公開日 2014/11/14 12:24
オプトマDLPプロジェクター「EH503」レビュー − リビングシアターに最適な高輝度5,200lm
設置環境にあわせて選べるレンズ交換式
オプトマの「EH503(関連ニュース)」は、最大5,200ANSIルーメンと超高輝度を誇るフルHD解像度のDLPプロジェクターである。ここ数年、ホームシアター用プロジェクターは高輝度化が目覚ましいが、それでも一般的には2,000ルーメン前後程度であり、5,200ルーメンという明るさは群を抜いた存在だ。
また、本機のもう一つの大きな特徴は、投写レンズの交換が可能な点。別売の専用投写レンズを「短焦点」「標準」「長焦点」の3種から選べるのはユニークだ。
標準レンズはズーム機能を備え、100インチ投影時の投写距離は3.4m〜4.3mで、レンズを内蔵した一般的なプロジェクターに近い感覚だ。短焦点レンズ(固定焦点)は、100インチ投影時の投写距離が1.7mと非常に短く、ここ最近、リビングでソファー前のテーブルに設置するスタイルや、オフィスのプレゼンテーション用途などで重宝される、ワイドな投写角を実現している。また長焦点レンズは、ズーム機構を備え、100インチ投影時の投写距離は4.3m〜6.4mとなっており、例えば、広いワンルームで部屋の端から端まで投写するような用途に適している。
レンズ交換式のメリットは、住環境や用途が変化した時にも、本体を買い替えることなく低コストで転用できる点である。例えば、超短焦点プロジェクターは狭小空間で超大画面が実現できる魅力を持っているが、実際に使ってみると、ズーム機能が無く設置位置が限定される難しさがある。カメラで例えると、魚眼レンズがごく限られた用途にしか使えないのと同じ感覚だ。レンズ交換できる本機は、レンズ交換が可能なカメラと同じ柔軟性を持つと考えれば良い。
■リビングシアターに最適な明るい映像投写
実際に投写すると、眩しいくらいに明るい映像が目の前に現れた。オフィス程度の明るい照明環境にも関わらず、映像光が照明に打ち勝って鮮明かつ色乗りも充分。5,200ルーメンのスペックは流石で、プロジェクターながら、液晶テレビに近い感覚で映像を見ることができる。映り込みによる反射や視野角による見え方の変化がない事を考えると、むしろ見やすいくらいだ。
一般的なリビングでは、ランプ輝度を下げる事で眩しさを抑えた適度な明るさが得られ、消費電力の低減にもつながる。ランプ輝度は、全映像モードに共通で設定でき、「エコ」「明るい」「消費電力」の三つから選べる。特に「消費電力」は、明るさを消費電力値で設定できるもので、出荷設定の最小280Wから最大370Wまで10W刻みで10段階のきめ細やかな調整が可能だ。
視聴はまず標準レンズで行った。設置に際してはレンズシフト機能が役に立った。上下の調整幅が上方向に最大60%(下方向にも20%)と広く、天井が高い部屋での天吊り設置でも重宝しそうだ。台形補正を使わずに済むということは、パネル上で映像を台形状に変形させなくて済むことを意味し、光量のロスが無く、映像の明るさを維持するのに有利なのだ。左右のシフト量は5%と広くないが、投写位置の微調整に役立つ。
画質は照明を残した明るい状態で確認した。明るい部屋で暗いシーンの多い映画を見ると、特に顔のシャドウ部が環境光で浮いてしまって平坦に見えがちだが、本機の場合は非常に輝度が高いので、そうした部分の階調や色も環境光に打ち勝って見えてくる。リビング程度の明るさでも映画画質の上質さを楽しめる。平均輝度の高いテレビ放送番組やアニメの視聴にはさらに好適で、明るく色乗りの良い鮮明な映像が楽しめた。
また、映像が明るいにも関わらず、DLPタイプ特有のカラーブレーキング現象がほとんど感じられないのにも感心した。暗室で夜景を見る、言い換えると、真っ暗な背景に明るい「点」が点在するような悪条件が重ならない限り、ほぼ気が付かないレベル。カラーブレーキングに敏感な筆者も充分に満足できる仕上がりだ。
3Dの画質も確認した。今回は「EH503S1」にバンドルされる「ZD302」を使用した。(EH503は3Dメガネ別売)。ちなみに本機の3D投写はDLP Link方式に準拠しているので、同方式に対応した3Dメガネなら、原則、他社製品も使用できる。ファミリーでの利用など、複数の3Dメガネが必要な場合、ネットショッピングで安価な製品を見つけるのも一案だ。
3D映像投写時は、自動でランプが最大出力になり、明るい部屋でも高輝度で見やすい3D映像が得られ、驚くばかりだ。投写光の輝度の高さに加え、光の透過率が良い3Dメガネとの相乗効果だ。フリッカーやクロストークも皆無で、高品位な3Dが楽しめ、長時間でも疲れにくい。映画作品「ホビット 失われた龍」や「ゼロ・グラビティ」など、3D品質が高評価の作品で確認したが、持ち味を充分に引き出した高品位な3D映像が楽しめた。
さらに、スクリーン周りの照明を落とすと、「ゼロ・グラビティ」は、宇宙の黒が引き締まり、色乗りも増して奥行き感がアップ。暗室に整えると、映像暗部の階調がさらに豊かになり、より高い立体感が得られた。本機にはシアター専用の暗室でも通用する画質力が備わっているのだ。
本格的な映画作品の鑑賞から、明るいリビングで映像全体が明るいアニメ作品やテレビ放送の視聴まで、交換可能なレンズとあわせ、柔軟性が高く応用範囲の広い高品位なプロジェクターと言える。
(鴻池賢三)
また、本機のもう一つの大きな特徴は、投写レンズの交換が可能な点。別売の専用投写レンズを「短焦点」「標準」「長焦点」の3種から選べるのはユニークだ。
標準レンズはズーム機能を備え、100インチ投影時の投写距離は3.4m〜4.3mで、レンズを内蔵した一般的なプロジェクターに近い感覚だ。短焦点レンズ(固定焦点)は、100インチ投影時の投写距離が1.7mと非常に短く、ここ最近、リビングでソファー前のテーブルに設置するスタイルや、オフィスのプレゼンテーション用途などで重宝される、ワイドな投写角を実現している。また長焦点レンズは、ズーム機構を備え、100インチ投影時の投写距離は4.3m〜6.4mとなっており、例えば、広いワンルームで部屋の端から端まで投写するような用途に適している。
レンズ交換式のメリットは、住環境や用途が変化した時にも、本体を買い替えることなく低コストで転用できる点である。例えば、超短焦点プロジェクターは狭小空間で超大画面が実現できる魅力を持っているが、実際に使ってみると、ズーム機能が無く設置位置が限定される難しさがある。カメラで例えると、魚眼レンズがごく限られた用途にしか使えないのと同じ感覚だ。レンズ交換できる本機は、レンズ交換が可能なカメラと同じ柔軟性を持つと考えれば良い。
■リビングシアターに最適な明るい映像投写
実際に投写すると、眩しいくらいに明るい映像が目の前に現れた。オフィス程度の明るい照明環境にも関わらず、映像光が照明に打ち勝って鮮明かつ色乗りも充分。5,200ルーメンのスペックは流石で、プロジェクターながら、液晶テレビに近い感覚で映像を見ることができる。映り込みによる反射や視野角による見え方の変化がない事を考えると、むしろ見やすいくらいだ。
一般的なリビングでは、ランプ輝度を下げる事で眩しさを抑えた適度な明るさが得られ、消費電力の低減にもつながる。ランプ輝度は、全映像モードに共通で設定でき、「エコ」「明るい」「消費電力」の三つから選べる。特に「消費電力」は、明るさを消費電力値で設定できるもので、出荷設定の最小280Wから最大370Wまで10W刻みで10段階のきめ細やかな調整が可能だ。
視聴はまず標準レンズで行った。設置に際してはレンズシフト機能が役に立った。上下の調整幅が上方向に最大60%(下方向にも20%)と広く、天井が高い部屋での天吊り設置でも重宝しそうだ。台形補正を使わずに済むということは、パネル上で映像を台形状に変形させなくて済むことを意味し、光量のロスが無く、映像の明るさを維持するのに有利なのだ。左右のシフト量は5%と広くないが、投写位置の微調整に役立つ。
画質は照明を残した明るい状態で確認した。明るい部屋で暗いシーンの多い映画を見ると、特に顔のシャドウ部が環境光で浮いてしまって平坦に見えがちだが、本機の場合は非常に輝度が高いので、そうした部分の階調や色も環境光に打ち勝って見えてくる。リビング程度の明るさでも映画画質の上質さを楽しめる。平均輝度の高いテレビ放送番組やアニメの視聴にはさらに好適で、明るく色乗りの良い鮮明な映像が楽しめた。
また、映像が明るいにも関わらず、DLPタイプ特有のカラーブレーキング現象がほとんど感じられないのにも感心した。暗室で夜景を見る、言い換えると、真っ暗な背景に明るい「点」が点在するような悪条件が重ならない限り、ほぼ気が付かないレベル。カラーブレーキングに敏感な筆者も充分に満足できる仕上がりだ。
3Dの画質も確認した。今回は「EH503S1」にバンドルされる「ZD302」を使用した。(EH503は3Dメガネ別売)。ちなみに本機の3D投写はDLP Link方式に準拠しているので、同方式に対応した3Dメガネなら、原則、他社製品も使用できる。ファミリーでの利用など、複数の3Dメガネが必要な場合、ネットショッピングで安価な製品を見つけるのも一案だ。
3D映像投写時は、自動でランプが最大出力になり、明るい部屋でも高輝度で見やすい3D映像が得られ、驚くばかりだ。投写光の輝度の高さに加え、光の透過率が良い3Dメガネとの相乗効果だ。フリッカーやクロストークも皆無で、高品位な3Dが楽しめ、長時間でも疲れにくい。映画作品「ホビット 失われた龍」や「ゼロ・グラビティ」など、3D品質が高評価の作品で確認したが、持ち味を充分に引き出した高品位な3D映像が楽しめた。
さらに、スクリーン周りの照明を落とすと、「ゼロ・グラビティ」は、宇宙の黒が引き締まり、色乗りも増して奥行き感がアップ。暗室に整えると、映像暗部の階調がさらに豊かになり、より高い立体感が得られた。本機にはシアター専用の暗室でも通用する画質力が備わっているのだ。
本格的な映画作品の鑑賞から、明るいリビングで映像全体が明るいアニメ作品やテレビ放送の視聴まで、交換可能なレンズとあわせ、柔軟性が高く応用範囲の広い高品位なプロジェクターと言える。
(鴻池賢三)