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「3Dビデオカメラ普及にHDR-TD10が生み出す功績は大きい」

発売直前!ソニー“3D Handycam”「HDR-TD10」を会田肇がレビュー − 二眼撮影や裸眼3Dモニターの実力は?

公開日 2011/05/12 16:21 会田 肇
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ズーム操作した映像を確認してみたが、ここでもきちんと3D効果は現れており、3D撮影はズーム操作を気にすることなく行える。ソニーでは撮影に際して、ワイド時で被写体から80cm程度以上離れて撮影することを推奨してはいるが、実際に使ってみるとそれほどシビアに気にする必要はなさそうだと感じた。その意味で3Dメカの完成度は高いと言える。

夜景での撮影も試してみたが、ノイズが増えたり、発色が落ちることもない。このあたりは従来のExmor R CMOS搭載機と変わるところはないようだ。一方、少し惜しい気がしたのがアクティブ手振れ補正で、徒歩撮影で上下にブレが従来に比べて大きめに出た。他の2D機では滑るようにブレを補正するのだが、それほどの効果が感じられなかったのだ。こうした点などは今後に期待したい。

3D撮影と2D撮影の切り替えは背面のスイッチで行い、2D時は60p/24p記録も選択可能。60pでの記録ビットレートはここでも28Mbpsのオリジナルフォーマットとなり、モードとして「PS」が加えられた。この切り替えスイッチは再生時にも有効で、3D撮影した映像と2D撮影した映像がこれで切り分けてリスト化される。再生時は撮影日別にグループ化されるので、とてもわかりやすい。

3D撮影と2D撮影の切り替えスイッチを装備

撮影データの一覧表示画面

各種メニューは今年のソニーのハンディカムに共通のGUIとなり、各モードへは入りやすくなった。ただしそこから先に表示される各項目は今までと大きくは変わっていない。行間が狭く押しにくいと以前から感じていた筆者にとっては少々不満の残る点ではある。

メニューのトップ画面

カメラとマイクの調整画面

しかし、再生時にも3D効果の強弱つけられる点は非常に好印象。これまでは撮影時に調整できることはあったが、再生時にもこれができるのはおそらく初めてのことだろう。たとえ少々不自然になってしまった3D映像でも自然に映し出せるなど、そのメリットは大きいと思う。かなり重宝しそうだ。

3D奥行き調整機能を搭載

HDR-TD10の魅力は、2D機並みの価格で3D映像を、しかもフルHD画質で撮影できることにある。3D動画撮影を行うには必要なスペックをすべて取り揃え、これをすべてフルオートで撮影できるのは大きな魅力だ。

3Dについては、視聴環境がまだそれほど一般的には普及していなかったり、データの保存に未整備の感もあるが、本機などで身近な映像が3D化されることで3D映像への関心そのものが高まっていくことも期待できる。普及段階にある3Dビデオカメラの市場において、HDR-TD10が生み出す功績は決して小さくないものになることだろう。

<筆者プロフィール>
会田 肇 Hajime Aida
1956年、茨城県生まれ。明治大学政治経済学部卒。自動車雑誌編集者を経てフリーとなる。クルマ、スポーツ、旅行などアウトドアな趣味を多く持ち、アウトドア系オーディオビジュアルライターとしての第一人者。カー雑誌などでカーナビをはじめとするカーAVを中心とした取材、執筆に従事する一方で、ビデオカメラやデジタルカメラの批評活動を積極的に続けている。たえず複数台のビデオカメラを利用し、そのフォーマット遍歴はベータ、8ミリ、VHS-C、ハイエイト、DVC…と購入、使いこなしたモデルは数え切れない。最近はデジタルカメラにも深い関心を持ち、最新カーナビを駆使して方々へ出掛けるなどして取材活動を続けている。

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