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公開日 2017/01/07 11:31
<CES>ソニーのアトモス/DTS:X対応AVアンプ「STR-DN1080」を聴いた!
新機能の詳細を開発者にインタビュー
ソニーがCES 2017でサウンドバーと共に発表したドルビーアトモス対応の製品が、AVアンプ「STR-DN1080」だ。日本のホームシアターファンにとって遂にソニーがドルビーアトモス対応に本腰を入れたと感慨も深い。
会場では早速その立体音響サラウンドの試聴室がセットされていたので、効果のほどを体験してみた。デモ環境として用意されていたのは、SS-CS3を前3本、サラウンドとトップスピーカーにはSS-CS5、サブウーファーでSA-CS9を2本導入したシステム。スピーカーとしては5.1.2chのリアルスピーカーの環境で、7.1.2chとして音源を再生する環境だ。
視聴したのは映画『ゴーストバスターズ』のシーンなどが収められたデモディスクだが、まずリアルスピーカーから繰り出されるサウンドは、やはり音の臨場感と共にダイレクトに聴こえる音の存在感と独立感、そしてドルビーアトモスらしい上からの音の移動とつながりのクリアネスが圧倒的に高い。ドルビーアトモスの特徴として包まれるようなサラウンド空間と形容されることが多いが、包囲感と共にひとつひとつの音の輪郭もシャープに聴こえることが本当の映画のサラウンドだということも改めて実感する。
今回はSTR-DN1080の詳細と登場の意図を、AVアンプの設計を手がける渡辺忠敏氏に伺った。
STR-DN1080は日本のモデルでいう「TA-DN1070」の後継に相当するモデルで、米国での値付けは599ドル。7chのパワーアンプを搭載、ファイル再生機能などはDN1070を踏襲しネイティブDSD 5.6MHz、5.1ch DSDに対応する。
なお、“遂にソニーがドルビーアトモスに対応”と呼びたくなるが、「米国のカスタムインストーラー向けのモデルでは昨年からドルビーアトモスに対応していて、その設計も私がしております」(渡辺氏、以下同)ということなので、ホーム向けのモデルとして初と呼ぶのが正しいようだ。
今回のCESで最も大々的にデモが行われていたのが『ファントムサラウンドバック』という機能だ。渡辺氏によると「ファントムとは、ソニーのAVアンプに搭載されている自動音場補正の機能を使ってバーチャルでサラウンドバックを生成する機能です。この機能を使うことで、7chのパワーアンプなので5.1.2chが最大になるところ、信号処理として7.1.2chになります」という。
自動音場補正機能についてはエントリーモデルと上位モデルとの間で差があったが、「ソニーのAVアンプは自動音場補正の『D.C.A.C.』を搭載しているのですが、TA-DN1070までは距離・レベル・各スピーカーの周波数特性・位相特性をあわせるA.P.M.(オートマチック・フェーズ・マッチング)が入っている『アドバンスト D.C.A.C.』でした。今回のSTR-DN1080では『D.C.A.C. EX』を搭載しています」と、上位機であるTA-DA5800ESなどに採用される機能を踏襲していることをアピール。
そしてこの機能について「ステレオマイクの2点で測定するため角度が測れるので、スピーカーリロケーション機能を使うことができます。この機能には実はサラウンドバックがない時にファントムでサラウンドバックを作る機能が入っていたのですが、これがドルビーアトモスで有効に働くことがわかりまして、改めてファントムサラウンドバックという名前をつけています」としている。
サラウンドバックと言えば5.1chのサラウンドでは最も手薄とされる真後ろをカバーするスピーカーだが、ここで言うファントムサラウンドバックはいわばバーチャルスピーカーの機能なので、実態のスピーカーとしては5.1chのままだ。そこでどんな違いが生まれるのだろうか。
「ファントムサラウンドバックを使った場合、ドルビーアトモスの音源を再生する際に7.1.2chでのレンダリングができるのです。ディスク自体はドルビーアトモスとして入っているもので同じですが、例えば、スピーカー配置をフロントハイにするかトップミドルにするかと同様に、5.1.2chではなく7.1.2chとしてのレンダリングをできるので、後ろの音の厚みが違います。このレンダリングの違いが大きく影響することが分かったので、ドルビーアトモス時代に相応しい機能として目立たせました」
加えて「D.C.A.C. EXではスピーカーの周波数特性を矯正する8バンドのPQだったのが、32バンドのグラフィックイコライザーに変わります。そのため、より精度の高い補正ができるのも特徴です」と、クオリティも追求したことを語っていた。
ソニーのAVアンプを追いかけていた身としては、D.C.A.C. EXをエントリークラスのAVアンプで使えるというだけでも十分豪華な仕様。今回は米国版の発表となるが、日本版の登場にも期待しよう。
会場では早速その立体音響サラウンドの試聴室がセットされていたので、効果のほどを体験してみた。デモ環境として用意されていたのは、SS-CS3を前3本、サラウンドとトップスピーカーにはSS-CS5、サブウーファーでSA-CS9を2本導入したシステム。スピーカーとしては5.1.2chのリアルスピーカーの環境で、7.1.2chとして音源を再生する環境だ。
視聴したのは映画『ゴーストバスターズ』のシーンなどが収められたデモディスクだが、まずリアルスピーカーから繰り出されるサウンドは、やはり音の臨場感と共にダイレクトに聴こえる音の存在感と独立感、そしてドルビーアトモスらしい上からの音の移動とつながりのクリアネスが圧倒的に高い。ドルビーアトモスの特徴として包まれるようなサラウンド空間と形容されることが多いが、包囲感と共にひとつひとつの音の輪郭もシャープに聴こえることが本当の映画のサラウンドだということも改めて実感する。
今回はSTR-DN1080の詳細と登場の意図を、AVアンプの設計を手がける渡辺忠敏氏に伺った。
STR-DN1080は日本のモデルでいう「TA-DN1070」の後継に相当するモデルで、米国での値付けは599ドル。7chのパワーアンプを搭載、ファイル再生機能などはDN1070を踏襲しネイティブDSD 5.6MHz、5.1ch DSDに対応する。
なお、“遂にソニーがドルビーアトモスに対応”と呼びたくなるが、「米国のカスタムインストーラー向けのモデルでは昨年からドルビーアトモスに対応していて、その設計も私がしております」(渡辺氏、以下同)ということなので、ホーム向けのモデルとして初と呼ぶのが正しいようだ。
今回のCESで最も大々的にデモが行われていたのが『ファントムサラウンドバック』という機能だ。渡辺氏によると「ファントムとは、ソニーのAVアンプに搭載されている自動音場補正の機能を使ってバーチャルでサラウンドバックを生成する機能です。この機能を使うことで、7chのパワーアンプなので5.1.2chが最大になるところ、信号処理として7.1.2chになります」という。
自動音場補正機能についてはエントリーモデルと上位モデルとの間で差があったが、「ソニーのAVアンプは自動音場補正の『D.C.A.C.』を搭載しているのですが、TA-DN1070までは距離・レベル・各スピーカーの周波数特性・位相特性をあわせるA.P.M.(オートマチック・フェーズ・マッチング)が入っている『アドバンスト D.C.A.C.』でした。今回のSTR-DN1080では『D.C.A.C. EX』を搭載しています」と、上位機であるTA-DA5800ESなどに採用される機能を踏襲していることをアピール。
そしてこの機能について「ステレオマイクの2点で測定するため角度が測れるので、スピーカーリロケーション機能を使うことができます。この機能には実はサラウンドバックがない時にファントムでサラウンドバックを作る機能が入っていたのですが、これがドルビーアトモスで有効に働くことがわかりまして、改めてファントムサラウンドバックという名前をつけています」としている。
サラウンドバックと言えば5.1chのサラウンドでは最も手薄とされる真後ろをカバーするスピーカーだが、ここで言うファントムサラウンドバックはいわばバーチャルスピーカーの機能なので、実態のスピーカーとしては5.1chのままだ。そこでどんな違いが生まれるのだろうか。
「ファントムサラウンドバックを使った場合、ドルビーアトモスの音源を再生する際に7.1.2chでのレンダリングができるのです。ディスク自体はドルビーアトモスとして入っているもので同じですが、例えば、スピーカー配置をフロントハイにするかトップミドルにするかと同様に、5.1.2chではなく7.1.2chとしてのレンダリングをできるので、後ろの音の厚みが違います。このレンダリングの違いが大きく影響することが分かったので、ドルビーアトモス時代に相応しい機能として目立たせました」
加えて「D.C.A.C. EXではスピーカーの周波数特性を矯正する8バンドのPQだったのが、32バンドのグラフィックイコライザーに変わります。そのため、より精度の高い補正ができるのも特徴です」と、クオリティも追求したことを語っていた。
ソニーのAVアンプを追いかけていた身としては、D.C.A.C. EXをエントリークラスのAVアンプで使えるというだけでも十分豪華な仕様。今回は米国版の発表となるが、日本版の登場にも期待しよう。