「3Dビデオカメラ普及にHDR-TD10が生み出す功績は大きい」
発売直前!ソニー“3D Handycam”「HDR-TD10」を会田肇がレビュー − 二眼撮影や裸眼3Dモニターの実力は?
フルHD 3D撮影に対応したソニーのビデオカメラ“HandyCam"「HDR-TD10」(関連ニュース)。明日5月13日に発売を控える同製品の3D撮影/再生能力を評論家の会田肇氏がレビューした。
■「液晶モニターの裸眼3D映像は明らかにこれまでとは違った精細感」
震災の影響で発売が遅れていた「HDR-TD10」がようやく発売される。家庭用ビデオの3D化は昨年より各社で始まっていたが、ソニーがこだわったのはビデオカメラ2台分の機能を一体化した、いわば“ツインビデオカメラ”方式。ご存知のように映像の3D化には左右の視差を作り出すことが大前提となる。ソニーはフルHD記録を可能としながら、ビデオカメラとしての機能をスポイルしない「3D対応」にこだわった。そのこだわりから採用されたのがこの方式だったのだ。
ビデオカメラ部は1/4.0型で総画素数420万画素の裏面照射CMOS“Exmor R”を使用したもので、これをダブルで搭載する。有効画素数は3D時で199万画素、2D時で265万画素となり、共にアクティブ手振れ補正機能を備え、補正時に画角が少し狭くなるのは従来と同様だ。ズームレンズは3D時で光学10倍、2D時は光学12倍。なお、少々残念だが3D時は静止画撮影が不可となっている。
映像の記録はフルHDの2ストリームで構成され、撮影した映像を1つの動画にまとめるフレームパッキングで3D映像を実現。記録ビットレートは28Mbpsとなり、記録フォーマットはオリジナルの「MVC」となる。
映像エンジンは3D処理を行うために左右それぞれに用意。BDやレコーダーへの保存は不可となったが、HDDへのダイレクト記録には対応している。なお、今後予定されているBRAVIAとBDレコーダーのアップデートによって、本機の「ワンタッチディスクダビング」機能を利用してBDへの保存に対応することになっている(関連ニュース)。また、付属ソフトである「PMB」をインストールしたPCでの保存作業も行える。なお、テレビ側がフレームパッキング方式3Dに非対応の場合はサイドバイサイドでの出力も可能だ。
HDR-TD10の外観はほとんど「箱」とも見えるユニークなデザインだ。内部ではスリム化されたビデオカメラが並んで配置されており、記録部の配置に工夫を凝らして全長を短くしたこともあり、これがこの「箱」を強調する根源ともなった。
撮影時の重量は725g(標準バッテリー使用時)。従来の2Dビデオカメラと比べるとやや重めではあるが、手にすると意外にもしっかりとホールドする。これはグリップ部分に滑りにくく手に馴染みやすいエラストマ素材を採用した事が大きい。今年登場したソニーのハンディカムに共通する仕様で、こうした素材を積極的に採用する辺りもビデオカメラで永年の実績を培ったソニーらしい配慮とも言える。
外観で気付くのは、左右の視差を作り出すレンズの配置がかなり近いことだ。レンズ間隔は31mmしかなく、これで本当に3D映像が効果的に得られるのか不安を感じるのだ。しかし、ソニーはすでに業務用機でレンズ間を極小に抑えることに成功しており、そこで培ったノウハウが活かされているという。
3D撮影は基本的にフルオートでの撮影が可能で、電源を入れてすぐに3D撮影に入れ、3D効果はズーム全域で自動調整される。これは光軸と画角のアジャストメントするポジションをより緻密に設定することで実現したもの。その結果、3D撮影中に調整できるのはフォーカスと明るさ、3D奥行き調整ぐらい。これによって誰でも簡単に3D映像を撮影可能としたのだ。
モニターは視差バリア方式による裸眼での立体視に対応しており、画素数は家庭用ビデオカメラとしては最高画素となる122.9万ドットの高精細型を採用。3D視聴時でも十分な解像度が得られるように配慮している。屋外ではやや反射が気になるものの、その映像は明らかにこれまでとは違った精細感があり、少し日陰を作ってやれば3D効果を確認しながらの撮影も容易だった。本体側にあるスイッチで3Dと2Dの表示切り替えもでき、より細部を確認したいときに使うと有効だ。
■「3Dビデオカメラの普及においてHDR-TD10が生み出す功績は決して小さくない」
さて、気になる3Dの映像だが、まず感じたのが発色の良さだ。澄み切った青空を青々と表現し、赤もキレイに抜ける。濁りが少ないのに質の高さを感じさせた。ただ、解像度は思ったほど高くはない。色ズレもやや見受けられ、その意味でリアリティとなるとちょっと物足りない気がする部分もある。とはいえ、3D効果はとても高く、解像度の物足りなさを十分に払拭してくれる。
■「液晶モニターの裸眼3D映像は明らかにこれまでとは違った精細感」
震災の影響で発売が遅れていた「HDR-TD10」がようやく発売される。家庭用ビデオの3D化は昨年より各社で始まっていたが、ソニーがこだわったのはビデオカメラ2台分の機能を一体化した、いわば“ツインビデオカメラ”方式。ご存知のように映像の3D化には左右の視差を作り出すことが大前提となる。ソニーはフルHD記録を可能としながら、ビデオカメラとしての機能をスポイルしない「3D対応」にこだわった。そのこだわりから採用されたのがこの方式だったのだ。
ビデオカメラ部は1/4.0型で総画素数420万画素の裏面照射CMOS“Exmor R”を使用したもので、これをダブルで搭載する。有効画素数は3D時で199万画素、2D時で265万画素となり、共にアクティブ手振れ補正機能を備え、補正時に画角が少し狭くなるのは従来と同様だ。ズームレンズは3D時で光学10倍、2D時は光学12倍。なお、少々残念だが3D時は静止画撮影が不可となっている。
映像の記録はフルHDの2ストリームで構成され、撮影した映像を1つの動画にまとめるフレームパッキングで3D映像を実現。記録ビットレートは28Mbpsとなり、記録フォーマットはオリジナルの「MVC」となる。
映像エンジンは3D処理を行うために左右それぞれに用意。BDやレコーダーへの保存は不可となったが、HDDへのダイレクト記録には対応している。なお、今後予定されているBRAVIAとBDレコーダーのアップデートによって、本機の「ワンタッチディスクダビング」機能を利用してBDへの保存に対応することになっている(関連ニュース)。また、付属ソフトである「PMB」をインストールしたPCでの保存作業も行える。なお、テレビ側がフレームパッキング方式3Dに非対応の場合はサイドバイサイドでの出力も可能だ。
HDR-TD10の外観はほとんど「箱」とも見えるユニークなデザインだ。内部ではスリム化されたビデオカメラが並んで配置されており、記録部の配置に工夫を凝らして全長を短くしたこともあり、これがこの「箱」を強調する根源ともなった。
撮影時の重量は725g(標準バッテリー使用時)。従来の2Dビデオカメラと比べるとやや重めではあるが、手にすると意外にもしっかりとホールドする。これはグリップ部分に滑りにくく手に馴染みやすいエラストマ素材を採用した事が大きい。今年登場したソニーのハンディカムに共通する仕様で、こうした素材を積極的に採用する辺りもビデオカメラで永年の実績を培ったソニーらしい配慮とも言える。
外観で気付くのは、左右の視差を作り出すレンズの配置がかなり近いことだ。レンズ間隔は31mmしかなく、これで本当に3D映像が効果的に得られるのか不安を感じるのだ。しかし、ソニーはすでに業務用機でレンズ間を極小に抑えることに成功しており、そこで培ったノウハウが活かされているという。
3D撮影は基本的にフルオートでの撮影が可能で、電源を入れてすぐに3D撮影に入れ、3D効果はズーム全域で自動調整される。これは光軸と画角のアジャストメントするポジションをより緻密に設定することで実現したもの。その結果、3D撮影中に調整できるのはフォーカスと明るさ、3D奥行き調整ぐらい。これによって誰でも簡単に3D映像を撮影可能としたのだ。
モニターは視差バリア方式による裸眼での立体視に対応しており、画素数は家庭用ビデオカメラとしては最高画素となる122.9万ドットの高精細型を採用。3D視聴時でも十分な解像度が得られるように配慮している。屋外ではやや反射が気になるものの、その映像は明らかにこれまでとは違った精細感があり、少し日陰を作ってやれば3D効果を確認しながらの撮影も容易だった。本体側にあるスイッチで3Dと2Dの表示切り替えもでき、より細部を確認したいときに使うと有効だ。
■「3Dビデオカメラの普及においてHDR-TD10が生み出す功績は決して小さくない」
さて、気になる3Dの映像だが、まず感じたのが発色の良さだ。澄み切った青空を青々と表現し、赤もキレイに抜ける。濁りが少ないのに質の高さを感じさせた。ただ、解像度は思ったほど高くはない。色ズレもやや見受けられ、その意味でリアリティとなるとちょっと物足りない気がする部分もある。とはいえ、3D効果はとても高く、解像度の物足りなさを十分に払拭してくれる。