パイオニアと三菱化学、世界最高水準の発光効率と寿命を実現した塗布型有機EL素子を開発

パイオニア（株）と三菱化学（株）は、共同で進めてきた塗布型有機ELの開発成果において、世界最高レベルの発光効率と寿命を達成した素子の開発を達成したことを発表した。

現在は一般的に、有機ELパネルは蒸着成膜プロセスによって製造されているが、面積が広く、欠陥のない均一発光面を低コストで量産するためには塗布成膜プロセスでの製造がより優れていると言われている。中でも有機ELパネルにおいて重要な発光層を塗布プロセスで成膜することが強く求められてきたが、これまで開発されたものについては発光効率が低く、寿命も短いという課題があった。

三菱化学とその研究開発会社である（株）三菱化学科学技術研究センター、およびパイオニアの3社は2010年の1月から塗布型発光材料を用いた照明用の有機ELパネルを共同開発してきたが、今回開発に成功した有機EL素子は、三菱化学の開発した独自の塗布型発光材料を用いて、三菱化学とパイオニアが共同で素子設計と塗布製膜プロセスを最適化することで、白色輝度1,000カンデラにおける発光効率が「52 lm/W（ルーメンワット）」を達成するとともに、初期輝度1,000カンデラにおける輝度半減寿命2万時間という、世界最高レベルの高効率と長寿命を両立させることに成功したという。

三菱化学が7月に発売を予定している有機EL照明パネル光源モジュールは、パイオニアの子会社である東北パイオニア（株）が下地層に塗布製膜プロセスを、発光層に蒸着製膜プロセスをそれぞれ用いて量産する計画だが、今回開発された塗布型発光層はさらなる低コストと高性能を実現するものであることから、両社は2014年までに本格事業化に向けた取り組みを推進していく考えを表明した。