公開日 2015/10/27 10:30
ハイレゾ発売目前に「東亰ザナドゥ」をハイレゾで聴いてみた
アニソンオーディオ:第7回
ゲーム音楽と聞くと、何を想像されるだろうか。
ピコピコ鳴る電子音。無限ループする楽曲。ここぞというシーンに生演奏。メロディーを聴けば当時のことまで思い出せる。そんな神曲の数々……。
僕らの青春時代、常にゲーム音楽は傍にあった、などと言うと大げさだろうか。初めて好きになった音楽がゲーム音楽という読者も少なくないだろう。本記事では、サウンドに徹底してこだわる老舗のゲームメーカー『日本ファルコム』(以下、ファルコム)の新作ゲーム『東亰ザナドゥ』を題材に、ゲーム音楽の魅力の一端を探っていきたいと思う。
なぜ、ファルコムなのか? それは、ゲームミュージックの進化の歴史をそのまま体現しているのがファルコム音楽であるからだ。内蔵音源の初期の初期からPS Vitaの現代まで、ファルコムは面白いゲームを、そして素晴らしい音楽を作り続けている。常に“音楽”に対して真摯に向き合い、ゲームミュージックというジャンルを牽引し、業界として望まれる地位向上を目指し、実現しているのだ(関連記事はこちら)。
東亰ザナドゥは、そんなファルコムから2015年9月30日にリリースされた完全新作アクションRPGだ。
ゲームの詳しい紹介は専門サイトに譲るが、東亰ザナドゥは“ストーリーRPG”を標榜する軌跡シリーズに勝るとも劣らない、ドラマチックなストーリーと凝った演出が特徴だ。無論、バトルもぬかりはない。スピード感やテンポの良さ、敵を蹴散らす爽快感、高い戦略性に、ストレスの少ない操作性など、非常に丁寧に作り込まれている。本原稿執筆時点で終章をプレイ中だが、原稿締め切りを失念するほど止めどころを見失い熱中しているのはここだけの話だ。
ゲーム性のみならず、サウンドにもファルコムならではの丁寧な仕事ぶりが現れている。『英雄伝説 空の軌跡 FC Evolution』で初めて全楽曲96kHz/24bit制作を行ったファルコム。生演奏はもちろん、デジタル音源も大幅に進化しており、筆者は衝撃を受けた。その系譜を受け継ぎ、さらに発展するだろうと期待していたが、東亰ザナドゥはまさにその通りであった。
その進化と発展とはどのようなものか。ここでまず紹介したいのは、ファルコムはいち早くゲーム音楽のハイレゾ配信をはじめたメーカーの1つであるということだ。それだけにハイレゾへのこだわりや熟練度が高い。『空の軌跡 FC Evolution』 で一定の到達点に辿り着いたあと、東亰ザナドゥではその”良い意味での慣れ”を生かし、さらなる創意工夫を計っている印象だ。
一方でゲーム音楽は楽曲数も多く、生演奏を多用するのは難しい。一定の制約の中、デジタル音源(つまり打ち込み)を用いて楽曲制作を行うのが実情だ。これは決してネガティブなことではなく、ゲーム音楽は内蔵音源の頃からその制約とずっと向き合ってきた。「諦めるのではなく、制約があるからこそ燃える」、そんなスピリットで神曲がいくつも生み出されてきた歴史がある。意外に思われるだろうか。筆者は、だからこそゲーム音楽は面白いと思っている。
オーディオファンの方は「ゲームミュージックで音にこだわることに意味があるのか?」という疑問を持たれるかも知れないが、その答えは実際にゲームをプレイし、ハイレゾ音源を聴いた私の体験を踏まえて、次ページの楽曲レビューの最後に述べたいと思う。
ピコピコ鳴る電子音。無限ループする楽曲。ここぞというシーンに生演奏。メロディーを聴けば当時のことまで思い出せる。そんな神曲の数々……。
僕らの青春時代、常にゲーム音楽は傍にあった、などと言うと大げさだろうか。初めて好きになった音楽がゲーム音楽という読者も少なくないだろう。本記事では、サウンドに徹底してこだわる老舗のゲームメーカー『日本ファルコム』(以下、ファルコム)の新作ゲーム『東亰ザナドゥ』を題材に、ゲーム音楽の魅力の一端を探っていきたいと思う。
なぜ、ファルコムなのか? それは、ゲームミュージックの進化の歴史をそのまま体現しているのがファルコム音楽であるからだ。内蔵音源の初期の初期からPS Vitaの現代まで、ファルコムは面白いゲームを、そして素晴らしい音楽を作り続けている。常に“音楽”に対して真摯に向き合い、ゲームミュージックというジャンルを牽引し、業界として望まれる地位向上を目指し、実現しているのだ(関連記事はこちら)。
東亰ザナドゥは、そんなファルコムから2015年9月30日にリリースされた完全新作アクションRPGだ。
ゲームの詳しい紹介は専門サイトに譲るが、東亰ザナドゥは“ストーリーRPG”を標榜する軌跡シリーズに勝るとも劣らない、ドラマチックなストーリーと凝った演出が特徴だ。無論、バトルもぬかりはない。スピード感やテンポの良さ、敵を蹴散らす爽快感、高い戦略性に、ストレスの少ない操作性など、非常に丁寧に作り込まれている。本原稿執筆時点で終章をプレイ中だが、原稿締め切りを失念するほど止めどころを見失い熱中しているのはここだけの話だ。
ゲーム性のみならず、サウンドにもファルコムならではの丁寧な仕事ぶりが現れている。『英雄伝説 空の軌跡 FC Evolution』で初めて全楽曲96kHz/24bit制作を行ったファルコム。生演奏はもちろん、デジタル音源も大幅に進化しており、筆者は衝撃を受けた。その系譜を受け継ぎ、さらに発展するだろうと期待していたが、東亰ザナドゥはまさにその通りであった。
その進化と発展とはどのようなものか。ここでまず紹介したいのは、ファルコムはいち早くゲーム音楽のハイレゾ配信をはじめたメーカーの1つであるということだ。それだけにハイレゾへのこだわりや熟練度が高い。『空の軌跡 FC Evolution』 で一定の到達点に辿り着いたあと、東亰ザナドゥではその”良い意味での慣れ”を生かし、さらなる創意工夫を計っている印象だ。
一方でゲーム音楽は楽曲数も多く、生演奏を多用するのは難しい。一定の制約の中、デジタル音源(つまり打ち込み)を用いて楽曲制作を行うのが実情だ。これは決してネガティブなことではなく、ゲーム音楽は内蔵音源の頃からその制約とずっと向き合ってきた。「諦めるのではなく、制約があるからこそ燃える」、そんなスピリットで神曲がいくつも生み出されてきた歴史がある。意外に思われるだろうか。筆者は、だからこそゲーム音楽は面白いと思っている。
オーディオファンの方は「ゲームミュージックで音にこだわることに意味があるのか?」という疑問を持たれるかも知れないが、その答えは実際にゲームをプレイし、ハイレゾ音源を聴いた私の体験を踏まえて、次ページの楽曲レビューの最後に述べたいと思う。