• ブランド
    特設サイト
公開日 2010/10/08 11:38

ヤマハ新AVアンプRX-V3067/V2067/RX-V1067を一挙チェック!高橋 敦が各モデルのポイントを整理&レビュー

高橋 敦
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
ヤマハから10月上旬発売となる新AVアンプ「RX-V3067」「RX-V2067」「RX-V1067」。外観やインターフェースではなく、内蔵DACのグレードなどクオリティ面に差異をつけ、「音質・画質に対するこだわりの度合いで選んで欲しい」と語られる新モデルだが、それぞれどのような差異があるのだろうか? 高橋 敦氏が3機種の特徴を整理。音質の違いをチェックする。

■まずは全モデル共通の主なポイントを整理

ヤマハからミドルクラスAVアンプ3モデルが一気に発売される。ハイエンドで培われた高音質化ノウハウを着実に導入し、機能や操作性の面での進歩や挑戦も見られる、意欲作だ。

まずは全モデル共通の主なポイントを見ていこう。

左からRX-V3067、RX-V2067、RX-V1067。外観に変わりはない

こちらも左からRX-V3067、RX-V2067、RX-V1067。背面端子のレイアウトも同じ


左からRX-V3067、RX-V2067、RX-V1067のリモコン。3067はLEDバックライト付きで、2067はボタンレイアウトは同じだがバックライトなし。1067は別デザインのリモコンとなる

上からRX-V3067、RX-V2067、RX-V1067のケーブル。太さが違うほか、プラグ部のメッキも違うことがわかる
外観と入出力端子の数は全モデル共通。HDMI端子は入力8/出力2系統。入力の1系統はフロントに配置。HDMI出力を備えるデジカメなどを想定したのだろう。そのHDMI端子はver.1.4仕様で、3D映像信号のパススルーとオーディオリターンチャンネルに対応。USB端子も装備され、USBメモリーなどの再生も可能だ。当初「iPodのデジタル接続にも対応する。」と記述していましたが、これは誤りでした。iPod接続にはドックポート経由で別売のiPod用ユニバーサルドック「YDS-12」や、iPod用ワイヤレスシステム「YID-W10」などを使用する必要があります。なおこの場合もiPodデジタル接続には対応しません。訂正してお詫び致します。(10/14)

機能面での最大のトピックは、DLNA 1.5とWindows 7に準拠する、同社いわく「ピュアオーディオグレードのネットワークレシーバー機能」だ。再生形式としてFLAC、しかも96kHz/24bitにまで対応していることに注目したい。高音質配信の主流と言える形式・仕様であり、そちら方面に興味のある方には大きな魅力となるだろう。

加えて操作性も良好。画面のメニューからアーティスト名やアルバム名などをたどっていくときの、リモコン操作へのレスポンスが軽快で、ストレスを感じない。アーティスト名などの日本語表示にも完全対応する。


ネットワークオーディオ機能使用時のインターフェース

タイトルやアーティスト名の日本語表記にも対応する
そしてこのネットワーク再生機能は、DLNAのプレーヤーとしてだけではなく、レンダラーとしても機能。iPhoneなどで動作するコントローラーソフト(PlugPlayerなど)を使って、ライブラリのブラウズ〜曲の再生の操作を行えるわけだ。その際のレスポンスも良好。ちなみにネットワーク再生機能を使う場合、テレビはもちろんオフにして、本体はピュアダイレクトモードがおすすめだ。


PlugPlayerなどUPnPアプリでの操作も可能だ

このようにばっちり認識される
操作性と言えば、アンプ自体の操作メニューの表示形式も刷新された。RX-V767に先行採用されていたが、再生中の画面にメニューバーをオーバーレイ表示。視聴の流れを損なうことなく、設定の確認や変更を行えるようになった。

では3モデルの差異はどこにあるのか?

細かく見ていけばこれも多々ある。例えば自動音場補正は、最大8地点での計測結果を総合的に判断・評価するマルチポイント計測に加え、初期反射音を制御するYPAO-R.S.C .(Yamaha Parametric Room Acoustic Optimizer Reflected Sound Control)を備えた新世代YPAOとなっているが、1067のみYPAO-R.S.C.は非搭載。また、3067のみ視聴位置から見た各スピーカーの位置関係を把握してシネマDSP再生時の音場調整に反映させるスピーカー角度計測に対応する。


YPAOで計測をおこなった結果はこのように細かくチェック可能。こちらのGUIは3機種共通だ

自動測定のほか、手動で設定することも可能だ
しかし、いちばんのポイントは「音」。もちろん上位モデルに根本的な優位はあるが、各モデルでチューニングの方向性が異なる。下位モデルの音に好ましさを感じる方もいるかも知れないわけだ。

とはいえまずは、「上位モデルに根本的な優位はある」とした部分について理由を説明しよう。V3067とV2067はフラグシップモデルDSP-Z11の筐体設計を踏襲。主要パーツの左右対称配置とH型クロスフレームによる、制振・高剛性シャーシだ。V3067はさらに、ダブルボトム構造や高剛性メタルレッグなども採用する。その他、採用パーツのグレードや最大出力なども、上位モデルの優位と言える。

では各モデルの試聴印象をレビューしていこう。

試聴をおこなう高橋氏

■上位モデルが必ずしも”好い音”であるとは限らないのがこのシリーズの面白味


RX-V1067

RX-V1067(ゴールド)
RX-V1067の良さは、音場全体のなじみ具合や一体感、その中での勢いだ。作品のサウンドデザインの緻密さも引き出しつつも、ドンッという大きな迫力感の方が印象的。

また声の帯域、描写力が特に充実。アクションの場面でも台詞が太く抜けてきて、力強い存在感。映画であれ音楽であれ、主役は人の声である場合が大半。その充実はすなわち、アンプとしての総合点を大きく引き上げることになる。

音調としては、高域側を無理に稼いでいないこともあり、少し柔らかめ。低域側は適度に緩め、ジャズのウッドベースの太さや量感も十分に楽しめる。


RX-V2067

RX-V2067(ゴールド)
RX-V2067では、中高域の抜けっぷりがさらに増す。クラッシュや爆発場面で、その届き方が速い。そして同時に破片の数や質感が増し、大迫力かつ高解像度な描写だ。
声の太さや存在感は、こちらも良好。大柄な男性の胸の響きの豊かさや、アニメでのつるっと適度に無機質な感触も好い。

音楽を聴くと、特に高域の伸びや抜けの良さをさらに実感できる。端的に言えば、シンバルの透明感や抜けがV1067より上だ。低域側では、特にロックで顕著だが、ベースとドラムスのアタックのスピード感と音圧が増す。それもやはり、中高域の抜けのおかげだろう。


RX-V3067

RX-V3067(ゴールド)
RX-V3067は明らかにワイドレンジでフラットバランス。V1067とV2067は一工夫したチューニングとも感じられるが、V3067は原音忠実再生を純粋に突き詰めたものと感じられる。

クラッシュや爆発な大音響の中低域は、下位モデルよりもぐっと引き締められた印象だ。しかしアタックの瞬間は引き締めつつも響きは豊かで、物足りなさはない。ヘリが墜落して炎上する轟音サラウンドには、ゴロゴロゴツゴツという硬質な凄みと、音場全体に広がる爆音が同居する。

低域の引き締めやS/Nの向上もあってか、音場全体のクリアさもシリーズ随一。細かな物音やそのディテールもより浮かび上がってくる。

僕なりに3モデルの印象をまとめると、
シンプルな勢いを楽しめるRX-V1067
気持ちよい抜けっぷりを満喫できるRX-V2067
ハイエンド的な高音質を発揮するRX-V3067
というところだ。

繰り返すが、上位モデルが必ずしも”好い音”であるとは限らないのがこのシリーズの面白味。僕はV2067が好みだと感じた。それぞれ機能的には大きな差はないので、心置きなく、自身の音の好みで選んでほしい。

高橋 敦
埼玉県浦和市(現さいたま市)出身。東洋大学哲学科中退。大学中退後、パーソナルコンピュータ系の記事を中心にライターとしての活動を開始。現在はデジタルオーディオ及びビジュアル機器、Apple Macintosh、それらの周辺状況などに関する記事執筆を中心に活動する。また、ロック・ポップスを中心に、年代や国境を問わず様々な音楽を愛聴。 その興味は演奏や録音の技術などにまで及び、オーディオ評に独自の視点を与えている。

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック

クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 楽天ブラックフライデーでJBLの超人気サウンドバー「BAR 1000/800」が激安!プロも驚く革新的モデルはどんな音を鳴らす?
2 評論家が厳選!マランツ「MODEL M1」でPolk Audio/KEF/TAD/Harbethのスピーカーを鳴らす
3 ビクター新ワイヤレスヘッドホン「HA-S99N」速攻レビュー! 評論家が「もう驚きでしかない」と高評価した魅力とは?
4 ボーズ、McIntosh Groupを買収。マッキントッシュ、ソナス・ファベールが傘下に
5 レグザが100型クラス大画面4Kテレビを拡充する理由とは? 目黒蓮の特別コメントも
6 パナソニック「2023年度 優秀ご販売店様謝恩会」を開催。21店が栄誉に輝く
7 山之内 正氏によるエソテリック×アキュフェーズ×マランツ比較試聴会、「ハイエンドオーディオ&アクセサリーショウ2024」で開催
8 オーディオファイル待望の物量投入型プリメインアンプ!デノン「PMA-3000NE」をクオリティチェック
9 B&Wの音は “信頼に値する重要な指標”。音元出版の新試聴室に「802 D4」が導入されたワケ
10 新開発ユニットを巧みに操る懐深いサウンド。ELAC「Debut 3.0」フロア型/ブックシェルフ型を聴く
11/22 10:41 更新
MAGAZINE
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー193号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.194
オーディオアクセサリー大全2025~2026
別冊・ケーブル大全
別冊・オーディオアクセサリー大全
最新号
2025~2026
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.22 2024冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.22
プレミアムヘッドホンガイド Vol.32 2024 AUTUMN
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.32(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2024年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年冬版(電子版)
音元出版の雑誌 電子版 読み放題サービス
「マガジンプレミアム」お試し無料!

雑誌販売に関するお問合せ

WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX