公開日 2013/04/23 15:58
【レビュー】MONSTERのピラミッド型ハウジング“DNA”イヤホンの音に触れる
高橋敦が実力に迫る
■独特なピラミッド型ハウジング − 耳元で目立ちすぎず、しかし精悍さを放つカラーリング
個性的で印象の強いデザインのモデルが多いMONSTER。その流れでの最新モデルが、MTVなどを傘下に持つアメリカのメディアグループ、バイアコムとのコラボレーションで展開されるDNAシリーズだ。ヘッドホンが先に発売されていたが、続いてこのイヤホンタイプも登場した(関連ニュース)。
DNAシリーズのデザイン面での特徴は、MONSTERがピラミッド型と呼ぶハウジング。ピラミッドは普通は四角錐なのだがこちらは三角錐。しかし印象としては確かにピラミッドっぽく、整合性と共に不思議な力強さを感じさせる形だ。
こういったスクウェアなデザインで気になるのは耳へのフィット感だが、その点も問題ないというかむしろ良好と感じた。前述の三角錐形状で耳をちょうど塞ぐように密着。それでいて窮屈さはない。密着度が高いおかげか遮音性も良好で、周囲の騒音も気になりにくい。
形と共に重要なカラーリングはブラックとホワイトの2パターン。試聴したブラックモデルはマットなブラックとダークメタリックのツートーン。耳元で目立ちすぎず、しかし精悍さを放つ。また最近のイヤホンではケーブルのカラーリングもポイントだ。Monster製品ではおなじみの絡みにくいフラットケーブルのカラーリングは本体と同じブラックまたはホワイト。本体と違和感なく、デザインの一要素となっている。
そのケーブルの左耳側には「Control Talk Universal」を装備。iPhone対応のリモコン&マイクだ。リモコンの上からボリュームアップ・操作ボタン・ボリュームダウンと、iPhone純正のリモコンと同じ配置と機能を実現。なので操作ボタンは再生・停止、曲のスキップ、電話を受けた時の通話開始などに利用できる。また全てのボタンが一体化してある純正リモコンと違い、それぞれのボタンが独立していてそれぞれの面積も大きめに確保してあるので、こちらの方が押しやすいと感じる方もいるだろう。
他、ドライバーは同社の最新ダイナミック型でクリアさ・パワフルさ・繊細さを実現、イヤーチップはソフトシリコンの一般的な形状のタイプを5サイズ、同じくシリコンのトリプルフランジを2サイズ付属。ケーブルをシャツに留めるクリップとキャリングケースも付属する。
■サウンドはメリハリのよさが印象的
実際に聴いてのサウンドは、ディープに響く低音とオープンに響く高音のコンビネーションによる、メリハリのよさが印象的。どんな曲を聴いても、その曲のよさを発揮させつつこのイヤホンのらしさも発揮させて、楽しめる音を出してくれる。
ディープな低音ということで言えば、ポスト・ダブステップとも言われるエレクトロニック・ミュージックを奏でるジェイムス・ブレイクの「To Care (Like You)」という曲。この曲ではベースの超低音域でのフレーズが用いられているのだが、その馬鹿げたレベルの重みもこのイヤホンは見事に再現する。擬音で表すなら沈み込むようにドゥゥゥンといった感じなのだが、その沈み込みっぷりを存分に感じられる、低音の再現性だ。
またこの曲の細かなリズムはハイハットの刻みが担当しているが、その高音のキレもよい。チチチッチッチッチチと精密な刻みがゆったりとしたベースのリズムと合わさり、全体のダイナミックかつ緻密なグルーブを生み出している。
全体のバランスや細部は、上原ひろみのピアノ・トリオによるアグレッシブな演奏「MOVE」で確認。
まずは冒頭のピアノの硬質な艶と、そして厚みが素晴らしい。特に後者の厚みだ。このような艶を出せるイヤホンは色々と思い浮かぶが、ここまでの厚みを出せるイヤホンはなかなかない。厚ければいいというものではないが、本機が出すピアノの厚みは実に自然で良質で、評価に値する。
続けてベースとライドシンバルが入ってくる。ベースはもちろん重みがあり、感触としては少し丸みを帯びている。制動を少し緩めておおらかなドライブ感を出した感じだ。ライドは明るくてほどよく鋭い音色で、高音なりの厚みも充実している。高音のこの明るさというのが、最初に述べたオープンな印象を生み出している大きな要素だ。その後にリズムを刻み出すハイハットシンバルも同じく明るい音色で、ほどよく荒くて抜けもよい。
さてドラムスの太鼓類は、これまたもちろん太い。特に感心させられたのはいちばん低い帯域で鳴るバスドラム。低い帯域の音はアタックを明確に出すことが難しいのだが、このイヤホンで聴くと細かな音符でのフレーズも明確だ。
ボーカルは宇多田ヒカル「Flavor Of Life - Ballad Version -」でチェック。
この歌はしっとりと湿度感のある描写が普通なのだが、本機はそこをあえてややドライでハスキーな感じにする。好みは分かれるかもしれないが、例えば歌の語尾を掠れさせる表現はより生かされる印象だ。そして声の厚み、重心の低さはやはり充実している。
しっかり聴き込んでみて納得させられたのは、デザインの強烈さに負けないサウンドの完成度。逆にこのサウンドの裏付けがあってこそ、デザインでは冒険できるということかもしれない。Monsterらしいイヤホンがまたひとつ登場した。
<高橋敦>
趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。
個性的で印象の強いデザインのモデルが多いMONSTER。その流れでの最新モデルが、MTVなどを傘下に持つアメリカのメディアグループ、バイアコムとのコラボレーションで展開されるDNAシリーズだ。ヘッドホンが先に発売されていたが、続いてこのイヤホンタイプも登場した(関連ニュース)。
DNAシリーズのデザイン面での特徴は、MONSTERがピラミッド型と呼ぶハウジング。ピラミッドは普通は四角錐なのだがこちらは三角錐。しかし印象としては確かにピラミッドっぽく、整合性と共に不思議な力強さを感じさせる形だ。
こういったスクウェアなデザインで気になるのは耳へのフィット感だが、その点も問題ないというかむしろ良好と感じた。前述の三角錐形状で耳をちょうど塞ぐように密着。それでいて窮屈さはない。密着度が高いおかげか遮音性も良好で、周囲の騒音も気になりにくい。
形と共に重要なカラーリングはブラックとホワイトの2パターン。試聴したブラックモデルはマットなブラックとダークメタリックのツートーン。耳元で目立ちすぎず、しかし精悍さを放つ。また最近のイヤホンではケーブルのカラーリングもポイントだ。Monster製品ではおなじみの絡みにくいフラットケーブルのカラーリングは本体と同じブラックまたはホワイト。本体と違和感なく、デザインの一要素となっている。
そのケーブルの左耳側には「Control Talk Universal」を装備。iPhone対応のリモコン&マイクだ。リモコンの上からボリュームアップ・操作ボタン・ボリュームダウンと、iPhone純正のリモコンと同じ配置と機能を実現。なので操作ボタンは再生・停止、曲のスキップ、電話を受けた時の通話開始などに利用できる。また全てのボタンが一体化してある純正リモコンと違い、それぞれのボタンが独立していてそれぞれの面積も大きめに確保してあるので、こちらの方が押しやすいと感じる方もいるだろう。
他、ドライバーは同社の最新ダイナミック型でクリアさ・パワフルさ・繊細さを実現、イヤーチップはソフトシリコンの一般的な形状のタイプを5サイズ、同じくシリコンのトリプルフランジを2サイズ付属。ケーブルをシャツに留めるクリップとキャリングケースも付属する。
■サウンドはメリハリのよさが印象的
実際に聴いてのサウンドは、ディープに響く低音とオープンに響く高音のコンビネーションによる、メリハリのよさが印象的。どんな曲を聴いても、その曲のよさを発揮させつつこのイヤホンのらしさも発揮させて、楽しめる音を出してくれる。
ディープな低音ということで言えば、ポスト・ダブステップとも言われるエレクトロニック・ミュージックを奏でるジェイムス・ブレイクの「To Care (Like You)」という曲。この曲ではベースの超低音域でのフレーズが用いられているのだが、その馬鹿げたレベルの重みもこのイヤホンは見事に再現する。擬音で表すなら沈み込むようにドゥゥゥンといった感じなのだが、その沈み込みっぷりを存分に感じられる、低音の再現性だ。
またこの曲の細かなリズムはハイハットの刻みが担当しているが、その高音のキレもよい。チチチッチッチッチチと精密な刻みがゆったりとしたベースのリズムと合わさり、全体のダイナミックかつ緻密なグルーブを生み出している。
全体のバランスや細部は、上原ひろみのピアノ・トリオによるアグレッシブな演奏「MOVE」で確認。
まずは冒頭のピアノの硬質な艶と、そして厚みが素晴らしい。特に後者の厚みだ。このような艶を出せるイヤホンは色々と思い浮かぶが、ここまでの厚みを出せるイヤホンはなかなかない。厚ければいいというものではないが、本機が出すピアノの厚みは実に自然で良質で、評価に値する。
続けてベースとライドシンバルが入ってくる。ベースはもちろん重みがあり、感触としては少し丸みを帯びている。制動を少し緩めておおらかなドライブ感を出した感じだ。ライドは明るくてほどよく鋭い音色で、高音なりの厚みも充実している。高音のこの明るさというのが、最初に述べたオープンな印象を生み出している大きな要素だ。その後にリズムを刻み出すハイハットシンバルも同じく明るい音色で、ほどよく荒くて抜けもよい。
さてドラムスの太鼓類は、これまたもちろん太い。特に感心させられたのはいちばん低い帯域で鳴るバスドラム。低い帯域の音はアタックを明確に出すことが難しいのだが、このイヤホンで聴くと細かな音符でのフレーズも明確だ。
ボーカルは宇多田ヒカル「Flavor Of Life - Ballad Version -」でチェック。
この歌はしっとりと湿度感のある描写が普通なのだが、本機はそこをあえてややドライでハスキーな感じにする。好みは分かれるかもしれないが、例えば歌の語尾を掠れさせる表現はより生かされる印象だ。そして声の厚み、重心の低さはやはり充実している。
しっかり聴き込んでみて納得させられたのは、デザインの強烈さに負けないサウンドの完成度。逆にこのサウンドの裏付けがあってこそ、デザインでは冒険できるということかもしれない。Monsterらしいイヤホンがまたひとつ登場した。
<高橋敦>
趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。