公開日 2023/12/27 06:40
5.1.4chで本格的な3Dオーディオが楽しめる!ミドルハイクラスのAVアンプを徹底レビュー
20万円以上40万円未満から4モデルを比較レビュー
エントリークラスのAVアンプでも一般的になりつつあるイマーシブサラウンドへの対応であるが、かつてのハイエンドクラスともいえる20〜40万円台のミドルハイクラスとなると、Dolby AtmosやDTS:Xだけでなく、Auro-3Dや360 Reality Audioなど、現在広まりつつあるイマーシブ系コンテンツの多くを享受できる主流フォーマットへ対応できるものがほとんどだ。
パワーアンプも9ch以上のものが中心となり、5.1.4ch対応がスタートラインといえよう。組み合わせるスピーカーに対してもより上位クラスのものを鳴らせるだけの駆動能力を備えているので、選択の幅もさらに広がるはずだ。今回はオンキヨー「TX-RZ50」、マランツ「CINEMA 50」、デノン「AVR-X4800H」、ヤマハ「RX-A6A」の4製品にフォーカスを当て、スピーカーシステムはKEFの最新「Rシリーズ」を組み合わせた。この4製品の概要に加え、Dolby Atmos収録ソフトを使ったクオリティチェックを実施。
視聴用リファレンスは映画・アクション系に『トップガン マーヴェリック』(CH12)、映画・ドラマ系に『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』(CH8)、音楽系にOfficial髭男dismのシングル「Universe」付属BD『ONLINE LIVE2020 -Arena Travelers-』(Tr2「宿命」)を用いている。
新生オンキヨーのAVアンプ第一弾として登場したモデルで、FIRフィルターを活用した「Dirac Live」での音場補正機能を標準装備。従来からの「AccuEQ」による自動音場補正も選択可能だ。試聴ではAccuEQを使用。
フロントLRにはデジタルノイズを除去する独自回路「VLSC」を使用。THX Certified Selectの取得やIMAX Enhancedへの対応など、より映画館を意識した本格的なサラウンド再生を実現した。9chアンプ構成で、5.2.4chや7.2.2chといったイマーシブサラウンド向け構築が可能で、Dolby AtmosやDTS:Xに対応。電源部に大容量コンデンサーやカスタム電源トランスを用いた他、電源ラインの低インピーダンス化も進め、超広帯域なf特や瞬時電流供給能力の高いアンプ設計を取り入れている。
ソリッドでキレが良くストレートなサウンド
切れ味の良いストレートなサウンド傾向で、アクション系のSEはソリッドに表現。BGMの低域も重厚さを出しつつ、高域のエッジを軽やかにヌケ感も良く描き出す。ミサイルや飛行機の移動も鋭くシャープに追随。セリフはシャキッとして締り良く明瞭で、息遣いもリアルに再現する。
音楽系も音像をキレ良く描く傾向で、ホーンセクションの鮮明さ、ギターのきめ細やかな音色を引き出し、ボーカルもハリ良くスマートに描写。ドライな質感だがボディ表現も自然である。ベースの密度感も良く、どっしりとした安定感を持つ。
新デザインに改められた9.4ch対応AVアンプ。11.4chまでのプロセッシングも可能で、ハイト用には2〜6chまで設定できる。「HDAM-SA2」プリアンプや9chフルディスクリート・パワーアンプなど、より物量を投入した回路構成が特長であり、高解像度かつ情報量豊かなサウンドを実現。音場補正には「Audyssey MultEQ XT32」を備えており、有料オプションとして「Dirac Live」も使用できる。
Dolby Atmos、DTS:X、Auro-3D、IMAX Enhanced、360 Reality Audioといったイマーシブフォーマットに対応。Amazon Music HDでのハイレゾストリーミング再生も可能な、ネットワーク・オーディオ・プラットフォームHEOSモジュールも搭載する。
華やかさがあり艶の良さを備える
高域にかけての倍音表現が豊かで、全体的に華やぎのあるサウンド傾向だ。アクション系のSEもハリがあり、明瞭感と軽快さを兼ね備えた、見通しの良い音場感が得られる。爆発系の音は刺激的なピークを抑えた滑らかな音色。戦闘機のエンジン音は密度が濃くコシのある響き。ドラマ系も含め、セリフは重心が低く落ち着いたトーンである。BGMも芯の太い重厚さが感じられ、ストリングスは艶良くしっとりと表現。
音楽系は太く落ち着いたベースと、アタックをスッキリと引き出すドラムを軸とした、穏やかなリズム隊が印象的。ボーカルやギターは輪郭のハリ感を艶良く描き、厚みもしっかりと感じる。
上位モデルと同じモノリス・コンストラクションを採用し、チャンネルセパレーションを高めた9.4ch対応AVアンプ。前モデルは海外生産だったが、本機は国内の白河工場生産に切り替え、パワーアンプ構成も刷新。ヒートシンクにはアルミ押し出し材、入力段には高品位なフィルムコンデンサーを搭載するなど、しっかりと物量が投入された実力機だ。
11.4chプリ出力を備え、ハイト用は6chまで設定できる。音場補正には「Audyssey MultEQ XT32」を採用し、「Dirac Live」も有料で使用可能。イマーシブフォーマットはDolby Atmos、DTS:X、Auro-3D、IMAX Enhanced、360 Reality Audioに対応。ハイレゾストリーミングも楽しめる。
空間再現がナチュラルでニュアンスも明瞭
音像の太さ、安定感の高いサウンドで、空間の広がり感もナチュラルな傾向。アクション系のSEは爆発音のハリや太さ、戦闘機のエンジンの厚みも適切に表現し、実体感がある。機体の回転に伴う空気の動きも軽やかで、ソニックブームのキレも良い。BGMやセリフは低重心で、倍音のハリによって弦や口元のニュアンスも明瞭に描く。ドラマ系のセリフは口元の動きが歯切れ良く、息継ぎもクリアに描写。ボディ感も自然だ。BGMの浮遊感、ピアノの硬質な響きや管弦楽器のハーモニーが叙情感をさらに高める。
音楽系は低域の制動性も高く、中域成分も澄んでおり、音場の見通しが深い。楽器の質感も緻密で、ボーカルはヌケ良く艶やか。細部の再現度も高く、エアー感も自然に引き出す。声や弦の滑らかさ、厚みも良い。
「AVENTAGEシリーズ」のミドルハイモデルだが、かつてはフラグシップであった価格帯でもある。9chパワーアンプを内蔵し、11.2chプリ出力および2chのXLRバランス入力/プリ出力も装備。ピュアオーディオとの連携も見据えた上級機だ。Amazon Music HDへの対応やネットワークからのDSD 11.2MHz/1bitの再生も実現。
Auro-3Dにも対応し、5.2.4chや7.2.2ch運用も可能だ。独自の音場処理機能「シネマDSP HD3」や「SURROUND:AI」とDolby Atmos、DTS:Xとの重ね掛けにも対応する。室内の初期反射音を制御する「YPAO-R.S.C.」や、高さ方向を含めて立体的に測定できる「YPAO 3D」測定を内包する、マルチポイント計測による64bit処理音場補正機能「YPAO」を搭載。
情報量が多く厚みとキレを両立した巧みな表現
ニュートラルかつ情報量の多いサウンドで、空間の広さ、再現性も高く、分離も良い。アクション系では飛行機のエンジン音は密度を持たせつつシャープなタッチでまとめ、軽快に空間へ浮かぶ。移動感もスムーズで爆発音のインパクトはきつさを抑えている。BGMやセリフは厚みとキレを両立した、メリハリ良い傾向。ドラマ系のセリフは自然な厚みで安定しており、SEも精細で、ともにアキュレートな描写だ。BGMは広がり良く展開し、管弦楽器やピアノの響きも低重心で堂々としている。空間性、余韻などのエアー感の表現が巧みだ。
音楽系はホーンセクションの華やかさやベースの太さが印象的で、ボーカルはマイルドで甘い艶がある。ギターも滑らかかつ伸びやかで、落ち着いた安定感を持つ。
<取材で使用したレファレンスモデル>
超短焦点プロジェクター EPSON 「EH-LS800B/W」 オープン価格(直販サイト451,000円税込)
フロア型スピーカー KEF 「R7 Meta」 657,800円(税込/ペア)
センタースピーカー KEF 「R6 Meta」 308,000円(税込/1本)
ブックシェルフ型スピーカー KEF 「R3 Meta」 363,000円(税込/ペア)
イネーブルドスピーカー KEF 「R8 Meta」 198,000円(‘税込/ペア)
サブウーファー KEF 「KC62 Subwoofer」 242,000円(税込/1本)
パワーアンプも9ch以上のものが中心となり、5.1.4ch対応がスタートラインといえよう。組み合わせるスピーカーに対してもより上位クラスのものを鳴らせるだけの駆動能力を備えているので、選択の幅もさらに広がるはずだ。今回はオンキヨー「TX-RZ50」、マランツ「CINEMA 50」、デノン「AVR-X4800H」、ヤマハ「RX-A6A」の4製品にフォーカスを当て、スピーカーシステムはKEFの最新「Rシリーズ」を組み合わせた。この4製品の概要に加え、Dolby Atmos収録ソフトを使ったクオリティチェックを実施。
視聴用リファレンスは映画・アクション系に『トップガン マーヴェリック』(CH12)、映画・ドラマ系に『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』(CH8)、音楽系にOfficial髭男dismのシングル「Universe」付属BD『ONLINE LIVE2020 -Arena Travelers-』(Tr2「宿命」)を用いている。
ONKYO「TX-RZ50」
新生オンキヨーのAVアンプ第一弾として登場したモデルで、FIRフィルターを活用した「Dirac Live」での音場補正機能を標準装備。従来からの「AccuEQ」による自動音場補正も選択可能だ。試聴ではAccuEQを使用。
フロントLRにはデジタルノイズを除去する独自回路「VLSC」を使用。THX Certified Selectの取得やIMAX Enhancedへの対応など、より映画館を意識した本格的なサラウンド再生を実現した。9chアンプ構成で、5.2.4chや7.2.2chといったイマーシブサラウンド向け構築が可能で、Dolby AtmosやDTS:Xに対応。電源部に大容量コンデンサーやカスタム電源トランスを用いた他、電源ラインの低インピーダンス化も進め、超広帯域なf特や瞬時電流供給能力の高いアンプ設計を取り入れている。
ソリッドでキレが良くストレートなサウンド
切れ味の良いストレートなサウンド傾向で、アクション系のSEはソリッドに表現。BGMの低域も重厚さを出しつつ、高域のエッジを軽やかにヌケ感も良く描き出す。ミサイルや飛行機の移動も鋭くシャープに追随。セリフはシャキッとして締り良く明瞭で、息遣いもリアルに再現する。
音楽系も音像をキレ良く描く傾向で、ホーンセクションの鮮明さ、ギターのきめ細やかな音色を引き出し、ボーカルもハリ良くスマートに描写。ドライな質感だがボディ表現も自然である。ベースの密度感も良く、どっしりとした安定感を持つ。
MARANTZ「CINEMA 50」
新デザインに改められた9.4ch対応AVアンプ。11.4chまでのプロセッシングも可能で、ハイト用には2〜6chまで設定できる。「HDAM-SA2」プリアンプや9chフルディスクリート・パワーアンプなど、より物量を投入した回路構成が特長であり、高解像度かつ情報量豊かなサウンドを実現。音場補正には「Audyssey MultEQ XT32」を備えており、有料オプションとして「Dirac Live」も使用できる。
Dolby Atmos、DTS:X、Auro-3D、IMAX Enhanced、360 Reality Audioといったイマーシブフォーマットに対応。Amazon Music HDでのハイレゾストリーミング再生も可能な、ネットワーク・オーディオ・プラットフォームHEOSモジュールも搭載する。
華やかさがあり艶の良さを備える
高域にかけての倍音表現が豊かで、全体的に華やぎのあるサウンド傾向だ。アクション系のSEもハリがあり、明瞭感と軽快さを兼ね備えた、見通しの良い音場感が得られる。爆発系の音は刺激的なピークを抑えた滑らかな音色。戦闘機のエンジン音は密度が濃くコシのある響き。ドラマ系も含め、セリフは重心が低く落ち着いたトーンである。BGMも芯の太い重厚さが感じられ、ストリングスは艶良くしっとりと表現。
音楽系は太く落ち着いたベースと、アタックをスッキリと引き出すドラムを軸とした、穏やかなリズム隊が印象的。ボーカルやギターは輪郭のハリ感を艶良く描き、厚みもしっかりと感じる。
DENON「AVR-X4800H」
上位モデルと同じモノリス・コンストラクションを採用し、チャンネルセパレーションを高めた9.4ch対応AVアンプ。前モデルは海外生産だったが、本機は国内の白河工場生産に切り替え、パワーアンプ構成も刷新。ヒートシンクにはアルミ押し出し材、入力段には高品位なフィルムコンデンサーを搭載するなど、しっかりと物量が投入された実力機だ。
11.4chプリ出力を備え、ハイト用は6chまで設定できる。音場補正には「Audyssey MultEQ XT32」を採用し、「Dirac Live」も有料で使用可能。イマーシブフォーマットはDolby Atmos、DTS:X、Auro-3D、IMAX Enhanced、360 Reality Audioに対応。ハイレゾストリーミングも楽しめる。
空間再現がナチュラルでニュアンスも明瞭
音像の太さ、安定感の高いサウンドで、空間の広がり感もナチュラルな傾向。アクション系のSEは爆発音のハリや太さ、戦闘機のエンジンの厚みも適切に表現し、実体感がある。機体の回転に伴う空気の動きも軽やかで、ソニックブームのキレも良い。BGMやセリフは低重心で、倍音のハリによって弦や口元のニュアンスも明瞭に描く。ドラマ系のセリフは口元の動きが歯切れ良く、息継ぎもクリアに描写。ボディ感も自然だ。BGMの浮遊感、ピアノの硬質な響きや管弦楽器のハーモニーが叙情感をさらに高める。
音楽系は低域の制動性も高く、中域成分も澄んでおり、音場の見通しが深い。楽器の質感も緻密で、ボーカルはヌケ良く艶やか。細部の再現度も高く、エアー感も自然に引き出す。声や弦の滑らかさ、厚みも良い。
YAMAHA「RX-A6A」
「AVENTAGEシリーズ」のミドルハイモデルだが、かつてはフラグシップであった価格帯でもある。9chパワーアンプを内蔵し、11.2chプリ出力および2chのXLRバランス入力/プリ出力も装備。ピュアオーディオとの連携も見据えた上級機だ。Amazon Music HDへの対応やネットワークからのDSD 11.2MHz/1bitの再生も実現。
Auro-3Dにも対応し、5.2.4chや7.2.2ch運用も可能だ。独自の音場処理機能「シネマDSP HD3」や「SURROUND:AI」とDolby Atmos、DTS:Xとの重ね掛けにも対応する。室内の初期反射音を制御する「YPAO-R.S.C.」や、高さ方向を含めて立体的に測定できる「YPAO 3D」測定を内包する、マルチポイント計測による64bit処理音場補正機能「YPAO」を搭載。
情報量が多く厚みとキレを両立した巧みな表現
ニュートラルかつ情報量の多いサウンドで、空間の広さ、再現性も高く、分離も良い。アクション系では飛行機のエンジン音は密度を持たせつつシャープなタッチでまとめ、軽快に空間へ浮かぶ。移動感もスムーズで爆発音のインパクトはきつさを抑えている。BGMやセリフは厚みとキレを両立した、メリハリ良い傾向。ドラマ系のセリフは自然な厚みで安定しており、SEも精細で、ともにアキュレートな描写だ。BGMは広がり良く展開し、管弦楽器やピアノの響きも低重心で堂々としている。空間性、余韻などのエアー感の表現が巧みだ。
音楽系はホーンセクションの華やかさやベースの太さが印象的で、ボーカルはマイルドで甘い艶がある。ギターも滑らかかつ伸びやかで、落ち着いた安定感を持つ。
<取材で使用したレファレンスモデル>
超短焦点プロジェクター EPSON 「EH-LS800B/W」 オープン価格(直販サイト451,000円税込)
フロア型スピーカー KEF 「R7 Meta」 657,800円(税込/ペア)
センタースピーカー KEF 「R6 Meta」 308,000円(税込/1本)
ブックシェルフ型スピーカー KEF 「R3 Meta」 363,000円(税込/ペア)
イネーブルドスピーカー KEF 「R8 Meta」 198,000円(‘税込/ペア)
サブウーファー KEF 「KC62 Subwoofer」 242,000円(税込/1本)