PR 公開日 2024/03/26 06:30
【レビュー】プロが認めるSPLヘッドホンアンプ「Phonitor se」「Phonitor x」ならどんなヘッドホンでも鳴らしきる!
VGP2024でヘッドホンアンプ初の2機種「殿堂入り」を達成
国内最大級のオーディオビジュアルアワードVGPにて、ロングセラーの証として「殿堂入り」の栄誉に輝いた、ドイツSPLの120Vテクノロジー搭載ヘッドホンアンプ。どんなヘッドホンも駆動するパワー、そして使うほどに愛着がわく、奥深い魅力を解説する。
VGP2024のヘッドホンアンプ部門で6期連続金賞を獲得し、「殿堂入り」の栄誉に輝いた、SPLの「Phonitor se」と「Phonitor x」。独自技術「120Vテクノロジー(VOLTAiR)」によるダイナミックで歪みの少ない、余裕を持ったヘッドホンの駆動能力が強みだ。
Phonitor seはシングルエンドのシンプルな構成、Phonitor xはレトロな丸窓アナログVUメーターを備えたフロントパネルが特徴的で、4pin XLR端子バランス駆動に対応したバランス回路構成となっている。DAC搭載モデルは共にAKM製「AK4490」を採用している。
120Vテクノロジーはデジタルフォーマットの進化に合わせ、ダイナミックレンジが拡大する中でも入力信号が歪まず音量を稼げる仕様とすることを目的に開発されたという。一般的な汎用オペアンプチップを用いる場合±15Vの30Vレンジの回路構成となるが、120Vテクノロジー技術はそれらの4倍となる±60Vの120Vレンジで回路が構築されている。
一般的なチップでは許容範囲を超える大電圧だが、SPLでは高耐圧の部品を選別しディスクリートパーツによるモジュール化を実現している。ダイナミックレンジや最大音量レベル、歪み率を大きく改善、S/Nのよいパワフルでエネルギッシュなサウンドを表現できるとしている。
また、Phonitor xはPhonitor seよりも詳細に設定できる「Phonitor Matrix」機能を持つ。これはヘッドホンでもスピーカーリスニングに近い音場感と音像定位を提供するもので、他社のクロスフィード技術をさらに一歩踏み込んで個人に最適化できる機能だ。
さらに音量調整が可能なXLR/RCAのライン出力を備えており、アクティブスピーカーと直結できる点もPhonitor xのメリットだ。横幅を抑えたボディサイズと相まって、アクティブスピーカーを組み合わせたミニマムオーディオを構成できる点は上位機「Phonitor xe」にない機能性だ。
さて、ここからはそれぞれのアンプを実際に検証していこう。まず、Phonitor seで、ゼンハイザーの定番ヘッドホン「HD 800 S」を聴いてみた。中低域に厚みのある落ち着いたサウンドで、高域にかけて、なめらかで強調感のないナチュラルな描写性を実感できる。管弦楽器の旋律はボトムの響きを的確に捉え、安定感がある。ピアノやホーンセクションの響きも穏やかで深みを持つ。
そしてAudezeの平面磁界駆動型ヘッドホン「LCD-5」では、より濃厚で密度の濃いサウンドとなり、高域の響きも艶やかだ。適度に輪郭を丸めたマイルドな響きで、ボーカルもなめらか。オーケストラは低域パートの逞しい響きが印象的で、ホールトーンは温かみのある描写となる。ロックのリズム隊もどっしりとした描写だが、キックドラムのファットなエアー感も巧みに表現。バラードのボーカルは穏やかでウォームな描写だ。
続いてPhonitor xの試聴に移ろう。HD 800 Sとの相性がとてもよく、制動性の高い、解像度指向のサウンドとなる。オーケストラのハーモニーは階調が細やかで、低域の張り出しも爽やかに表現する。高域は華やかだが余韻の脚色感は抑えており、品がある。ロック音源のディストーションギターはリフの彫りが深く、響きの粘り感、エフェクトのリヴァーブを克明に描く。ホーンセクションは太さだけでなく、鮮やかなハリ感をシャープに引き立たせ、ピアノやシンバルの響きの澄んだトーンと共に見通しの深い音場を創り出す。
さらにバランス駆動に切り替えると音像の逞しさ、高域の鮮度感、低域の制動性が一層高まり、モニター機器らしいリアルで解像度の高いサウンドの一端が見えてくる。ハイレゾ音源のキメの細やかさや余韻の階調表現の深さ、リズム隊のアタック&リリースのスピードも申し分ない。抑揚があり生き生きとしたボーカルの質感や、オーケストラの豊かな音場の広がりもリアルに再現。低域もタイトにまとめるが、決して硬すぎず、耳当たりよく表現してくれるのは120Vテクノロジーならではといえる。
LCD-5との組み合わせは、描写の緻密さや抑揚感が増す印象だ。音像の輪郭も適度なエッジを立て、フォーカスよい定位を見せる。低域のどっしりとした表現は共通であるものの、グリップよく振動板を駆動し、キックドラムのエアー感も自然に表現する。ボーカルも息継ぎのニュアンスや潤い感、ボディの密度感をよりストレートに描き出す。ピアノのアタックもかっちりとしており、伸びやかでハーモニクスもクリアに響く。オーケストラの響きも豊潤で、ふくよかさと旋律の爽やかなハリ感のバランスがいい。
最後に電源ラインの強化として、電源ノイズを低減させるアクティブノイズエリミネーターを備える電源ボックス、パーフェクション「PFT-T3000AF」をPhonitor xと接続してみた。Phonitor xはトランスを用いたリニア電源方式を取り入れており、基本に忠実なつくりであるからこそ、電源ラインの強化にも素直に反応を示してくれる。
PFT-T3000AFを用いた場合、よりキレのよいシャープなサウンドとなる。ピアノの響きもほぐれて、オーケストラのハーモニーも爽快で、音場の透明度も高まる。よりモニターらしさが強調されるイメージだ。PhonitorMatrix機能の効き具合もわかりやすく、Crossfeedの調整で音像との距離感やAngleによるセンター定位のフォーカスも明確になる。
Phonitor seとPhonitor xは音源制作の現場で鍛え抜かれたバランスのよさ、ニュートラル基調のサウンドとともに、様々なヘッドホンを駆動し切るドライブ能力を兼ね備えたアンプとして非常に完成度が高い。電源やケーブルの変化にもレスポンスよく反応してくれる、レファレンスとして最適なモデルだ。同じ価格帯にはライバルも多いが、その安定感と実直さが殿堂入りの確たる証拠。高級ヘッドホンを理想のサウンドで鳴らし切る、120Vテクノロジーの凄味を体感してほしい。
[SPEC]
「Phonitor se」
●最大出力レベル:アンバランス 1W×2(32Ω) ●ヘッドホン出力:アンバランス(6.3mm標準) ● 入力端子:デジタル音声入力(USBType-B、同軸、光)、アナログ音声入力(アンバランス) ●全高調波歪率:0.00091%(アンバランス) ●周波数特性:10Hz-10kHz(0dBu)●外形寸法:278W×57H×330Dmm ●質量:2.8kg
※上記はDAC搭載モデル、DACチップはAK4490(PCM 最大768kHz/32bit、DSD 最大11.2MHz対応)
「Phonitor x」
●最大出力レベル:アンバランス 1W×2(32Ω)、バランス 700mW×2(32Ω) ●ヘッドホン出力:アンバランス6.3mm標準、バランスXLR ●入出力端子:デジタル音声入力(光、同軸、USB Type-B)、アナログ音声入力(アンバランスRCA、バランスXLR)、アナログ音声出力(アンバランスRCA、バランスXLR) ●全高調波歪率:0.00082%(バランス) ●周波数特性:10Hz-10kHz(0dBu) ●外形寸法:278W×100H×330Dmm ●質量:4.4kg
※上記はDAC搭載モデル、2019年以降の場合 DACチップはAK4490(PCM 最大768kHz/32bit、DSD 最大11.2MHz対応)
本記事は「プレミアムヘッドホンガイド Vol.31 2024 SPRING」からの転載です。
(提供:A&Mグループ株式会社)
■高耐圧パーツを選別してモジュール化を実現
VGP2024のヘッドホンアンプ部門で6期連続金賞を獲得し、「殿堂入り」の栄誉に輝いた、SPLの「Phonitor se」と「Phonitor x」。独自技術「120Vテクノロジー(VOLTAiR)」によるダイナミックで歪みの少ない、余裕を持ったヘッドホンの駆動能力が強みだ。
Phonitor seはシングルエンドのシンプルな構成、Phonitor xはレトロな丸窓アナログVUメーターを備えたフロントパネルが特徴的で、4pin XLR端子バランス駆動に対応したバランス回路構成となっている。DAC搭載モデルは共にAKM製「AK4490」を採用している。
120Vテクノロジーはデジタルフォーマットの進化に合わせ、ダイナミックレンジが拡大する中でも入力信号が歪まず音量を稼げる仕様とすることを目的に開発されたという。一般的な汎用オペアンプチップを用いる場合±15Vの30Vレンジの回路構成となるが、120Vテクノロジー技術はそれらの4倍となる±60Vの120Vレンジで回路が構築されている。
一般的なチップでは許容範囲を超える大電圧だが、SPLでは高耐圧の部品を選別しディスクリートパーツによるモジュール化を実現している。ダイナミックレンジや最大音量レベル、歪み率を大きく改善、S/Nのよいパワフルでエネルギッシュなサウンドを表現できるとしている。
■「Phonitor Matrix」でスピーカーリスニングに近い音場と定位を再生
また、Phonitor xはPhonitor seよりも詳細に設定できる「Phonitor Matrix」機能を持つ。これはヘッドホンでもスピーカーリスニングに近い音場感と音像定位を提供するもので、他社のクロスフィード技術をさらに一歩踏み込んで個人に最適化できる機能だ。
さらに音量調整が可能なXLR/RCAのライン出力を備えており、アクティブスピーカーと直結できる点もPhonitor xのメリットだ。横幅を抑えたボディサイズと相まって、アクティブスピーカーを組み合わせたミニマムオーディオを構成できる点は上位機「Phonitor xe」にない機能性だ。
■Phonitor seは安定感があり、濃厚で密度のあるサウンド
さて、ここからはそれぞれのアンプを実際に検証していこう。まず、Phonitor seで、ゼンハイザーの定番ヘッドホン「HD 800 S」を聴いてみた。中低域に厚みのある落ち着いたサウンドで、高域にかけて、なめらかで強調感のないナチュラルな描写性を実感できる。管弦楽器の旋律はボトムの響きを的確に捉え、安定感がある。ピアノやホーンセクションの響きも穏やかで深みを持つ。
そしてAudezeの平面磁界駆動型ヘッドホン「LCD-5」では、より濃厚で密度の濃いサウンドとなり、高域の響きも艶やかだ。適度に輪郭を丸めたマイルドな響きで、ボーカルもなめらか。オーケストラは低域パートの逞しい響きが印象的で、ホールトーンは温かみのある描写となる。ロックのリズム隊もどっしりとした描写だが、キックドラムのファットなエアー感も巧みに表現。バラードのボーカルは穏やかでウォームな描写だ。
■Phonitor x は制動性が格段に高まり、リアルで優れた解像感
続いてPhonitor xの試聴に移ろう。HD 800 Sとの相性がとてもよく、制動性の高い、解像度指向のサウンドとなる。オーケストラのハーモニーは階調が細やかで、低域の張り出しも爽やかに表現する。高域は華やかだが余韻の脚色感は抑えており、品がある。ロック音源のディストーションギターはリフの彫りが深く、響きの粘り感、エフェクトのリヴァーブを克明に描く。ホーンセクションは太さだけでなく、鮮やかなハリ感をシャープに引き立たせ、ピアノやシンバルの響きの澄んだトーンと共に見通しの深い音場を創り出す。
さらにバランス駆動に切り替えると音像の逞しさ、高域の鮮度感、低域の制動性が一層高まり、モニター機器らしいリアルで解像度の高いサウンドの一端が見えてくる。ハイレゾ音源のキメの細やかさや余韻の階調表現の深さ、リズム隊のアタック&リリースのスピードも申し分ない。抑揚があり生き生きとしたボーカルの質感や、オーケストラの豊かな音場の広がりもリアルに再現。低域もタイトにまとめるが、決して硬すぎず、耳当たりよく表現してくれるのは120Vテクノロジーならではといえる。
LCD-5との組み合わせは、描写の緻密さや抑揚感が増す印象だ。音像の輪郭も適度なエッジを立て、フォーカスよい定位を見せる。低域のどっしりとした表現は共通であるものの、グリップよく振動板を駆動し、キックドラムのエアー感も自然に表現する。ボーカルも息継ぎのニュアンスや潤い感、ボディの密度感をよりストレートに描き出す。ピアノのアタックもかっちりとしており、伸びやかでハーモニクスもクリアに響く。オーケストラの響きも豊潤で、ふくよかさと旋律の爽やかなハリ感のバランスがいい。
■電源ラインの強化にもレスポンスよく反応する
最後に電源ラインの強化として、電源ノイズを低減させるアクティブノイズエリミネーターを備える電源ボックス、パーフェクション「PFT-T3000AF」をPhonitor xと接続してみた。Phonitor xはトランスを用いたリニア電源方式を取り入れており、基本に忠実なつくりであるからこそ、電源ラインの強化にも素直に反応を示してくれる。
PFT-T3000AFを用いた場合、よりキレのよいシャープなサウンドとなる。ピアノの響きもほぐれて、オーケストラのハーモニーも爽快で、音場の透明度も高まる。よりモニターらしさが強調されるイメージだ。PhonitorMatrix機能の効き具合もわかりやすく、Crossfeedの調整で音像との距離感やAngleによるセンター定位のフォーカスも明確になる。
Phonitor seとPhonitor xは音源制作の現場で鍛え抜かれたバランスのよさ、ニュートラル基調のサウンドとともに、様々なヘッドホンを駆動し切るドライブ能力を兼ね備えたアンプとして非常に完成度が高い。電源やケーブルの変化にもレスポンスよく反応してくれる、レファレンスとして最適なモデルだ。同じ価格帯にはライバルも多いが、その安定感と実直さが殿堂入りの確たる証拠。高級ヘッドホンを理想のサウンドで鳴らし切る、120Vテクノロジーの凄味を体感してほしい。
[SPEC]
「Phonitor se」
●最大出力レベル:アンバランス 1W×2(32Ω) ●ヘッドホン出力:アンバランス(6.3mm標準) ● 入力端子:デジタル音声入力(USBType-B、同軸、光)、アナログ音声入力(アンバランス) ●全高調波歪率:0.00091%(アンバランス) ●周波数特性:10Hz-10kHz(0dBu)●外形寸法:278W×57H×330Dmm ●質量:2.8kg
※上記はDAC搭載モデル、DACチップはAK4490(PCM 最大768kHz/32bit、DSD 最大11.2MHz対応)
「Phonitor x」
●最大出力レベル:アンバランス 1W×2(32Ω)、バランス 700mW×2(32Ω) ●ヘッドホン出力:アンバランス6.3mm標準、バランスXLR ●入出力端子:デジタル音声入力(光、同軸、USB Type-B)、アナログ音声入力(アンバランスRCA、バランスXLR)、アナログ音声出力(アンバランスRCA、バランスXLR) ●全高調波歪率:0.00082%(バランス) ●周波数特性:10Hz-10kHz(0dBu) ●外形寸法:278W×100H×330Dmm ●質量:4.4kg
※上記はDAC搭載モデル、2019年以降の場合 DACチップはAK4490(PCM 最大768kHz/32bit、DSD 最大11.2MHz対応)
本記事は「プレミアムヘッドホンガイド Vol.31 2024 SPRING」からの転載です。
(提供:A&Mグループ株式会社)