公開日 2011/03/28 10:00
クリプトン初のオーディオ用USBケーブル「UC-KS」シリーズを岩井喬がレビュー
高音質音楽配信サイトやUSB-DAC内蔵アクティブスピーカーなど、ネットオーディオのジャンルで意欲的な試みを行っているクリプトンから、初のUSBケーブルが発売された。本モデルを岩井 喬氏がレポートする。
96kHz/24bit高音質音源配信『HQM Store』や、USB-DAC搭載小型デスクトップ・アクティブモニター「KS-1HQM」を手がけ、ネットオーディオの世界でも存在感を高めているクリプトンから、「音の良さを理論的に説明することで品質保証をする」ことを目指したUSBケーブルが登場した。USBロゴ認証と同じレベルでアイパターン測定を行い、タイミングウインドウと電圧マージンとも、理想とされる大きな値を記録。コネクター端子や導体におけるインピーダンスのバラツキを少なくすることで低ジッターを実現したほか、高い信号電圧マージンによってノイズにも強く、デジタル信号のうねりも抑えられるため、正確な信号伝送が可能になるという。
ケーブル構造はしなやかで、取り回ししやすい。端子部のモールドもオリジナルのものとなっており、こだわりも感じられる。電源ラインと信号ラインはアルミ、ポリエステルテープによる一次シールドと、銅線編組シールドによる二次シールドの2層遮へい構造を採用。中心部にはポリプロピレンの介在を採用し、信号ラインの静電容量の低減と電源ラインの振動を吸収し音質劣化を防いでいるという。
今回は0.6mのものをセレクトして試聴することにした。まずはUSB-DAC「オーディンスト HUD-mx1」とPC(MacPro、Amarra2.0再生)間に本製品を用い、自宅システムにライン接続を試み、スピーカーからそのサウンドを確認した。
メリハリのあるクリアな音場形成を得意とするサウンドで、音像はスリムで芯をすっきりとまとめ、耳あたり良い倍音感を伴ったハーモニーが感じられる。特にクラシックにおける管弦楽器の粒立ちの細やかさが際立ち、ピアノのクリアでヌケの良いサウンドにも耳を奪われた。ボーカルの声のハリもよく、輪郭のエッジはウェットな艶も感じさせる。押し出し良い傾向で、若干奥行きは浅めであるが、音場の広さは程良く、楽器定位の位相感も違和感がない。
続いて「RME Babyface」とPC間に本製品を用いてヘッドホン「シュア SRH840」でも試聴を行ってみた。オーケストラのハーモニーは一層艶っぽさがダイレクトに感じられ、ティンパニのアタックにおけるハリも鮮やかだ。ジャズソースにおけるウッドベースの胴鳴りは引き締まっており、弦のたわみを中心にエッジ感が強く描かれる。普段から試聴しているデイヴ・メニケッティ『MENIKETTI』では、レスポールの倍音感がゴージャスに響き、ふっくらとしたリズム隊のリリースと共に、リッチなロックサウンドを届けてくれる。
執筆者プロフィール
岩井 喬 Takashi Iwai
1977年・長野県北佐久郡出身。東放学園音響専門学校卒業後、レコーディングスタジオ(アークギャレットスタジオ、サンライズスタジオ)で勤務。その後大手ゲームメーカーでの勤務を経て音響雑誌での執筆を開始。現在でも自主的な録音作業(主にトランスミュージックのマスタリング)に携わる。プロ・民生オーディオ、録音・SR、ゲーム・アニメ製作現場の取材も多数。小学生の頃から始めた電子工作からオーディオへの興味を抱き、管球アンプの自作も始める。 JOURNEY、TOTO、ASIA、Chicago、ビリー・ジョエルといった80年代ロック・ポップスをこよなく愛している。
96kHz/24bit高音質音源配信『HQM Store』や、USB-DAC搭載小型デスクトップ・アクティブモニター「KS-1HQM」を手がけ、ネットオーディオの世界でも存在感を高めているクリプトンから、「音の良さを理論的に説明することで品質保証をする」ことを目指したUSBケーブルが登場した。USBロゴ認証と同じレベルでアイパターン測定を行い、タイミングウインドウと電圧マージンとも、理想とされる大きな値を記録。コネクター端子や導体におけるインピーダンスのバラツキを少なくすることで低ジッターを実現したほか、高い信号電圧マージンによってノイズにも強く、デジタル信号のうねりも抑えられるため、正確な信号伝送が可能になるという。
ケーブル構造はしなやかで、取り回ししやすい。端子部のモールドもオリジナルのものとなっており、こだわりも感じられる。電源ラインと信号ラインはアルミ、ポリエステルテープによる一次シールドと、銅線編組シールドによる二次シールドの2層遮へい構造を採用。中心部にはポリプロピレンの介在を採用し、信号ラインの静電容量の低減と電源ラインの振動を吸収し音質劣化を防いでいるという。
今回は0.6mのものをセレクトして試聴することにした。まずはUSB-DAC「オーディンスト HUD-mx1」とPC(MacPro、Amarra2.0再生)間に本製品を用い、自宅システムにライン接続を試み、スピーカーからそのサウンドを確認した。
メリハリのあるクリアな音場形成を得意とするサウンドで、音像はスリムで芯をすっきりとまとめ、耳あたり良い倍音感を伴ったハーモニーが感じられる。特にクラシックにおける管弦楽器の粒立ちの細やかさが際立ち、ピアノのクリアでヌケの良いサウンドにも耳を奪われた。ボーカルの声のハリもよく、輪郭のエッジはウェットな艶も感じさせる。押し出し良い傾向で、若干奥行きは浅めであるが、音場の広さは程良く、楽器定位の位相感も違和感がない。
続いて「RME Babyface」とPC間に本製品を用いてヘッドホン「シュア SRH840」でも試聴を行ってみた。オーケストラのハーモニーは一層艶っぽさがダイレクトに感じられ、ティンパニのアタックにおけるハリも鮮やかだ。ジャズソースにおけるウッドベースの胴鳴りは引き締まっており、弦のたわみを中心にエッジ感が強く描かれる。普段から試聴しているデイヴ・メニケッティ『MENIKETTI』では、レスポールの倍音感がゴージャスに響き、ふっくらとしたリズム隊のリリースと共に、リッチなロックサウンドを届けてくれる。
執筆者プロフィール
岩井 喬 Takashi Iwai
1977年・長野県北佐久郡出身。東放学園音響専門学校卒業後、レコーディングスタジオ(アークギャレットスタジオ、サンライズスタジオ)で勤務。その後大手ゲームメーカーでの勤務を経て音響雑誌での執筆を開始。現在でも自主的な録音作業(主にトランスミュージックのマスタリング)に携わる。プロ・民生オーディオ、録音・SR、ゲーム・アニメ製作現場の取材も多数。小学生の頃から始めた電子工作からオーディオへの興味を抱き、管球アンプの自作も始める。 JOURNEY、TOTO、ASIA、Chicago、ビリー・ジョエルといった80年代ロック・ポップスをこよなく愛している。