• ブランド
    特設サイト
公開日 2019/11/08 19:25

NHK、テレビ放送との同時ネット配信実施案を申請。総務省がパブコメ募集開始

NHK案に対する総務省コメントも
編集部:小野佳希
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
6月に公布された改正放送法によって、NHKが放送番組をインターネット常時配信することが認められた。これを受け、NHKではネット配信実施基準の変更案の認可申請を10月15日に総務省へ提出。そして11月8日、総務省がこのNHK案に対するパブリックコメントの募集を開始するとともに、NHKの業務に対する基本的考え方を示した。

NHKのロゴ

■受信料以外は不要だがネット配信視聴には申し込みによるID取得が必要

今回のNHK案では、番組のネット同時配信および見逃し配信の財源に受信料を充てること、NHKオンデマンドで現在行っている「見逃し」「特選」(※「見逃し」よりも以前の過去の名番組を見られるコース)の2コースを統合して1コース分の料金にすること、東京オリンピック・パラリンピックのライブ配信を実施すること、民間放送事業者との連携、自動字幕のネット配信や手話CGの提供などといった業務を行うと規定。

常時同時配信の提供に際しては、画面上にNHKとの受信契約を確認する旨のメッセージを表示。配信利用申し込み(住所氏名やNHKとの受信契約状況などを送信)するとIDが付与され、そのIDでログインすることで同時配信および見逃し配信を利用できるようにするとしている。

なお、ネット配信の利用促進を目的に、上記メッセージを表示せずに配信を実施する特例措置を年2回講ずるともするほか、東京五輪およびパラリンピックのネット配信も特例措置としてメッセージを表示しないとしている。

そして、こうしたネット配信業務のための費用は上記の通り受信料を財源とするが、その費用上限を「受信料収入の2.5%」とし、それと別に「放送法上の努力義務に係る取り組み」の費用上限を28億円、「ユニバーサル・サービスに係る取り組み」の費用上限を7億円、「国際インターネット活用業務への取り組み」の費用上限を35億円、「オリンピック・パラリンピック東京大会に係る取り組み」の費用上限を20億円と個別に設定する。現行の実施基準ではインターネット活用業務全体で「受信料収入の2.5%」となっているところから上積みされる格好だ。

■NHK案に対して総務省の指摘は?

これに対し総務省では、まずテレビ等の受信設備を持っていない人に対してもネット配信で番組視聴機会を提供することが「受信設備を設置した者による受信料負担によって公共放送を支える」という基本的枠組みを損ないかねないと懸念。一方で、メッセージ表示によって申し込み者以外がネット配信を見られないようにすることには「受信料制度の趣旨を確保するための措置として、一定の合理性が認められる」と理解を示した。

しかし、利用促進プロモーションとオリンピック・パラリンピックにおける、申し込みなしでも視聴可能にする特例措置については「NHKが実施した意見募集において、民間放送事業者から、特例措置を講じることによって、市場競争が阻害されかねないとの懸念が示されている」と指摘。「以上を踏まえれば、受信料負担の公平性および市場競争の観点から、特例措置は設けないことが望ましいと考えられる」とした。

なお、オリンピック・パラリンピックをインターネット配信することそのものに対しては「国民・視聴者と大会期間中の訪日外国人の期待に応えるものであることから、一定の社会的意義が認められる」としている。

また、インターネット活用業務の費用面に対しては、2020年度が元々赤字見込みであるNHK全体の事業収支のさらなる悪化が懸念されること、民間放送事業者からは市場競争への影響について懸念が表明されており、常時同時配信の実施に先立って既存業務や受信料の見直しをすべき旨が指摘されていると言及。これらから、2020年度については、オリンピック・パラリンピックに関する業務の費用を除き、現行の「受信料収入の2.5%」を維持することとし、既存のインターネット活用業務についても、真に必要なものかを検証して見直し、効率化を図ることが望ましい、とした。

そのほか、NHK案では、NHKがネット配信を行うことの適切性を評価する審査・評価委員会を設置するとしている。これに対し総務省では、委員の選定にあたって「市場競争の評価等に必要な知見を有する、中立的な者を選定することを明らかにしておくことが望ましい」などと指摘している。

また、総務省ではNHKそのものについても「業務」「受信料」「ガバナンス」を三位一体で改革していくことが必要であるなどと指摘。「特に、繰越金の現状や近年の事業収支の見込み等を踏まえると、全体の収支構造が妥当なものと認められるか否かについて、改めて検討することが適当である」とし、「具体的には、既存業務の見直しや受信料学の適正な水準を含めた受信料の在り方について、引き続き検討を行うことが必要」だとしている。

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

関連リンク

トピック

クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 ヤマダデンキ、「ブラックフライデー」セールを11/16より開始。ベスト電器、マツヤデンキでも開催
2 iPhone買い換え、手持ちモデルを手放す際に必ずやっておくべきこととは?
3 ケーブル接続の「バランス/アンバランス」ってつまり何?
4 「ハイエンドオーディオ&アクセサリーショウ」11月23日・24日開催。出展メーカーや連続試聴イベントの内容はコチラ!
5 <Inter BEE>ゼンハイザー、国内未発売製品を初お披露目/NHK、“自由に変形する”ディスプレイ/コルグ「Live Extreme」試聴デモ
6 THIEAUDIO「Origin」は低音好き垂涎!骨伝導搭載・クアッドハイブリッド構成のイヤホンを聴く
7 B&Wの人気シリーズ、トゥイーター・オン・トップ式ブックシェルフ3機種の魅力を探る
8 ビクター“nearphones”「HA-NP1T」速攻レビュー! イヤーカフ型ながら聴きイヤホンを女性ライターが使ってみた
9 MUSE HiFi、真空管搭載ポータブルDAC/AMP「M5 ULTRA」。ESS社と独自回路を共同開発
10 スピーカーの“原音再生”をデジタルフィルターで解決!テレビや車に搭載広がるEilex PRISMの秘密に迫る
11/15 10:43 更新
MAGAZINE
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー193号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.194
オーディオアクセサリー大全2025~2026
別冊・ケーブル大全
別冊・オーディオアクセサリー大全
最新号
2025~2026
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.22 2024冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.22
プレミアムヘッドホンガイド Vol.32 2024 AUTUMN
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.32(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2024年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年冬版(電子版)
音元出版の雑誌 電子版 読み放題サービス
「マガジンプレミアム」お試し無料!

雑誌販売に関するお問合せ

WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX