公開日 2014/07/24 12:32

パイオニア初HPアンプ内蔵USB-DAC「U-05」×人気ヘッドホンスクランブルテスト!

ゼンハイザー/SHURE/ベイヤーダイナミックの人気機種と組み合わせ

人気ヘッドホンとの組み合わせテスト!


試聴を行う岩井氏
それではここからはU-05と様々なヘッドホンを組み合わせ、その音質についてレビューをお届けしたいと思う。今回用意したのはゼンハイザー「HD800」(オープン型)、SHURE「SRH1540」(密閉型)、そしてハイインピーダンス機の筆頭であるベイヤーダイナミック「T1」である。HD800とSRH1540についてはバランス駆動用リケーブルも用意したので、各々シングルエンド接続との比較も行ってみた。なお試聴に用いたU-05は最終チューニングモデルではなかったため、製品版とは違ったインプレッションとなる個所もあることを予めご了承いただきたい。


■ゼンハイザー HD800


ゼンハイザー HD800と組み合わせ
まずはロックレンジアジャスト機能を入れた状態を試してみよう。ギリギリのポイントまでロック幅を絞り込んでゆくと低域がより引き締まり、音像のフォーカスも鮮明かつ鋭く決まる。静寂感の表現も高まり、余韻の階調の細やかさもより引き立って来るようだ。

Up Samplingについても個別に試してみたが、Up SamplingはLOWとHIGHの2段階を選択可能であり、44.1kHzのソースであればLOWが176.4kHz、HIGHならば352.8kHzとなる。LOWでは音場の見通しが深くなり、音像もキレ良く立ち上がり、クリアなサウンドに変化。HIGHになると音離れが良くなり、管弦楽器の旋律もより爽やかに感じられる。余韻の階調性が高まり、質感の滑らかさも向上。リアリティの高いサウンドとなる。

そしてHi-bit 32を単独で有効にすると抑揚良く爽快な音色が空間に満ち、管弦楽器の旋律も流麗で上品さが増す。低域のダンピングも弾力豊かに表現され、絶妙な制動感を味わえた。伸び良く余裕のあるサウンド傾向である。

続いて192kHz/24bit音源をUp SamplingのHIGHを入れ384kHzにアップスケーリング。さらにロックレンジアジャストを有効にした状態で聴いてみたが、クールで瑞々しいストリングスの旋律が華やかに展開し、音像の輪郭も彫りが深く細やかなニュアンスもしっかりと捉えてくれた。ローエンドの抑揚も豊かでリッチなハーモニーが空間に広がってゆく。歯切れも良く付帯感のない澄んだサウンドである。

ここからはオーディオスケーラーは解除し、ダイレクトモード+ロックレンジアジャストを有効にした状態で試聴を進めていこう。

制動高く低域は引き締まり、音像はシャープに描かれる。ボーカルの口元はクールに際立ち、滑らかさとウェットな質感も同時に得ることができた。アタック感もキレ鮮やかであるが、中低域の密度感はしっかりと存在し、ピアノでもローエンドまで厚み良く響く。オーケストラのハーモニーも粒立ち細かく、生々しいニュアンス感を堪能できる。ハイレゾ音源となると低域にかけての制動感も高まり、音場の見通しが深くなってゆく。定位も明確で音像の動きもしなやかだ。DSD音源になると弾力感の良いしなやかなサウンドとなり粒立ち良く滑らかな音像感となる。ボーカルの肉付きもスマートで口元の動きもリアルに浮き上がってきた。


続いてリケーブルCH800Sを用いたバランス駆動のサウンドであるが、S/Nの高さやシームレスな空間性がより良く引き出されている。ボーカルの口元もしなやかで有機的な描写となり、定位感も極めてナチュラルだ。DSD音源では音離れも素晴らしく、音の立ち上がりも詰まりなくふわっと音が放たれる印象。躍動感も高く、低域の弾力感も自然である。立体的な音像表現で、各パートの分離も良く空間の透明度も高い。ロックサウンドもキレ鮮やかでリズム隊の押し出しもスピード感あふれる。重心の下がった芯の太い音像感に加え、U-05の高級機にも負けない表情豊かな空間表現と安定的でドライブ力の高いサウンドを存分に実感することができた。

次ページ続いてはSHURE「SRH1540」と組み合わせ

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