様には筆者の確認不足の為に誤解を招いたことをお詫びします。またご指摘をいただいた方には感謝しております。
結果を見るとパナソニックのDMR-BW900を使い高速記録したBD-Rは他の製品では再生できない。もしDMR-BW900を使って互換性を優先したH.264記録をするには、記録する際の音声フォーマットの変更が必要だ。
DMR-BW900で、互換性を優先する設定の変更は設定メニューの「記録設定」から「HG〜HEのディスク記録音声」を選び「オート」から「固定」へ変更すれば完了。工場出荷時は「オート」になっており、録画番組と同じく「ステレオ/サラウンド/二重放送音声」を放送のまま記録できる。これはパナソニックが採用するAVCRECの特徴的な機能になっている。しかし、この方式で音声を記録するとH.264記録に対応した製品といえども、AVCRECに対応していない機種では再生できない。そこで音声記録を「HG〜HEのディスク記録音声」を「オート」から「固定」にすることで、ソニーのBDZ-X90やPLAYSTATION3のようなH.264記録に対応した製品での再生が可能になる。ただし音声を「固定」に変更すると、HDDからディスクへのムーブは実時間が必要になるので使い勝手は悪くなる。
ちなみにソニーのH.264記録は「XR」、「XSR」、「SR」、「LSR」に関してはサラウンド放送で記録するが、「LR」、「ER」はステレオでの記録になる。二重放送音声は主または副音声のどちらかを設定により選択して記録する。画質を変更しない限り、HDDからディスクメディアへは高速ムーブ(ダビング)が行える。
テストをしてみると、同じH.264方式の記録でもソニーとパナソニックでは使い勝手に違いが出ていることがわかった。これは製品選びでは重要なポイントになるだろう。高速ダビングを利用しつつ、他社の製品との互換性も視野に入れるなら、ソニーのBDZシリーズが使いやすい。DVDへのハイビジョン録画に魅力を感じるならパナソニック方式が選択肢となるが、互換性には制限ができてしまう。
今後HD画質での録画はH.264記録が主流になることは確実だ。ただ、同じBDといえども、H.264記録の登場で、いわば「ソニー方式」と「パナソニック方式」が出来てしまったように感じる。
どちらの方式が便利かはユーザーの使用状況によるので一概に判断は出来ない。ソニー方式とパナソニック方式を比較した場合、多くのユーザーが気にするのは、「DVDへのHD画質記録機能」だろう。ここが選択の別れ目になっており、もしDVDへの記録に魅力を感じるなら、間違いなくパナソニックのBDデイーガが選択肢になる。しかし、DVDに記録した場合、現時点での再生環境はとても限られる。これは高速ダビングが可能なAVCRECを選んでBDに記録した場合も同じことだ。
今回テストした2機種に限って比較するなら、互換性で迷わないのはソニーのBDZ-X90の方だ。それは記録メディアをBD-Rに1本化しており、メディアの選択に迷わないからだ。さらにBDZ-X90で記録したBDディスクをパナソニックの製品でも再生出来たのは安心感がある。
筆者のテスト環境には12cmの光ディスクだけで、各種CDメディア、DVDメディア、BDメディア、HD DVDメディアがある。12cmの光ディスクだけでも10種類近いメディアが家に散らかっているのだ。その中で最近とくに厄介なのがDVDメディアだ。DVDにはパソコン用のデータ(DVD-ROM)、ビデオデータ(DVDビデオ)に加え、東芝のRD-A301を使ったHD Recを記録したDVD-Rに、DMR-BW900のAVCRECで記録したDVD-Rも加わることになる。それだけでは済まない。ハイビジョンムービーを保存するAVCHD方式で記録したDVD-Rもあるのだ。HD Rec、AVCREC、AVCHDという3種類はどれも再生環境が異なる。うっかりプリンタブル用のホワイトラベルに記録して、タイトルの記入を怠ったりすれば、目当てのディスクを見つけるのに一苦労することになる。価格の安いDVD-Rが使えるのは便利だが、再生することを考えると、使い勝手には疑問が残るというのが筆者の印象だ。
現時点でのメディア単価はDVD-Rの方が安く1GBあたりのコストも約8.5円前後になっており、底値という印象だ。一方でBD-Rの価格も急降下中。激安ショップを利用して10枚単位で買えば1枚600円を切っている。1枚600円のBD-Rなら1GBあたり単価は約24円になる。今後も値下がりするなら、HD画質での記録にBDが主力になる日は近いだろう。そう見越してDVDへの記録はあきらめるというのも一つの選択肢だ。
まだ1GBあたりのコストはDVDにかなわないが、収納性を考えれば大容量のBDに記録する方が魅力的だ。ソニー方式、パナソニック方式のどちらを選ぶにしろ、これから録画に使うなら、より容量の多いBDを主軸に考えた方がいいと筆者は感じている。
■検証2
もう一つ実験をしたのでご紹介しよう。筆者は2007年7月ごろに、某サイトでソニーのBDZ-V9(今回テストしたBDZ-X90の前モデル)とパナソニックのDMR-BW200(DMR-BW900の前モデル)を使って、台湾のMr.DATA製メディアへの書き込みテストを行った。テストではDMR-BW200が書き込みが可能だったものの、ソニーのBDZ-V9はMr.DATA製メディアに対応していないことがわかった。これについて両社に問い合せたところ、ソニーは「新しいメディアが発売される場合は、自社で検証し、基準を満たすメディアのみに対応している」という回答だった。
パナソニックからこの記事の掲載後に、コメントをいただいたのだが、諸般の都合により発表するチャンスを逸していた。今回のBDZ-X90とDMR-BW900のテストにあわせて、再度Mr.DATA製のBD-R、BD-REを用意して記録テストを行うとともに、他サイトでの問題ではあるが、Phile-web編集部のご厚意によりパナソニックから寄せられたコメントを紹介することにした。
◇パナソニックからのコメント
弊社は、レコーダー機器において広いユーザ層の皆様にお使い頂くために、メディアとの相性などを気にせずにお使い頂ける機器を開発する事をカンパニーポリシーと致しております。
このポリシーを実現するために次のふたつに取り組んでいます。
ひとつ目は、「最適ライトストラテジ」を各種メディアに対して自動生成する先進機能を搭載して、より安定かつ高品質な書き込みを実現することです。
BD記録ドライブはメディアの微妙な違いに合わせて、書き込み方法を変えることで、より品質の高い書き込みを実現します。
この書き込み方法は「ライトストラテジ」と呼ばれ、通常は機器のファームウェア内に収録されています。膨大な「ライトストラテジ」パターンを持つ製品から、限られたパターンしか持たない製品まであり、当然書き込み品質の差違に繋がってきます。
パナソニックのレコーダーは、ファームウェアに収録された「ライトストラテジ」情報のみに頼らず、最適ライトストラテジを自動生成する先進機能を搭載していることにより、高品位の書き込みが可能です。
ふたつ目は、機器メーカーとして常々世界中のメディアメーカーと密なコンタクトを取っていることです。Mr.DATAにディスクを供給している台湾メーカーともこの関係を築いています。そのため当該ディスク(の発売時にはメディア)の特性は、いち早く評価し確認済みでした。
というのがパナソニックのコメントだ。
BDやDVDメディアにはあらかじめMID(マニュファクチャーID)という情報が記録されている。これにはメーカー名など、メディアの素性がわかる情報が記録されている。レコーダーはメディアが使用する色素などの特性に合わせて最適な記録が出来るように、このMIDデータを読取り、レーザー出力を調整するなどして記録する。これを「ライトストラテジー」と呼んでいる。もしレコーダーのファームウェア該当するディスクのMIDデータの情報がなければライトストラテジーは特定できないために書き込みは行わないというのが一般的だ。
ソニーは、新しいメディアが発売される場合は、一度検証してからMIDデータを「ライトストラテジー」情報と関連づけてレコーダーのファームウェアに登録している。筆者がテストを行った2007年7月時点では、BDZ-V9にはMr.DATA製メディアのMIDデータが登録されていなかったので、BDZ-V9は対応しなかった。
しかしパナソニックはこの時点でいち早く検証を終えており、さらにMIDの登録が無いメディアでも「最適ライトストラテジを各種メディアに対して自動生成する」先進機能を搭載している事により、Mr.DATA製メディアへの書き込みが可能だった、ということだ。
さて今回テストをしたところ、BDZ-V9、BDZ-X90、DMR-BW900ともにMr.DATA製メディアへの書き込みが確認できた。
実際のところ国産メーカーのメディアなら、発売時にMIDが登録されているので、ソニー、パナソニックともに書き込みに対応しないということは無いだろう。筆者はメーカーが確認した上で、記録を可能にすればいいと考える。一方、MIDの登録が無くても記録できるパナソニックの方式は、今回のように出始めの台湾製メディアへの書き込みにいち早く挑戦したい人に重宝がられる機能だと感じた。
さて、肝心のテストだがソニーのBDZ-V9、BDZ-X90、パナソニックのDMR-BW900のすべてでMr.DATA製のBD-R、BD-REへの書き込みが可能だった。
(鈴木桂水)
執筆者プロフィール
元産業用ロボットメーカーの開発、設計担当を経て、現在はAV機器とパソコン周辺機器を主に扱うフリーライター。テレビ番組表を日夜分析している自称「テレビ番組表アナリスト」でもある。ユーザーの視点と元エンジニアの直感を頼りに、使いこなし系のコラムを得意とする。そのほかAV機器の情報雑誌などで執筆中。
>>鈴木桂水氏のブログはこちら