公開日 2012/08/29 10:36
CAVの振動スピーカー「BRT-G1」をオーディオ的に楽しむ − “身近なモノ”で音質の違いを検証
木製デスク、スピーカーの上、風呂場…
CAV JAPANが展開するスマートフォン周辺機器ブランド“BuruTta”の第一弾製品
切り落とされた竹のような謎の円柱。その正体は、スマホスタンド機能を備えるスピーカー「BRT-G1(関連ニュース)」だ。
一見ただのスマホスタンドだが、それもそのはず、本機には普通のスピーカーユニットは搭載されていない。底面の振動機構で設置面に振動を伝えて、その設置先の物体を振動させて音を出す振動スピーカーなのだ。
そうなると当然、何に置くかによって音は相当変わるはずである。というわけで今回の企画は、このBRT-G1を、僕の身近にある様々な材質のものの上に置いて、それぞれの音の違いを楽しんでみようというもの。
まずは基本機能をざっと確認していこう。搭載する接続端子はUSBのmini-B端子。しかしUSBデジタル入力対応ではなく、付属変換ケーブルでスマートフォンのヘッドホン出力と接続する。他にBluetoothでのワイヤレス接続も可能だ。USB端子になっている理由は、内蔵バッテリーの充電にも利用するため。本機のバッテリーからスマートフォンへの充電にも対応している。
ちなみに、先ほど「一見ただのスマホスタンド」と説明したが、上部の粘着プレート「スマピタ」にはスマホをドッキングさせることができるので、音を鳴らしていないときはスマートフォンスタンドとして使うこともできて便利だ。
では早速「何に置くとどんな音がするのか?」を試していこう。楽曲は、エスペランサ・スポルディング『Radio Music Society』、相対性理論『シンクロニシティーン』、宇多田ヒカル『HEART STATION』の3作品をメインに試聴。ミシェル・ンデゲオチェロ『Cookie: The Anthropological Mixtape』とLUNA SEA『EDEN』の2作品も聴いてみた。
検証その1:MDF材製デスク
まずは普通に机の上に置いてみた。デスク面の材質はMDF(木材繊維板)だ。
楽曲を再生してみると、いきなりちゃんと聴ける音である。音質傾向としては、ボーカルの帯域が主役だが、ベースもしっかりと沈み込むし、ボリューム感もある。デスクの広い範囲で響くため指向性が薄れるのだが、こういった点は何か作業等をしている最中のBGMとして流しておくのにはむしろ好都合だろう。音調は柔らかく、その点でもうるさくない。好感触だ。
ちなみにフローリングの床へ直置きした場合も、これに近い音がする。
検証その2:ブックシェルフスピーカー
続いてはブックシェルフスピーカーの上に置いてみたのだが、結論からいうとハズレだった。響きが増幅されず、音量がちゃんと出ないのだ。キャビネットが頑強すぎるためだろうか。特に低音域がさみしいことになってしまった。
検証その3:ギター用アンプ
次にギター用アンプの上に置いて試してみた。ところがこちらも上述のブックシェルフスピーカーと同じで、おそらく本体キャビネットが固いためか、音量が充分でなく低音が特に弱い。残念ながらハズレの印象だ。
検証その4:ヒノキ製椅子
ならば響きが良さそうなものを…と目を付けたのは、ヒノキ製の小さな椅子。この椅子は材がしっかり乾いており、指で叩くとコンと抜けの良い音がする。
これは期待を超えて良かった。まず、音量が明らかに大きくなるのだ。そして声がカラッと抜ける。ベースもボリューム満点であるのに嫌な膨らみ方ではなく、モノの印象通りに抜けの良い音色である。これはアタリだ。
検証その5:エレキギター
この調子で次に行こう。どうも木材製のものが好感触だということで、エレクトリックギターを寝かせてそのボディの上に設置してみた。するとソリッドで厚い木材の効果か、ベースラインがぐっと引き締まって明確になったのだ。これはかなりよい!
これまでの傾向を見るに、どうやら本機はしっかりとした木材とは特に相性が良さそうである。
検証その6:ガラステーブル
ここで改めて素材を変えてみる。ガラス製のテーブルに置いてみると、ボーカルの傾向が変化した。カチンと硬質な感触になったのが特徴的だ。
検証その7:お風呂場
最後にちょっと傾向を変えてみようということで、お風呂場でも試してみた。
中空構造の浴槽に置いてみると、音質自体は曇ってしまうのだが、音量としては今回試したものの中で最も大きく響いたのが印象的。逆に、浴室のタイル張りの床の方に置いてみると全く響かなかった。
予想はしていたが、設置するモノによって音は全く別物になる。僕の自宅に普段からあるもので試しただけで、様々な音色を楽しむことができた。これはかなり遊べるアイテムだ。もちろん大人も楽しめるし、お子さんと一緒に家中の色々な場所に置いて遊ぶのも楽しいのではないだろうか。また、本体寸法55W×126H×55Dmm、質量450gとコンパクトなので、様々な場所へ気軽に持ち運んで楽しむのもよいだろう。
◆高橋 敦 プロフィール
埼玉県浦和市(現さいたま市)出身。東洋大学哲学科中退後、パーソナルコンピュータ系の記事を中心にライターとしての活動を開始。現在はデジタルオーディオ及びビジュアル機器、Apple Macintosh、それらの周辺状況などに関する記事執筆を中心に活動する。また、ロック・ポップスを中心に、年代や国境を問わず様々な音楽を愛聴。その興味は演奏や録音の技術などにまで及び、オーディオ評に独自の視点を与えている。
切り落とされた竹のような謎の円柱。その正体は、スマホスタンド機能を備えるスピーカー「BRT-G1(関連ニュース)」だ。
一見ただのスマホスタンドだが、それもそのはず、本機には普通のスピーカーユニットは搭載されていない。底面の振動機構で設置面に振動を伝えて、その設置先の物体を振動させて音を出す振動スピーカーなのだ。
そうなると当然、何に置くかによって音は相当変わるはずである。というわけで今回の企画は、このBRT-G1を、僕の身近にある様々な材質のものの上に置いて、それぞれの音の違いを楽しんでみようというもの。
まずは基本機能をざっと確認していこう。搭載する接続端子はUSBのmini-B端子。しかしUSBデジタル入力対応ではなく、付属変換ケーブルでスマートフォンのヘッドホン出力と接続する。他にBluetoothでのワイヤレス接続も可能だ。USB端子になっている理由は、内蔵バッテリーの充電にも利用するため。本機のバッテリーからスマートフォンへの充電にも対応している。
ちなみに、先ほど「一見ただのスマホスタンド」と説明したが、上部の粘着プレート「スマピタ」にはスマホをドッキングさせることができるので、音を鳴らしていないときはスマートフォンスタンドとして使うこともできて便利だ。
では早速「何に置くとどんな音がするのか?」を試していこう。楽曲は、エスペランサ・スポルディング『Radio Music Society』、相対性理論『シンクロニシティーン』、宇多田ヒカル『HEART STATION』の3作品をメインに試聴。ミシェル・ンデゲオチェロ『Cookie: The Anthropological Mixtape』とLUNA SEA『EDEN』の2作品も聴いてみた。
まずは普通に机の上に置いてみた。デスク面の材質はMDF(木材繊維板)だ。
楽曲を再生してみると、いきなりちゃんと聴ける音である。音質傾向としては、ボーカルの帯域が主役だが、ベースもしっかりと沈み込むし、ボリューム感もある。デスクの広い範囲で響くため指向性が薄れるのだが、こういった点は何か作業等をしている最中のBGMとして流しておくのにはむしろ好都合だろう。音調は柔らかく、その点でもうるさくない。好感触だ。
ちなみにフローリングの床へ直置きした場合も、これに近い音がする。
続いてはブックシェルフスピーカーの上に置いてみたのだが、結論からいうとハズレだった。響きが増幅されず、音量がちゃんと出ないのだ。キャビネットが頑強すぎるためだろうか。特に低音域がさみしいことになってしまった。
次にギター用アンプの上に置いて試してみた。ところがこちらも上述のブックシェルフスピーカーと同じで、おそらく本体キャビネットが固いためか、音量が充分でなく低音が特に弱い。残念ながらハズレの印象だ。
ならば響きが良さそうなものを…と目を付けたのは、ヒノキ製の小さな椅子。この椅子は材がしっかり乾いており、指で叩くとコンと抜けの良い音がする。
これは期待を超えて良かった。まず、音量が明らかに大きくなるのだ。そして声がカラッと抜ける。ベースもボリューム満点であるのに嫌な膨らみ方ではなく、モノの印象通りに抜けの良い音色である。これはアタリだ。
この調子で次に行こう。どうも木材製のものが好感触だということで、エレクトリックギターを寝かせてそのボディの上に設置してみた。するとソリッドで厚い木材の効果か、ベースラインがぐっと引き締まって明確になったのだ。これはかなりよい!
これまでの傾向を見るに、どうやら本機はしっかりとした木材とは特に相性が良さそうである。
ここで改めて素材を変えてみる。ガラス製のテーブルに置いてみると、ボーカルの傾向が変化した。カチンと硬質な感触になったのが特徴的だ。
最後にちょっと傾向を変えてみようということで、お風呂場でも試してみた。
中空構造の浴槽に置いてみると、音質自体は曇ってしまうのだが、音量としては今回試したものの中で最も大きく響いたのが印象的。逆に、浴室のタイル張りの床の方に置いてみると全く響かなかった。
予想はしていたが、設置するモノによって音は全く別物になる。僕の自宅に普段からあるもので試しただけで、様々な音色を楽しむことができた。これはかなり遊べるアイテムだ。もちろん大人も楽しめるし、お子さんと一緒に家中の色々な場所に置いて遊ぶのも楽しいのではないだろうか。また、本体寸法55W×126H×55Dmm、質量450gとコンパクトなので、様々な場所へ気軽に持ち運んで楽しむのもよいだろう。
◆高橋 敦 プロフィール
埼玉県浦和市(現さいたま市)出身。東洋大学哲学科中退後、パーソナルコンピュータ系の記事を中心にライターとしての活動を開始。現在はデジタルオーディオ及びビジュアル機器、Apple Macintosh、それらの周辺状況などに関する記事執筆を中心に活動する。また、ロック・ポップスを中心に、年代や国境を問わず様々な音楽を愛聴。その興味は演奏や録音の技術などにまで及び、オーディオ評に独自の視点を与えている。