HOME > ニュース > AV&ホームシアターニュース
公開日 2018/12/18 19:09
オンキヨー、ドコモのAIシステムと連携したウェアラブル端末システムをBtoB向けに展開
「AIと人間の“最後の10cm”を縮める」
オンキヨー(株)は、ウェアラブル端末を使用してAIアプリケーションを活用できるシステムを、同社のBtoB事業として推進していくと発表。その一環として、NTTドコモが開発した「ドコモAIエージェントAPI(オープンパートナー・イニシアティブ)」との連携を行う。今回、この連携について両社が提案活動を開始することについて発表会を開催した。
冒頭に登壇したオンキヨー(株)B2B本部 AI/IoT事業推進室 室長の宮崎武雄氏は、同社のこうした取り組みと、それに至る経緯を説明。同社ではGooleアシスタント搭載の「G3」、Amazon Alexa搭載の「P3」といったスマートスピーカーを発売している。また独自のAIであるOnkyo AIに対応させた新開発のAIスマートウェアラブル「VC-NX01」を、2018年の米CESや国内の「AI・人工知能EXPO」に出展するなど、スマートデバイスの展開に意欲を見せている。
「AIスマートウェアラブル VC-NX01を出展した際、BtoB用途として様々な企業から大きな反応があった。こうしたデバイスが、人手不足や業務効率の改善を図る手段の一つになると考えられる」と語る宮崎氏。日本の総人口と生産年齢人口が大幅に減少していく将来を見据え、女性や障がい者、外国人など働くことが困難な環境にある人の手助けをし、労働人口を増やす取り組みが必要であるとして「AI、IoTがその解の一つになる」と説明する。
そうしたAI、IoTによる手助けをより身近に実現するのがVC-NX01のようなウェアラブル端末だという。装着したまま両手を自由に使え、音声による入力で操作ができ、作業を中断せずにAIを利用できる。さらに耳を塞がず小型・軽量であるため周囲とのコミュニケーションがとれ、安全性が高く、作業の邪魔にならずにストレスなく使えるといったメリットを挙げ「AIと人間の“最後の10cm”を縮める」とした。
一方、AIの進化で機械が音を理解することができるようになり、音声による製品のコントロールやAIとの会話が実現される中、使用環境の騒音レベルに限らずこれらが可能となるよう、様々な環境下でも必要な音だけを抜き出す技術の必要性が増加しているという。オンキヨーのウェアラブル端末は、端末を装着する人や対話をする人の声をクリアに集音するマイク技術、装着する人の耳に効率よく音を届けるスピーカー技術を追求し、こうした用途に対応していく。
(株)NTTドコモ イノベーション統括部 クラウドソリューション担当 担当課長の秋永和計氏は、「ドコモAIエージェントAPI」など、同社の自然対話エンジン開発の取り組みについて説明した。
NTTドコモでは、2012年に“おしゃべりするAI”である「しゃべってコンシェル」を商用化して以来、6年以上にわたり日本語に対応する自然対話エンジンをBtoB向けに提供してきた。「あらゆるモノに対話型AIサービスを提供したい」との方向性のもと、自然な対話を通じての会話やコンテンツの提供、デバイスの操作などを目指してきた。
「こうしたサービスは1社1社に向けた作りつけで、年間1000万円程度と高コストがかかるものだった。取り組みの中で音声サービスに対する皆様の期待の高さを感じ、これから需要が高まると見て「しゃべってコンシェル」のシステム入れ替えに5年ぶりに着手。新たなBtoCサービス「my daiz(マイデイズ)」を立ち上げる際、システムをプラットフォーム化して、おしゃべりするデバイスが自由につくれる環境をつくった。それがドコモAIエージェントAPI(オープンパートナーイニシアティブ)である」と説明する秋永氏。
「my daiz」は2018年5月から提供開始されており、「ドコモAIエージェントAPI」におけるBtoBの取り組みは2019年春から開始されるという。そこに活用されるのがオンキヨーのデバイスで、「いろいろな対話のシステムを実現していきたい」とした。
「対話のサービスで連想されるのはスマートスピーカーだが、我々はいろいろな方々といろいろなデバイスを模索しており、オンキヨーさんのデバイスは非常に画期的。首にかけることで活用シーンが広がる。あらゆるモノに対話型AIサービスを提供するために実現した「VUI(Voice User Interface)」を簡単に導入でき、ここにいろいろなサービスをのせていきたい」と意欲を示す。
「サービスを提供していく中で生じてくる困難なこと、様々な機器への対応をどうやって行うか、音声認識と音声合成の準備は誰が行うか、プログラミングはどうするかといったことをNTTドコモ側で吸収し、基盤として提供するというのが大きな特長」と語る。
ドコモAIエージェントAPIの心臓部である多目的対話エンジン“Speak”は、対話専用の設計言語“xAIML”で対話を構築、SDKにて提供され、スマートフォンやタブレット、ゲームやロボットなどさまざまなデバイスに対応。オンキヨーのデバイスもSDKを使ってつながれるという。
ドコモAIエージェントAPIの主な特長は4つ。(1)自由度の高い対話設計(上記参照)。(2)様々な音声合成モデル=50種類を超える音声合成モデルをもち、新たなモデルもつくれる。(3)高い音声認識機能=文脈を捉えてコマンドを認識する。(4)多種多様な端末への対応=さまざまなタイプのSDKに対応する。
こうしたサービスを提供するのは、NTTドコモの音声対話ソリューション専門部隊“AI Geeks”。彼らがバックアップしつつNTTドコモの法人営業部隊とともにさまざまな企業の要望を聞きながら、製品やソリューションをつくっていく。
発表会終了後に宮崎氏に話を聞いた。ウェアラブルを全面に出しての今回の展開については、「我々の本業と言って皆様に認識されているのはアンプやヘッドホン。AIの世界に入った時にも音に関連したところからでないと強みを出せない。強みとは、マイクの性能やスピーカーの性能。それを据え置き型だけではなく広げようとするとき、ウェアラブルデバイスが選択肢の1つ」との見方を示す。
BtoB本部はもともと、スピーカーのドライバーユニットを取り扱っており、自動車メーカーや電機メーカーを顧客としている。この領域がオンキヨーの売上げの2割ほどを占めるという。「スマートスピーカーのAI機能は、これにフォーカスして事業推進するというより、ミニコンポなどに入る必然のファンクションの1つになると考える。次のステップとしてはビジネス用途。そこで、個人の顧客ではなく企業に提案するBtoB本部での展開がやりやすいと考えた。AI、IoTだけでなく応用のきくドライバーや部品、完成品のOEMなども手がける新規ビジネス開発の部隊である」。
AI、IoT分野の推進で「ドコモさんは国内の第一候補としてご一緒させていただいた。我々はデバイス供給メーカーとして案件を進める。すでにさまざまな企業様から相談をいただいている」という。
BtoB分野におけるAI、IoT伸長について宮崎氏は「責任者としては一山当てたい気持ち」と強い意欲を示す。「私自身これまではBtoCのアンプやスピーカーを売っていて、オンキヨーとして頑張らなくてはと思っていた。しかしAI、IoTの展開では、自社だけで完結することはほとんどない。いろいろなところと手を組み、最適化を図るといった考え方となる」と、NTTドコモ以外の企業との取り組みも示唆。柔軟性に富む価値観を重要視する。
今後の広がりについては「今は当社の80%がホームオーディオの取り組み。しかし私の気持ちではなるべく早くBtoBを50%にしたい。BtoBのほとんどは車載のスピーカードライバー。それをホームにも広げる、そしてAI、IoTを広げるといったことを一気に進めている。人手が足りない状態だが、しっかりとやっていきたい」と語った。
冒頭に登壇したオンキヨー(株)B2B本部 AI/IoT事業推進室 室長の宮崎武雄氏は、同社のこうした取り組みと、それに至る経緯を説明。同社ではGooleアシスタント搭載の「G3」、Amazon Alexa搭載の「P3」といったスマートスピーカーを発売している。また独自のAIであるOnkyo AIに対応させた新開発のAIスマートウェアラブル「VC-NX01」を、2018年の米CESや国内の「AI・人工知能EXPO」に出展するなど、スマートデバイスの展開に意欲を見せている。
「AIスマートウェアラブル VC-NX01を出展した際、BtoB用途として様々な企業から大きな反応があった。こうしたデバイスが、人手不足や業務効率の改善を図る手段の一つになると考えられる」と語る宮崎氏。日本の総人口と生産年齢人口が大幅に減少していく将来を見据え、女性や障がい者、外国人など働くことが困難な環境にある人の手助けをし、労働人口を増やす取り組みが必要であるとして「AI、IoTがその解の一つになる」と説明する。
そうしたAI、IoTによる手助けをより身近に実現するのがVC-NX01のようなウェアラブル端末だという。装着したまま両手を自由に使え、音声による入力で操作ができ、作業を中断せずにAIを利用できる。さらに耳を塞がず小型・軽量であるため周囲とのコミュニケーションがとれ、安全性が高く、作業の邪魔にならずにストレスなく使えるといったメリットを挙げ「AIと人間の“最後の10cm”を縮める」とした。
一方、AIの進化で機械が音を理解することができるようになり、音声による製品のコントロールやAIとの会話が実現される中、使用環境の騒音レベルに限らずこれらが可能となるよう、様々な環境下でも必要な音だけを抜き出す技術の必要性が増加しているという。オンキヨーのウェアラブル端末は、端末を装着する人や対話をする人の声をクリアに集音するマイク技術、装着する人の耳に効率よく音を届けるスピーカー技術を追求し、こうした用途に対応していく。
(株)NTTドコモ イノベーション統括部 クラウドソリューション担当 担当課長の秋永和計氏は、「ドコモAIエージェントAPI」など、同社の自然対話エンジン開発の取り組みについて説明した。
NTTドコモでは、2012年に“おしゃべりするAI”である「しゃべってコンシェル」を商用化して以来、6年以上にわたり日本語に対応する自然対話エンジンをBtoB向けに提供してきた。「あらゆるモノに対話型AIサービスを提供したい」との方向性のもと、自然な対話を通じての会話やコンテンツの提供、デバイスの操作などを目指してきた。
「こうしたサービスは1社1社に向けた作りつけで、年間1000万円程度と高コストがかかるものだった。取り組みの中で音声サービスに対する皆様の期待の高さを感じ、これから需要が高まると見て「しゃべってコンシェル」のシステム入れ替えに5年ぶりに着手。新たなBtoCサービス「my daiz(マイデイズ)」を立ち上げる際、システムをプラットフォーム化して、おしゃべりするデバイスが自由につくれる環境をつくった。それがドコモAIエージェントAPI(オープンパートナーイニシアティブ)である」と説明する秋永氏。
「my daiz」は2018年5月から提供開始されており、「ドコモAIエージェントAPI」におけるBtoBの取り組みは2019年春から開始されるという。そこに活用されるのがオンキヨーのデバイスで、「いろいろな対話のシステムを実現していきたい」とした。
「対話のサービスで連想されるのはスマートスピーカーだが、我々はいろいろな方々といろいろなデバイスを模索しており、オンキヨーさんのデバイスは非常に画期的。首にかけることで活用シーンが広がる。あらゆるモノに対話型AIサービスを提供するために実現した「VUI(Voice User Interface)」を簡単に導入でき、ここにいろいろなサービスをのせていきたい」と意欲を示す。
「サービスを提供していく中で生じてくる困難なこと、様々な機器への対応をどうやって行うか、音声認識と音声合成の準備は誰が行うか、プログラミングはどうするかといったことをNTTドコモ側で吸収し、基盤として提供するというのが大きな特長」と語る。
ドコモAIエージェントAPIの心臓部である多目的対話エンジン“Speak”は、対話専用の設計言語“xAIML”で対話を構築、SDKにて提供され、スマートフォンやタブレット、ゲームやロボットなどさまざまなデバイスに対応。オンキヨーのデバイスもSDKを使ってつながれるという。
ドコモAIエージェントAPIの主な特長は4つ。(1)自由度の高い対話設計(上記参照)。(2)様々な音声合成モデル=50種類を超える音声合成モデルをもち、新たなモデルもつくれる。(3)高い音声認識機能=文脈を捉えてコマンドを認識する。(4)多種多様な端末への対応=さまざまなタイプのSDKに対応する。
こうしたサービスを提供するのは、NTTドコモの音声対話ソリューション専門部隊“AI Geeks”。彼らがバックアップしつつNTTドコモの法人営業部隊とともにさまざまな企業の要望を聞きながら、製品やソリューションをつくっていく。
発表会終了後に宮崎氏に話を聞いた。ウェアラブルを全面に出しての今回の展開については、「我々の本業と言って皆様に認識されているのはアンプやヘッドホン。AIの世界に入った時にも音に関連したところからでないと強みを出せない。強みとは、マイクの性能やスピーカーの性能。それを据え置き型だけではなく広げようとするとき、ウェアラブルデバイスが選択肢の1つ」との見方を示す。
BtoB本部はもともと、スピーカーのドライバーユニットを取り扱っており、自動車メーカーや電機メーカーを顧客としている。この領域がオンキヨーの売上げの2割ほどを占めるという。「スマートスピーカーのAI機能は、これにフォーカスして事業推進するというより、ミニコンポなどに入る必然のファンクションの1つになると考える。次のステップとしてはビジネス用途。そこで、個人の顧客ではなく企業に提案するBtoB本部での展開がやりやすいと考えた。AI、IoTだけでなく応用のきくドライバーや部品、完成品のOEMなども手がける新規ビジネス開発の部隊である」。
AI、IoT分野の推進で「ドコモさんは国内の第一候補としてご一緒させていただいた。我々はデバイス供給メーカーとして案件を進める。すでにさまざまな企業様から相談をいただいている」という。
BtoB分野におけるAI、IoT伸長について宮崎氏は「責任者としては一山当てたい気持ち」と強い意欲を示す。「私自身これまではBtoCのアンプやスピーカーを売っていて、オンキヨーとして頑張らなくてはと思っていた。しかしAI、IoTの展開では、自社だけで完結することはほとんどない。いろいろなところと手を組み、最適化を図るといった考え方となる」と、NTTドコモ以外の企業との取り組みも示唆。柔軟性に富む価値観を重要視する。
今後の広がりについては「今は当社の80%がホームオーディオの取り組み。しかし私の気持ちではなるべく早くBtoBを50%にしたい。BtoBのほとんどは車載のスピーカードライバー。それをホームにも広げる、そしてAI、IoTを広げるといったことを一気に進めている。人手が足りない状態だが、しっかりとやっていきたい」と語った。