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公開日 2017/06/30 18:07

日本初上陸の3面マルチスクリーン映画システム「ScreenX」を一足先に体験してきた【動画あり】

新しい映画体験がユナイテッド・シネマのお台場で
永井光晴
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■7月1日「パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊」で始動

7月1日、シネコンチェーン、ユナイテッド・シネマ(UC)のアクアシティお台場に、日本初となる3面上映システム「ScreenX」(スクリーン・エックス)がいよいよ開業する(関連ニュース)。

3面のスクリーンを使う「ScreenX」が日本に上陸

一般公開に先駆けてプレス向けの発表会が開催された

ScreenXは、既存の正面スクリーンに加え、左右側面(壁面)にも映像を投影するマルチプロジェクションシステムだ。最大270度の視界によって、映像空間に没入していくような"新しい映画体験"を堪能できる。封切り作品は、7月1日に公開初日を迎える「パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊」。



今回、ScreenXが導入されるのは、UCアクアシティお台場のScreen13(175席)で、鑑賞には通常料金に加え、追加料金¥700となる。また同館ではScreen8(108席)に4DXも、同日オープンする。

上映イメージ

■タイミングよく広がる映像表現は本編の30分程度

ScreenXを開発したのは、韓国のシネマコンプレックスCJ CGV社。同社は2009年に4DXを初導入したことでも有名だ。ScreenXは2015年に韓国で導入されて以来、全世界119の劇場に設置されている(2017年6月時点)。内訳は、韓国84館、中国26館、アメリカ3館、トルコ2館、ベトナム2館、インドネシア1館、タイ1館で、東京のお台場が120箇所目になる。

上映時、正面スクリーンには通常版の映像を、通常の映写機で投影。両サイドの映像は、逆サイドの天井に設置された複数(左右各4台)のプロジェクターよって投影され、それらが連動する仕組みである。右スクリーンの映像は左壁の天井プロジェクターより、左スクリーンの映像は右壁の天井プロジェクターよりクロス投写する。日本語字幕がある場合は、通常通り、正面スクリーンに表示される。

SceenXの説明

UCではソニー社製SXRDプロジェクターとNEC社製DLPプロジェクターを採用しているが、お台場のScreenXの正面用では、NEC製を使用している。サイドプロジェクターはパナソニック製である。

サイドプロジェクター

左右スクリーンは、いわゆるスクリーン素材ではなく、映像投影ができる特殊な壁に投射している。左右の映像は座席の傾斜に合わせ、劇場の後部座席方向まで勾配をつけて、しっかりと投影される。

左右スクリーンは、いわゆるスクリーン素材ではなく、映像投影ができる特殊な壁

(C) 2017 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

なお、左右のサイドスクリーンには常時映像が流れるわけではない。作品によって異なるが、ここぞというタイミングで3面になり、最大限の演出効果を生み出す。1作品における3面投影は平均して30分程度となる。



現状、ScreenXでは3D作品の上映は予定されていない。しかし同じ大画面系のIMAXでは3D対応になっているので、要望が高まれば、将来の可能性は否定できない。実際、韓国のScreenXではパイレーツ新作の3Dバージョンが公開される。

ScreenXのロゴ

ユナイテッド・シネマ アクアシティお台場の入口にもScreenXのロゴ

UC アクアシティお台場 支配人の大塚達徳氏は、「最初は懐疑的でしたが、実際の映像を見て、これを広めていかなければならないと思いました」とコメント。「フイルムからデジタルへの上映システム変化、昔と違い吹替版も同時稼働したり、4DXのようなアトラクションシアターも人気です。新しい映画が求められているというのが時代の流れです」と言葉を続けた。

ユナイテッド・シネマ 代表取締役社長の渡辺氏もあいさつ

ユナイテッド・シネマ アクアシティお台場 支配人の大塚氏

標準作品は画面に合わせ左右の映像をCG作成。ScreenX専用カメラでのオリジナル作品製作も

ScreenX作品を撮影するために、3面レンズを装備した専用カメラが開発されており、韓国ではScreenX上映を目的として撮影することができるという。実際、ビッグバンのコンサートがこのカメラで収録されたことがある。

ScreenX用のカメラ


映画作品については実績がないが、4DXでは「ボクソール ライドショー〜恐怖の廃校脱出!」(2016年/白石晃士監督)や「雨女」(2016年/清水崇監督)のように、国内でも体感を目的に作られた作品があるので、ScreenXでも専用映画を作ることはできるはずだ。

では、今回上映される「パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊」のように、ScreenX用でない映画作品に関してはどうなるのだろうか。

映画の持つポテンシャルを引き出すためのサイドスクリーン映像は、正面映像に続く映像をCG作成する場合と、編集時に使用されなかったBカット、Cカットなどの撮影済み素材を用いて作成する場合がある。

■ベストポジションは中段やや後方の席。インターネット予約で良席を確保したい

「パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊」の場合、大海原に展開する海賊船のシーンで、どこまでも広がる海が映し出される。「パイレーツ・オブ・カリビアンは、6カ月前からディズニーと共同で、ScreenX用のコンテンツを製作しました」(CJ 4D PLEX社長 チェ・ビョンファン氏)

CJ 4D PLEX社長 チェ・ビョンファン氏

正面スクリーンも左右面とのつながりを確保するため、隅ギリギリまで投影面があり、それだけでも視野を覆いきるくらいの大画面感を得られる。

座席によっては左右の見え方が異なるので、できれば中央正面で観たい。また、最前列席は、正面スクリーンしか視界に入らないため、ScreenXの効果を最大限に享受できたとは言いがたい。そこで「営業当初は1列目は販売しません」(UCお台場・大塚支配人)という。実際、韓国では座席位置によって価格が違うそうだ。

筆者の個人的な印象では、キョロキョロと左右を観るものではなく、サイドの映像は”見切る”感じで包まれる。ポジションとしては中段6列目より後方、かつ中央席をお薦めする。

(C) 2017 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

同館では1週間前からチケットのインターネット購入ができるので、スマホなどで事前予約を利用したい。

今後のScreenX上映予定作品は、9月1日(金)公開の韓国映画「新感染 ファイナル・エクスプレス」(原題:Train to Busan)。高速で走り続ける鉄道の中で、突如として発生したウィルスによってパニックが起きるノンストップ・サバイバルアクション作品である。昨年のカンヌ国際映画祭に出品され、全世界でヒットを記録している。

本作は韓国映画ということもあり、制作当初からScreenX上映を想定しており、列車内の奥行き方向への展開が3面上映によってリアル感を増し、狭い車内を逃げ回る乗客とともに空間の中に入った印象を受ける。

百聞は一見に如かず。お台場のユナイテッド・シネマで、次世代映画体験ScreenXを、誰よりも早く確かめよう。

テープカットも行われた

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