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公開日 2022/05/17 06:30
「長時間のゲームで頭が少し良くなる」ことが判明。子どものIQが2.5向上、5千人の調査で【Gadget Gate】
でも、勉強もしよう
スウェーデンのカロリンスカ研究所とオランダ・アムステルダム自由大学の研究チームが、米国の9 - 10歳の5,000人以上を対象とした2年間の追跡調査で、テレビゲームをプレイする時間が長い子どもは、IQが2.5ポイント高くなる傾向があったと発表した。
過去10年間、スマートフォンの普及から動画ストリーミングといった新しいメディアが台頭し、学校ではノートPCやタブレットを使用する授業が行われるなど、子どもが画面を眺める環境も大きく変化してきた。いまの子どもたちの親世代が子どもの頃にも、テレビやテレビゲーム、ビデオデッキなどはあったものの、いまの子どもたちほど用途が多様ではなかった。従って、いまや画面を眺めることがすべて悪いと一方的に決めつけることは難しくなっている。
研究者らは、そのなかでゲームと知能の発達に注目し、それが子どもたちの成長に伴ってどのように影響するかに注目した。特に知能という、遺伝性が高く抽象的な指標を評価するため、まず子どもたちの社会経済的な背景と知能に関する遺伝子の存在を考慮したという。
その遺伝子とは「読解力と語彙力に関するもの」が2つ、「注意力と実行能力(ワーキングメモリー、柔軟な発想、自制心など)に関するもの」が1つ、「複数回の試行による学習能力に関するもの」が1つだ。
約5,000人の子どもたちは、研究の最初と最後、つまり9 - 10歳のときと10 - 12歳のときにそれぞれ認知能力に関するテストを受けた。研究開始時点では、まだ子どもたちに、1日のゲームプレイ時間と知能のあいだに深い関連性を認めることはできなかったが、テレビや動画視聴時間、オンラインでの人との関わりが長いと、知能レベルが若干低いことがわかった。
そして2年後に行った認知能力のテストの結果では、なんとテレビゲームを多くプレイしていた子どもは男女関係なく、プレイしていない子どもに比べて知能レベルが高いという結果が現れた。たとえばゲームプレイに費やした時間が上位17%の子どもは、平均的なプレイ時間の子どもに比べIQが約2.5ポイント高くなったとのことだ。
一方、ソーシャルメディアの使用は知能レベルへの影響は見られず、テレビや動画視聴の時間が長い場合もわずかにIQの上昇に関連する可能性があるものの、統計的に有意とは言えない程度のものだった。
もちろん、この調査は知能に関する数種類の指標を調べただけなので、たとえば睡眠時間や学校の成績、運動といった他の重要な心理的要因とどのように関連しているかは調べていない。ただ、テレビゲームをプレイすることで知能が高まるという主張の裏付けにはなる、と研究者は述べている。
なお、研究ではゲームの形態についても考慮していない。ゲームもいまや多様化の時代で、従来のテレビゲーム機やNintendo Switch Liteのようなモバイルゲーム機、スマートフォン/タブレットのようなデバイスまで幅広い。さらにゲームのジャンルも戦場に出て銃撃戦を行うFPS系から、スーパーマリオやソニックのようなジャンプアクション、モバイルデバイスのタッチパネルを使ったもの、さらにはVRゲームまであるが、調査ではそれを考慮しなかった。
ただ、2021年に発表された研究でも、テレビゲームに精神的な健康を増進する効果があるとする報告がされていた。さらに別の最近の研究では、ソーシャルメディアのアプリに費やす時間が長いほど、子どもの友人のグループが大きくなるという報告もあった。
もちろん今回の結果は、子どもたちに日がな一日ゲームをやっても良いと勧めるものではない。ただ、「子どもがゲームばかりしていて将来が心配」だと心配する親御さんたちには、別に頭が悪くなるわけではないことがわかって、少し安心できる研究結果かもしれない。
Source: Scientific Reports
via: Karolinska Institutet, The Conversation
※テック/ガジェット系メディア「Gadget Gate」を近日中にローンチ予定です。本稿は、そのプレバージョンの記事として掲載しています。
過去10年間、スマートフォンの普及から動画ストリーミングといった新しいメディアが台頭し、学校ではノートPCやタブレットを使用する授業が行われるなど、子どもが画面を眺める環境も大きく変化してきた。いまの子どもたちの親世代が子どもの頃にも、テレビやテレビゲーム、ビデオデッキなどはあったものの、いまの子どもたちほど用途が多様ではなかった。従って、いまや画面を眺めることがすべて悪いと一方的に決めつけることは難しくなっている。
研究者らは、そのなかでゲームと知能の発達に注目し、それが子どもたちの成長に伴ってどのように影響するかに注目した。特に知能という、遺伝性が高く抽象的な指標を評価するため、まず子どもたちの社会経済的な背景と知能に関する遺伝子の存在を考慮したという。
その遺伝子とは「読解力と語彙力に関するもの」が2つ、「注意力と実行能力(ワーキングメモリー、柔軟な発想、自制心など)に関するもの」が1つ、「複数回の試行による学習能力に関するもの」が1つだ。
約5,000人の子どもたちは、研究の最初と最後、つまり9 - 10歳のときと10 - 12歳のときにそれぞれ認知能力に関するテストを受けた。研究開始時点では、まだ子どもたちに、1日のゲームプレイ時間と知能のあいだに深い関連性を認めることはできなかったが、テレビや動画視聴時間、オンラインでの人との関わりが長いと、知能レベルが若干低いことがわかった。
そして2年後に行った認知能力のテストの結果では、なんとテレビゲームを多くプレイしていた子どもは男女関係なく、プレイしていない子どもに比べて知能レベルが高いという結果が現れた。たとえばゲームプレイに費やした時間が上位17%の子どもは、平均的なプレイ時間の子どもに比べIQが約2.5ポイント高くなったとのことだ。
一方、ソーシャルメディアの使用は知能レベルへの影響は見られず、テレビや動画視聴の時間が長い場合もわずかにIQの上昇に関連する可能性があるものの、統計的に有意とは言えない程度のものだった。
もちろん、この調査は知能に関する数種類の指標を調べただけなので、たとえば睡眠時間や学校の成績、運動といった他の重要な心理的要因とどのように関連しているかは調べていない。ただ、テレビゲームをプレイすることで知能が高まるという主張の裏付けにはなる、と研究者は述べている。
なお、研究ではゲームの形態についても考慮していない。ゲームもいまや多様化の時代で、従来のテレビゲーム機やNintendo Switch Liteのようなモバイルゲーム機、スマートフォン/タブレットのようなデバイスまで幅広い。さらにゲームのジャンルも戦場に出て銃撃戦を行うFPS系から、スーパーマリオやソニックのようなジャンプアクション、モバイルデバイスのタッチパネルを使ったもの、さらにはVRゲームまであるが、調査ではそれを考慮しなかった。
ただ、2021年に発表された研究でも、テレビゲームに精神的な健康を増進する効果があるとする報告がされていた。さらに別の最近の研究では、ソーシャルメディアのアプリに費やす時間が長いほど、子どもの友人のグループが大きくなるという報告もあった。
もちろん今回の結果は、子どもたちに日がな一日ゲームをやっても良いと勧めるものではない。ただ、「子どもがゲームばかりしていて将来が心配」だと心配する親御さんたちには、別に頭が悪くなるわけではないことがわかって、少し安心できる研究結果かもしれない。
Source: Scientific Reports
via: Karolinska Institutet, The Conversation
※テック/ガジェット系メディア「Gadget Gate」を近日中にローンチ予定です。本稿は、そのプレバージョンの記事として掲載しています。