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公開日 2014/12/03 16:59

ELAC「BS192 MEISTER EDITION」をレビュー - 定番モデルをさらに磨き上げた特別バージョン

トゥイーターは260LINEにも搭載の4ギャップJET V
井上千岳
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JETトゥイーターの最新版“JET V extra version”を搭載したBS192を、経験豊かなマイスターが改めて磨き上げた特別バージョン「BS192 MEISTER EDITION」が登場した。本機の魅力を井上千岳氏がレポートする。

「ELAC BS192 MEISTER EDITION」¥170,000/ペア(税抜)

一層の磨きをかけた「BS192」の特別バージョンが登場

エラックのブックシェルフ・スピーカーを大雑把に分類してみると、JET XとAS-XR(いわゆるクリスタル・ウーファー)、アルミ・キャビネットによる「BS312」および「BS314」、これをウッド製のキャビネットとしたのが「BS403」と「BS263」、ウーファーがクリスタルでない一般的なコーンなのが「BS192」、そしてトゥイーターをJETでなくドームとしたのが「BS72」および「BS73」となる。

これでだいたいの位置づけが判断できるが、「BS192」というのはある意味でお買い得モデルだということが分かる。JET搭載でウーファーもアルミ/パルプ・ハイブリッド。キャビネットはボトム・エミッション方式のバスレフ型としている。いわばエラックのエッセンスを網羅しながら、価格はBS312の半分程度である。もうひとつつけ加えると、上級機のBS263はボトム・エミッションではない。そこがBS403との違いで、その点でもBS192の意義が分かろうというものだ。

当然これまででも高い人気を得てきたが、これに一層細部の磨きをかけた特別バージョンが本機である。このため若干の価格アップとなったが、コスト・パフォーマンスの高さに変わりはない。また限定品ではなく、上位モデルとして従来のノーマル・バージョンと併売されてゆく予定である。

本機の背面。バイワイヤリング対応の4端子型。ジャンパープレートは同社オリジナルのもの

変更点はほぼ全面に及ぶが、まずJETはこれまでのJET V Exから4ギャップのJET Vとなった。特別なモデルであることを証明するかのように、リング部にバージョンのロゴがプリントされている。

因みにJET Xには3つのバージョンが存在する。ひとつはBS312などで使用されるダイキャスト・アルミ・バージョンで、バッフル部がアルミ・ダイキャストとなっている。このバッフル部を樹脂製としたのがJET Xで、ここで使われているのがそれだ。さらにJET X Exはギャップが5本で、JET Vを踏襲している。ただしユニット本体はJET Xそのものである。

ネットワークには空芯コイルが採用された。190LINEとしては初めてで、基板や配線材も高品位化されている。さらにボトム・エミッションのバスレフポートも、放射角の広い新しい形状に変更された。仕上げもこれまでのマットブラックから、ハイグロス・ブラックへと変わっている。高級感という点で、特に小型モデルで光沢の方が映えるようだ。

レスポンスに余裕があり音の起伏が豊か

元々のコスト・パフォーマンスが、上級機のBS263にどこまで迫ったのかということが興味のポイントになるだろう。しかし実際に本機だけ聴いてみると、格別比較する意味はないようにも思われる。それほど完成度が高く、これで十分と納得させられるのだ。

まずレスポンスに余裕があり、音の起伏が豊かだ。ピアノは低音部のタッチと音程が明瞭で、響きの骨格も豊か。高域まで滑らかにつながって一体感に富む。バロックは瀟洒なバロック・ヴァイオリンの質感と余韻が実に巧みに描き出され、バックに連なるリュートや小型オルガンとの分離も明快だ。しっとりとして奥行きの深い音場も、リアルそのものである。

品質管理項目をクリアした事の証明として、ELAC社社長のウォルフガング・ジョン氏のサインと日付、シリアルナンバーが記入された証明書が同梱される

オーケストラのスケールにも不足がない。金管やティンパニの強靭なフォルテが峻烈に炸裂するし、低音弦は深く力強い。ジャズやフュージョンでも同様で、沈み方が深いうえに弾みと切れがいい。ヴォーカルの飾り気のない表情や緻密なディテールにも、正確で幅広い再現性が表れている。コストバリューを度外視しても、存在価値に溢れた仕上がりである。


本機に組み合わせたいお薦め機器
価格的にも内容から言っても、AuraのNote V2がぴったりだ。コンパクトな機材による最小限のシンプルなシステムができあがる。また音質の点でも、十分なハイエンド・サウンドが楽しめる。普通ならこれで不満は感じないはずなのだ。もうひとつこの魅惑的なスピーカーを軽快に鳴らすアンプとして、NuPrime(NuForce)のIDA-16を挙げておきたい。鮮度の塊のような音が聴けるに違いない。

Auraのnote V2(¥320,000/税別)は FMチューナー内蔵CD/AMP一体型レシーバー。出力は125W/ch(8Ω)





「BS192 MEISTER EDITION」SPEC
●型式:2 ウェイ バスレフ型 ●使用ユニット:ウーファー 135mm パルプ/アルミ・ハイブリッドAS CONE、トゥイーター JET V ●能率:87dB ●インピーダンス:4Ω ●周波数特性:46Hz〜50kHz ●クロスオーバー:2.5kHz ●入力:定格60W、最大80W ●外形寸法:160W×290H×262Dmm(ベース部含む)●質量:6.0kg ●取り扱い:(株)ユキム

本記事は『季刊・オーディオアクセサリー155号』からの転載です。本誌の詳細はこちら

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