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ガジェット 公開日 2024/06/11 06:39

アップル独自の生成AI「Apple Intelligence」発表。多様なシーンでユーザー行動をサポート

Siriの性能も強化
Gadget Gate
編集部:小野佳希
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アップルは、独自のAI機能「Apple Intelligence」をWWDC24で発表した。

Image:Apple

今年の秋にiOS 18、iPadOS 18、macOS Sequoiaの一部としてベータ版を英語(米国)で無料提供予定。iPhone 15 Pro、iPhone 15 Pro Max、M1以降を搭載したiPadとMacで、Siriとデバイスの言語を英語(米国)に設定している場合に利用できるようになる。なお、一部の機能、ソフトウェアプラットフォーム、追加言語は来年中に公開される予定。

Apple Intelligenceでは、「Appleシリコンのパワーを活用して、言語や画像を理解して生成したり、複数のアプリにわたってアクションを実行したり、個人的な背景にもとづいて、日々のタスクをシンプルにしてよりすばやくこなせるようにする」とのこと。

「Private Cloud Computeにより、AppleはAIにおけるプライバシーの新しい基準を打ち立てる」としており、デバイス上の処理から、専用のAppleシリコン搭載のサーバ上で実行する、より大規模なサーバベースのモデルまで、演算能力を柔軟に拡張できるようになるという。ティム・クックCEOは「生成AIとユーザーの個人的な背景を組み合わせ、真に有用なインテリジェンスを提供する」と説明している。

■文章作成やメール検索などをApple Intelligenceがサポート

具体的には、メール、メモ、Pages、他社製アプリなど文章を書くシーンで、文章の書き直し、校正、要約が可能。例えば「書き直し」を使うと、Apple Intelligenceによってユーザーは自分が書いた文章の様々なバージョンから、その文章を送る相手やシーンに適切なパターンのものを選べるようになる。

「校正」では、文法、言葉の選択、文の構造をチェックするほか、編集候補をその説明とともに提案。「要約」を使うと、ユーザーはテキストを選択して、それを読みやすい段落、箇条書き、表、リストなどの形にまとめることができる。

メールでは、Eメールの管理がこれまで以上に簡単に。受信ボックスの先頭に表示されるセクションである「優先メッセージ」に、当日のディナーの招待や搭乗券など、最も緊急性の高いものを表示したりする。

また、メッセージを開かずとも、各メールの最初の数行のプレビューの代わりに要約を確認可能。加えて、長いスレッドの場合は、タップするだけで関連する詳細を表示できる。また、すばやく返信するための提案を提供するスマートリプライ機能では、メール内の質問を特定して、すべてに確実に回答できるようにもするという。

Apple Intelligenceは各種の通知にも適用され、複数の通知がある場合に、優先度の高いものを一番上に表示。長い通知や積み重なった通知をすばやく確認できたり、グループチャットでのやり取りが特に頻繁になった時などに、ロック画面に重要な詳細情報を表示する要約機能も利用できるようになる。

また、「じゃま低減」機能も利用可能に。保育園からの早めの迎えに関するテキストなど、すぐに確認する必要がある通知のみを表示する新しい集中モードだという。

メモアプリと電話アプリでは、音声の録音、書き起こし、要約が可能。通話中に録音が開始されると、参加者に自動的に通知が届き、通話が終了するとApple Intelligenceが要約を生成する。

■画像を簡単に作成できるImage Playground機能も

メッセージのやりとりなどで使える画像を簡単に作成できるというImage Playground機能も提供。アニメーション、イラスト、スケッチの3つのスタイルから選んで、数秒で楽しい画像を作成できるという。

なお同機能では、会話に関連するコンセプトのパーソナライズされた提案も見ることができる。例えば、ユーザーがハイキングについてのメッセージをグループに送っている場合、そのグループの友人、目的地、アクティビティに関連するコンセプトが提案される。

また、メモでは、Apple Pencilのツールパレット内の新しいImage Wandを通じてImage Playgroundにアクセス可能。ラフなスケッチをしっかりした画像に作り変えたり、メモ内の空いているスペースを選択し、周囲のコンテキストを使って画像を作成するなどといったことができる。

なお、Playgroundは、Keynote、フリーボード、Pagesなどのアプリや、新しいImage Playground APIを採用している他社製アプリでも利用できるとのこと。

絵文字にもApple Intelligenceを適用し、ユーザーオリジナルのGenmojiを作成可能。説明を入力するだけで、追加のオプションと一緒にGenmojiが表示される。また、写真をもとにして、友人や家族のGenmojiを作成することもできる。Genmojiは、絵文字と同様に、メッセージの文中に追加したり、Tapbackでステッカーやリアクションとして共有したりすることができる。

■写真と動画の検索性も向上

写真と動画の検索性もApple Intelligenceによって向上。「マヤが絞り染めTシャツを着てスケートボードをしている」「顔にステッカーが付いているケイティ」といった言葉で検索できるようになる。

ビデオの検索も、クリップの特定の瞬間を見つける機能でさらにパワフルになるとしており、関連するセグメントに直接移動可能に。さらに、新しいクリーンアップツールは、被写体を誤って改変することなく、写真の背景にある不要な対象物を特定して削除できるという。

また、メモリー機能では、ユーザーが入力した文章に基づいて、写真や動画のなかから最適なものを組み合わせてムービーにすることが可能。その思い出に合う楽曲の候補をApple Musicから提案するといったこともできる。なお、ユーザーの写真とビデオはデバイス上でプライバシーが保護され、Appleまたはほかの誰とも共有されない。

■Siriの性能も強化

そして、Apple Intelligenceのパワーにより、Siriの性能も強化。より自然で、より状況に即し、よりパーソナルになるという。また、文章入力にも対応し、テキストと声を切り替えてSiriとやりとりできる。さらに、Siriがアクティブな時は画面の縁を囲うように光り輝く、新しいデザインを採用する。そのほか、メールの送信を予約する方法や、ライトモードからダークモードへの切り替え方法など、iPhoneなどの操作方法をSiriに質問することもできる。

加えて、画面認識により、Siriは時間が経つにつれて、より多くのアプリでユーザーのコンテンツを理解し、アクションを実行できるようになるとのこと。例えば、友人がメッセージで新しい住所を送ってきた場合、「この住所を彼の連絡先カードに追加して」とSiriに指示できるという。

SiriはAppleと他社製のアプリ内やアプリを横断してのアクションも可能に。「セミに関するあの記事をリーディングリストから開いて」とか「土曜日のバーベキューで撮った写真をマリアに送って」と言えば、Siriがそれを実行するようになる。

さらに、ユーザーおよびデバイス上の情報に合わせた知能をSiriが提供。「ジェイミーがすすめてくれたポッドキャストを再生して」と言えば、メッセージとEメールのどちらに書かれていたかを思い出さなくても、Siriがそのエピソードを探して再生してくれたり、「ママのフライトが到着するのはいつ?」と聞けば、Siriがフライトの詳細情報を見つけてリアルタイムのフライト追跡に照会し、到着時間を教えてくれるとのこと。

こうした様々な機能がApple Intelligenceで利用できるようになる一方で、プライバシー保護にも配慮。Apple Intelligenceの基礎はデバイス上の処理で、それを動かすモデルの多くは完全にデバイス上で実行される。そして、より多くの処理能力を必要とする、より複雑なリクエストを実行する場合は、Private Cloud ComputeがApple製デバイスのプライバシーとセキュリティをクラウドにまで拡大し、より優れたインテリジェンスを活用できるようにするという。

■ChatGPTへのアクセスを統合

そのほか、iOS 18、iPadOS 18、macOS Sequoia内での体験にChatGPTへのアクセスを統合。ユーザーがツールの間を行ったり来たりしなくても、ChatGPTの専門知識や画像と文書を理解する機能にアクセスできるようにする。

ChatGPTはAppleのシステム全体に組み込まれた記述ツールで使用でき、ユーザーが書いているあらゆる内容のためのコンテンツの生成に役立つとのこと。「作成」では、ユーザーはChatGPTの画像ツールにもアクセスでき、書いているものを補完する画像を多様なスタイルで生成できるという。

ChatGPTは、年内にiOS 18、iPadOS 18、macOS Sequoiaで利用可能になる(GPT-4oモデル)。ユーザーはアカウントを作成しなくても無料でChatGPTにアクセスでき、ChatGPTのサブスクリプション登録者は、自分のアカウントに連携するとこれらの体験から有料機能に直接アクセスできる。

なお、ChatGPTにアクセスするユーザーのためにプライバシー保護が組み込まれており、ユーザーのIPアドレスは匿名化され、OpenAIはリクエストを保存しない。自分のアカウントとの連携を選択したユーザーには、ChatGPTのデータ利用に関するポリシーが適用される。

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