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公開日 2022/05/24 22:29
<NHK技研公開>曲げられる有機ELディスプレイがさらに進化。極薄有機ELフィルムも
ディスプレイから音がする「電気音響変換フィルム」も
NHK放送技術研究所が研究・開発している最先端技術を一般公開するイベント「技研公開2022」が5月26日から5月29日まで開催される。これに先立ってプレス向け公開が行われ、テレビに関連する様々な最新技術が披露された。本稿では、折り曲げ可能な「フレキシブルディスプレイ」の最新展示や、厚さ0.07mmの紙より薄い有機ELフィルムなどを紹介していく。
■曲げられる「フレキシブルディスプレイ」から音が出るように
シャープと共同開発した薄型4K有機ELフレキシブルディスプレイは、厚さ0.5mmで折り曲げたり丸めて持ち運びができることが特徴。本展示では、30インチの同ディスプレイを4枚用いて貼り合わせた、8K表示ディスプレイを展示していた。
8K解像度の画質改善が図られており、従来の暗部に合わせてパネル全体を均一にする方法だと、輝度むらは解消するものの信号レベルが極端に低下し、階調性が乏しくなっていたという。そこで新たに、パネル境界の近傍のみを合わせて境界から離れるほど補償量を減らすことで、輝度むらは多少残るものの、信号レベルの抑制が少なくより階調性を残せるようになったと説明している。
ディスプレイの裏面には、富士フィルムが開発したフィルムの伸縮によってディスプレイを振動させて、音を放射する電気音響変換フィルムを装備する。音響機器の小型・軽量化を図ることで、大画面サイズながらスピーカーの設置場所にも困らず、そのまま巻き取って持ち運びも可能となる。なお本展示では、バンドのライブ映像が流されていたが、画面の真ん中あたりから、自然で臨場感ある音が出力されていた。
なお、同ディスプレイの課題として、時間経過による焼き付けなどの劣化が発生しやすいことが挙げられている。それに対応するため、表示ムラを抑制する技術を開発し、従来よりも劣化の発生を抑えるとのこと。
■VR映像表示に対応する「曲率可変型ディスプレイ」
このフレキシブルディスプレイを縦向きに3枚使用した「没入型VRディスプレイ」は昨年の技研にて発表されていたが、今年はその曲率を変化できるようにした曲率可変型ディスプレイとなって登場した。画面サイズは51.3インチ/6,480×3,840解像度で、家族と一緒に楽しむ場合は平面で、ゲームや室内旅行、オンライン会議などでは視野角約180度の湾曲型に変化させ、没入感のある映像を楽しむといった使い分けが可能としている。また、VR映像の表示にも対応する。
展示では振動する「いす型触覚デバイス」とも連携させていた。これは音声信号を振動に変換することで、座面と足元の振動子に伝達するとともに、速度推定などの画像解析により映像の内容に応じて振動を制御することで、映像の動きや大きさに連動した振動を実現するもので、画面との組み合わせでより没入感の高い体験を提供するとしている。
実際に座ってみると、湾曲型ディスプレイによる没入感ある映像に加え、路面電車を街が走る際の細かい振動や、恐竜が動物を薙ぎ払う場面でのダイナミックな振動、ボートを漕ぐときの繊細な振動などが振動椅子によって再現され、まるでその場にいるかのようなリアルな映像体験ができた。
■厚さ0.07mmの紙より薄い有機ELフィルム
好みの形状に変形可能なディスプレイの実現に向けて開発したという、紙よりも薄い厚さ0.07mmを実現した有機ELフィルムも展示された。
これまで薄い有機ELの実現に向けては、電子注入層に不可欠なアルカリ金属が劣化する要因となる大気中の水分を防ぐため、ガラスなどの水分を通さない素材や厚くて硬いバリア膜を使用する構造を採用していたが、これらを薄く柔らかい形状にすることが困難であったとのこと。
そこで今回の新開発有機ELでは、水分に強い独自材料を開発し、電子注入層に使用。これにより、水分が存在しても発光部が劣化せず、長期間でも安定して発光するとしている。
会場では、赤/青/緑の3原色を表示させたシート状や、糸状のものを展示。今後想定している使用用途については、赤ん坊の額に貼り付けて脈拍などのバイタルサインを表示させることや、糸状にして服などの身につける物への編み込みなどを提案。将来的には、大画面サイズへの応用も目指していくとしている。
なお、技研公開の会期は、前述のとおり5月26日から5月29日まで。参加は日時指定予約制として、入場者数を制限して一般来場も受け付ける。公式サイトから申し込みを受け付けている。
■曲げられる「フレキシブルディスプレイ」から音が出るように
シャープと共同開発した薄型4K有機ELフレキシブルディスプレイは、厚さ0.5mmで折り曲げたり丸めて持ち運びができることが特徴。本展示では、30インチの同ディスプレイを4枚用いて貼り合わせた、8K表示ディスプレイを展示していた。
8K解像度の画質改善が図られており、従来の暗部に合わせてパネル全体を均一にする方法だと、輝度むらは解消するものの信号レベルが極端に低下し、階調性が乏しくなっていたという。そこで新たに、パネル境界の近傍のみを合わせて境界から離れるほど補償量を減らすことで、輝度むらは多少残るものの、信号レベルの抑制が少なくより階調性を残せるようになったと説明している。
ディスプレイの裏面には、富士フィルムが開発したフィルムの伸縮によってディスプレイを振動させて、音を放射する電気音響変換フィルムを装備する。音響機器の小型・軽量化を図ることで、大画面サイズながらスピーカーの設置場所にも困らず、そのまま巻き取って持ち運びも可能となる。なお本展示では、バンドのライブ映像が流されていたが、画面の真ん中あたりから、自然で臨場感ある音が出力されていた。
なお、同ディスプレイの課題として、時間経過による焼き付けなどの劣化が発生しやすいことが挙げられている。それに対応するため、表示ムラを抑制する技術を開発し、従来よりも劣化の発生を抑えるとのこと。
■VR映像表示に対応する「曲率可変型ディスプレイ」
このフレキシブルディスプレイを縦向きに3枚使用した「没入型VRディスプレイ」は昨年の技研にて発表されていたが、今年はその曲率を変化できるようにした曲率可変型ディスプレイとなって登場した。画面サイズは51.3インチ/6,480×3,840解像度で、家族と一緒に楽しむ場合は平面で、ゲームや室内旅行、オンライン会議などでは視野角約180度の湾曲型に変化させ、没入感のある映像を楽しむといった使い分けが可能としている。また、VR映像の表示にも対応する。
展示では振動する「いす型触覚デバイス」とも連携させていた。これは音声信号を振動に変換することで、座面と足元の振動子に伝達するとともに、速度推定などの画像解析により映像の内容に応じて振動を制御することで、映像の動きや大きさに連動した振動を実現するもので、画面との組み合わせでより没入感の高い体験を提供するとしている。
実際に座ってみると、湾曲型ディスプレイによる没入感ある映像に加え、路面電車を街が走る際の細かい振動や、恐竜が動物を薙ぎ払う場面でのダイナミックな振動、ボートを漕ぐときの繊細な振動などが振動椅子によって再現され、まるでその場にいるかのようなリアルな映像体験ができた。
■厚さ0.07mmの紙より薄い有機ELフィルム
好みの形状に変形可能なディスプレイの実現に向けて開発したという、紙よりも薄い厚さ0.07mmを実現した有機ELフィルムも展示された。
これまで薄い有機ELの実現に向けては、電子注入層に不可欠なアルカリ金属が劣化する要因となる大気中の水分を防ぐため、ガラスなどの水分を通さない素材や厚くて硬いバリア膜を使用する構造を採用していたが、これらを薄く柔らかい形状にすることが困難であったとのこと。
そこで今回の新開発有機ELでは、水分に強い独自材料を開発し、電子注入層に使用。これにより、水分が存在しても発光部が劣化せず、長期間でも安定して発光するとしている。
会場では、赤/青/緑の3原色を表示させたシート状や、糸状のものを展示。今後想定している使用用途については、赤ん坊の額に貼り付けて脈拍などのバイタルサインを表示させることや、糸状にして服などの身につける物への編み込みなどを提案。将来的には、大画面サイズへの応用も目指していくとしている。
なお、技研公開の会期は、前述のとおり5月26日から5月29日まで。参加は日時指定予約制として、入場者数を制限して一般来場も受け付ける。公式サイトから申し込みを受け付けている。