【一条真人の体当たり実験室】オレの笑顔はソニー「HDR-CX12」に伝わるか?
AVCHDビデオカメラのブレークによって一気にメジャーになったハイビジョンビデオカメラ。従来、主流だったDVと異なり、HDD、DVD、フラッシュメモリなどさまざまなメディアタイプが存在するため、従来のビデオカメラと異なり、各メーカーが擁するラインアップが多くなった。
ソニーはこのジャンルで、HDD、DVD、フラッシュメモリーとフルラインアップを用意しており、メモリースティック対応のビデオカメラは2機種を出している。超コンパクトで常時携帯を可能にしたTG1に対して、CXシリーズは一般向けマーケットをターゲットにした製品で、このCXシリーズの最近機種が「HDR-CX12」ということになる。なお本機は、ソニースタイルでは118,000円で販売している。
前機種のCX7からの大きな進化ポイントは、フルハイビジョン撮影が可能になったことと、今まではデジカメにだけ搭載していたスマイルシャッター機能に対応したこと。やはり、ビデオカメラにスマイルシャッター機能を搭載したインパクトは大きい!ということで、今回はこのスマイルシャッター機能を中心に実験してみた。
●スマイルシャッターの動作
ビデオカメラでスマイルシャッターがどう動作するのか、という疑問を持つ人もいるだろう。さすがに、笑っている間だけビデオ映像を撮影してくれるわけではない。デジカメ同様、笑顔を検知したら静止画を撮影する機能だ。
しかし電源が入っているときに、常時、笑顔を検知してシャッターが落ちてしまうというのも面倒だ。本機のスマイルシャッター機能は、必要に応じて機能のオンオフができるのは当然、感度も3段階に調節することが可能。スマイルシャッター関連の設定はホームメニューの「顔機能設定」>「スマイルシャッター」で行うことができる。
また、「ビデオ撮影中に撮影するのか」「常時スマイル撮影状態にするのか」「顔を検出したときに枠を表示するのか」などの細かな設定もできる。また、大人と子供のどちらのスマイル認識を優先するかも設定できるなど、ファミリーユースを想定した作り込みがなされている。
●スマイルシャッターに検知されなかったマイ笑顔
さて、スマイルシャッターは高・中・低の3段階の感度設定ができるわけだが、実際に、どんな笑顔なら感知するのだろうか。さっそく実験開始だ。まずは僕にとっては普通の状態である「帽子+メガネ」というスタイルで試して見たところ、よほど大笑いしないとシャッターが落ちない。もっとも笑いを感知するはずの感度「高」の状態なのに。なぜだ?
●鏡に向かってシャドースマイリング(?)練習
熟考の後、これは「笑い方」に問題があるのかも知れないと考えた。そうなれば練習するしかない。鏡に向かって笑顔の研究をしてみた。ローレベルからハイレベルまで数段階の笑いをし、さらに口の動き、目の動きなどで微妙にアレンジを加えてみる。しばらく練習をしているうちに、より細かく笑顔をコントロールすることができるようになってきたが、わずか数分で顔の筋肉が痛くなってしまった。
どうやら、人並み外れてクール(?)な僕は、日常的にあまり長時間笑うことがないためか、顔の筋肉に持久力がないようだ。あるいは意図的に笑いの強さをコントロールするという行為は、必要以上に人間を疲れさせるのだろうか。
●帽子やメガネを取ったら劇的に検知能力が向上
さて、ジムでのトレーニングのごとく、笑いの練習をしては休むということを数セットこなした僕は、より柔軟に笑顔をコントロールできるようになった。1時間もかからずに格段の進化を遂げた僕は、再びスマイルシャッターに挑んだ。
しかし、結果は同様であり、感度「低」「中」ではどんな笑いをしてもシャッターは落ちず、感度「高」でハイレベルな笑いをした場合だけシャッターが落ちた。これほど頑張っても、僕の笑いは通用しないのか…。以前、脳波マウスを動かせなかった悪夢がふと脳裏をよぎるが、ある考えが頭に浮かんだ。
それはあまりに単純な話だが、帽子をとってやってみたらどうだろう?ということだ。この実験は室内で行っていたため、帽子のツバで顔に影が落ち、検知力を下げていたのかも知れない。
いざ帽子をとってトライしてみると、感度「低」でもある程度の笑いで検知してくれるようになった。ただし、同じ笑いレベルでも顔を回転させると、ある角度では検知されないのに、ある角度では検知されるなど、微妙な不安定性さも感じた。また、この状態では、高感度の場合でも明確に歯を見せないと笑いを検知することはなかった。
次に、さらにメガネを取って見ると、より浅い笑いでも検知された。これはスマイルシャッター機能が目のあたりの動きも認識条件に入れているためだろうか。
顔の認識には距離の問題もある。あまり近いと、顔として認識しないのか、反応してくれなかった。顔認識は枠の表示で確認できるのだが、今回のように液晶を反転させ、自分撮影をする場合はなぜか枠が表示されない。
今回は僕一人のデータを取っただけだが、条件さえ合えば、大笑いしなくても笑顔を認識してくれることがわかった。しかし、やや不便に感じる部分もないではない。それは撮影データの書き込み時間だ。動画を撮影中にスマイルシャッター機能で撮影すると、ファイル書き込みにいやに時間がかかってしまうのだ。この書き込み中は次の検知によるスマイルシャッターが動作しないため、チャンスを逃してしまうケースもありそうだ。
●子供の撮影には最適。女性層にもお薦めのモデル
今回のテストでCX12は条件さえあえば、比較的、高い感度で笑いを検知してくれることを確認できた。スマイルシャッター機能の搭載により、動画撮影中にも笑顔の写真を自動撮影してくれるCX12は、子供のビデオを撮影するのにピッタリだ。さらにメモリースティックモデルならでは軽さも魅力で、女性にも手軽に扱えそうだ。
(一条真人)
執筆者プロフィール
デジタルAV関連、コンピュータ関連などをおもに執筆するライター。PC開発を経て、パソコン雑誌「ハッカー」編集長、「PCプラスワン」編集長を経てフリーランスに。All Aboutの「DVD ・HDDレコーダー」ガイドも務める。趣味はジョギング、水泳、自転車、映画鑑賞など。
ソニーはこのジャンルで、HDD、DVD、フラッシュメモリーとフルラインアップを用意しており、メモリースティック対応のビデオカメラは2機種を出している。超コンパクトで常時携帯を可能にしたTG1に対して、CXシリーズは一般向けマーケットをターゲットにした製品で、このCXシリーズの最近機種が「HDR-CX12」ということになる。なお本機は、ソニースタイルでは118,000円で販売している。
前機種のCX7からの大きな進化ポイントは、フルハイビジョン撮影が可能になったことと、今まではデジカメにだけ搭載していたスマイルシャッター機能に対応したこと。やはり、ビデオカメラにスマイルシャッター機能を搭載したインパクトは大きい!ということで、今回はこのスマイルシャッター機能を中心に実験してみた。
●スマイルシャッターの動作
ビデオカメラでスマイルシャッターがどう動作するのか、という疑問を持つ人もいるだろう。さすがに、笑っている間だけビデオ映像を撮影してくれるわけではない。デジカメ同様、笑顔を検知したら静止画を撮影する機能だ。
しかし電源が入っているときに、常時、笑顔を検知してシャッターが落ちてしまうというのも面倒だ。本機のスマイルシャッター機能は、必要に応じて機能のオンオフができるのは当然、感度も3段階に調節することが可能。スマイルシャッター関連の設定はホームメニューの「顔機能設定」>「スマイルシャッター」で行うことができる。
また、「ビデオ撮影中に撮影するのか」「常時スマイル撮影状態にするのか」「顔を検出したときに枠を表示するのか」などの細かな設定もできる。また、大人と子供のどちらのスマイル認識を優先するかも設定できるなど、ファミリーユースを想定した作り込みがなされている。
●スマイルシャッターに検知されなかったマイ笑顔
さて、スマイルシャッターは高・中・低の3段階の感度設定ができるわけだが、実際に、どんな笑顔なら感知するのだろうか。さっそく実験開始だ。まずは僕にとっては普通の状態である「帽子+メガネ」というスタイルで試して見たところ、よほど大笑いしないとシャッターが落ちない。もっとも笑いを感知するはずの感度「高」の状態なのに。なぜだ?
●鏡に向かってシャドースマイリング(?)練習
熟考の後、これは「笑い方」に問題があるのかも知れないと考えた。そうなれば練習するしかない。鏡に向かって笑顔の研究をしてみた。ローレベルからハイレベルまで数段階の笑いをし、さらに口の動き、目の動きなどで微妙にアレンジを加えてみる。しばらく練習をしているうちに、より細かく笑顔をコントロールすることができるようになってきたが、わずか数分で顔の筋肉が痛くなってしまった。
どうやら、人並み外れてクール(?)な僕は、日常的にあまり長時間笑うことがないためか、顔の筋肉に持久力がないようだ。あるいは意図的に笑いの強さをコントロールするという行為は、必要以上に人間を疲れさせるのだろうか。
●帽子やメガネを取ったら劇的に検知能力が向上
さて、ジムでのトレーニングのごとく、笑いの練習をしては休むということを数セットこなした僕は、より柔軟に笑顔をコントロールできるようになった。1時間もかからずに格段の進化を遂げた僕は、再びスマイルシャッターに挑んだ。
しかし、結果は同様であり、感度「低」「中」ではどんな笑いをしてもシャッターは落ちず、感度「高」でハイレベルな笑いをした場合だけシャッターが落ちた。これほど頑張っても、僕の笑いは通用しないのか…。以前、脳波マウスを動かせなかった悪夢がふと脳裏をよぎるが、ある考えが頭に浮かんだ。
それはあまりに単純な話だが、帽子をとってやってみたらどうだろう?ということだ。この実験は室内で行っていたため、帽子のツバで顔に影が落ち、検知力を下げていたのかも知れない。
いざ帽子をとってトライしてみると、感度「低」でもある程度の笑いで検知してくれるようになった。ただし、同じ笑いレベルでも顔を回転させると、ある角度では検知されないのに、ある角度では検知されるなど、微妙な不安定性さも感じた。また、この状態では、高感度の場合でも明確に歯を見せないと笑いを検知することはなかった。
次に、さらにメガネを取って見ると、より浅い笑いでも検知された。これはスマイルシャッター機能が目のあたりの動きも認識条件に入れているためだろうか。
顔の認識には距離の問題もある。あまり近いと、顔として認識しないのか、反応してくれなかった。顔認識は枠の表示で確認できるのだが、今回のように液晶を反転させ、自分撮影をする場合はなぜか枠が表示されない。
今回は僕一人のデータを取っただけだが、条件さえ合えば、大笑いしなくても笑顔を認識してくれることがわかった。しかし、やや不便に感じる部分もないではない。それは撮影データの書き込み時間だ。動画を撮影中にスマイルシャッター機能で撮影すると、ファイル書き込みにいやに時間がかかってしまうのだ。この書き込み中は次の検知によるスマイルシャッターが動作しないため、チャンスを逃してしまうケースもありそうだ。
●子供の撮影には最適。女性層にもお薦めのモデル
今回のテストでCX12は条件さえあえば、比較的、高い感度で笑いを検知してくれることを確認できた。スマイルシャッター機能の搭載により、動画撮影中にも笑顔の写真を自動撮影してくれるCX12は、子供のビデオを撮影するのにピッタリだ。さらにメモリースティックモデルならでは軽さも魅力で、女性にも手軽に扱えそうだ。
(一条真人)
執筆者プロフィール
デジタルAV関連、コンピュータ関連などをおもに執筆するライター。PC開発を経て、パソコン雑誌「ハッカー」編集長、「PCプラスワン」編集長を経てフリーランスに。All Aboutの「DVD ・HDDレコーダー」ガイドも務める。趣味はジョギング、水泳、自転車、映画鑑賞など。