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公開日 2008/07/15 14:10
【一条真人の体当たり実験室】VAIO「TP1」新モデルは地デジPCの革命だ
■TVをディスプレイにする「TVサイドPC」という発想
リビングで使われることを想定したPCには、今まで多くのアプローチが存在したが、あまり成功した例はなかった。それはディスプレイとパソコンの関係が大きかったのではないかと思う。
リビングにおいては大型のディスプレイが要求されることが多い。パソコンのディスプレイは最近でこそ24インチ程度のディスプレイも増えてきたが、以前は20インチ程度がせいぜいと小さかったし、価格も高価だった。逆にTVは、パソコンで使うには解像度が不足する。リビングでPCを使うためのディスプレイ環境を得ることが難しかったのだ。
そんな状況を大きく変えたのが、HDMIを搭載した薄型テレビの一般化だ。HDMIはPCでも搭載しやすいインターフェースだし、デジタル放送に対応したテレビはハイビジョン解像度の表示に対応するため、PCで利用するにも解像度の不足がない。
そんななか、HDMIで液晶TVに接続する用途をメインに据えたリビング向けPCが2007年にソニーから登場した。それが“TVサイドPC”というコンセプトを持つVAIO「TP1」だ。最初のTP1はTVチューナーを搭載していなかったのだが、最近登場した最新機種「VGX-TP1D」「VGX-TP1DQ/B」では、どちらも地デジダブルチューナーを搭載している。なお、ソニースタイルではカスタマイズ対応のオーナーメードモデルも販売されており、地デジチューナー無しのモデルも選択できる。
VGX-TP1DQ/B はブルーレイドライブを搭載した上位機種であり、それ以外の違いはHDD容量程度になる。今回はこのVGX-TP1DQ/Bをテストしてみた。
■省スペースなラウンドフォルム
TP1の特徴の一つに、円筒状というPCには珍しい形状が挙げられる。通常、PCはデスクトップにしろ、タワーにしろスクウェアデザインであるため、TP1をはじめて見たときは、「なぜ円なのか?」と疑問に思ったが、実際に部屋に置いてみると、角がないことによってかなり設置スペースを節約できるのを実感できる。
ボディサイズは直径270mmとかなりコンパクトだが、このコンパクトボディにデジタルダブルチューナーを搭載できた秘密は、自社開発による小型チューナーだ。これはカードの表裏にチューナーを搭載することで小型化し、従来のチューナーの約1/3の、51mm×30mmというサイズを実現している。
ボディの前面には光学ドライブに加え、メモリースティック、SDメモリーカード、USB、i.LInkなどのインターフェーススロットが配置されているのは普通のPCと変わりない。ビデオインターフェースはHDMIとアナログVGAのみだが、付属の変換アダプタを使うことで、HDMIケーブルでDVIインターフェースのディスプレイに接続できる。
キーボードは横幅が短く、さらにタッチパッド付きであるため、小さな占有スペースで使える。キータッチは柔らかく、ストロークが深く、疲労しにくい印象を受けた。VAIOのノートPC「TypeS」と近い感じだ。必要とあれば、長時間のタッチタイプにも耐えるだろう。電源は単3電池4本駆動となる。
リモコンは同社のレコーダーと同様、円状のカーソルと決定キーを中央に持つが、メディアセンターキーを持つのが大きく異なっている。VAIOキー、メニューキーなどよく使うキーはカーソルキーの周囲に配置され、押しやすくなっている。ルックスはレコーダーのリモコンに似ているが、やや安っぽく重量も軽い。
■高度なTV録画視聴環境を実現する「Giga Pocket Digital」
今回のTP1では、テレビ録画視聴ソフトとしてWindowsMediaPlayerに加え、ソニーのオリジナルソフト「Giga Pocket Digital」が搭載されており、こちらがメインの環境になっている。
「Giga Pocket Digital」は、「テレビを見る」「ビデオ一覧を見る」「番組表を見る」という3つの機能から構成されているのだが、その機能は同社のレコーダーからフィードバックされた機能が生かされている。同社のレコーダーは自動録画機能が充実していることが1つの特徴だが、Giga Pocket Digitalでも「おまかせ・まる録」機能によって、強力な自動録画を可能にしている。
このおまかせ・まる録ではキーワードから自動録画できるだけでなく、映画やバラエティなどのジャンルや時間帯の指定で自動録画が可能。そのため、好きなタレントの出る特定のジャンルの番組を自動録画することも可能になる。
■便利な録画一覧画面
録画一覧はサムネイルを表示してくれるため、どんな映像か把握しやすい。このサムネイル画像作成は、「コンテンツ解析マネージャ」プログラムがバックグラウンドで自動的に処理する。この解析処理は録画中であるとか、他のプログラムがビジーである場合は待機しており、CPU負荷が軽くなった時点で自動的に解析を始める。
そのため、大量に録画をした場合などはこの解析処理が間に合わずに、すぐにはサムネイル画像が表示されないこともある。
なお、この解析は、実は単純に映像だけを解析しているわけではない。番組のさまざまな情報も解析しており、これをカタログビュー機能と呼ぶ。カタログビューではまず、本編とCMの時間を解析し、好きな位置から再生させることができる。さらに番組内のCMの情報、関連情報なども表示可能だ。
また、編集機能を使うとチャプター編集も可能で、チャプターを作成したり、削除したりできる。デフォルトではおまかせチャプター機能によって録画時に自動的にCMと本編の間にチャプターが作成されている。編集機能では、お気に入り区間のリストで、特定のチャプターにチェックを入れると、ダビング時にその区間だけのプレイリストが作成される。
■ダイジェスト再生機能やフィルムロール表示機能も用意
録画や再生に関しては、前述のようにGiga Pocket Digitalの再生ソフトで行えるわけだが、これは単に録画を再生するだけでなく、多彩な特殊機能を搭載している。
同社のレコーダーの特徴の1つに、録画の重要な部分だけを再生することで、短時間で録画を視聴できる「ダイジェスト再生」機能がある。TP1はこのダイジェスト再生機能も搭載している。このダイジェスト再生機能は録画再生時にメニューから実行できる。なお、レコーダーの場合、さまざまなジャンルの番組でダイジェスト再生可能だが、TP1ではスポーツ番組以外では使えないようだ。
また、時間軸に録画のサムネイル画像を表示させる「フィルムロール」機能も便利だ。これにより、映像の流れを把握することができ、自分の見たい場面の見当をつけて再生開始することができる。
■メモリースティックやSDメモリーカードへ録画番組を書き出し可能
録画タイトルは当然、DVDやブルーレイなどにダビングすることが可能だが、ダビング10に対応しているため、コピー9枚+ムーブ1枚の作成が可能だ。また、メモリースティックおよびSDメモリーカードに対しても映像をダビングすることが可能になっている。なお、SDメモリーカードへの出力には有償オプションの「Giga Pocket Digital SDカード書き出しプラグイン」をインストールする必要がある。
同社のレコーダーBDZ-X90ではPSPに対して、BDZ-A70ではPSPやウォークマン、携帯電話などのモバイルデバイスをUSB接続して録画を転送するわけだが、TP1ではモバイルデバイスをUSB接続するのではなく、メモリースティックのようなフラッシュメディアをダイレクトに接続し、転送できるところが異なる。なお、TP1のフラッシュメモリへの出力ではH.264形式に変換して出力されるため、モバイルデバイス側でこの形式に対応している必要がある。
ダビングの手順はごく簡単で、ビデオ一覧でダビングしたいタイトルをクリックして選択し、ツールバーの「書き出し」をクリックするとビデオ書き出しのためのダイアログが表示される。ここでポップアップメニューにより目的のメディアを選択することで、書き出しメディアを指定する。ブルーレイでもフラッシュメディアでも同じダイアログから書き出しを行えるのがシンプルでいい。
なお、ここで「お気に入り区間を書き出す」にチェックを入れると、お気に入り区間のプレイリストも書き出してくれる。ダイジェスト情報がある録画の場合、「ダイジェスト区間を書き出す」にチェックを入れることで、ダイジェスト区間情報のプレイリストの書き出しも可能だ。
■専用のリモコン用インターフェースを用意
TP1の1つの特徴は、リモコンから幅広い機能が利用できることだ。リモコンのVAIOキーを押すと、リモコンのためのランチャーメニューが画面上部に表示され、カーソルで選択して実行できる。
このメニューからテレビ視聴、録画の再生、BD/DVDの再生、インターネット、Life FLOW、ホームネットワークを起動することができ、リビングで使われる頻度の高いプログラムを利用することができる。リモコンから起動した場合は、マウス操作の場合と異なるプログラムが起動するのだが、操作できることは同じになる。
リモコンのために異なるインターフェースを用意するという手間をかけ、ユーザビリティを向上させているのは素晴らしい。
なお、TP1はDLNAサーバー&クライアントソフトである「VAIO MEDIA PLUS」も搭載している。他のDLNAサーバー内のコンテンツを見ることができるのはもちろん、自分のPC内のコンテンツも簡単に一覧できるのが便利だ。ただし、地デジ録画コンテンツには対応しないのが残念。
■日常の中で使いこなせそうなアプリ「LIFE FLOW」
紹介してきた以外にも、VAIOにはさまざまなAV的なソフトがプリインストールされているわけだが、なかでもちょっと面白いのが「LIFE FLOW」。これはBGMを流しながら、デジカメ画像やRSSニュースを自動的に表示するアプリ。雑誌でも読みながら、適当にBGMを流しておくのにもいいし、ニュースをチェックすることもできる。
ニュースは全文を表示するわけではないが、興味があるものであればブラウザを起動して表示させることができる。また、ニュースなど見たくない場合でも、スクリーンセーバーのようにアニメーションを表示させたり、デジカメ写真を表示させたりしながら、BGMを流すことができる。当然、RSSは自分の目的のものを登録できる。
これは日常生活のなかで、特に意識せずに使ってしまいそうなアプリケーション。まさに名前の通り、LIFEFLOWな感覚で使いこなせそうだ
■ソフトとハードで大きく進化した地デジPCのレボリューションモデル
従来の地デジPCは、著作権保護のためビデオ編集ソフトで編集することができず、録画番組をそのままダビングするしかなかったのが大きな弱点だった。これに対し、VGX-TP1DQ/Bはチャプター編集に対応し、そのチャプターからプレイリストを作成することもできる。これにより、CMをカットした再生も可能になった。
それ以外の部分でも、Giga Pocket Digitalにより、録画予約、ダビング、再生などに関しても高い自由度と遊び心のある環境が実現されている。ユーザーインターフェース面では、AV関連のおもな機能がキーボードやマウスだけでなく、リモコンからも自然に使えるのが、リビングでの利用では便利だ。そして、そのコンパクトなラウンドボディとタッチパッド付き無線キーボードによって、省スペースを実現しているのも日本の住宅事情にマッチしている。
VGX-TP1DQ/Bはソフトウェア面、ハードウェア面ともに、これまでの地デジPCから飛躍的な進化を成し遂げており、現時点でトップレベルのリビング向け“テレビサイドPC”と言える。
(一条真人)
執筆者プロフィール
デジタルAV関連、コンピュータ関連などをおもに執筆するライター。PC開発を経て、パソコン雑誌「ハッカー」編集長、「PCプラスワン」編集長を経てフリーランスに。All Aboutの「DVD ・HDDレコーダー」ガイドも務める。趣味はジョギング、水泳、自転車、映画鑑賞など。
リビングで使われることを想定したPCには、今まで多くのアプローチが存在したが、あまり成功した例はなかった。それはディスプレイとパソコンの関係が大きかったのではないかと思う。
リビングにおいては大型のディスプレイが要求されることが多い。パソコンのディスプレイは最近でこそ24インチ程度のディスプレイも増えてきたが、以前は20インチ程度がせいぜいと小さかったし、価格も高価だった。逆にTVは、パソコンで使うには解像度が不足する。リビングでPCを使うためのディスプレイ環境を得ることが難しかったのだ。
そんな状況を大きく変えたのが、HDMIを搭載した薄型テレビの一般化だ。HDMIはPCでも搭載しやすいインターフェースだし、デジタル放送に対応したテレビはハイビジョン解像度の表示に対応するため、PCで利用するにも解像度の不足がない。
そんななか、HDMIで液晶TVに接続する用途をメインに据えたリビング向けPCが2007年にソニーから登場した。それが“TVサイドPC”というコンセプトを持つVAIO「TP1」だ。最初のTP1はTVチューナーを搭載していなかったのだが、最近登場した最新機種「VGX-TP1D」「VGX-TP1DQ/B」では、どちらも地デジダブルチューナーを搭載している。なお、ソニースタイルではカスタマイズ対応のオーナーメードモデルも販売されており、地デジチューナー無しのモデルも選択できる。
VGX-TP1DQ/B はブルーレイドライブを搭載した上位機種であり、それ以外の違いはHDD容量程度になる。今回はこのVGX-TP1DQ/Bをテストしてみた。
■省スペースなラウンドフォルム
TP1の特徴の一つに、円筒状というPCには珍しい形状が挙げられる。通常、PCはデスクトップにしろ、タワーにしろスクウェアデザインであるため、TP1をはじめて見たときは、「なぜ円なのか?」と疑問に思ったが、実際に部屋に置いてみると、角がないことによってかなり設置スペースを節約できるのを実感できる。
ボディサイズは直径270mmとかなりコンパクトだが、このコンパクトボディにデジタルダブルチューナーを搭載できた秘密は、自社開発による小型チューナーだ。これはカードの表裏にチューナーを搭載することで小型化し、従来のチューナーの約1/3の、51mm×30mmというサイズを実現している。
ボディの前面には光学ドライブに加え、メモリースティック、SDメモリーカード、USB、i.LInkなどのインターフェーススロットが配置されているのは普通のPCと変わりない。ビデオインターフェースはHDMIとアナログVGAのみだが、付属の変換アダプタを使うことで、HDMIケーブルでDVIインターフェースのディスプレイに接続できる。
キーボードは横幅が短く、さらにタッチパッド付きであるため、小さな占有スペースで使える。キータッチは柔らかく、ストロークが深く、疲労しにくい印象を受けた。VAIOのノートPC「TypeS」と近い感じだ。必要とあれば、長時間のタッチタイプにも耐えるだろう。電源は単3電池4本駆動となる。
リモコンは同社のレコーダーと同様、円状のカーソルと決定キーを中央に持つが、メディアセンターキーを持つのが大きく異なっている。VAIOキー、メニューキーなどよく使うキーはカーソルキーの周囲に配置され、押しやすくなっている。ルックスはレコーダーのリモコンに似ているが、やや安っぽく重量も軽い。
■高度なTV録画視聴環境を実現する「Giga Pocket Digital」
今回のTP1では、テレビ録画視聴ソフトとしてWindowsMediaPlayerに加え、ソニーのオリジナルソフト「Giga Pocket Digital」が搭載されており、こちらがメインの環境になっている。
「Giga Pocket Digital」は、「テレビを見る」「ビデオ一覧を見る」「番組表を見る」という3つの機能から構成されているのだが、その機能は同社のレコーダーからフィードバックされた機能が生かされている。同社のレコーダーは自動録画機能が充実していることが1つの特徴だが、Giga Pocket Digitalでも「おまかせ・まる録」機能によって、強力な自動録画を可能にしている。
このおまかせ・まる録ではキーワードから自動録画できるだけでなく、映画やバラエティなどのジャンルや時間帯の指定で自動録画が可能。そのため、好きなタレントの出る特定のジャンルの番組を自動録画することも可能になる。
■便利な録画一覧画面
録画一覧はサムネイルを表示してくれるため、どんな映像か把握しやすい。このサムネイル画像作成は、「コンテンツ解析マネージャ」プログラムがバックグラウンドで自動的に処理する。この解析処理は録画中であるとか、他のプログラムがビジーである場合は待機しており、CPU負荷が軽くなった時点で自動的に解析を始める。
そのため、大量に録画をした場合などはこの解析処理が間に合わずに、すぐにはサムネイル画像が表示されないこともある。
なお、この解析は、実は単純に映像だけを解析しているわけではない。番組のさまざまな情報も解析しており、これをカタログビュー機能と呼ぶ。カタログビューではまず、本編とCMの時間を解析し、好きな位置から再生させることができる。さらに番組内のCMの情報、関連情報なども表示可能だ。
また、編集機能を使うとチャプター編集も可能で、チャプターを作成したり、削除したりできる。デフォルトではおまかせチャプター機能によって録画時に自動的にCMと本編の間にチャプターが作成されている。編集機能では、お気に入り区間のリストで、特定のチャプターにチェックを入れると、ダビング時にその区間だけのプレイリストが作成される。
■ダイジェスト再生機能やフィルムロール表示機能も用意
録画や再生に関しては、前述のようにGiga Pocket Digitalの再生ソフトで行えるわけだが、これは単に録画を再生するだけでなく、多彩な特殊機能を搭載している。
同社のレコーダーの特徴の1つに、録画の重要な部分だけを再生することで、短時間で録画を視聴できる「ダイジェスト再生」機能がある。TP1はこのダイジェスト再生機能も搭載している。このダイジェスト再生機能は録画再生時にメニューから実行できる。なお、レコーダーの場合、さまざまなジャンルの番組でダイジェスト再生可能だが、TP1ではスポーツ番組以外では使えないようだ。
また、時間軸に録画のサムネイル画像を表示させる「フィルムロール」機能も便利だ。これにより、映像の流れを把握することができ、自分の見たい場面の見当をつけて再生開始することができる。
■メモリースティックやSDメモリーカードへ録画番組を書き出し可能
録画タイトルは当然、DVDやブルーレイなどにダビングすることが可能だが、ダビング10に対応しているため、コピー9枚+ムーブ1枚の作成が可能だ。また、メモリースティックおよびSDメモリーカードに対しても映像をダビングすることが可能になっている。なお、SDメモリーカードへの出力には有償オプションの「Giga Pocket Digital SDカード書き出しプラグイン」をインストールする必要がある。
同社のレコーダーBDZ-X90ではPSPに対して、BDZ-A70ではPSPやウォークマン、携帯電話などのモバイルデバイスをUSB接続して録画を転送するわけだが、TP1ではモバイルデバイスをUSB接続するのではなく、メモリースティックのようなフラッシュメディアをダイレクトに接続し、転送できるところが異なる。なお、TP1のフラッシュメモリへの出力ではH.264形式に変換して出力されるため、モバイルデバイス側でこの形式に対応している必要がある。
ダビングの手順はごく簡単で、ビデオ一覧でダビングしたいタイトルをクリックして選択し、ツールバーの「書き出し」をクリックするとビデオ書き出しのためのダイアログが表示される。ここでポップアップメニューにより目的のメディアを選択することで、書き出しメディアを指定する。ブルーレイでもフラッシュメディアでも同じダイアログから書き出しを行えるのがシンプルでいい。
なお、ここで「お気に入り区間を書き出す」にチェックを入れると、お気に入り区間のプレイリストも書き出してくれる。ダイジェスト情報がある録画の場合、「ダイジェスト区間を書き出す」にチェックを入れることで、ダイジェスト区間情報のプレイリストの書き出しも可能だ。
■専用のリモコン用インターフェースを用意
TP1の1つの特徴は、リモコンから幅広い機能が利用できることだ。リモコンのVAIOキーを押すと、リモコンのためのランチャーメニューが画面上部に表示され、カーソルで選択して実行できる。
このメニューからテレビ視聴、録画の再生、BD/DVDの再生、インターネット、Life FLOW、ホームネットワークを起動することができ、リビングで使われる頻度の高いプログラムを利用することができる。リモコンから起動した場合は、マウス操作の場合と異なるプログラムが起動するのだが、操作できることは同じになる。
リモコンのために異なるインターフェースを用意するという手間をかけ、ユーザビリティを向上させているのは素晴らしい。
なお、TP1はDLNAサーバー&クライアントソフトである「VAIO MEDIA PLUS」も搭載している。他のDLNAサーバー内のコンテンツを見ることができるのはもちろん、自分のPC内のコンテンツも簡単に一覧できるのが便利だ。ただし、地デジ録画コンテンツには対応しないのが残念。
■日常の中で使いこなせそうなアプリ「LIFE FLOW」
紹介してきた以外にも、VAIOにはさまざまなAV的なソフトがプリインストールされているわけだが、なかでもちょっと面白いのが「LIFE FLOW」。これはBGMを流しながら、デジカメ画像やRSSニュースを自動的に表示するアプリ。雑誌でも読みながら、適当にBGMを流しておくのにもいいし、ニュースをチェックすることもできる。
ニュースは全文を表示するわけではないが、興味があるものであればブラウザを起動して表示させることができる。また、ニュースなど見たくない場合でも、スクリーンセーバーのようにアニメーションを表示させたり、デジカメ写真を表示させたりしながら、BGMを流すことができる。当然、RSSは自分の目的のものを登録できる。
これは日常生活のなかで、特に意識せずに使ってしまいそうなアプリケーション。まさに名前の通り、LIFEFLOWな感覚で使いこなせそうだ
■ソフトとハードで大きく進化した地デジPCのレボリューションモデル
従来の地デジPCは、著作権保護のためビデオ編集ソフトで編集することができず、録画番組をそのままダビングするしかなかったのが大きな弱点だった。これに対し、VGX-TP1DQ/Bはチャプター編集に対応し、そのチャプターからプレイリストを作成することもできる。これにより、CMをカットした再生も可能になった。
それ以外の部分でも、Giga Pocket Digitalにより、録画予約、ダビング、再生などに関しても高い自由度と遊び心のある環境が実現されている。ユーザーインターフェース面では、AV関連のおもな機能がキーボードやマウスだけでなく、リモコンからも自然に使えるのが、リビングでの利用では便利だ。そして、そのコンパクトなラウンドボディとタッチパッド付き無線キーボードによって、省スペースを実現しているのも日本の住宅事情にマッチしている。
VGX-TP1DQ/Bはソフトウェア面、ハードウェア面ともに、これまでの地デジPCから飛躍的な進化を成し遂げており、現時点でトップレベルのリビング向け“テレビサイドPC”と言える。
(一条真人)
執筆者プロフィール
デジタルAV関連、コンピュータ関連などをおもに執筆するライター。PC開発を経て、パソコン雑誌「ハッカー」編集長、「PCプラスワン」編集長を経てフリーランスに。All Aboutの「DVD ・HDDレコーダー」ガイドも務める。趣味はジョギング、水泳、自転車、映画鑑賞など。