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公開日 2025/01/08 10:10

テクニクス、新旗艦完全ワイヤレス「EAH-AZ100」を1/23国内発売。磁性流体ドライバーをTWSに初搭載

装着性と音質向上に繋がる「コンチャフィット形状」を導入
編集部:長濱行太朗
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パナソニックは、テクニクスブランドの新たなフラグシップ・完全ワイヤレスイヤホン「EAH-AZ100」を1月23日に発売する。価格はオープンだが、税込39,600円前後での実売が予想される。カラーは、シルバーとブラックの2色を用意。本稿では、メディア向けに開催された新製品説明会の内容を基に、EAH-AZ100特徴を紹介していく。

テクニクス 「EAH-AZ100」 オープン価格(市場予想税込価格39,600円前後)


EAH-AZ100 シルバーモデル

EAH-AZ100 ブラックモデル

同社はこれまでハイエンドモデル「EAH-AZ80」をラインナップしていたが、EAH-AZ100はそれを超えるさらなる上位機種として登場。「ありのままの音が生きる、生音質へ。」をコンセプトとし、独自開発の磁性流体ドライバーを、完全ワイヤレスイヤホンとして初めて搭載した“業界初の磁性流体ワイヤレス”となる。「生音質」という言葉は、音楽に込められた想いや、1音1音までのこだわりが、ありのまま“生きる音”の再現を意味しており、新次元の高音質を実現しているとアピールする。

完全ワイヤレスイヤホンで磁性流体ドライバーを初採用

EAH-AZ100の誕生について同社の大串氏は、「従来モデルのユーザーアンケートでは、音質面において非常に満足度が高い回答が得られているが、改善面として若干数声が上がっていたのが『低域の再現性』。機能面では、「通話性能」「ノイズキャンセリング性能」「バッテリー」といった部分で改善のニーズがあり、EAH-AZ100では全てのニーズを反映した」と明かす。

パナソニック エンターテインメント&コミュニケーション株式会社 スマートコミュニケーションビジネスユニット 国内マーケティング部 商品化 大串晴彦氏

ユーザー調査を実施。音質への満足度が高いなか、通話/ノイズキャンセリング/バッテリーに対して改善の要望があった

本モデルには、10mmダイナミック型ドライバーを採用。振動板の素材には、剛性に優れる金属材料である「アルミニウム」を導入しており、高域まで追従する振動動作により、素直に伸び切った高解像度な中高域再生を可能としている。

EAH-AZ100の最大の特徴である磁性流体ドライバーは、2019年に発売された同ブランドのハイエンド・イヤホン「EAH-TZ700」でも採用されていたドライバー。

10mm ダイナミック型ドライバーの構造。振動板素材にはアルミニウムを使用している

ダイナミック型ドライバーの比較。写真左がEAH-AZ80、写真右がEAH-AZ100に搭載されたドライバー

一般的なドライバーは、磁石とボイスコイルの磁力によって振動板を振幅させ、振動板はエッジ部分のみで支えているため、ボイスコイルの揺れが発生し、音に歪が生まれてしまっていたが、磁性流体ドライバーは一般的なドライバーと基本構造は同じながら、ボイスコイルと磁石の間に磁性流体を充填することで、振動板をエッジと磁性流体の2点で支えられるため、ボイスコイルの左右の揺れが無くなり、上下方向のみの理想的な振幅が可能となるため、超低歪の再生を成し得たという。

新製品説明会では、磁性流体ドライバーと一般的なドライバーの構造の違いを解説

実際の磁性流体も展示されており、磁石を近付けると膨らむように動く

また、磁性流体の採用によって、「極薄エッジ」を実現。振動板の低域の増幅量を超低域まで確保する柔軟性で、豊かな低音と臨場感の再現を可能にしている。

磁性流体ドライバーの特徴を生かすべく、ドライバー設計も改善。ドライバーの後端に空間と調整用の通気孔「アコースティックコントロールチャンバー」を設けることで、ドライバーの空気の流れを精密にコントロール。低域から中域の音を豊かに響かせることで、ドンシャリ系統の音にならない仕組みを採用している。加えて、ドライバーの前の空間形状最適化した「ハーモナイザー」技術も投入。ドラムのハイハットやヴァイオリンなど、高域特性の自然な音楽再生を実現した。

磁性流体ドライバーの音質を高めるため、「アコースティックコントロールチャンバー」などの高音質技術を搭載

EAH-AZ100では、従来モデル以上に快適な装着性を実現すべく、人間工学に基づいた形状「コンチャフィット形状」を導入。耳を圧迫する力に頼らず、耳のくぼみを意味する「耳甲介(コンチャ)」に収まる形状にすることで、安定性と快適性を向上させている。形状試作は300個以上、200人を超える装着試験を実施し、今回の形状になったという。装着性は音質とも密接に関わっており、磁性流体ドライバーのサウンドを正しい姿勢で楽しめるようになっていることも、こだわりのポイントだとしている。

装着性を高めるために「コンチャフィット形状」を導入した

3Dプリントを使用して作成されたEAH-AZ100の型。多数の試作機を実際に装着して形状を決めていった

小型化と軽量化を両立しており、EAH-AZ80と比較して約16%減の本体質量、約10%減の本体体積を実現している。また、耳のくぼみにあたる部分の体積をEAH-AZ80から約30%削減することで耳との干渉を軽減、併せてボディ先端を除去することで耳に合う位置に動かしやすい形状としているため、装着自由度が向上し、快適な着け心地を叶えている。

小型・軽量化だけでなく、コンチャ部の体積も見直すことで、快適な着け心地を実現している

EAH-AZ80と比較して、約30%もコンチャ部の体積を削減している

高音質と装着性を両立するために、専用イヤーピースを新開発。イヤーピースは、音質を求めるなら形状が変形しにくい素材が最適だが、装着性からの視点からは耳に不可を与えない柔らかい素材が適しているため、高音質と装着性の両立には、相反する条件をクリアしなければいけないとのこと。

ゴム素材の高度が3段階で異なる専用イヤーピースを付属。音質も考慮した設計を施している

そこで本モデルでは、従来モデルで採用していた2種類の硬度のゴム素材を使用した2層構造タイプから、3種類の硬度の素材を用いた3層構造にブラッシュアップ。快適な装着性を保持しながらも、低域成分を外に逃さない構造とすることで高音質化を成し得ている。サイズはXS/S/M/ML/Lの5サイズを用意。

イヤーピースの比較。写真左がEAH-AZ80のもの、写真右がEAH-AZ100のもの。2層構造から3層構造にブラッシュアップされている

専用イヤーピースはXS/S/M/ML/Lの5サイズを用意している

ノイズキャンセリング機能では、装着時の環境や耳形状に合わせノイズキャンセリング性能を最適化する機能「アダプティブ・ノイズキャンセリング」を搭載。リアルタイムにノイズキャンセリングフィルターのパラメーターを最適化に調整してくれる機能であり、周囲の騒音状況や装着する個人の耳形状を基にノイズキャンセリング効果を調整する。

リアルタイムでノイズキャンセリングフィルターのパラメーターを最適地に調整できる機能を採用

ノイズキャンセリングの特徴として、電車内・飛行機内などの低・中域のノイズ、人の話声の主帯域である300Hzから3kHzをより強力に除去。フィードバックマイクのノイズキャンセリング性能強化により閉塞感やこもり感をさらに改善している。また、フィードバックマイクをできるだけユーザーの耳に近い位置に調整することで、ノイズキャンセリング性能を向上させている。

イヤホン装着時でも外音を聞くことができるアンビエント機能も進化。強風環境下での聞き取りやすさの性能を高めている。加えて音楽を一時停止したときに、自動的に外音取り込み機能をオンする「ワンタッチ会話モード」を新たに追加した。

アンビエントモードでは、強風環境下でも聞き取りやすくするよう性能を高めている

フィーフォワードマイク部

通話品質を改善するため、ノイズキャンセリング・通話用の「フィードフォーワードマイク」と「フィードバックマイク」、そこに新たに通話ノイズ除去のAI搭載の新チップを採用した発話検知用マイク、左右合計6基の高性能マイクで快適な通話をサポートしている。

新たにAI搭載のチップを採用することで、高いレベルでのノイズ除去を実現した

新搭載のAIチップには、5億件の音声データが学習されており、ノイズ除去性能をアップデート。声に注目したノイズ除去技術へと進化させることで、さらにクリアな音質で声が届けられるようになっており、声以外の突発音に対して除去性能を高めている。

連続通話時間は従来モデルの4.5時間から6時間へと向上しており、併せて本体タッチセンサーによる操作のカスタマイズなどもブラッシュアップされている。

EAH-AZ100では、受話時のノイズ除去を可能にした、完全ワイヤレスイヤホンとして業界初の機能「Voice Focus AI」を採用。通話時、話し相手が騒音の多い環境にいた場合でも、周囲の騒音成分をEAH-AZ100側でカットすることで、相手の声の成分のみをクリアに再生できる機能となっている。

受話時のノイズ除去を可能にする新機能「Voice Focus AI」を投入

コントロールアプリは、「Technics Audio Connect」を使用。EAH-AZ80でも採用されていた、音声データが伝送される際に通過する回路での動作をシンプル化することで、音質劣化を低減する「ダイレクトモード」を搭載しており、アプリで操作が可能。

3DオーディオフォーマットのDolby Atmosの再生にも新対応。スマホのDolby Atmos設定とアプリの空間オーディオ設定をオンにすることで、Dolby Atmos対応のコンテンツの再生が可能になる。ヘッドトラッキングにも対応しているため、頭部の向きに合わせて音場の変化を楽しむことができる。

Dolby Atmos対応で3Dオーディオに対応したコンテンツも楽しめるようになった

イコライザー調整は、従来機種よりも調整できるバンド数が増えており、Bass(100Hz以下)/250Hz/500Hz/1kHz/2.5kHz/4kHz/8kHz/12kHzの8つのバンドを、+10dBから−10dBの範囲で設定可能となっている。イコライザーモードは、パスエンハンサー/パスエンハンサー+/クリアボイス/トレブル+/ダイナミックの5モードと、カスタムEQ1/2/3を用意している。

マルチポイント接続は3台まで対応しており、アプリによる設定では先に接続した機器の音声を優先する「先勝ち」、反対に後から接続した機器の音声を優先する「後勝ち」の設定が選べるようになった。また、接続時のアナウンスのバリエーションが追加されており、全7種類となっている。

バッテリーは、本体再生時間が約10時間(ノイズキャンセリングがオン/AAC再生時)となっており、EAH-AZ80と比較して3時間ほど増加している。本体ケースを含む場合は約28時間(ノイズキャンセリングがオン/AAC再生時)としている。LDAC再生時は、バッテリーのみが約7時間、本体ケースを含む場合が約18時間。どちらもノイズキャンセリングがオンの状態の再生時間となる。充電時間は、イヤホンが2時間、充電ケースが2.5時間、イヤホン+充電ケース(同時充電)が3時間。

EAH-AZ80と比較してバッテリー性能が大幅にブラッシュアップされた

デザイン面では、テクニクスのロゴカラーをゴールドに見直しており、高級感を演出。併せて、上蓋上部のヘアライン加工をブラッシュアップしており、金属の質感につながる輝き感を高めているという。

本体ケースの天面部にあるブランドロゴにはゴールドを採用し、新たなヘアライン加工も施された

イヤホンにもテクニクスロゴが記されている。装着時、ロゴが綺麗に横になるように設計されている

パッケージは100%プラスチックフリー、さらに小型化・軽量化によって環境効率の良い運送を字右舷するなど、サステナビリティな取り組みも実施されている。

Bluetooth ver5.3に対応しており、音声コーデックはLDAC/LC3/AAC/SBCをカバーする。防水性能はIPX4相当。本体ケースの背面端子はUSB Type-C×1基、質量はイヤホンが約5.9g、充電ケースが約42g。

メディア向けの製品説明会では、開発エンジニアによるトークセッションも実施。EAH-AZ100の開発背景について田中氏は、「磁性流体ドライバーを採用したフラグシップ・イヤホン『EAH-TZ700』は、私が入社時に発売されたイヤホンだが、EAH-TZ700の音を初めて聴いた時の言葉にならない感動は、忘れられない記憶として残っている。その時の衝撃をもう一度味わいたい、この感動を沢山のユーザーに届けたい、そして、その音質を完全ワイヤレスイヤホンで実現したいという気持ちが『EAH-AZ100』の音質に込められている」と明かした。

同じく開発エンジニアの竹重氏は、「近年の完全ワイヤレスイヤホンは、高音質/装着性/ノイズキャンセリングの3つが重要視される傾向にあるが、この3つポイントにおいてEAH-AZ80を超える製品を開発したいと考えた。そして、ブランドの原点である『演奏家のありのままの音を届ける』を実現するために、磁性流体の採用、小型・軽量化を実現したコンチャフィット形状、効率よく効果を高めるノイズキャンセリング、EAH-AZ100はこの3点に力を注いだモデルとなっている」と、アピールした。

パナソニック エンターテインメント&コミュニケーション株式会社 スマートコミュニケーションビジネスユニット ハード設計部 ハード設計一課 田中悠氏

パナソニック エンターテインメント&コミュニケーション株式会社 スマートコミュニケーションビジネスユニット 機構設計部 機構設計一課 竹重亮汰氏

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