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公開日 2015/12/17 18:25
新たな著作権管理団体「NexTone」誕生。“JASRACにはない強み”で健全な対抗軸目指す
イーライセンスとJRCが統合
エイベックス・ミュージック・パブリッシング(AMP)は、かねてより協議していた、著作権管理事業者の(株)イーライセンスおよび(株)JRCの統合について、2016年2月1日付で両社を合併。新会社「株式会社NexTone(ネクストーン)」とすることを発表した。
AMPは(株)イーライセンスおよび(株)JRCの筆頭株主。今年9月から2社の事業統合について協議していた(関連ニュース)。イーライセンスを存続会社としてJRCを吸収、「NexTone」に商号変更する。新会社の取締役会長には三野明洋氏(現イーライセンス代表取締役会長)、代表取締役CEOには阿南雅浩氏(現イーライセンス代表取締役社長/AMP代表取締役社長)、代表取締役COOには荒川祐二氏(現JRC代表取締役社長)が就任する。
新会社「NexTone」は、「Next Tone=次世代の音」、「Next one=次世代の牽引者」などを意味する造語。経営理念として「権利者から選ばれ、利用者から支持される著作権管理事業者となる」を掲げる。阿南氏は「『管理人』『番人』ではなく、権利者と利用者両方のメリットを尊重し、新時代の要請にも柔軟に対応することで、楽曲利用の活性化を目指す」と説明した。
なお、合併にあたりNexToneとしての契約約款(利用条件や料金等)を定めるため、現在権利者/利用者等と協議中。2017年4月に制定を予定している。それまではNexTone内に「イーライセンス事業部」「JRC事業部」の2事業部を置き、各社の現行約款に基づいて業務を行っていくという。
著作権管理事業は現状JASRACの独占状態にあり、イーライセンス/JRCを合わせてもシェアはわずか2%だ。しかし阿南氏は「我々はまだ支分権のうちの一部しか取り扱っておらず、その“未知の領域”にこれから参入していくかたちとなる。また、現在イーライセンスが権利保有する約5万曲+JRCの約4万曲は、2002年以降に発売された『生きている楽曲』。これに加え、エイベックスの新譜がどんどん加わっていく。他社さんも新録・新譜を提供してくれたら、10%程度のシェアは早期に見込めると考えている」と展望を語る。
ただし、エイベックス音源約10万曲の権利をNexToneに移行する作業は想定どおり行っていない部分もあるという。権利移行は3年に1回しかできないという業界の取り決めがあり、2015年内に作業が完了しなかった場合、次に作業ができるのは2018年になるのだが、この作業が完了しているのは現時点で3,000曲程度のみ。年内まで待っても5,000曲程度に留まる見込みだという。「実際に動き始められたのが11月半ば頃だったこと、そして権利者の皆さんへの充分な説明が足りなかったことが原因。非常に反省している」と語る阿南氏。今後はそもそも3年に1回しか権利移行できないというルールから見直されるよう、各所に働きかけていくという。
NexToneでは、JASRACにはない強みであるデジタルコンテンツの流通・販売事業やライブビューイング/キャスティングサービスといったマーケティング/販売促進事業をテコに、著作権管理事業へも誘導を図っていく戦略だ。荒川氏は「既にイーライセンスでこういった周辺事業に取り組んでおり、(イーライセンスの)売上げの半分は周辺事業という実績も出せている」と自信を見せる。なお周辺事業にエイベックスグループが関与することは今後もない、と断言し「JASRACからエイベックスのプラットフォームに取り込まれることになるだけでは?」という質問に答えた。
また阿南氏はJASRACと比較した強みとして、新しいサービスや技術に対する対応の早さも挙げる。「たとえばサブスクリプション型配信での手数料を決める際、JASRACは決定に2年以上かかり、そのあいだ著作権保有者には1円も還元されなかった。これでは事業計画やサービス内容を決められず、新規参入を阻害してしまうことになる」とコメントしていた。
また荒川氏は「JASRACとパイを奪い合うような競争をしたいのではなく、お互いに切磋琢磨することで音楽利用の促進やマーケットの拡大につなげていきたい、というのが我々の考え」という理念を強調した。
AMPは(株)イーライセンスおよび(株)JRCの筆頭株主。今年9月から2社の事業統合について協議していた(関連ニュース)。イーライセンスを存続会社としてJRCを吸収、「NexTone」に商号変更する。新会社の取締役会長には三野明洋氏(現イーライセンス代表取締役会長)、代表取締役CEOには阿南雅浩氏(現イーライセンス代表取締役社長/AMP代表取締役社長)、代表取締役COOには荒川祐二氏(現JRC代表取締役社長)が就任する。
新会社「NexTone」は、「Next Tone=次世代の音」、「Next one=次世代の牽引者」などを意味する造語。経営理念として「権利者から選ばれ、利用者から支持される著作権管理事業者となる」を掲げる。阿南氏は「『管理人』『番人』ではなく、権利者と利用者両方のメリットを尊重し、新時代の要請にも柔軟に対応することで、楽曲利用の活性化を目指す」と説明した。
なお、合併にあたりNexToneとしての契約約款(利用条件や料金等)を定めるため、現在権利者/利用者等と協議中。2017年4月に制定を予定している。それまではNexTone内に「イーライセンス事業部」「JRC事業部」の2事業部を置き、各社の現行約款に基づいて業務を行っていくという。
著作権管理事業は現状JASRACの独占状態にあり、イーライセンス/JRCを合わせてもシェアはわずか2%だ。しかし阿南氏は「我々はまだ支分権のうちの一部しか取り扱っておらず、その“未知の領域”にこれから参入していくかたちとなる。また、現在イーライセンスが権利保有する約5万曲+JRCの約4万曲は、2002年以降に発売された『生きている楽曲』。これに加え、エイベックスの新譜がどんどん加わっていく。他社さんも新録・新譜を提供してくれたら、10%程度のシェアは早期に見込めると考えている」と展望を語る。
ただし、エイベックス音源約10万曲の権利をNexToneに移行する作業は想定どおり行っていない部分もあるという。権利移行は3年に1回しかできないという業界の取り決めがあり、2015年内に作業が完了しなかった場合、次に作業ができるのは2018年になるのだが、この作業が完了しているのは現時点で3,000曲程度のみ。年内まで待っても5,000曲程度に留まる見込みだという。「実際に動き始められたのが11月半ば頃だったこと、そして権利者の皆さんへの充分な説明が足りなかったことが原因。非常に反省している」と語る阿南氏。今後はそもそも3年に1回しか権利移行できないというルールから見直されるよう、各所に働きかけていくという。
NexToneでは、JASRACにはない強みであるデジタルコンテンツの流通・販売事業やライブビューイング/キャスティングサービスといったマーケティング/販売促進事業をテコに、著作権管理事業へも誘導を図っていく戦略だ。荒川氏は「既にイーライセンスでこういった周辺事業に取り組んでおり、(イーライセンスの)売上げの半分は周辺事業という実績も出せている」と自信を見せる。なお周辺事業にエイベックスグループが関与することは今後もない、と断言し「JASRACからエイベックスのプラットフォームに取り込まれることになるだけでは?」という質問に答えた。
また阿南氏はJASRACと比較した強みとして、新しいサービスや技術に対する対応の早さも挙げる。「たとえばサブスクリプション型配信での手数料を決める際、JASRACは決定に2年以上かかり、そのあいだ著作権保有者には1円も還元されなかった。これでは事業計画やサービス内容を決められず、新規参入を阻害してしまうことになる」とコメントしていた。
また荒川氏は「JASRACとパイを奪い合うような競争をしたいのではなく、お互いに切磋琢磨することで音楽利用の促進やマーケットの拡大につなげていきたい、というのが我々の考え」という理念を強調した。
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