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公開日 2014/01/14 12:22
【CES】CES2014 テレビのトレンドを折原一也が探る
4K、湾曲、直下型LED、4K有機EL
■4K放送に求められるHDMI 2.0、HDCP 2.2、H.265/HEVCが揃う2014年
2013年に大ブレイクした「4K」(北米ではUHD)は、昨年に引き続き2014 International CESの会場でホットなキーワードだった。4Kテレビの製品自体は既に日本や北米も含めた各国市場で発売されているが、HDMI2.0と、4Kに必須の著作権保護技術HDCP2.2が昨年9月に策定されたこと、そして日本の次世代放送推進フォーラムだけでなく北米でも「Netflix」や「DirecTV」などによる4K映像配信が進んでいること、H.265/HEVCといった、4Kネイティブコンテンツレディの仕様が固まったことで、4K放送と配信の普及に向けた条件が着々と整いつつあるためだ。
薄型テレビ全体を見渡すと、サムスン、LGらの韓国勢が最も積極的に推進している「湾曲型」(CURVED)の薄型テレビが会場内に溢れていた。まず、LGは105型の5Kテレビ(解像度5,120×2,160、アスペクト比21:9のシネスコ仕様)を最大サイズとした4K液晶テレビのほかに、サムスンも78型の湾曲した4K液晶のほか、OLEDも韓国勢は湾曲メインで展開。スクリーンの中心で視聴すれば画面の端まで等距離になり臨場感と没入感が増すという画質面のメリットはもちろん、実機を前にすると未来的なデザインにも注目が集まる。
とは言え湾曲テレビは最適な視聴体験ができるのは中心の1人だけでは?という反論も出る構造。そこでサムスンとLGの2社は、フラット型テレビをリモコンのボタン操作で湾曲型に変形させられる「変形型」(サムスンでは「Bendable」、LGでは「Flexible」と呼称)とでも呼ぶべき製品を展示していた。特にサムスンの78型の変形型液晶については2014年下半期には製品を発売するとしており、湾曲型に抵抗のあるユーザーにも受け入れられそうだ。
■4K液晶テレビのトレンドが「高画質」に回帰し直下型LEDが復活
2014 International CESの会場にて2014年モデルを展示していた主要メーカーのうち、ソニー、東芝、サムスンは直下型LED対応モデルをラインナップ。数年前からのコストダウン重視の戦略から、再び高画質競争が起こりつつある。
薄型テレビが改めて高画質指向にシフトした背景には、4Kテレビは大型かつ単価が高いため、金額ベースでの売上比率の10%以上とそれなりに好調に推移しているということもあるようだ。また、4Kパネルの3,840×2,160が各社複数ラインナップを展開するほど一般化した今、改めて高画質の差別化が模索されているということも挙げられる。
ソニーが発表したリファレンスモデル「XBR X950B」は、同社の4Kテレビとしては初めてとなる直下型LEDバックライトを採用し、新技術「X-tended Dynamic Range PRO」を搭載。65型と85型の2モデルを展開している。画面内の暗部のLEDの電力を高箇所に振り分ける機能によりピーク輝度を従来の3倍にまで拡大。4K解像度、広色域化を果たしたトリルミナスに加え、光の輝きからも高画質化を追及している。実際、CESの会場にてデモ上映されていた映像では、画面内のコントラスト比が非常に高く、暗部の沈み込みといいダイナミックな輝きといい今年のCESで展示されていた4Kテレビのなかでも屈指の高画質モデルとなっていた。
東芝も、2013年の2KモデルREGZA「Z8シリーズ」で先行搭載した直下型LEDと広色域バックライトを2014年の4Kテレビにも投入している。こちらは試作機の段階だが、明るく輝きを出した画質で完成度の高い高画質を見せていた。
パナソニックの4K液晶新モデル「AX800」も、広色域LEDでDCIを98%カバーする。新機能の「STUDIO MASTER COLOR」は同社が「プラズマ向けに開発していた駆動技術を液晶に転用したら、元のプラズマよりも高画質になった」と説明するパナソニック肝いりの技術で、実機デモでも確かに同社のプラズマテレビ「ZT60」よりも暗部階調が深い。また、同社のDIGAの得意とするクロマ処理による高画質化のような画面全体を緻密に描写しており、精細感の点からも大きな画質向上が図られている。
■LGは4K OLEDを日本でも発売予定。有機ELの開発は各社継続
もうひとつの「高画質」トレンドである有機EL(OLED)については、ソニーとパナソニックの提携解消がニュースになっている。そして日本メーカーではパナソニックがデジタルサイネージ用途を想定した「湾曲型」のプロトタイプを展示しただけにとどまり、ソニーによる展示はなかった。
しかしLGやサムスンは有機ELも積極的に展示を続けている。LGはフルHDタイプのOLEDをグローバルで発売中(日本は未発売)で、4K OLEDについても2014年に世界で発売し、日本市場についても発売を計画ともっとも積極的に展開している。これは製造性に優れるホワイトピクセルの方式の採用が理由だ。一方、サムスンは展示こそ豊富にあるものの、説明員によるとすべてプロトタイプで具体的な発売時期等のコメントは得られなかった。
なお、パナソニックが印刷方式で試作した「湾曲型」の55型有機ELはデジタルサイネージを想定した展示だが、実写映像の色バランスも整い、良くできていた。製造工程も昨年10月のIFAでの展示からパネルのユニフォーミティが向上したとのことだが、あまりに広色域で鮮やかな映像のため、テレビ用よりも有機ELのポテンシャルを活かす用途が模索される段階だという。
2014 International CES全体を通して見ると、液晶テレビの画質改善が予想以上に進んでおり、やはり今後もメインストリームは液晶テレビという事になりそうだ。有機ELの研究も、4K OLEDとして各社継続しており、将来テレビとは異なる形で我々の手に届くことになるかもしれない。
2013年に大ブレイクした「4K」(北米ではUHD)は、昨年に引き続き2014 International CESの会場でホットなキーワードだった。4Kテレビの製品自体は既に日本や北米も含めた各国市場で発売されているが、HDMI2.0と、4Kに必須の著作権保護技術HDCP2.2が昨年9月に策定されたこと、そして日本の次世代放送推進フォーラムだけでなく北米でも「Netflix」や「DirecTV」などによる4K映像配信が進んでいること、H.265/HEVCといった、4Kネイティブコンテンツレディの仕様が固まったことで、4K放送と配信の普及に向けた条件が着々と整いつつあるためだ。
薄型テレビ全体を見渡すと、サムスン、LGらの韓国勢が最も積極的に推進している「湾曲型」(CURVED)の薄型テレビが会場内に溢れていた。まず、LGは105型の5Kテレビ(解像度5,120×2,160、アスペクト比21:9のシネスコ仕様)を最大サイズとした4K液晶テレビのほかに、サムスンも78型の湾曲した4K液晶のほか、OLEDも韓国勢は湾曲メインで展開。スクリーンの中心で視聴すれば画面の端まで等距離になり臨場感と没入感が増すという画質面のメリットはもちろん、実機を前にすると未来的なデザインにも注目が集まる。
とは言え湾曲テレビは最適な視聴体験ができるのは中心の1人だけでは?という反論も出る構造。そこでサムスンとLGの2社は、フラット型テレビをリモコンのボタン操作で湾曲型に変形させられる「変形型」(サムスンでは「Bendable」、LGでは「Flexible」と呼称)とでも呼ぶべき製品を展示していた。特にサムスンの78型の変形型液晶については2014年下半期には製品を発売するとしており、湾曲型に抵抗のあるユーザーにも受け入れられそうだ。
■4K液晶テレビのトレンドが「高画質」に回帰し直下型LEDが復活
2014 International CESの会場にて2014年モデルを展示していた主要メーカーのうち、ソニー、東芝、サムスンは直下型LED対応モデルをラインナップ。数年前からのコストダウン重視の戦略から、再び高画質競争が起こりつつある。
薄型テレビが改めて高画質指向にシフトした背景には、4Kテレビは大型かつ単価が高いため、金額ベースでの売上比率の10%以上とそれなりに好調に推移しているということもあるようだ。また、4Kパネルの3,840×2,160が各社複数ラインナップを展開するほど一般化した今、改めて高画質の差別化が模索されているということも挙げられる。
ソニーが発表したリファレンスモデル「XBR X950B」は、同社の4Kテレビとしては初めてとなる直下型LEDバックライトを採用し、新技術「X-tended Dynamic Range PRO」を搭載。65型と85型の2モデルを展開している。画面内の暗部のLEDの電力を高箇所に振り分ける機能によりピーク輝度を従来の3倍にまで拡大。4K解像度、広色域化を果たしたトリルミナスに加え、光の輝きからも高画質化を追及している。実際、CESの会場にてデモ上映されていた映像では、画面内のコントラスト比が非常に高く、暗部の沈み込みといいダイナミックな輝きといい今年のCESで展示されていた4Kテレビのなかでも屈指の高画質モデルとなっていた。
東芝も、2013年の2KモデルREGZA「Z8シリーズ」で先行搭載した直下型LEDと広色域バックライトを2014年の4Kテレビにも投入している。こちらは試作機の段階だが、明るく輝きを出した画質で完成度の高い高画質を見せていた。
パナソニックの4K液晶新モデル「AX800」も、広色域LEDでDCIを98%カバーする。新機能の「STUDIO MASTER COLOR」は同社が「プラズマ向けに開発していた駆動技術を液晶に転用したら、元のプラズマよりも高画質になった」と説明するパナソニック肝いりの技術で、実機デモでも確かに同社のプラズマテレビ「ZT60」よりも暗部階調が深い。また、同社のDIGAの得意とするクロマ処理による高画質化のような画面全体を緻密に描写しており、精細感の点からも大きな画質向上が図られている。
■LGは4K OLEDを日本でも発売予定。有機ELの開発は各社継続
もうひとつの「高画質」トレンドである有機EL(OLED)については、ソニーとパナソニックの提携解消がニュースになっている。そして日本メーカーではパナソニックがデジタルサイネージ用途を想定した「湾曲型」のプロトタイプを展示しただけにとどまり、ソニーによる展示はなかった。
しかしLGやサムスンは有機ELも積極的に展示を続けている。LGはフルHDタイプのOLEDをグローバルで発売中(日本は未発売)で、4K OLEDについても2014年に世界で発売し、日本市場についても発売を計画ともっとも積極的に展開している。これは製造性に優れるホワイトピクセルの方式の採用が理由だ。一方、サムスンは展示こそ豊富にあるものの、説明員によるとすべてプロトタイプで具体的な発売時期等のコメントは得られなかった。
なお、パナソニックが印刷方式で試作した「湾曲型」の55型有機ELはデジタルサイネージを想定した展示だが、実写映像の色バランスも整い、良くできていた。製造工程も昨年10月のIFAでの展示からパネルのユニフォーミティが向上したとのことだが、あまりに広色域で鮮やかな映像のため、テレビ用よりも有機ELのポテンシャルを活かす用途が模索される段階だという。
2014 International CES全体を通して見ると、液晶テレビの画質改善が予想以上に進んでおり、やはり今後もメインストリームは液晶テレビという事になりそうだ。有機ELの研究も、4K OLEDとして各社継続しており、将来テレビとは異なる形で我々の手に届くことになるかもしれない。