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公開日 2011/06/03 18:20
シャープ、液晶パネル生産をスマホ/タブレット向けと60型超の大型にシフト
40型以下は外部調達も。11年度業績見通しも発表
シャープ(株)は本日、2011年度の経営方針説明会を開催。同社社長の片山幹雄氏が登壇し、液晶事業の構造改革について発表するとともに、2011年度の業績予想も発表した。
2011年度の連結業績は、売上高が前年比100.9%の3兆500億円、営業利益は前年比122.9%の970億円、経常利益は前年比113.3%の670億円と予想し、増収増益を見込む。
片山社長は2011年度の第1四半期について、大型液晶パネル工場のガラス投入停止の影響などから、大幅な減益を予想していると説明。「第1四半期は純損失500億円の大幅な赤字となる見込みで、大変厳しい内容になる。液晶事業の抜本的な改革を行い、第1四半期をボトムにしていく」とした。
第2四半期以降は、後述する液晶事業の改革、中小型液晶の事業拡大を実施。特にスマートフォン向けデバイス販売の拡大などにより、営業利益の改善を見込む。
なお同社は2011年度に特別損失として、亀山第2工場の液晶事業構造改革費用に150億円を、また震災に関連して工場の操業を止めていた損失として270億円を計上する予定。この影響で、純利益は前年比30.9%の60億円にとどまると予想している。
■AV・通信機器は売上大幅減も営業利益は確保と予想
主要商品別の売上と利益の見通しでは、液晶テレビについては販売台数は1,500万台と、前年度の1,482万台から微増を見込む。国内ではエコポイントの反動が見込まれるが、海外の需要拡大を図っていく。一方で単価下落が激しいことから、売上は前年度の8,035億円から6,800億円に下がると予想している。
携帯電話事業については、独自の機能を備えたスマートフォンなどを拡大させるが、市場の飽和などを背景に、売上は前年比94.4%の3,900億円と見込んでいる。
液晶パネル事業の売上は1兆200億円と、前年比ほぼ横這いと予想。中小型液晶を拡大しさせることで、売上に占めるモバイル液晶の割合を、前年度の35%から半分強にまで拡大させる計画だ。
片山氏は、部門別の売上高と営業利益についても説明。AV・通信機器の売上は1兆2,200億円と、前年比で14.5%減を見込む。国内と海外の売上比率では、国内が1兆5,929億円、海外は1兆4,290億円と予想。同部門の2011年度の営業利益は230億円で、利益率は1.9%と見込んでいる。前年度の営業利益率は2.9%だった。
売上高の主な増減要因を俯瞰すると、国内液晶テレビや大型液晶の外販などが減収要因となるが、それをスマートフォンの需要増などを背景にしたモバイル液晶の外販、LEDやCCD/CMOSなどでカバーする計画だ。
■AV・通信機器は売上大幅減も営業利益は確保と予想
続いて片山氏は、液晶事業の構造改革についてくわしく発表した。
同氏はまず、液晶事業の構造改革を行う理由、背景についてあらためて言及。「液晶パネル価格の下落が発生しており、世界のパネルメーカーの収益が軒並み悪化している。それに伴ってテレビメーカーの収益も悪くなっている状態だ」と、テレビセット事業やテレビ用パネルの事業環境が急速に悪化している状況を改めて説明した。
片山氏は「一方、スマートフォンやタブレットのニーズが急激に世界市場で高まっている」と言葉を続け、「こういった状況に対応し、液晶生産体制の最適化を図る」と、パネル生産の中小型へのシフトを図る考えを表明した。
さらに片山氏はテレビ向けパネルについて、20〜40型クラスの中小型液晶テレビから60型超の大型液晶テレビやデジタルサイネージなどのノンTV向けなど、大型化へのシフトを行う計画も表明。「モバイル用液晶や大型テレビ用/ノンTV用の大型パネルに当社のオンリーワン技術を投入。成長性の低い、コモディティー化した液晶分野から脱却を図る」とし、20〜40型クラスの液晶パネル生産を段階的に縮小する考えを示した。
■CGシリコンはスマホ向け、IGZOはタブレット向けに展開
シャープが持つ、高付加価値の中小型液晶パネルは2つ。CGシリコン液晶と、この4月に実用化を発表したばかりのIGZO(イグゾー)液晶(関連ニュース)だ。
CGシリコンはアモルファス液晶に比べて約100倍程度電子が流れやすく、IGZOに比べても、さらに高い性能を備えている。片山氏はCGシリコンがスマートフォンに適していると説明し、グラビア印刷のような鮮やかさ、300ppi以上の精細度、軽量さを備えていると紹介。ディスプレイサーチの予測データを見せながら「今後高精細なディスプレイを備えたスマートフォンがますます増加する」と述べ、こういった流れにCGシリコン技術が適しているとアピールした。
もう一つはIGZO液晶で、片山氏は「タブレット端末に適している」と強調。IGZOはインジウム、ガリウム、亜鉛から構成される酸化物で、アモルファス液晶に比べ20〜50倍程度、電子が移動しやすいという特性を備えている。これによりトランジスターを小さくすることができ、開口率を上げられる。開口率が上がるとバックライトの高効率化が進み、低消費電力化が実現する。もちろん高精細化が可能なことや画質の高さも特徴となる。
片山氏は、特にIGZOの消費電力の小ささを強調。「恐らくみなさん、タブレットを持ったときに『ちょっと重いんじゃないか』と思うのではないか。うちについても『ひどい商品を出したなぁ』と思っている。…これはここだけの話だが」と笑いを誘い、「タブレットが重いのはバッテリーの重さが大きな理由だが、これを軽くするためにはディスプレイも低消費電力化が求められる。IGZOの場合、特殊な駆動を行うことで消費電力が数分の一にできる」とその性能を強調した。なおCGシリコンとIGZOの用途の棲み分けについては、4月のIGZO技術発表会の際、「300ppi以上はCGシリコン、それ以下はIGZO」という指針がすでに発表されている。
実際のパネル生産についても、片山氏はくわしく説明した。CGシリコン液晶については「天理工場で生産を再開しており、三重第3工場も増産を検討しているが、これだけでは生産性を上げきれない」と、亀山第1工場にCGシリコン生産設備を導入する計画を改めて説明した。
IGZO液晶については、亀山第2工場の生産を、今年10月以降からIGZOへ徐々に転換していく計画を発表。「すでにサンプル出荷を配っているが、2012年に向けて相当に大きなデザイン、引き合いを頂いている」と、タブレット機器向けに、IGZO液晶の大口の交渉が進んでいることを示唆した。
■60〜70型の大型液晶テレビを拡販
テレビ向け液晶パネルについては「成長市場は大画面にある」と片山氏は繰り返し強調。亀山第2工場における40型以下のテレビ用液晶パネルの生産を段階的にIGZOへ転換し、2010年度前半は100%だったテレビ向けの比率を、2012年度の早い段階で20%程度にまで落とす計画を発表した。これに伴いテレビメーカーへのパネル販売も縮小させる。
「外部テレビメーカーへのパネル販売は低成長しか見込めず、金額ベースでは収益的に合わない。パネル外販はやる必要がないというか、(生産縮小によって)やる余裕もなくなる」(片山氏)。
一方で、大阪府堺市にあるグリーンフロント堺については、世界で唯一第10世代のマザーガラスを採用したことを強調し、「やっと時代が来たな、という印象」と述べた。
従来、堺工場で生産するテレビ向けパネルは40インチがメインで、1枚のマザーガラスから18枚のパネルを取っていたという。「コモディティー化した40インチでは、18枚取りでも収益的に合わない。だから大幅な赤字になった」と片山氏は述べ、「堺工場の第10世代パネルの場合、60インチの8枚取りもできるし、電子黒板などに適した70インチの場合も6枚取りが可能だ」と、大型テレビやデジタルサイネージ用パネルの生産に適していることを強調した。
60インチ強の大型テレビでは、主に北米市場の開拓を図っている。同社は北米で昨年、60インチ以上の液晶テレビを約20万台販売したという。片山氏は「この実績が認められ、今年の4月までに、昨年比3.8倍となる約18,000台の店頭展示(SKU)を頂いた。これだけのSKUを頂いたのは初めてのこと」と強い手応えをアピール。「テレビ市場はまだまだ予断を許さないと考えているが、以前購入したモデルの買い替え時期であることも確かだ」と、大型モデルの需要拡大に自信を示した。
60インチ強の大型テレビの販売目標については「数は多ければ多いほど嬉しい」と述べ、具体的な数量や金額には言及しなかったが、「北米については明らかに引き合いが多いが、それ以外の地域でも可能性がありそうだ。中国では、労働節の時に60V型が15,000台くらい売れた」説明。これを受けて、今後70V型を中国へ投入する計画を進めているという。
一方のデジタルサイネージ市場については、「大阪駅や空港など、大型のデジタルサイネージが使われる施設が急速に増えている」とし、また電子黒板についても「まだ発表していないが、今後70インチのモデルも出していきたい」と今後の需要増に期待を示した。
テレビ/サイネージ向け液晶パネルの全体の戦略を俯瞰すると、液晶テレビの生産については60インチ以下のコモディティー化したサイズの生産を減らし、その分を大型液晶に振り向ける。これにより、液晶パネル外販の需給による売上や利益の変動を回避する戦略だ。
■「勝っても赤字の市場でシャープは戦わない」
片山社長は30〜40インチの液晶パネルについて「弊社だけではなく、韓国メーカーや台湾メーカーも赤字だ。アメリカに行くと、32インチの液晶テレビが300ドル、40インチは500ドル程度で売っている。これで儲かるわけがない」と指摘。また「もっと重要なのは、台数の伸びが止まったと言うこと。台数も単価も成長しない市場ということで、みんなが赤字になっている」と言葉を続け、「勝っても赤字の市場でシャープは戦わない」と宣言した。
片山氏はさらに、「液晶テレビ“AQUOS”のビジネスの側面から見ると、30インチ〜40インチの液晶パネルが足りなくなる」とし、このサイズに関しては外部から調達する考えも明らかにした。外部調達については、同社の製造装置を移転した南京の工場が近日立ち上がるほか、UV²Aパネルの海外技術移転を進めていることも説明。「こういったものを外部から調達することで、クオリティを保ちながら収益向上を図っていきたい」と述べた。
2011年度の連結業績は、売上高が前年比100.9%の3兆500億円、営業利益は前年比122.9%の970億円、経常利益は前年比113.3%の670億円と予想し、増収増益を見込む。
片山社長は2011年度の第1四半期について、大型液晶パネル工場のガラス投入停止の影響などから、大幅な減益を予想していると説明。「第1四半期は純損失500億円の大幅な赤字となる見込みで、大変厳しい内容になる。液晶事業の抜本的な改革を行い、第1四半期をボトムにしていく」とした。
第2四半期以降は、後述する液晶事業の改革、中小型液晶の事業拡大を実施。特にスマートフォン向けデバイス販売の拡大などにより、営業利益の改善を見込む。
なお同社は2011年度に特別損失として、亀山第2工場の液晶事業構造改革費用に150億円を、また震災に関連して工場の操業を止めていた損失として270億円を計上する予定。この影響で、純利益は前年比30.9%の60億円にとどまると予想している。
■AV・通信機器は売上大幅減も営業利益は確保と予想
主要商品別の売上と利益の見通しでは、液晶テレビについては販売台数は1,500万台と、前年度の1,482万台から微増を見込む。国内ではエコポイントの反動が見込まれるが、海外の需要拡大を図っていく。一方で単価下落が激しいことから、売上は前年度の8,035億円から6,800億円に下がると予想している。
携帯電話事業については、独自の機能を備えたスマートフォンなどを拡大させるが、市場の飽和などを背景に、売上は前年比94.4%の3,900億円と見込んでいる。
液晶パネル事業の売上は1兆200億円と、前年比ほぼ横這いと予想。中小型液晶を拡大しさせることで、売上に占めるモバイル液晶の割合を、前年度の35%から半分強にまで拡大させる計画だ。
片山氏は、部門別の売上高と営業利益についても説明。AV・通信機器の売上は1兆2,200億円と、前年比で14.5%減を見込む。国内と海外の売上比率では、国内が1兆5,929億円、海外は1兆4,290億円と予想。同部門の2011年度の営業利益は230億円で、利益率は1.9%と見込んでいる。前年度の営業利益率は2.9%だった。
売上高の主な増減要因を俯瞰すると、国内液晶テレビや大型液晶の外販などが減収要因となるが、それをスマートフォンの需要増などを背景にしたモバイル液晶の外販、LEDやCCD/CMOSなどでカバーする計画だ。
■AV・通信機器は売上大幅減も営業利益は確保と予想
続いて片山氏は、液晶事業の構造改革についてくわしく発表した。
同氏はまず、液晶事業の構造改革を行う理由、背景についてあらためて言及。「液晶パネル価格の下落が発生しており、世界のパネルメーカーの収益が軒並み悪化している。それに伴ってテレビメーカーの収益も悪くなっている状態だ」と、テレビセット事業やテレビ用パネルの事業環境が急速に悪化している状況を改めて説明した。
片山氏は「一方、スマートフォンやタブレットのニーズが急激に世界市場で高まっている」と言葉を続け、「こういった状況に対応し、液晶生産体制の最適化を図る」と、パネル生産の中小型へのシフトを図る考えを表明した。
さらに片山氏はテレビ向けパネルについて、20〜40型クラスの中小型液晶テレビから60型超の大型液晶テレビやデジタルサイネージなどのノンTV向けなど、大型化へのシフトを行う計画も表明。「モバイル用液晶や大型テレビ用/ノンTV用の大型パネルに当社のオンリーワン技術を投入。成長性の低い、コモディティー化した液晶分野から脱却を図る」とし、20〜40型クラスの液晶パネル生産を段階的に縮小する考えを示した。
■CGシリコンはスマホ向け、IGZOはタブレット向けに展開
シャープが持つ、高付加価値の中小型液晶パネルは2つ。CGシリコン液晶と、この4月に実用化を発表したばかりのIGZO(イグゾー)液晶(関連ニュース)だ。
CGシリコンはアモルファス液晶に比べて約100倍程度電子が流れやすく、IGZOに比べても、さらに高い性能を備えている。片山氏はCGシリコンがスマートフォンに適していると説明し、グラビア印刷のような鮮やかさ、300ppi以上の精細度、軽量さを備えていると紹介。ディスプレイサーチの予測データを見せながら「今後高精細なディスプレイを備えたスマートフォンがますます増加する」と述べ、こういった流れにCGシリコン技術が適しているとアピールした。
もう一つはIGZO液晶で、片山氏は「タブレット端末に適している」と強調。IGZOはインジウム、ガリウム、亜鉛から構成される酸化物で、アモルファス液晶に比べ20〜50倍程度、電子が移動しやすいという特性を備えている。これによりトランジスターを小さくすることができ、開口率を上げられる。開口率が上がるとバックライトの高効率化が進み、低消費電力化が実現する。もちろん高精細化が可能なことや画質の高さも特徴となる。
片山氏は、特にIGZOの消費電力の小ささを強調。「恐らくみなさん、タブレットを持ったときに『ちょっと重いんじゃないか』と思うのではないか。うちについても『ひどい商品を出したなぁ』と思っている。…これはここだけの話だが」と笑いを誘い、「タブレットが重いのはバッテリーの重さが大きな理由だが、これを軽くするためにはディスプレイも低消費電力化が求められる。IGZOの場合、特殊な駆動を行うことで消費電力が数分の一にできる」とその性能を強調した。なおCGシリコンとIGZOの用途の棲み分けについては、4月のIGZO技術発表会の際、「300ppi以上はCGシリコン、それ以下はIGZO」という指針がすでに発表されている。
実際のパネル生産についても、片山氏はくわしく説明した。CGシリコン液晶については「天理工場で生産を再開しており、三重第3工場も増産を検討しているが、これだけでは生産性を上げきれない」と、亀山第1工場にCGシリコン生産設備を導入する計画を改めて説明した。
IGZO液晶については、亀山第2工場の生産を、今年10月以降からIGZOへ徐々に転換していく計画を発表。「すでにサンプル出荷を配っているが、2012年に向けて相当に大きなデザイン、引き合いを頂いている」と、タブレット機器向けに、IGZO液晶の大口の交渉が進んでいることを示唆した。
■60〜70型の大型液晶テレビを拡販
テレビ向け液晶パネルについては「成長市場は大画面にある」と片山氏は繰り返し強調。亀山第2工場における40型以下のテレビ用液晶パネルの生産を段階的にIGZOへ転換し、2010年度前半は100%だったテレビ向けの比率を、2012年度の早い段階で20%程度にまで落とす計画を発表した。これに伴いテレビメーカーへのパネル販売も縮小させる。
「外部テレビメーカーへのパネル販売は低成長しか見込めず、金額ベースでは収益的に合わない。パネル外販はやる必要がないというか、(生産縮小によって)やる余裕もなくなる」(片山氏)。
一方で、大阪府堺市にあるグリーンフロント堺については、世界で唯一第10世代のマザーガラスを採用したことを強調し、「やっと時代が来たな、という印象」と述べた。
従来、堺工場で生産するテレビ向けパネルは40インチがメインで、1枚のマザーガラスから18枚のパネルを取っていたという。「コモディティー化した40インチでは、18枚取りでも収益的に合わない。だから大幅な赤字になった」と片山氏は述べ、「堺工場の第10世代パネルの場合、60インチの8枚取りもできるし、電子黒板などに適した70インチの場合も6枚取りが可能だ」と、大型テレビやデジタルサイネージ用パネルの生産に適していることを強調した。
60インチ強の大型テレビでは、主に北米市場の開拓を図っている。同社は北米で昨年、60インチ以上の液晶テレビを約20万台販売したという。片山氏は「この実績が認められ、今年の4月までに、昨年比3.8倍となる約18,000台の店頭展示(SKU)を頂いた。これだけのSKUを頂いたのは初めてのこと」と強い手応えをアピール。「テレビ市場はまだまだ予断を許さないと考えているが、以前購入したモデルの買い替え時期であることも確かだ」と、大型モデルの需要拡大に自信を示した。
60インチ強の大型テレビの販売目標については「数は多ければ多いほど嬉しい」と述べ、具体的な数量や金額には言及しなかったが、「北米については明らかに引き合いが多いが、それ以外の地域でも可能性がありそうだ。中国では、労働節の時に60V型が15,000台くらい売れた」説明。これを受けて、今後70V型を中国へ投入する計画を進めているという。
一方のデジタルサイネージ市場については、「大阪駅や空港など、大型のデジタルサイネージが使われる施設が急速に増えている」とし、また電子黒板についても「まだ発表していないが、今後70インチのモデルも出していきたい」と今後の需要増に期待を示した。
テレビ/サイネージ向け液晶パネルの全体の戦略を俯瞰すると、液晶テレビの生産については60インチ以下のコモディティー化したサイズの生産を減らし、その分を大型液晶に振り向ける。これにより、液晶パネル外販の需給による売上や利益の変動を回避する戦略だ。
■「勝っても赤字の市場でシャープは戦わない」
片山社長は30〜40インチの液晶パネルについて「弊社だけではなく、韓国メーカーや台湾メーカーも赤字だ。アメリカに行くと、32インチの液晶テレビが300ドル、40インチは500ドル程度で売っている。これで儲かるわけがない」と指摘。また「もっと重要なのは、台数の伸びが止まったと言うこと。台数も単価も成長しない市場ということで、みんなが赤字になっている」と言葉を続け、「勝っても赤字の市場でシャープは戦わない」と宣言した。
片山氏はさらに、「液晶テレビ“AQUOS”のビジネスの側面から見ると、30インチ〜40インチの液晶パネルが足りなくなる」とし、このサイズに関しては外部から調達する考えも明らかにした。外部調達については、同社の製造装置を移転した南京の工場が近日立ち上がるほか、UV²Aパネルの海外技術移転を進めていることも説明。「こういったものを外部から調達することで、クオリティを保ちながら収益向上を図っていきたい」と述べた。